この1年間、複雑化した不安定な世界情勢により、経済再生は課題に満ちていた。歴史を振り返れば、蒸気機関技術がもたらした第1次産業革命にせよ、電力を中心とした第2次産業革命にせよ、あるいは情報技術による第3次産業革命にせよ、科学技術の進歩は世界を危機から救い、新たな活力を生み出す鍵となってきた。そして今、AIを中心とした第4次産業革命が世界的に注目されている。現在、ビジネス分析や意思決定の過程における課題の多くは、AI技術によって解決し得るものである。将来、AIの活用は世界経済の隅々にまで広がり、社会のあらゆる側面に影響を与えるだろう。AIは大量のデータを吸収・消費する必要があり、一方で膨大なデジタルコンテンツやサービスを生成し配信する。AI時代の通信技術は、これらのデータのユビキタス空間での高速通信を保証するだけでなく、クラウドとエッジコンピューティングを通じてソフトウェアとハードウェアの分散トレーニングと推論を実行し、インテリジェントなモノの相互接続-「Intelligence of Things」を実現する必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
近年、中国においても、自動車と情報技術との融合によって、自動車の情報化(いわゆるInternet of Vehicles〔IoV〕)が急速に進んでいる。こうしたIoVや自動運転等の新技術の発展に伴い、自動車分野のデータや個人情報の重要性が高まると共に、その保護も課題となってきている。また、自動車分野の先進的なデータや大量の個人情報は、国家安全の観点からも規制の対象となってきている。中国では、2021年からデータや個人情報に関する法令が整いつつあるが、特に自動車業界におけるデータや個人情報に関して特別な規制を推進してきている。本稿では、これらの自動車業界におけるデータや個人情報に関する法規制の動向と実務上の留意点について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の生産設備関連産業は、ここ十年で大きな変革を遂げている。特に工作機械は、消費ならびに生産ともに世界一位に、産業用ロボットも世界トップの消費国となった。これは中国におけるモノづくりが、労働集約的なラインからこれらの生産財の活用へとシフトしつつあることに加え、IoT(Internet of Things)に向けた世界的な取り組みが中国でも展開されつつあることに起因している。中国ではこれらの潮流が、企業による動きのみならず、それを後押しする国や省政府などの支援によっても産み出されている。今後も拡大するとみられる同産業において、中国ではどのような動きがこれらの潮流の源となっているのだろうか。 /// 続きは本誌ご参照
先日、シシリー島にあるエトーレ・マヨラナ研究所で開催された国際会議に出席しました。この研究所の正式名称は「Ettore Majorana Foundation and Center for Scientific Culture」です。文化としての科学を研究するセンターであるように、量子力学の創始者たちの「サイエンスには文化的な側面がないと本物ではない」という強い思いを込めて名付けられたのであります。その熱意は今日まで続いており、1963年から毎年国際会議も開催されていますが、この会議に参加した後にノーベル賞を受賞した人たちも80人近くになりました。私も毎年参加して8年目となります。この研究所の近くに、神殿を中心に城壁で囲まれたギリシアの古代都市の遺跡(Selinunte)があり、この2千数百年前の遺跡から都市の形成を見ていますと、都市や都市国家の原型が見えるような感じがします。翻って今回の中国で行われている新型都市化(城鎮化)の政策は、都市そのものの本質に、かなり迫っていけるのではないかと考えております。 /// 続きは本誌ご参照