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  2024年9月号(通巻368号)

スペシャルレポート   庶民の生活から見える中国
大都市よりも県へ―戸籍制度改革と分散型都市化の課題6
岡本信広  大東文化大学国際関係学部長、教授
中国の都市化は、都市と農村の二元構造を前提として自然発生的に進んだ。2014年から始まった国家新型都市化計画は、農民工の市民化を目指したが、計画通りの成果は得られなかった。現在では、県城を中心とする分散型都市化政策へと移行している。戸籍人口の都市化を進めるには、大都市を開放するか、魅力ある県城に人を惹きつけるか、である。政府の意図は県レベルの都市化だが、人々の志向は大都市の開放だろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国の若者の雇用環境と就労意識の変化10
王艶  独立行政法人日本貿易振興機構上海事務所経済連携促進アドバイザー
中国では、若者の失業率が高い水準で推移しており、若者の就職難が顕在化している。教育部は2024年の大学・大学院の卒業者数注1(以下、大学・大学院新卒者)が過去最多の1,179万人に達すると予測している。本稿では、昨今の若者の失業率の上昇の要因を分析するとともに、若者を取り巻く就職市場の状況を整理し、若者の就職意識の変化について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
拡大する庶民の教育格差―政府の政策で縮まっていくのか14
中島恵  ジャーナリスト
都市部と農村部の間に歴然と存在する教育格差。従来からある社会問題のひとつであり、深刻な少子化にも大きな影を落としているが、2021年に施行された「共同富裕」や「双減」政策によって、それは縮小される方向にあるのだろうか。教育格差の背後には、中国特有の戸籍制度なども絡み合っており、一筋縄では解決しそうもないが、新しい動きもある。 /// 続きは本誌ご参照
中国生活ごみ分別の現状と課題18
馬建  龍谷大学社会科学研究所嘱託研究員
中国は2019年に生活ごみの強制分別を強力に進めたが、国民の分別習慣が定着するまでに至らなかった。21年からは、コロナ対策とごみ焼却処理能力の向上により、ごみ分別推進の足が止まっている。都市部におけるコミュニティでのごみ分別実施率は国の政策目標通りに増加しているが、市民によるごみ分別のレベルが低下し、都市間の差も大きい。県と農村地域でのごみ無害化処理とごみ分別の推進も今後の課題となる。 /// 続きは本誌ご参照
コロナ後の中国大・中都市生活者の健康意識および行動の変化22
薛倩  株式会社電通グローバル・ビジネス・センターシニアストラジスト
新型コロナウイルスの流行が、世界中の人々の健康に対する意識を大きく変えた。3年強におよぶコロナ流行を経験した中国の人々も、より一層自身の免疫力強化および健康維持を重視するようになった。一方でこれまで高い経済成長を続けてきた中国は、コロナ後に経済成長率が減速し、先行きの不透明感から人々の消費行動にも変化が見られるようになった。こうした背景の中で、大・中都市部の生活者の健康意識および行動にどのような変化があったかを、データを基に考察する。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年8月号(通巻367号)

スペシャルレポート   中国の情報通信戦略
中国の5G政策と普及の現状および6Gに向けての展望6
真家陽一  名古屋外国語大学教授、日立総合計画研究所リサーチフェロー
よく指摘されていることだが、米中対立の背景の一つが「次世代のハイテク産業をめぐる覇権争い」だ。従って、当面の焦点はハイテク製品に関わる技術開発競争の行方にある。その代表事例が「第5世代移動通信システム(5G)」である。中国は3G・4Gの技術開発では出遅れており、3Gから4Gの時代に移行したのは、工業情報化部が通信大手3社に対し、次世代通信規格「TD-LTE」の商用免許を交付した2013年12月とされる。こうした反省に基づき、中国は早くから5Gの研究開発に着手しており、今や先行者を追う立場ではなく、情報通信技術を主導する立場にある。世界最大の情報通信大国として、中国は規模の優位性を背景に、情報通信分野におけるプレゼンスを急速に高めている。 /// 続きは本誌ご参照
中国通信事業者が展開する5G関連産業とサービス10
康佳慧  株式会社KDDI総合研究所コアリサーチャー
中国政府は5G商用化の初期段階から5Gユースケースの研究開発と社会実装に注力しており、政府から出資を受けている通信事業者は5Gサービスの社会実装の主役となっている。その結果、76%以上の国民経済分野に5Gが普及し、特に工業、製造、鉱業、医療、スマートシティ、自動運転などの分野で活発に利用されている。今後は、5.5Gの商用化に伴い、裸眼3D、クラウドスマホ、5GVoNRなどのコンシューマー向けサービスやAI機能の搭載が期待されている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の情報通信ビジネス環境課題とスマート化政策動向14
日中経済協会関西本部
2024年の中国では、各地の外資誘致ニーズが一段と高まるなか、23年に国務院から発表されていたビジネス環境改善への政策的意見(11号文書)を踏襲し、これを具体化するためのアクションプラン(24項目)が示されるなど積極的な動きがみられる。しかし、特に市場参入規制やサイバー・データセキュリティ、個人情報保護関連規制等と密接不可分な情報通信分野に関しては、それら課題への懸念はなおも存続している。本稿では、中国の本分野のビジネス環境課題についての内外の視点をレビューするとともに、一部は規制に先んじ、あるいは並行して果敢に試行されてきたスマート交通、スマートシティ開発等の政策動向を整理し、中国でのビジネスアプローチへの参考に供したい。 /// 続きは本誌ご参照
米国と中国のデータ戦略・セキュリティの取組み18
岡野寿彦  株式会社NTTデータ経営研究所シニアスペシャリスト
中国政府「『データ要素×』3カ年行動計画」および米国「懸念国による米国人の機微な個人データおよび米国政府関連データへのアクセス防止に関する大統領令」(いずれも2024年)に象徴されるように、中国および米国のデータ戦略・セキュリティの取組みと両国間の攻防が本格化している。バージニア大学のアン・コカス教授著『トラフィッキング・データ:デジタル主権をめぐる米中の攻防』(岡野寿彦翻訳)のエッセンスを紹介したうえで、中国のデータ政策、米国の対抗の取組みを解説し、今後の展望と日本の取り組みについて私見を述べる。 /// 続きは本誌ご参照
「Intelligence of Things」時代の通信22
張云澤  華為技術日本株式会社広報部長
この1年間、複雑化した不安定な世界情勢により、経済再生は課題に満ちていた。歴史を振り返れば、蒸気機関技術がもたらした第1次産業革命にせよ、電力を中心とした第2次産業革命にせよ、あるいは情報技術による第3次産業革命にせよ、科学技術の進歩は世界を危機から救い、新たな活力を生み出す鍵となってきた。そして今、AIを中心とした第4次産業革命が世界的に注目されている。現在、ビジネス分析や意思決定の過程における課題の多くは、AI技術によって解決し得るものである。将来、AIの活用は世界経済の隅々にまで広がり、社会のあらゆる側面に影響を与えるだろう。AIは大量のデータを吸収・消費する必要があり、一方で膨大なデジタルコンテンツやサービスを生成し配信する。AI時代の通信技術は、これらのデータのユビキタス空間での高速通信を保証するだけでなく、クラウドとエッジコンピューティングを通じてソフトウェアとハードウェアの分散トレーニングと推論を実行し、インテリジェントなモノの相互接続-「Intelligence of Things」を実現する必要がある。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年7月号(通巻366号)

スペシャルレポート   在中外資企業の最新動向ー米大統領選後の中国ビジネスの展望
中国市場の成長を楽観しながら米中関係の緊張を懸念―在中米国企業の現況6
石川幸一  亜細亜大学アジア研究所特別研究員
中国は米国企業の主要な投資先である。直接投資残高では世界で12位だが、進出企業数は1956社であり、世界で4位、アジアで1位である。米国企業の現地販売額は米国の対中輸出額の3倍を超えており、米国企業の世界戦略で中国は極めて重要だ。在中国米国企業は中国市場の成長などビジネス環境を楽観視している。最大の懸念は米中関係の緊張の高まりだが、77%の企業は中国での事業の中国国外移転を考えていない。 /// 続きは本誌ご参照
EU・中国の関係変化と欧州企業の意識10
伊藤さゆり  株式会社ニッセイ基礎研究所経済研究部常務理事
2023年5月の主要7カ国(G7)広島サミットで、中国に関する共通の方針として打ち出したデリスキング(リスク軽減)の文言は、EUが主導したとされる。デリスキングは、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員会委員長が、訪中を控えた23年3月30日、中国研究を専門とするドイツ・ベルリンのシンクタンク(MERICS)での講演で用いたキーワードである。本稿では、EUがデリスキングを打ち出すに至るまでのEU・中国関係の変遷とEUが近年整備した中国を念頭においた政策の枠組みを確認し、中国でビジネスを展開する欧州企業の環境変化に対する認識と対応について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
欧州委員会の中国製EVに対する補助金調査の現状14
泉博隆  株式会社双日総合研究所調査グループシニアアナリスト
2023年10月、欧州委員会は中国から欧州に輸出される中国製EVが、中国政府から不当な補助金を受けているか否かに関する調査を開始した。不正な補助金が認定されれば、中国製EVはEU域内への輸入時に相殺関税を課される。一方、同調査について、ドイツとフランスの業界団体の考えは対照的である。この背景には、中国における両国自動車メーカーのEV輸出戦略の違いがある。今後、貿易摩擦を回避すべく中国自動車メーカーは海外直接投資を加速する可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
貿易で揺さぶる中国、揺るがぬ豪州18
髙佐知宏  株式会社日本経済新聞社堺支局長(元シドニー支局長)
オーストラリア(豪州)にとって中国は輸出額、輸入額ともに3割を占める最大の貿易相手だ。ところが2020年4月にモリソン豪首相が新型コロナウイルス禍の原因調査を求めると、中国は豪州産品に対する輸入制限を拡大した。豪州でのアルバジーニー政権発足後、中国の高姿勢は和らぎつつあるようだが、豪州への揺さぶりは効果があったのだろうか。むしろ鉄鉱石など豪州産資源に対する中国の依存度の大きさが浮き彫りになったともいえそうだ。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年6月号(通巻365号)

スペシャルレポート   地方発の日中協力
日中自治体間交流の現状について6
近松茂弘  一般財団法人自治体国際化協会北京事務所長
中国におけるゼロコロナ政策の変更後、2023年度に入り、日中自治体間の往来が再開している。地方自治体は、従来から友好都市との交流をはじめとする様々な機会を通じて、中国各地との交流を深めてきた。変化の速い中国社会において、そのトレンドを踏まえるべく、各種の活動を行っているところである。本稿では、日中自治体間交流の現状を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
静岡県と浙江省の人材交流:現状と展望10
横井香織  静岡県立大学グローバル地域センター特任准教授
静岡県は2022年、浙江省との友好提携40周年を迎えたものの、コロナ禍により対面の交流事業は実施できなかった。しかし、「40周年記念書道交流展」を作品展示だけではなくITを活用した仮想空間による展示の試みも行い、文化交流の新たな領域を開拓した。本稿では、中国との交流の窓口として発足した静岡県日中友好協議会の事業を中心に、静岡県と浙江省の人材交流を振り返り、今後を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の産業集積の転換―先端産業の内需シフトと労働集約型の越境ECシフト14
後藤康浩  亜細亜大学都市創造学部教授
1990年半ば以降、中国経済の成長を牽引して来た経済特区、開発区など中央、地方の多様な産業集積が今、転換期を迎えている。中国の産業集積の多くが外資の輸出型生産拠点の進出を起爆剤として雇用拡大、地元企業の進化を実現して来たが、米中の対立激化による外資の中国拠点の見直し、米欧の中国製品排除の動きを受け、成長戦略の転換を迫られているからだ。半導体やスマートフォンなど先端技術製品は輸出から国内市場に軸足を移し、衣料品、家具、日用雑貨は急成長する越境型ECサイトを通じたグローバル輸出にシフトしつつある。並行して、EVを主体とする自動車、バッテリーなどが新たな輸出の柱として台頭、関連分野を含めた産業集積高度化の動きが中国各地にみえる。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―営業なき営業で年商100倍超へ:地方老舗・松井味噌の中国ビジネス 松井健一 松井グループCEO18
蝦名康平(聞き手)  日中経済協会調査部
兵庫県明石市にある、大正時代から続く味噌店「松井味噌」を筆頭に、中国など6カ国で調味料を生産している松井グループ。同グループの現CEOで“和食の伝道師”と称される松井健一氏は、自身が社長を継いだ当時、日本の醸造業の経営や後継者問題などの厳しい状況を目の当たりにした。そこから松井味噌は1990年の中国進出をきっかけに日本を除く海外での味噌の製造と販売シェアは世界1位となるほどまでに成長した。この成功の裏にはどんなストーリーがあったのか。日系企業が中国で戦っていく上で大事なことはなにか。松井氏ご本人に話を伺った。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年5月号(通巻364号)

スペシャルレポート   中国、サステナブルへの道
世界を先導する中国の再生可能エネルギー開発と自動車の電動化6
李志東  長岡技術科学大学大学院情報・経営システム系教授
脱炭素社会構築は世界的な流れである。中国も例外ではない。実現するには、あらゆる分野での脱化石燃料化が不可欠である。当然、化石電源から非化石電源への転換も、石油系内燃機関車(ICEV)から新エネルギー自動車(NEV)への転換も避けて通れない。成功例が未だにない中、中国は世界の先頭に立っている。本稿の目的は、電源の脱炭素化と自動車の電動化に向けた中国の取組みを概観するとともに、将来展望を試みることである。 /// 続きは本誌ご参照
産業の高度化によるサステナブルの構築10
髙見澤学  日中経済協会理事・調査部長
高度経済成長を遂げ、量的拡大から質的向上へと経済発展の方向を転換させている中国。所得の向上とともに、人々はより質の高い製品・サービスを求めるようになっている。こうした市場のニーズに応えるためには、何よりも産業の高度化が求められるのだが、そこにはサステナブルという大前提があることを忘れてはならない。 /// 続きは本誌ご参照
中国トランジションファイナンスの取組みと日中金融協力の展望14
黄德虎  MUFGバンク(中国)有限公司企画部営業企画グループ課長
低炭素社会の構築に向けて金融が担う主たる任務は、多額の資金を幅広く温暖化ガス(GHG)排出削減活動に誘導することにある。グローバルベースでの削減効果向上に向け、その手法は再生可能エネルギー・新エネルギーといった脱炭素技術の導入に向けたグリーンファイナンスのみならず、既存の炭素集約型事業をスムーズに低炭素型に移行させる取り組みを支援するトランジションファイナンスに拡大しており、効果的な資金調達に向けた環境整備に際して、日中協力の余地は少なくない。 /// 続きは本誌ご参照
サステナブルを目指してー共走協創への鳴動18
野口奉昭  山九株式会社海外事業本部中国・東アジアエリア中国総代表
山九が中国で物流業に携わって50年余り、これからの50年は、まさにサステナビリティの考え方をベースに日中双方がその知見と経験を共有し、ともに共通課題に立ち向かう時代になる。日本の物流会社として、先んじて対応中である「温室効果ガス(GHG)削減を含む社会課題への対策実例や経験」を大いに活用し、これまでの「競争」の時代からこれからの「共走」、そしてともに課題解決をはかる「協創」へ…日中双方の物流業界の発展を期待して積極的に挑んでいきたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年4月号(通巻363号)

スペシャルレポート   アジア・太平洋から中国を見る
尹錫悦政権3年目における韓中関係とその展望2
朴盛彬  韓国・亜洲大学校教授・日本政策研究センター長
尹錫悦政権は韓日米連携を重視しているが、中国は韓日米連携の強化を警戒し韓国に厳しい対応をとる。今の韓中関係は最悪の状況である。韓国にとって、中国は北朝鮮問題に大きな影響力を持つ国であり、さらに、韓国は中国への経済依存度が非常に高い。近年、韓国の対中輸出は減少しつつあるが、韓国の脱中国化を短期的に実現するのは困難である。韓国は、米国の輸出統制対象とならない汎用製品等については中国との経済交流を続けるものと考えられる。 /// 続きは本誌ご参照
中国とASEANの経済関係強化の中で日本のとるべき道6
篠田邦彦  政策研究大学院大学政策研究院教授・参与
米中対立などの地政学的変動が起きる中、中国は近隣に位置するASEAN諸国との間でRCEP、ASEAN・中国FTAや「一帯一路」構想を通じて経済関係を強化し、新エネルギー車、デジタル産業等の進出を拡大させている。日本は、ASEANと長年にわたり築き上げてきた信頼関係をもとに、2023年の日本ASEAN友好協力50周年で打ち出した包括的な協力を深化させるとともに、AOIPの実現に向けて中国と第三国市場協力を進めていくべきである。 /// 続きは本誌ご参照
巨竜と巨象の「同床異夢」中印関係は安定に向かうのか10
姫田小夏  フリージャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰
2023年、インドは中国を抜き世界一の人口大国となった。中国とインド、この2つの人口大国が手を組めば、28億人を超える世界最大の経済圏とともに新たな国際秩序が生まれる。しかしながら、そこにタッグが生まれる気配はない。中印が見せるプライドを賭けた争いは、「軍事衝突」、「一帯一路」、「グローバルサウスでの盟主争い」と広がりを見せている。 /// 続きは本誌ご参照
豪中関係は改善するのか―暗雲たちこめる政治・安保問題14
寺田貴  同志社大学法学部政治学科教授
2023年11月、豪中国交樹立50周年という節目の年にオーストラリアのアルバニージー首相が北京を訪問した。史上最悪とまで言われた豪中関係が、これをきっかけに改善へと向かうかどうかが注目される /// 続きは本誌ご参照

  2024年3月号(通巻362号)

スペシャルレポート   日中の協調・協働の進化に向けて―友好の初心に還る新たな志を:2023年度日中経済協会合同訪中代表団抄録
本格的なハイレベル交流の再開を迎えて2
横山達也  日中経済協会調査部部長代理
第46回日中経済協会合同訪中代表団(以下、訪中団)が、2024年1月23日から4日間の日程で北京を訪れ、中国の李強国務院総理と会見し、経済主要官庁の幹部との会議を行った。訪中団の派遣は2019年以来で、日本の経済界の主要メンバーなど約200名が参加した。本稿では、訪中団の一連の活動を振り返り、ハイレベルによる対面交流が再開した意味に触れたい。 /// 続きは本誌ご参照
李強国務院総理との会見ーより緊密な二国間関係と経済貿易関係の推進とビジネス環境のさらなる最適化へ4
横山達也  日中経済協会調査部部長代理
第46回日中経済協会合同訪中代表団は、2024年1月25日に人民大会堂にて、全団員が李強国務院総理との会見に臨んだ。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展・改革委員会との全体会議―日中の協業可能性を探る8
佐々木悠子  日中経済協会調査部兼総務部
中国では内需拡大とグローバル経済の融合を図る「双循環」政策を進め、サプライサイドの安定と合理化を目指して産業構造改革に取り組んでいると伺っている。他方、過剰生産問題は、国際マーケットに混乱をもたらす事態も生じており、不良債権問題とともに懸念が生じる可能性がある。今後、一層の構造改革を進め、民営企業を活用した市場の活性化が行われることを期待する。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―日中の経済的紐帯の強靭化に向けて12
蝦名康平  日中経済協会調査部
商務部が、2023年11月に「内資企業と外資企業の不合理で差別的な取り扱いの是正に関する文書」を発表し、各分野の外資企業の内国民待遇を確実に実施するため、地方政府や各部門に対して是正と環境整備を求めたことを評価する。また12月には、商務部と経済産業省の間で「日中ビジネス環境改善ワーキンググループ」が立ち上げられ、日本企業から課題や要望をヒアリングするなど、ビジネス環境の改善に向けた取り組みに敬意を払いたい。 /// 続きは本誌ご参照
工業・信息化部との全体会議―日中産業協力のレベルアップを目指して16
宮奥俊介  日中経済協会調査部
中国の工業経済は回復傾向を示している。2023年、規模以上の工業企業生産額は40兆元を超え、前年同期比で4・6%増、製造業は5・0%増、設備製造業の付加価値は6・8%増となり、年間の工業経済は安定した中で回復し、改善傾向を示している。この背景には主に、伝統的な産業技術のアップグレードと改造の加速、スマート製造の推進強化などがある。またこの急速な発展を基礎に、グリーン・低炭素の転換を着実に推進し、グリーン新興産業の育成を拡大している。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第18回)提言書要旨―日中の協調・協働の進化に向けて:友好の初心に還り新たな志を20
日中経済協会
1.国際秩序の回復と経済の安定成長への貢献、2.安定した持続的成長を支える日中協力の推進、3.中国ビジネス環境のさらなる改善、4.日中・アジア・太平洋から世界へ /// 続きは本誌ご参照
対中事業アンケート・ヒアリング結果報告―日系企業を取り巻く現状と問題の観察21
蝦名康平  日中経済協会調査部
中国は、内需主導による経済発展に注力しながら、対外開放を深めていく「双循環」の大指針や、国内の景気改善の見通しの不安定性などの要因から外資誘致拡大に向けた動きを進めている。その一方で、改正反スパイ法やデータ管理関連の問題、短期訪中ビザ免除措置の未再開、外資への投資分野などの制約もあり、日本企業の中国国内での景況感は悪化し、新規投資の意欲は停滞していると言われている。また、競争力を備えた現地企業の台頭も見逃すことはできない。ここでは、2023年度当協会主催の訪中団に先駆けて実施したアンケートや企業へのヒアリング調査結果をまとめた。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年2月号(通巻361号)

スペシャルレポート   日中貿易はいま―激動する国際政治と変化する市場の中で
日中貿易の現状と展望―米中摩擦とコロナ禍の試練6
大西康雄  国立研究開発法人科学技術振興機構特任フェロー、上海里格法律事務所顧問
世界経済が激動する中で、日中貿易関係も挑戦に直面している。それは、経済のグローバリゼーションが進展する中で永く忘れられていた、経済ブロック化の懸念である。背景には、米中関係を軸とした国際政治バランスの変化やコロナウイルス感染症の世界的流行があるが、その対応を誤れば、日本だけでなく中国も大きな経済的損失を被ることになる。今後の取り組みはどうあるべきなのか、両国貿易関係の実態を確認しながら検討してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
物流からみる日中貿易10
戴二彪  公益財団法人アジア成長研究所所長、教授
米中摩擦が激化した2019年に、中国の対外貿易は大きく失速するとともに、日中両国間の貿易も縮小した。ところが、20〜22年の3年間はCOVID-19パンデミックによる打撃を受けたにも関わらず、感染拡大の早期抑制と生産活動の早期回復によって、中国の対外貿易全体も日中貿易も逆に拡大した。コロナが終息した23年は、日中貿易が一層拡大すると期待されていたが、不動産セクターの債務危機・不振が波及した中国経済の減速、米中対立の継続とハイテク製品の対中貿易規制の強化、福島第一原発の処理水の海洋排出後の中国税関による日本産水産物の輸入禁止措置の実施などの国内外の要因が、日中貿易の伸びを抑制し、日本の国際物流に様々な影響を与えている。 /// 続きは本誌ご参照
日中間の貿易におけるリスクマネジメント14
能瀬徹  上海華鐘投資コンサルティング有限会社総経理
中国は世界最大の貿易大国であり、世界193カ国のうち実に128カ国が中国を最大貿易相手国としている。特に米中の貿易額は世界最大規模(2022年度6,906億ドル)であり、日本企業にとっても、中国向けの製品輸出により中国内市場を開拓することは大きなビジネスチャンスと言えるが、リスクマネジメントのいかんによりその成否は大きく左右されかねない。そのための主要項目として、中国の貨物輸入関連の法規制、代金回収に関する留意事項等について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の輸出管理と関連の諸規制について18
一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)事務局
中国の輸出管理と関連諸規制については、本誌2021年12月号掲載の「米中の経済安全保障関連規制の最新動向」において、米国の諸規制とともにご紹介したが、その後はいよいよ実施段階に移行した。米国の対中規制はさらに強まっているほか、G7諸国もロシア支援、経済的威圧を強める中国に、対話姿勢の一方で警戒を強めている。中国の規制も「国家安全」優位の政策下で尖鋭化し、「データ鎖国」の動きも進むなど、かつてのビジネス環境とは様相が違ってきている。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―日中貿易の現場から:新たな日中協力への進化~松原 圭司 阪和興業株式会社取締役常務執行役員東京厚板・機械部門・全社線材特殊鋼事業・東アジア統轄23
横山達也(聞き手)  日中経済協会調査部部長代理
貿易立国・日本を支える一つの業種に、「商社」がある。俗に「ラーメンからロケットまで」と言われるように取り扱う商品は多岐にわたり、販売や事業を展開するエリアも世界の隅々にまで及ぶ。巨大な日中貿易においても、商社の存在を抜きには語れないのみならず、次々と新しいビジネスモデルを生み出す原動力としての活躍にも目が離せない。本稿では、中国で長年にわたり事業を展開する阪和興業株式会社が取り組む、中国貿易とその進化について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2024年1月号(通巻360号)

スペシャルレポート   2024年中国経済のゆくえ
岐路に立つ中国―2024年の中国経済の展望6
柯隆  公益財団法人東京財団政策研究所主席研究員
コロナ禍が終息したが、中国経済の回復力は予想以上に弱い。習近平政権の三期目が始まったが、経済成長の急減速は習政権にとって政権の安定維持の足かせになっている。2024年、中国経済は一段と減速する可能性がある。李強首相が有効かつ大胆な政策を打ち出せるかが注目されている。 /// 続きは本誌ご参照
政策に翻弄される民営経済―中国経済を左右する民営企業の活力10
月岡直樹  みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主任エコノミスト
中国の民営経済は、政府のその時々の政策方針に翻弄されながらも、旺盛なアニマルスピリッツを原動力に急成長を遂げてきた。だが、コロナ後はその動きの鈍さが目立っている。ITプラットフォーマー規制に象徴される突然の政策転換が民営企業を委縮させているためとも考えられる。そんな中、習近平政権はあらためて民営経済の振興に本腰を入れ始めた。中国経済の先行きは、民営企業がその活力を維持できるかどうかにかかっている。 /// 続きは本誌ご参照
対外経済関係の焦点ー米国とグローバル・サウス14
大橋英夫  専修大学経済学部教授
中国経済が足踏みを続けている。不動産不況や地方債務の破綻リスクといった構造的問題も顕在化している。ゼロコロナ政策にみられるように、中国経済の不振には確かに「政策不況」の一面がある。しかし中国では、その原因は「百年に一度の大変革期」にある国際環境に求められることが多い。中国が国内大循環を主体とする「双循環」戦略を提起しているのも、激変する国際環境に対するその厳しい情勢認識を反映した動きといえよう。 /// 続きは本誌ご参照
低迷続く中国不動産市場の展望―金融危機に至る可能性は低いが、停滞は長期化し、経済の重石に18
三浦祐介  株式会社ニッセイ基礎研究所経済研究部主任研究員
中国で不動産市場の低迷が続いている。政府は不動産政策を緩和しているが、その効果は即効性を欠くことから停滞は長期化しそうだ。正常化した後も、人口減少と過剰在庫により不動産市場は軟化しやすい状態が続くとみられる。経済への影響は、現状では許容可能な範囲内だが、不動産市場がハードランディングすれば深刻なものとなる。他方、金融面では、銀行の不良債権処理余力がまだ十分にあるため、金融収縮に至る可能性は低いとみている。 /// 続きは本誌ご参照
激変する中国のデジタル経済22
西村友作  対外経済貿易大学国際経済研究院教授
「質の高い発展」を目指す中国は、最もイノベーションが生まれているデジタル経済の発展を国家戦略に位置づけ、「数字中国(デジタルチャイナ)」建設を進めている。しかし、デジタル経済の発展を担う民間企業に目を向けると、これまでのBtoC型のデジタルビジネスは、市場の成熟化、政府の規制強化を背景に、イノベーションが生まれにくい状況に陥っている。一方、最近では、BtoB、製造業分野を中心に資金も集まり、ユニコーン企業の顔触れにも変化がみられる。 /// 続きは本誌ご参照
新エネルギー車産業の発展と関連の政策動向26
平槇早彌佳  日中経済協会調査部
中国の新エネルギー車の動向は世界各国から注目を浴びている。2009年の「自動車産業調整および振興政策」にてその成長の方向性を打ち出して以降、23年の統計では、中国経済全体の成長が鈍化している中でも、1〜11月の累計の生産・販売台数は前年同期比でそれぞれ34・5%、36・7%増となるなど、高い成長を続けている。本稿では、これまで打ち出された中国の新エネルギー車に関する政策を振り返るとともに、23年に入り新たに発表された関連政策を改めて整理し、今後の産業の発展に向けた方向性を導きだしたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年12月号(通巻359号)

スペシャルレポート   中国消費トレンドの現在「美・食・住・娯」
中国の最新消費動向から読み解く生活者欲求の変化―消費者心理と状況の変化2
王雲鵬  博報堂生活綜研(上海)首席研究員
刻一刻と変貌する中国市場。2023年は「経済減速・不安定な国際情勢・コロナ」という3つの要因の大きな影響により、市場は大きな転換点を迎えている。これまでの常識は通用しなくなり、90後(90年代生まれ)、00後(00年代生まれ)の若者を中心に新たな消費トレンドが芽生えている。中国の消費はどこに向かうのか、そしてそれを牽引する生活者の欲求とは何か、博報堂生活綜研(上海)は4つのキーワードとともに、アフターコロナ時代の消費を読み解いてみた。 /// 続きは本誌ご参照
世界から注目される中国美容市場の活況―中国国産品から日系まで熾烈な戦い6
臼井杏奈  フリーランス美容記者
化粧品業界の中で、中国市場の存在は年々大きくなっている。iiMediaResearch(艾媒咨詢)のレポート「2022-2023年中国化粧品行業発展与用戸洞察研究報告」によると、中国の化粧品市場規模は2022年に4858億元(約9兆7160億円)に達し、23年には5000億元(約10兆円)を突破すると予測される。2兆3700億円規模(22年)の日本市場の4倍強だ。中国化粧品市場の15〜23年の年平均成長率(CAGR)は5.8%で推移しており、今後さらなる市場の成長が見込まれる。 /// 続きは本誌ご参照
2023中国食事情〜コロナ前後で中国の食は変わったか?10
山田智子  日中経済協会北京事務所副所長農林水産・食品室長
食材もメニューも日本よりはるかに多様な国、中国。食材の製造、保存等の技術が向上し、調理も精緻化し、デジタル技術を活用したオンラインでの出前サービスや口コミサイトの定着によって、消費者の好みや経済力、生活スタイルに合った食へのアクセス、さらには「悦自」や「性価比」といった価値観の追求も可能になっている。今、中国の食はどうなっているのか。飲食業と食卓、そして人々の考え方を通して中国の食を俯瞰する。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―中国に日本の雑貨文化をコロナ禍で中国進出を果たしたロフトの中国戦略とは:庄野桂一郎 株式会社ロフト取締役執行役員・海外事業部部長、ロフト商業管理(上海)有限公司董事・総経理14
蝦名康平(聞き手)  日中経済協会調査部
不景気な話も飛び交う中国経済。それを支える要素の一つである民間消費も、冷えこんだ状況が続いているが、日常の生活環境を整える消費は決して欠かすことができない。そして、経済的発展や時代の潮流の中で、消費は個性化や自己欲求を満たすことが目的となるなど本質的に多様化している。株式会社ロフトは、長年にわたり若者をターゲットとして、雑貨品のバラエティを日本に供給してきた。ロフトの視線は海外にも向かい、2020年には海外初となる直営店を上海市に開業し、現在では中国国内に4店舗を展開。ここでは、株式会社ロフト・取締役執行役員であり、上海現地法人の董事・総経理である庄野桂一郎氏へ、ロフトの中国戦略などについて話を伺った。 /// 続きは本誌ご参照
中国の観光・レジャー産業の発展状況と課題18
郭倩  北海商科大学観光産業学科講師
中国ではかつて「ブルジョワ的ライフスタイルである」という「左派的」批判から、旅行や観光はタブーとされた時期があった。改革・開放以降、観光革命が国内外で起き、2015年の訪日中国人による「爆買」の盛況はまだ記憶に新しい。そして、コロナ禍において、三密回避や移動制限によって、アウトドア観光が大きく発展した。気付けば23年も残りわずかとなったが、アフターコロナ時代の中国の観光・レジャーの発展状況はどうなったのか、新たなトレンドを含めて紹介していきたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年11月号(通巻358号)

スペシャルレポート   いまを生きる中国の若者たち
「10の流行語」で読み解くイマドキの中国の若者2
近藤大介  ジャーナリスト、「現代ビジネス」編集次長、明治大学国際日本学部講師
10年前、中国の若者たちは「生気勃々」としていた。だがスマホ文化の普及や経済の悪化などに伴って、いまや日本の若者によく似た「草食系」、「悟り世代」が勃興している。いや、日本以上に「進化」を遂げている。中国の若者たちに、いま何が起こっているのか?「10の流行語」から読み解いた。 /// 続きは本誌ご参照
大学生の人材価値低下、勉強嫌いでも「大学院」目指す中国人5
浦上早苗  記者・翻訳者・編集者、法政大学IM(イノベーションマネジメント)研究科兼任教員
中国の高等教育機関(大学、短大、大学院)の卒業生は2022年に初めて1000万人を突破し、過去最高の1076万人に達した。その数は2000年の10倍に上る。大学生の人材としての価値が低下している上、経済の減速で企業は経験のない若手の採用を絞っている。結果、中国の学生たちの間では、学歴に箔をつけ、社会に出るまでの時間稼ぎにもなる大学院進学がスタンダードになりつつある。 /// 続きは本誌ご参照
中国Z世代の消費行動8
員要鋒  帝京大学経済学部准教授
Z世代(ジェネレーションZ)とは、一般的におおむね1990年代終盤から2010年代序盤までに生まれた世代と定義される。世界銀行のデータによると、1995~2010年に生まれたZ世代の人口割合は、世界人口の3割強とされる。一人っ子政策等の影響で中国はやや少ないものの、人口の約2割弱で約2億7000万人とされている。しかし、少子化が急速に進んでいる中国は、22年に年間出生人口が1000万人を下回り、ついに人口減少時代に入った。Z世代の人口は、これまでにないスピードで減少すると予測される。 /// 続きは本誌ご参照
日中青少年交流の現状と今後について12
磯尚太郎  一般財団法人日本アジア共同体文化協力機構
アジアの国々が虚しい憎悪や対立のために磨り減ることなく、むしろ彩り豊かなお互いの文化を取り入れつつ、賑やかで平和な発展を楽しむためには、盛んな文化交流を行うことが一番である。ポップカルチャー、サブカルチャー、伝統芸能、企業文化、何にせよ相手の文化に直に触れ、深く理解し、愛する人が増えていけば、それはただ自らの文化を潤すのみならず、この世界を豊かで平和な土地にすることにもつながる。そうした考えのもと、2019年に一般財団法人日本アジア共同体文化協力機構(略称:JACCCO/ジャッコ)が設立された。JACCCOは、日本とアジアとの境界を行き来して文化を伝えあいたいと思う人同士が出会い、情報を交換し、実行に移すためのプラットフォームになることを目指している。そのために設立以来、アジアの国々、とりわけ中国との交流を望む日本の団体や個人に、様々な手助けや橋渡しを行ってきた。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年10月号(通巻357号)

スペシャルレポート   日中経済の新機軸
日中経済協力最前線―新たな相互補完関係の構築に向けて6
宮奥俊介  日中経済協会調査部主査
日中は国交正常化50周年に続き、2023年は友好条約締結45周年というまた新たな節目を迎えた。日系企業が中国ビジネスを展開する上で直面する課題、半導体など先端技術を巡る安全保障法制における対立、そして新たに原発処理水放出に対する中国の反発など両国にはいまだ様々な問題が存在している。しかしビザ発給要件の緩和や団体旅行の再開など途絶えていた往来が徐々に回復し、ようやく膝を突き合わせての交流も本格化しつつある。G7広島サミットを経てデリスキングという新たな対中戦略を模索し始めた日本、三期目を本格的に始動した習近平政権の舵取りに注目が集まる中国。日中両国は今後どのような相互補完関係を構築していけるのか。本レポートでは、各分野で芽生えつつある新たな協力の方向性や可能性に迫り、その最前線を追った。 /// 続きは本誌ご参照
日中省エネ・環境協力の現在地とGXの潜在性8
十川美香  日中経済協会上席参与
約10年前に激甚な大気汚染に見舞われた中国では、10年を経ずして大気環境は相当改善した。そうした中国の省エネ・環境分野の重点課題の推移と課題解決に貢献した日中協力の足跡を振り返りつつ、最近の環境汚染対策と気候変動対応について、EUや米国との同分野の交流・協力動向にも照らして日中協力の現在地を確認し、GXなどを念頭に協力の新機軸を模索する。 /// 続きは本誌ご参照
中国で芽吹き始めた日本の食12
山田智子  日中経済協会北京事務所農林水産・食品室長
中国の大都市では、「日本風」を意味する「日式」の文字を掲げた飲食店を目にする。スーパーの陳列棚には「京都風」や「北海道風」の文字が至るところにある。パステルカラーに柔らかいフォントを用いた「梅酒」のラベルを見て、日本企業の商品だと誤解する人もいるだろう。明らかに日本的なものも、どことなく日本らしいものも中国人にとって身近になった今、自分らしい生き方・働き方を実現する手段として日本の食を選ぶ中国人がいる。彼らを通して、日本の食がどのように中国に根を下ろし、また芽吹きつつあるのか紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
日中文化産業協力に向けた可能性―産文融合は可能か?16
髙見澤学  日中経済協会理事・調査部長
大きな転換期にある日中経済関係だが、両国の経済協力の在り方も新たな方向性を求める段階に来ている。新規分野の開拓や斬新なビジネスモデルの構築など、従来の常識にとらわれない発想の転換が必要である。そこで日中経済協力の新規分野として注目されるのが日中文化産業協力である。文化活動の産業化や文化産業のデジタル化など、新たなビジネスモデルの構築においても日中協力の可能性は広がりつつある。 /// 続きは本誌ご参照
日中高齢化産業協力の課題と展望20
呉冬梅  独立行政法人日本貿易振興機構大連事務所市場開拓部部長
中国は2021年に高齢社会に突入し、今後も高齢化が急速に進む見込みだ。中央政府は高齢化に積極的に対応する方針を明確化し、政策・産業の整備に取り組んでいる。民間・国有・外資企業の参入が活発化し、競争は過熱しているが、苦戦している企業も少なくない。介護保険制度が整備されていない中、高齢者やその家族の介護サービス料の支払能力が市場開拓の大きな壁になっているなど、課題は多い。本稿では介護サービスに焦点を置き、中国の課題と展望を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年9月号(通巻356号)

スペシャルレポート   存在感を増す中国の対外戦略
中国の対米政治・経済戦略を考える―主戦場の半導体を中心に6
細川昌彦  明星大学経営学部教授
米中関係は相互の作用と反作用が繰り返され展開される。その主戦場は半導体で、米中の半導体を巡る熾烈な戦いはますます激化している。中国にとってアキレス腱が半導体であるだけに、対米交渉上重視するのが米国による規制だ。米国を“揺さぶる”ために対抗策を繰り出している。また外資からの技術入手による国産化戦略を加速させ、汎用の半導体ではしたたかな戦略を展開する。こうした中に長期化する米中対立の本質を見ることができる。 /// 続きは本誌ご参照
米中対立下の中国対外戦略を読み解く10
唐亮  早稲田大学政治経済学部教授
中国外交は米中対立への対応を中心に目まぐるしい動きを展開している。本稿では、中国外交は何を目指し、米中関係をどう位置付けているのか、米国の対中外交戦略はなぜ「関与」から「抑止」へと転換したのか、中国は重層的な「対中包囲網」に対しいかなる対策を採ろうとしているのか、台湾統一戦略のポイントはどこにあるのかを分析する。 /// 続きは本誌ご参照
貿易、投資から見る中国の対外経済展望14
佐々木悠子  日中経済協会調査部・総務部主任
2022年、中国の貿易総額は史上最高額を記録し、6年連続で世界最大の貿易国となった。しかし、23年上半期の貿易額は、対前年比で輸出・輸入ともに減少し、下半期の動向にも注目が集まっている。また、中国の対外経済政策の中で、中国の外資利用や対外投資も国内経済に大きく影響してくることから、中国経済をウォッチする上でも欠かせない。本稿では、中国の貿易および投資の現状ならびに政策を確認し、23年下半期以降の展望を考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の対外物流―海と陸からのアプローチ18
町田一兵  明治大学商学部教授
「一帯一路」による中国の対外物流へのアプローチが大きく変わろうとしている。海ではこれまで海外港湾の運営権の取得件数が急減し、代わりにアジア地域やASEAN、日韓、ロシアとの間の新規海上航路を増やす動きがみられた。陸においては、中国とCIS諸国、ASEANとの間の鉄道の整備拡張、コロナ禍後の道路貨物輸送の急回復がみられた。本稿では、国際貿易の変化に合わせて進展している周辺国を中心とした物流インフラの接続の強化、物流ルートの多様化について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国におけるデータ越境移転の法規制と実施の現状22
安翊青/張駿  上海里格(リーグ)法律事務所首席パートナー弁護士/同シニアパートナー弁護士
中国では、2020年3月に「より完全な要素市場化配置体制の構築に関する意見」注1により、データを一種の新型生産要素と定義したことで、データの重要性は土地、労働力、資本、技術要素と並ぶようになった。また、ここ数年、「サイバーセキュリティ法」、「データセキュリティ法」、「個人情報保護法」が相次ぎ中国で施行され、中国のデータ分野の「三つの馬車」を構成し、中国データコンプライアンスの法律体系を構築した。前記法規制のもと、データおよび個人情報越境移転は日系企業を含む多くの多国籍企業の注目を集め、実務上データ関連法規のキーポイントともなっている。「データ越境安全評価弁法」(国家インターネット情報弁公室令第11号)が施行されてから約一年が経った今、中国におけるデータ越境移転の法規制と実施の現状について振り返ってみる。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年8月号(通巻355号)

スペシャルレポート   中国の挑戦―中国経済の直面する試練と可能性
米中経済対立で板挟みとなった日本ー避けられない日中デカップリング2
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
トランプ政権の時代から始まった米中経済対立は、バイデン政権になってからも続いている。両国とも、それへの対応を経済安全保障上の最優先課題として位置付けており、総合的対策を講じている。一方、日本は米国と同調して、経済安全保障の強化を通じ、中国をけん制しようとしている。その結果、ハイテク分野を中心に米中経済のデカップリングが進んでおり、日中デカップリングも避けられない事態が生じている。 /// 続きは本誌ご参照
中国経済改革の課題―地方と民間の活力をいかに引き出すか6
岡嵜久実子  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
中国経済は2023年に入ると回復基調に転じたが、人々のコンフィデンスは十分に回復していない。金融リスクが解消されていない中では、金融面からの刺激には限界があろう。中国共産党指導部は強い経済刺激策の導入ではなく、質の高い経済成長につながる構造改革の支援に力を入れているようにみえる。政策の効果を高めるためには、地方政府の財政基盤の再建と民間部門の活力強化が重要であろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国のデジタル経済の発展状況と今後の展望10
李智慧  株式会社野村総合研究所未来創発センター戦略企画室エキスパート
着々と整備されたデジタルインフラと豊富なIT人材を支えに、デジタル技術と産業の融合がさらに深化し、中国のデジタル経済は持続的な発展を遂げている。コロナ禍の影響はあるが、11年連続してGDP名目成長率を上回り、中国経済をけん引するエンジンとなっている。一方で、米国の対中ハイテク技術へのデカップリングが一層進み、デジタル産業の発展に影を落としていることは否めない。中国は、5GやAIを始めとした先端技術の産業への応用を加速させ、スマートシティやスマート工場等を本格的に展開し始める。また、AIの発展に欠かせない演算能力等のデジタルインフラのさらなる整備と、技術封じ込め対策としての基礎技術の国産化を通じ、デジタル経済の質的な向上を図ることになる。 /// 続きは本誌ご参照
中国半導体産業および製造装置の現状、米国の政策が及ぼす影響14
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
筆者は、中国産業、特に半導体産業を20年近くウォッチしている研究者である。ここ数年は、中国の半導体産業の発展とそれに伴う米国とのハイテク摩擦を取り上げる機会が多くなった(近藤(2022)等)。本誌でも、この話題を取り上げているが(2022年10月号等)、一向に改善の兆しが見られず、中国の半導体産業の発展が、経済摩擦の問題から経済安全保障の問題へと進展し、さらにロシアによるウクライナへの侵攻から中露が接近し、半導体産業を有していないロシアに対して中国から半導体が輸出されている事実から国家安全保障の問題に進展しつつある。半導体は、経済および国家安全保障上の戦略物資(経済安全保障法では「特定重要物質」)となった。 /// 続きは本誌ご参照
中国市場の変容と可能性に関する考察―新消費・新ブランド・新市場を中心に19
趙瑋琳  株式会社伊藤忠総研産業調査センター主任研究員
14億人の人口を抱える中国はいずれ、「世界の工場」という単なる製造拠点から、「世界の市場」という巨大市場に変貌すると言われて久しいが、それでも依然としてその期待は続いている。一人当たりGDPの増加と消費規模の拡大が続く中、中国市場の変容と可能性を「新消費・新ブランド・新市場」という3つの切り口から考察したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年7月号(通巻354号)

スペシャルレポート   中国モビリティ2023
スマートモビリティの進展と日中連携4
福永茂和  経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長
世界の自動車産業は、グリーン化とデジタル化の両面から地殻変動ともいうべき大きな転換期を迎えている。とりわけ中国では、世界に先駆けてBEV化が進み、自動運転などのデジタル技術も急速に発展している。HEVで世界をリードしてきた我が国でも、各自動車メーカーによる新型車の投入や政府の支援によりBEVが徐々に存在感を増している。また、自動運転についても、2021年にホンダが世界初となる自動運転レベル3の車両を販売し、23年5月には、福井県永平寺町で日本初のレベル4自動運転移動サービスを開始するなど、官民が取組みを着実に進めてきた。本稿では、我が国のスマートモビリティ、とりわけ自動運転に関する直近の取組みを紹介するとともに、日中両国の強みを活かした形での連携のあり方について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国でのモビリティ展開―本田技研工業のケースから6
伊藤季代子/清水綾  日中経済協会北京事務所副所長/同所長代理
中国の自動車市場において、EVやコネクテッドカーへ向けた動きが加速している。1980年代より中国事業を展開し、日系自動車メーカーとして現地開発、現地生産をいち早く行ってきたホンダ中国の事業の歩みから近年の中国のバッテリーメーカーやソフトウェア企業との協業、さらには今後のモビリティ展開や課題についてレポートする。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―CASE社会への挑戦:劉学亮 ビーワイディージャパン株式会社代表取締役社長、BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理10
髙見澤学/平槇早彌佳(聞き手)  日中経済協会理事・調査部長/同調査部
世界的に自動車のEVシフトが加速する中、2022年に電気自動車販売台数が世界1位となったBYD。中国以外でも海外展開を進めており、日本でも23年1月からEV乗用車の販売を開始するなど、注目が高まっている。日本への進出は20年以上前からであったというビーワイディージャパン株式会社の劉学亮社長へ、日本進出の経緯やモビリティ・CASE社会への挑戦、課題などを踏まえ、今後の事業展開への意気込みを伺った。 /// 続きは本誌ご参照
電動化・知能化・情報化が進む中国のクルマ14
八杉理  株式会社現代文化研究所調査研究本部主任研究員
中国では、クルマの電動化が進行しているだけでなく、知能化も同時に進展している。こうした、ソフトウエア定義の自動車において、ユーザー視点の情報化は、商品化において中国が世界の先頭をいっている。日系自動車メーカーは電動化への「出遅れ」と知能・情報化への「危機感」を顕わにしており、今後のクルマ開発の方向が中国を舞台に変わっていく可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国における最新の自動運転タクシー事情と将来展望18
下山哲平  株式会社ストロボ代表取締役社長、自動運転ラボ発行人
自動車の生産・販売で世界市場をリードする中国。自動車大国として不動の地位を築きつつあるが、近年は新たな顔を見せ始めている。「自動運転大国」だ。テクノロジー企業や自動運転開発スタートアップが次々と台頭し、中国各地の公道で実証実験を進めている。特に自動運転タクシー(ロボタクシー)は開発が盛んで、サービス実装の域に達し始めている。本稿では、同国における自動運転タクシー事情と将来展望について解説していく。 /// 続きは本誌ご参照
2023年中国のICV標準制定の進展と国際標準との調和22
王兆/孫航/李雨冉  中国汽車技術研究中心有限公司首席専門家、中国汽車標準化研究院院長/同院智能網聯部部長/同院智能網聯部工程師
IoV(車聯網)産業は、自動車、電子、情報通信および道路交通・運輸などが深く融合し合っている新産業として、グローバルなイノベーションのホットイッシューであり世界経済の持続的な成長を促進する重要なエンジンでもある。中国は、インテリジェント・コネクティッド・ビークル(ICV)の発展段階の新たなニーズに適応し、標準の牽引・規範機能を十分に発揮させるため、新たな発展段階に向かうICV標準の制定や改正作業を行ってきた。本稿では、中国の新段階のICVに係る管理政策の分析、ICV標準の制定および国際標準・法規との調和の現状紹介を行い、標準制定計画に基づく今後の中国のICV標準制定の趨勢について述べたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国路車クラウド一体化ICV発展の現状と将来展望26
李克強/公維潔/李暁龍/杜煜/鍾薇  中国工程院院士、清華大学教授/中国汽車工程学会副秘書長/中国汽車工程学会智能網聯汽車産業研究部部長/中国汽車工程学会智能網聯汽車産業研究部高級研究員/国家智能網聯汽車創新中心雲控平台部部長
車単体のスマート化の限界に対し、世界各国はスマート化とコネクティッド化の融合発展への共通認識を次第に醸成しており、中国では路車クラウド一体化ICVの発展を明確に提起した。本稿は、路車クラウド一体化ICVの理念と特性を解説し、車のスマート化、道路インフラ、C-V2X(Cellular V2X)、クラウド制御プラットフォーム、高精度地図プラットフォームなどの分野での中国路車クラウド一体化ICVの現状を紹介するとともに、発展の将来展望について提言する。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年6月号(通巻353号)

スペシャルレポート   言葉で読み解く中国経済
「国進民退」から見える社会主義市場経済6
髙見澤学  日中経済協会理事・調査部長
習近平政権3期目がスタートした。新たな指導体制の下でどのような経済運営がなされるのか、中国ビジネスに携わる者としては今後の中国の経済政策に対する関心は従来にも増して高い。今回のスペシャルレポートでは、「国進民退」、「共同富裕」、「以工代賑」、「双創(大衆創業、万衆創新)」、「双循環」の5つのキーワードから中国経済の現状を紐解くとともに、今後の中国経済の行方を占ってみたい。 /// 続きは本誌ご参照
「共同富裕」からみる格差問題10
三浦有史  株式会社日本総合研究所上席主任研究員
習近平総書記は、2021年7月の中国共産党創立100周年祝賀記念式典で、ややゆとりのある社会を意味する「小康社会」の達成を宣言した。次の目標は、国民皆が豊かさを実感できる社会を意味する「共同富裕」の実現である。同総書記は、22年10月の第20回中国共産党大会と23年3月の全国人民代表大会(全人代)を経て、「一強体制」を確かなものにした。中国は共同富裕に向け前進しているのであろうか。 /// 続きは本誌ご参照
「以工代賑」を通じた雇用創出と貧困削減14
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
中国の雇用情勢が厳しさを増す中、「以工代賑」はメディアから注目を集めている。しかし、それはその雇用創出効果の有無や多寡とはあまり関係せず、大学等の新卒者や農民工の就職難の軽減にほとんど役立たない。本稿では、まず以工代賑政策の理念と大枠を解説し、中国伝統文化との関連性を指摘する。続いて新中国成立後の以工代賑政策を概観し、近年の実績を考察しつつ評価を加える。最後に以工代賑政策の可能性と限界を検討する。 /// 続きは本誌ご参照
「双創(大衆創業、万衆創新)」とスタートアップの栄枯盛衰18
高口康太  ジャーナリスト
改革開放の「申し子」とも言える中国のデジタル経済。海外からの帰国組による技術開発と逸早い実用化により、瞬く間に中国全土がデジタルで覆われた。この原動力となったのが、若い起業家の新鮮な発想と旺盛なチャレンジ精神である。伝統産業の発展が行き詰まりを見せる中で、中国政府は「双創」政策を打ち出し、イノベーションとスタートアップを支援してきた。その一方、近年では巨大化するスタートアップへの警戒も怠ってはいない。 /// 続きは本誌ご参照
「双循環」が目指すサプライチェーンの再構築22
萩原陽子  株式会社三菱UFJ銀行経済調査室調査役
習近平政権は2020年に新たな発展モデルとして、「国内大循環」を主体としつつ「国内・国際循環」を相互に促進する「双循環」戦略を打ち出した。背景には米中対立の激化に伴うサプライチェーン分断への懸念があるため、サプライチェーンの海外依存度低下が重視され、その主眼として多様なイノベーション強化策が展開されている。ただし、米国の規制に対抗する半導体国産化、ネット規制強化で萎縮した民間企業のイノベーションへの意欲喚起など課題は大きい。双循環戦略の成否は中国経済の中長期的発展の鍵を握るだけにその行方が注目される。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年5月号(通巻352号)

スペシャルレポート   第3期習近平政権ー新たな挑戦
集権を選択した中国とどう向き合うか2
加茂具樹  慶應義塾大学総合政策学部長、教授
中国指導部は、2022年10月の第20回中国共産党全国代表大会(党大会)で、改革開放という路線からの転換を宣言した。これまで中国外交の目的は、改革開放への貢献、すなわち経済発展に貢献する国際環境を整えることだと理解されてきた。それゆえに、国際社会は指導部が党大会で示したシグナルに懸念を抱いている。23年3月に開催された第14期全国人民代表大会(全人代)は、指導部の意図を再確認する機会であった。本稿は、第20回党大会と第14期全人代の分析を通じて、指導部が示した改革開放路線からの転換とは何か、なぜ転換するのか、そして転換する中国とどう向き合うのかを考える。 /// 続きは本誌ご参照
中国経済の成長回復のカギは民間と地方にある6
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
2022年の経済成長率が3%という不本意な結果に終わったため、中国は経済成長を回復させることに強い意気込みを示している。そのカギは民間企業の投資意欲を回復させることと、地方の債務危機を防ぐことにある。地方の債務危機を避けるには、逆説的であるが、成長の潜在力を有する地域がその可能性を存分に実現することが必要である。 /// 続きは本誌ご参照
ゼロコロナ政策下の中国財政運営の動向と今後の課題―持続的な財政制度の構築に向けて10
関根栄一  株式会社野村資本市場研究所北京首席代表
過去3年間のゼロコロナ政策、特に2020年の新型コロナウイルス感染症の流行と22年の社会面ゼロ政策(社会面清零)の影響を受け、中国の財政運営は景気対策のための財政赤字の拡大と臨時的な財源確保に追われてきた。22年12月よりゼロコロナ政策が終了し、経済再開(リオープン)が進む中で、少子高齢化の進展に伴う年金財政や、第20回党大会の政治報告に盛り込まれた現代的予算制度の確立に向け、持続可能な財政制度の構築が今まで以上に重要になってきている。 /// 続きは本誌ご参照
明確となった人口減と今後の社会保障制度改革15
片山ゆき  株式会社ニッセイ基礎研究所保険研究部主任研究員、千葉大学客員准教授
中国の総人口は2022年に61年ぶりに減少し、人口減少社会の到来が現実味を帯びている。少子化・高齢化の進展に加えて、寿命が延びることによる長生きリスク(長寿リスク)も出現。経済成長の鈍化、財政の赤字化が進み、生産年齢人口が減少する中で、社会保障制度をどう持続させていくのかが大きな課題となっている。全人代での李克強前国務院総理の政府活動報告、さらには23年に向けた提言は簡素なものにとどまり、そこから社会保障制度が抱える問題の深刻度合をうかがうことは難しい。しかし、急速な少子高齢化を前に残された時間はあまりにも少なく、山積した課題はあまりにも多い。新たに国務院を率いる李強総理が改革を経てどのような役割を果たすことができるのかが重要となる。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年4月号(通巻351号)

スペシャルレポート   第16回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議:脱炭素とエネルギー安定供給確保の両立に向けた日中協力2
日中経済協会
2023年2月11日、日中経済協会は、経済産業省、国家発展改革委員会、商務部との共催で「第16回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。新型コロナウイルス感染症による影響が続き、3回連続で日本会場と中国会場をオンラインでつなぐ形式となった。日本会場では西村康稔経済産業大臣、宗岡正二日中経済協会会長、保坂伸資源エネルギー庁長官、中国会場では何立峰国家発展改革委員会主任、李飛商務部部長助理、趙辰昕国家発展改革委員会副主任がそれぞれ出席したほか、オンライン形式を含めて日中合計で約870人の官民関係者が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー効率の向上(省エネ)分科会:日中脱炭素協力の具体化に向けて7
澤津直也  日中経済協会業務部
「エネルギー効率の向上(省エネ)分科会」は、これまでの本フォーラム全16回全てで開催されてきた。今回も日中の参加者は合計で約250人(オンライン視聴を含む)に及ぶ高い関心が示される中、内容も充実し、政府間による政策交流と企業間の技術交流の両面で行われ、両国が打ち出すカーボン・ニュートラル社会に向けた日中協力の具体化に向けた意見が交換された。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会:カーボンニュートラルに向けた自動車産業の転換期8
平槇早彌佳  日中経済協会業務部
自動車関連の分科会は、2006年の第1回フォーラムから毎年開催し、今回で16回目となる。電動化・スマート化は第12回から続くテーマで、今回は日中の自動車産業動向をはじめ、カーボンニュートラルに向けた動き、自動運転などの分野にフォーカスした形で、両国政府のほか、企業、業界団体など計8人が講演をした。 /// 続きは本誌ご参照
水素分科会:水素の製造から活用まで全過程での日中最新動向9
蝦名康平  日中経済協会調査部
本分科会では、ダブルカーボンを念頭に置き、日中両国の水素に関する行政および民間企業の取り組みを紹介するとともに、共通課題の解決に向けた発表・意見交換を日中それぞれ5社・団体が行った。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易(水環境対応と汚泥処理)分科会:脱炭素社会への水ビジネス探求10
十川美香  日中長期貿易協議委員会
本分科会は、日中の「長期貿易協議委員会」の省エネ等部会・分会が第1回フォーラムから様々なテーマのもとで定期交流を行ってきた。今回は、継続交流している水・汚泥処理分野で、フォーラムの全体テーマ「脱炭素とエネルギー安定供給確保の両立に向けた日中協力」をも念頭に、ビジネス探求の機会を提供した。 /// 続きは本誌ご参照
新規調印プロジェクトフォローアップ調査結果11
山田平  日中経済協会業務部
「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」では第1回から第15回までに累計413件のプロジェクトが披露されており、日中経済協会ではこれらの現状把握やさらなるプロジェクト発掘に向けたフォローアップ調査を毎年実施 /// 続きは本誌ご参照
中国「3060目標」達成に向けた取り組みと展望14
染野憲治  早稲田大学現代中国研究所招聘研究員
現在、中国は2030年前に二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年前にカーボンニュートラルを実現させるとの目標(「3060目標」)に向けて様々な関係者が取り組みを進めている。本稿では時系列的に中国の取り組みを紹介し、今後の展望を述べる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の水素に関する政策・産業の最新動向18
王婷  株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャー
中国では、水素産業が太陽光とEVに続いて、中国が世界をリードする成長産業になるだろうといわれている。水素産業はまだスタートしたばかりであり、多くの技術が実証段階にあるため、そのように評価できるか否かの判断は時期尚早ではあるものの、政策・企業・資金が三位一体で大規模に動いていることは、太陽光やEV市場が始動した当時と似ていると言えるだろう。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年3月号(通巻350号)

スペシャルレポート   中国的余暇の過ごし方
経済成長がもたらすゆとり多様化する趣味・嗜好とビジネスチャンス6
横山達也  日中経済協会調査部次長
あなたの趣味は、何ですか。この問い掛けは、日本語に限らず、英語でも中国語でも、他の多くの言語でもほぼ同じように通じる。どの国でも、どの民族でも同じ意味の言葉が存在するということだ。仕事や家事から解き放たれて、趣味に時間を費やすということは、その時間を支える経済的・精神的なゆとりが必要となる。いま中国では、改革開放以後の急激な経済成長を経て、趣味を楽しむ時間(余暇)を持つ人々が増えている。そこには、新たなビジネスチャンスや、交流の可能性が秘められている。本稿および今回のスペシャルレポートでは、中国の人々の暮らしの変化に基づく余暇の過ごし方に焦点を当て、興隆する趣味の一端を紹介するとともに、一方では、その余裕を持てない厳しい現実に直面する若者たちの声にも耳を傾けたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国のワークライフバランスの変化と現状―時間配分に劇的変化10
李雪連  丸紅経済研究所シニア・アナリスト
中国人の時間の使い方は、10年前と比べて驚くほど大きく変わり、ワークライフバランスが劇的に改善した。急ピッチで導入された地下鉄による通勤時間の大幅な短縮や、有給休暇や育児休暇の推進・強化といった政府の多様な措置がその背景にある。中国人の生活が豊かになり、働き方も変わり、自身のために費やす時間が増えるなど、高度成長期の「働きバチ」一辺倒の雰囲気とは異なる経済的・精神的なゆとりが生じている。これは今後、中国市場を開拓する際に押さえるべき最大のポイントと言える。 /// 続きは本誌ご参照
大失業時代の中国 若者が直面する過酷な労働環境14
姫田小夏  フリージャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰
中国では景気の後退や突然の政策変更などにより、若者が仕事を失うといった不安定な時期が続いていた。加えてゼロコロナ政策の封鎖措置が企業の倒産を増やし、2022年末の政策終了ではゼロコロナ産業を支えてきた層が職を失うなど、中国の若者はこれまでにない苦境に立たされている。こうした“大失業時代”のもとで、学歴偏重がさらに進む一方、脱落する若者の間では「諦めムード」が高まる。中国の若者が直面する過酷な労働環境を追った。 /// 続きは本誌ご参照
中国で見たプラモデル群雄割拠の時代18
佐藤南美  月刊「アーマーモデリング」編集部副編集長
日本の模型・プラモデルは、長年にわたり多くの人々に愛されてきた趣味であり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による巣ごもり需要でその楽しさが見直され、再びブームを迎えている。今では生産が追い付かないメーカーもあるほどだ。一方、中国でもプラモデルやフィギュアペイントなどの「模型趣味」が近年、急速に盛り上がりを見せ、日本の人気と同様の活況を呈している。本稿では、筆者が戦車模型の専門誌である『月刊アーマーモデリング』の副編集長として各地で取材した経験を踏まえ、人気の余暇の一つに成長した中国プラモデル事情を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国のアウトドアブームコロナ禍が人気を後押しライフスタイルとして定着22
岩下祐一  繊維ニュース上海支局支局長
中国でこの数年、アウトドアが盛り上がっている。キャンプを気軽に楽しむ「グランピング」がブームとなり、おしゃれなキャンプ用品やアウトドア風ファッションの国内外ブランドが存在感を示す。テレビのバラエティー番組がキャンプを取り上げ、自動車メーカーがアウトドアをテーマにCMを打ち出すなど、アウトドアのイメージもアップしている。中国では新しいレジャーだが、若者やファミリー層の間では、既にライフスタイルとして定着しつつある。 /// 続きは本誌ご参照
最近の中国人若者のレジャー―外へ行こう26
安琦  元日中経済協会北京事務所職員
中国では、新型コロナウイルス感染症対策として、ゼロコロナ政策が長期間にわたり実施された。外出などが厳しく制限される中で、現地の若者たちはどのように過ごしたのか。厳しい現実と向き合いつつも、手探りで日々のゆとりを求めたZ世代の声を聞いた。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年2月号(通巻349号)

スペシャルレポート   第14次五カ年計画の現在地
三期目の習近平政権の政策課題と第14次五カ年計画の進捗6
柯隆  東京財団政策研究所主席研究員
習近平政権は三期目に突入したが、政権にとって強い向かい風が吹き荒れている。中国国家統計局が発表した2022年の経済成長率は3%と政府が掲げた経済成長目標の5.5%前後を大きく下回った。しかも、コロナ禍などの影響により中国の総人口は減少に転じた。全人代で採択された21〜25年の第14次五カ年計画にとってコロナ禍は予想外の出来事だった。中国経済は減速し、サプライチェーンも寸断されていた。対外的に米中対立は激化し、中国は海外から先端技術と設備を調達できなくなった。このままいくと、第14次五カ年計画の目標は達成できなくなる可能性が高い。 /// 続きは本誌ご参照
14・5計画、デジタルエコノミーとイノベーション10
岡野寿彦  株式会社NTTデータ経営研究所シニアスペシャリスト
中国政府はデジタル化を持続的発展のエンジンとして位置付け、その「量から質」への転換を進めている。14・5計画のデジタル化政策のうち、インフラ建設、行政サービスの電子化、公共データのオープン化とセキュリティ、ガバナンス強化など基盤と制度の整備は着実に進捗している。政策の中核である「デジタル技術と伝統的産業との融合」は難易度の高い課題となっているが、先進製造・IT企業によりプラットフォーム・モデルによるDXが実践されており、今後のデジタルエコノミーを展望するうえで注目したい。 /// 続きは本誌ご参照
14・5計画物流のいま14
伊藤季代子  日中経済協会北京事務所副所長
中国の物流分野は改革開放から約40年の間、とりわけ中国がWTOに加盟して以降、急速な発展を遂げてきた。その発展には、拡大する経済によるけん引と共に、国家が打ち出した政策が果たした役割は大きい。本稿ではこれまでの発展状況を踏まえた上で、2021年から始まった「第14次五カ年計画」の下に発表された物流分野に関する主たる計画内容の整理を通じて、中国物流の現状と課題ならびに今後の発展の方向性について考察する。また併せて日系物流企業が抱える課題と取り組みをケーススタディとして紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
14・5計画期の省エネ・環境政策動向中間分析―カーボンピークアウト対策を中心に18
佐々木悠子  日中経済協会総務部・調査部主任
習近平国家主席は、第14次五カ年計画の発表に先立ち、2020年9月の国連総会で「二酸化炭素排出量を2030年までにピークアウトさせ、60年までにカーボンニュートラルを実現することを目指す」と表明した。その後発表された「第14次五カ年計画および2035年長期目標要綱」でも生態系の質と安定性の向上、環境の質の持続的改善、発展方式のグリーン転換の加速化を掲げるなど、地球規模での環境改善を視野に、これまで以上に省エネルギーと環境対策に取り組む姿勢を見せた。本稿では、第14次五カ年計画の工業、建設業、交通・運輸業に関する省エネ・環境分野の目標と二酸化炭素排出量の現状について考察していく。 /// 続きは本誌ご参照

  2023年1月号(通巻348号)

スペシャルレポート   岐路に立つ中国経済
数字から見る中国経済展望6
三尾幸吉郎  株式会社ニッセイ基礎研究所経済研究部上席研究員
2022年の経済成長率は目標とする「5.5%前後」を下回り3%台にとどまる見込みだ。一方、消費者物価指数は抑制目標とする「3%前後」を下回る水準で安定していた。今後の注目点は、新たにスタートを切る指導部が23年春開催の全人代で、どのような財政・金融・ゼロコロナ政策方針を打ち出すのか。党大会前は安全第一となり消費・民間投資とも不振だっただけに、党大会明けの23年は消費・民間投資が勢いを取り戻す年になると見ている。 /// 続きは本誌ご参照
中国エネルギー展望―優先課題は安全保障と転換10
髙見澤学  日中経済協会理事・調査部長
経済を展望する上で、エネルギー動向を抜きにして推し測ることはできない。これまでの中国の高度経済成長を支えてきた柱の一つにエネルギー産業の発展があり、エネルギー消費が経済成長を後押ししてきた。経済のグローバル化が進み、エネルギー問題はもはや中国一国だけで解決し得るものではなくなっている。昨今の国際情勢の激変や地球環境問題の高揚も絡み、エネルギーをめぐる情勢がより複雑化する中で、エネルギー安全保障とエネルギー転換が世界的な課題となっている。中国も例外ではない。 /// 続きは本誌ご参照
中国不動産市場の現状と今後14
川崎保彦  一般財団法人日本不動産研究所国際部主席専門役
これまで中国経済を支える重要な要素の一つとなってきた不動産市場。2021年後半からの恒大集団の債務問題をきっかけに、日本でも大いに関心が高まっている。最近の中国政府による不動産政策と市場の動向から、今後の不動産市場を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の経済発展と国際貿易・物流センターとしての香港の役割と重要性18
伊東正裕  香港貿易発展局東京事務所長
中国政府が提唱する「双循環」戦略において、香港は「内循環」と「外循環」が交差する重要な物流拠点と位置付けられており、国際海運・空運、貿易センターとしての機能を発揮することが期待されている。本稿では、香港の貿易統計データに依拠して、商品カテゴリーと輸送手段、中国各地との関係を分析、国際サプライチェーンにおける香港の役割と重要性、貿易・物流センターとしての発展方向性について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
ビジネス機能の視点でみる香港経済の構造とドルペッグ制の行方22
吉田常誠  株式会社三菱UFJ銀行香港法人営業部アドバイザリー室長
外国企業にビジネス機能を提供する香港の経済構造は、通常の経済分析では実態を捉えにくい。ビジネス機能の視点から「機能経済」と「ローカル経済」に分類すると、香港の機能経済がいかに大きいかが分かる。昨今その持続性が議論の俎上に上る香港ドルの米ドルペッグ制は、その維持のための仕組みがローカル経済の景気を犠牲にしている面があるのは否めないものの、機能経済を重視する立場からは、引き続き堅持することが得策であると判断される。筆者は、三菱UFJ銀行香港支店にて、日系企業の香港・中国ビジネス支援のため、香港の機能のフル活用に向けた提案を行っている。本稿では、実務家の視点で、香港経済の特徴と構造を分析し、ドルペッグ制の将来の展望をまとめてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の対外経済関係の展望―RCEPが示唆するもの24
大西康雄  国立研究開発法人科学技術振興機構特任フェロー、上海里格法律事務所顧問
世界経済の激動が続く中、中国の経済発展戦略も調整を余儀なくされてきた。「双循環」戦略の提起はそれを象徴している。しかし、そうした中でも、RCEP締結、CPTPP加盟申請などに見られるように、対外開放を堅持する中で発展しようとする基本は変わっていない。本稿では、対外経済政策を中心にその現状を検討し、国内経済との関連についても論じてみたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年12月号(通巻347号)

スペシャルレポート   中国の新時代を支える最新食品ビジネス
世界・中国の食料需給見通しとウクライナ侵攻が食料需給に与える影響―OECD-FAO農業見通し2022-2031より2
小泉達治  農林水産政策研究所国際領域上席主任研究官
中国では、今後の経済成長率がこれまで10年間に比べて低下することが見込まれるとともに、生産性の向上から、トウモロコシや豚肉をはじめ多くの農畜産物の純輸入量が減少する見込みである。世界全体では、今後、食料生産量の増加率が需要量の増加率を上回ることにより、多くの国際食料価格が下落基調で推移する見通しである。ただし、今後の見通しにおいては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等のリスクや不確実性が依然としてある。 /// 続きは本誌ご参照
Eコマースの普及が生鮮食品市場と産地に与えた影響と最新動向6
高橋五郎  愛知大学名誉教授
本稿は次の点に着目した内容となっている。(1)中国で急速に浸透する生鮮食品Eコマースの現状、(2)それが生鮮食品の政府主導の標準化と官民一体となったブランド化をもたらしていること、(3)そして川上に位置する生鮮食品生産現場、特にその主役である農業現場に、都市近郊大規模会員制農場の発展という成果をもたらしていること、(4)この発展には、新型コロナ禍を経験するなかで激変した生鮮食品サプライチェーンの再興の一つのモデルという側面もあること。 /// 続きは本誌ご参照
日系食品企業による中国進出の今日的展開―開発輸入から中国国内市場参入へのシフトは進んだのか?10
石塚哉史  弘前大学農学生命科学部教授
周知の通り、日系食品企業における中国進出の目的を大別すると、「豊富な低賃金労働力や原料の存在に着目し、日本国内よりも製造コストの大幅な削減を実現し、開発輸入を行う進出」および「日本国内市場における需要停滞を見越し、新規需要獲得のために中国国内市場参入を行う進出」の2点が指摘できる。上述の目的の下、2000年代以前の進出は日本向けの開発輸入を目的とした企業が主流であった。しかしながら、日本国内の少子高齢化や景気動向の停滞等という国内情勢の影響を鑑みて大手の食品企業(上場企業)を中心に中国国内販売の開始という新たな動向が見受けられる。 /// 続きは本誌ご参照
預製菜市場の急速な成長とビジネスチャンス14
蝦名康平  日中経済協会調査部
悠久の歴史を誇る中国文化、その代表的なものとして“食”は欠かせない。食事・食品は外食、デリバリー、インスタント食品、冷凍食品など様々な形態でその悦びを伝えてきた。そして、昨今の需要に合わせて、中国でも例に漏れず急速に浸透しているものに“預製菜”がある。預製菜とは、一般的にインスタント食品や冷凍食品などの加工食品を指す。しかし、実際にはその定義がいまだ定まってはおらず、レンチン物や簡単な調理で作れる半加工食品を指す場合もあれば、即席食品やミールキットまで含む場合もあり、統一的な基準はない。そこで、本稿では、預製菜を冷凍・インスタント・即席食品・ミールキットまでを含めた幅広いものとして取り扱い、その発展とそれに付随する食品安全への取り組み、さらには日本が有する優位性を生かしたビジネスチャンスについて論じてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国酒を日本で売る!インタビュー(1)本物の紹興酒を日本に伝道したい古越龍山(夏良根 古越龍山東京事務所長)17
澤津直也(聞き手)  日中経済協会業務部
私は紹興酒の産地・紹興市の出身ですが、日本の通信社に勤める傍らで、ワイン、日本酒のための有機農業や土壌改良の技術に興味を持ちました。そこで紹興酒も同様に究めたいと、故郷へ戻って米作りを始めました。そこで古越龍山の幹部や様々な酒蔵とも付き合いを深めました。 /// 続きは本誌ご参照
中国酒を日本で売る!インタビュー(2)張裕ワインが挑む日本市場への進出とブランド化戦略(陳才坤 煙台市駐日本経済合作中心首席代表、劉旭傑 東京アサヒグローバル株式会社代表取締役)19
澤津直也/蝦名康平(聞き手)  日中経済協会業務部/同調査部
張裕ワインは1892年の創業、中国ワインの先駆けとして、フランス系技術を導入し、専門家も煙台市に呼んで醸造を始めました。1915年サンフランシスコでのパナマ万国博覧会で獲得した4つの金賞により、中国ワインが初めて国際舞台で認知され、今や44カ国へ輸出するグローバルブランドに成長しました。煙台市としても、このワインをぜひ、日本の消費者に楽しんでいただきたい。そこで本日は都内の張裕ワイン輸入の総代理として奮闘する東京アサヒグローバルの劉旭傑社長をお招きしました。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年11月号(通巻346号)

スペシャルレポート   中国 雇用と賃金を取り巻く最新事情
中国労働市場と雇用対策の最新状況2
箱﨑大  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター主任調査研究員
今春、新型コロナ感染の再拡大に政府はゼロコロナ政策で臨んだ。党大会が半年後に迫る中、失業率は過去最悪レベルに達した。全体の失業率は夏場には落ち着いたが、若年層については大卒者の就職が厳しく独歩高の状況が続く。大手IT企業は貿易戦争以来苦境が続き、経済の牽引役としてプラットフォーム企業の重要性が増す中、党中央と国務院はプラットフォーム経済の「健全な発展の支援」を表明した。若年層の雇用情勢に転機は訪れるのか、支援の具体的措置が待たれる。 /// 続きは本誌ご参照
中国所得格差―実態、原因と対策6
馬欣欣  法政大学経済学部教授
中国政府が市場化の経済改革を推進した結果、経済は急成長してきたが、国内では所得格差が拡大している。中国政府機関の公表データおよびミクロ調査データに基づき、中国での所得格差および中間所得層の実態を把握し、所得格差が生じた合理的、そして不合理的原因を探りつつ、中国政府の最新対策を評価する。 /// 続きは本誌ご参照
中国における賃金関連制度・賃金水準と近年の日系企業動向10
能瀬徹  上海華鐘投資コンサルティング有限会社董事・総経理
1978年の「改革・開放」開始以降の40年余で、中国の名目GDPは240倍に成長した。この経済成長に比例して、沿海部、内陸部を問わず中国での給与水準は一貫して上昇し続けて来ており、都市住民可処分所得は107倍、農村住民の現金所得は103倍になった。中国国家統計局公表のデータによると、中国における全国平均での2021年の可処分所得は、都市住民で4万7412元、農村住民で1万8931元となり、都市と農村の前年比伸び率ではそれぞれ8.1%、7.1%となっている。本稿では、現代中国での賃金水準を可視化すべく、会社が負担する総人件費額のシミュレーションを行い、そのベースとなる中国の賃金関連制度の解説と併せ、近年の日系企業の動向として、人件費高騰とも関連した撤退(会社清算)時の人員整理のポイント・注意点について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
実体験から考える中国コロナ禍の大卒生就職事情とその展望14
加藤嘉一  楽天証券経済研究所客員研究員
2022年、中国の大卒生は過去最多の1067万人を記録した。中国就職事情には、世代性、地域性、時代性という3大特徴が見出せるが、それにコロナ禍が加わり、労働市場は混とんとしている。16~24歳の失業率は20%弱で高止まりしており、「新卒」に重点を置かない独自のミスマッチ構造が作用している。問題解決の一つの手掛かりは非大卒生のパイを大きくしていくことであり、それはハイテク製造業を掲げる中国の国家戦略にも符合する。 /// 続きは本誌ご参照
在中国日系企業の報酬の現状、課題、施策18
畑伴子  可馳企業管理諮詢(上海)有限公司総経理
2020年年初からの新型コロナウイルスの感染拡大への対処により、20年のGDP成長率は2.3%という低水準となったが、その反動もあり21年は8.1%という高い数値をたたき出した。同年の主要都市の社会平均賃金の上昇率は7.4%(広州)〜14.3%(杭州)で、GDP成長率を上回る高い水準であった。一方、16〜24歳の失業率は22年7月時点で19.9%と過去最悪を更新し、中国社会科学院は新たな就職氷河期に突入したとの見方を示している。このような雇用環境下、多くの日系企業からは、自社の賃金水準では必要な人員の新規採用ができず、若年層の採用に苦慮しているという課題があげられている。特に、研究開発や新規事業立ち上げを担う高度人材と、現場ワーカーの採用・リテンションに苦慮している。日系企業の賃金政策の現状と課題の分析から施策を考察する。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年10月号(通巻345号)

スペシャルレポート   中国の半導体産業 コロナ禍での米中覇権争い
中国経済に貢献する半導体産業―経済安全保障の課題2
真家陽一  名古屋外国語大学教授
中国はハイテク製品の輸入依存度が高い。万が一、何らかの要因で輸入が停止すれば経済安全保障の観点からも大きな問題となるため、国産化は重要な政策課題となっている。中国が国産化を特に重視するのが最大の輸入品目である半導体であり、その調達は経済発展を左右する制約要因となりかねないリスクも抱えている。本稿はこうした状況を踏まえ、中国の半導体貿易の動向を確認した上で、国産化に向けた中国政府の政策支援を検証し、今後の課題を考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の半導体および同製造装置産業の現状と課題、米中ハイテク摩擦と経済安全保障に対する日系企業の対応6
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
中国が「中国製造2025」において半導体および半導体製造装置の国産化を推進する中で、米中のハイテク摩擦が激化し、経済安全保障にまで発展してきている。一方で、半導体および半導体製造装置の国産化を進める中国市場は、米国企業にとっても日系企業にとっても今後ますます重要な市場となることは明らかである。日系企業、さらには日系部品メーカーまでもが米中ハイテク摩擦に巻き込まれており、その対応策を準備しておく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国自動車業界の半導体不足の影響は軽微、BYD等から見る実態10
有田直矢  上海莱弥信息諮詢有限公司(インサイツ)東京事務所顧問
日本では半導体不足などに伴う自動車減産が、2022年に一種のトレンドになってしまった。中国でも自動車の減産は発生しており、スペックを引き下げた上で納車を行う「減配」という“ユニーク(?)”な手法も取られることがある。一方で、世界と比べ、中国自動車業界における半導体不足は深刻ではない。それはなぜなのか?急成長するBYDなどの事例から、その状況を概観し、中国新エネルギー車(NEV)販売好調の要因を探る。 /// 続きは本誌ご参照
米中の半導体政策の対立と家電産業への影響14
金堅敏  富士通株式会社グローバルマーケティング本部チーフデジタルエコノミスト
2022年8月9日に米国内での半導体の製造と開発を支援するチップス法案が成立し、対象企業には520億ドルを投じるとともに、補助金を受ける企業は一定期間内に中国での先端半導体の生産投資を禁じる内容が盛り込まれた。また、米国バイデン政権は、中国を除き、日本、韓国、台湾と共有する半導体サプライチェーンのネットワークの「チップ4」を構築しようとしている。米国の一連の動きに対して、中国は、典型的な差別的産業保護政策であり、企業の正常な経済活動、貿易、投資に制限を加えるものであること、市場のルールや国際貿易の規則に著しく反しているなどとして、厳しく批判している。このように、半導体をめぐる米中間の対立は激しさを増している。 /// 続きは本誌ご参照
中国「半導体強国」の道を阻む米国制裁と腐敗18
多部田俊輔  日本経済新聞社中国総局記者
中国共産党の習近平指導部は2015年に発表したハイテク産業育成策「中国製造2025」で半導体産業を重点領域に指定し、当時10%以下だった国内自給率を25年には70%まで高める目標を掲げた。中国政府の国策ファンドが先導役となり、これまでに約18兆円が投じられたが、米国の制裁で先端設備の導入が進まないうえ、半導体業界の腐敗が習指導部のめざす「半導体強国」への道を阻む。 /// 続きは本誌ご参照
「供需」の側面で見る中国半導体事情22
國峯彰太/姚穎  電子情報技術産業協会(JEITA)北京代表/株式会社富士キメラ総研、北京凱美莱信息諮詢有限公司総経理
中国政府は、これまで様々な支援を行うことで、家電、スマートフォン、太陽電池、LED、液晶、二次電池などの産業を育成してきた。それぞれの産業ごとに執られた戦略や具体的な施策は異なるものの、共通して言えるのは、政策に落とし込む前段階、グランドデザインの段階で常に「供需(シーズとニーズ)」の両輪が考慮されているということである。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年9月号(通巻344号)

スペシャルレポート   アジアの海原 その可能性と現実
緊張はらむアジアの海はいま6
横山達也  日中経済協会調査部次長
海は優しさと厳しさの2つの表情を持つ。息をのむほどの美しい景色、食卓に欠かせない海産物、エネルギーの源泉となる鉱物など、様々な資源のあふれる恵みの海。もう一つは、人の命も奪う荒れ狂う波浪や、津波などの巨大災害を引き起こす恐ろしい海だ。そしていま、アジアの海には新たな表情が加わっている。海を取り巻く国々が、豊かな海洋資源の獲得とその勢力の拡大を図らんとして摩擦を生じている。自然・天然の由来ではなく、人間が自らの手で生み出した緊張状態は、これからどこに向かうのか。今回のスペシャルレポートでは、各分野の専門家による現状分析や課題の提起、今後の動向などについて意見を伺った。本稿ではまず、アジアの海の一側面を紹介しつつ、急激な経済成長を果たした中国の海との関わりについて触れてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の海洋進出と日本の安全保障8
飯田将史  防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室長
中国はこの20年余りの間に、海軍や海上法執行機関などの規模と能力を急速に増大させるとともに、海洋への進出を強化し、活動範囲を拡大してきた。本稿では中国が海洋進出を強める狙いを踏まえたうえで、東アジアの海域における活動の実態を概観し、それがもたらす日本の安全保障にとっての課題と必要な対応策について検討したい。 /// 続きは本誌ご参照
海洋が支えるアジア太平洋のエネルギー需給12
武石礼司  東京国際大学特命教授
アジア地域のエネルギー消費量は、世界の半分近くを占める。しかし、アジア域内の資源埋蔵量は少なく、域外からの輸入量が膨大である。アジア域内の化石燃料の資源量が何年分の生産量に当たるかの数値を見ると極めて少なく、アジアの安全保障上の脆弱さが目立つ。しかも、アジアの国々は、中国、インド、インドネシアをはじめとして、今後もエネルギー消費量が増大すると予測される国がほとんどであり、陸域、海域の両方において可能な限り多くのエネルギーの確保が目指されている。 /// 続きは本誌ご参照
アジアの海をむしばむIUU漁業16
小坪遊  朝日新聞科学みらい部次長
アジアは漁業が盛んな地域であり、中でも中国は群を抜く世界最大の漁業国である。世界の漁業の現状を見れば、十分に余裕のある魚種はわずかで、アジアの資源の先行きも不透明だ。漁業資源の減少・枯渇は、食料安全保障の問題にとどまらず、人権・環境問題、地域の不安定化にもつながりかねない。中でも大きな問題となっているのが、IUU(違法・無報告・無規制)漁業だ。企業の社会的責任の強化や、生物多様性の保全・再生を重視する潮流の中で、漁業資源の適切な管理が求められている。 /// 続きは本誌ご参照
ポストコロナとRCEP下の東アジア物流の現状と展望―国際複合一貫輸送とサプライチェーンの再構築の視点から20
福山秀夫  公益財団法人日本海事センター客員研究員
コロナ禍は、海上コンテナ輸送の混乱をもたらし、SLBや中欧班列というユーラシア大陸横断鉄道輸送の急成長をもたらした。2022年1月1日に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は、貿易の拡大をもたらし、北東アジア物流の活性化、アジア域内航路の活性化、中国アセアンクロスボーダー輸送と中欧班列の連携による活性化をもたらすと期待されている。これらの諸条件の下、輸送ルートやモードの再構築を中心としたサプライチェーンの再構築が展望される。その実現のためには、日中韓アセアンの官民の協力が必要であり、「物流をスムーズに流す」ことが、今、求められている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の海洋環境保護政策の動向24
染野憲治  早稲田大学現代中国研究所招聘研究員
中国における海洋環境保護は、1982年に制定された海洋環境保護法(最終改正は2017年)を基礎としている。13年に設立された国家海洋局が主導してきたが、18年3月の国務院の機構改革により、環境保護部を改組した生態環境部に職責が移管された。本稿では第14次五カ年規画が制定された21年3月以降の海洋環境保護政策の動向を俯瞰する。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年8月号(通巻343号)

スペシャルレポート   中国のモビリティ情勢と未来へのビジョン
加速する中国自動車業界の電動化シフト6
湯進  みずほ銀行ビジネスソリューション部主任研究員、中央大学兼任教員、上海工程技術大学客員教授
中国検索エンジン最大手の百度(バイドゥ)と中国大手自動車メーカー吉利汽車の合弁企業、集度汽車(Jidu Auto)は2022年6月8日、メタバース(仮想空間)で電気自動車(EV)第1号モデル、「ROBO-01」を発表し、6月18日にはソニーとホンダは合弁企業を立ち上げ、25年に、高付加価値EVの販売とモビリティサービスの提供を開始すると発表した。クルマの電動化が進行することで、テック企業と自動車メーカーの協業機会が増えている一方、「100年に一度」と言われる自動車業界の大変革は新たな段階に突入すると言える。 /// 続きは本誌ご参照
中国政府主導のV2X協調型MaaSメカニズムの形成および都市OSへの浸透によるバリューの実現10
何剣  野村総研(上海)咨詢有限公司産業一部総監
中国でのMaaSは、地方政府が示す公共交通を優先的に強化するという方針に沿って、技術面ではベンチャー企業が、資本面では関連事業者が参入するというパターンで推進されている。その目指す方向は、都市圏5G+C-V2X型のプラットフォームを形成しつつ、安全・快適・低排出・低コストというニーズを満たすサービスの実現や育成である。MaaSオペレーターが単体で黒字化するにはハードルが高いが、中国では「ネット・プラットフォーマー」牽引型のエコシステムが形成されているという背景があり、MaaS事業が都市OSまで浸透することによって新ビジネスが生まれる可能性が存在する。 /// 続きは本誌ご参照
新段階の中国ICV標準制定の進展と趨勢分析14
王兆/孫航/張路  中国汽車技術研究中心有限公司首席専門家汽車標準化研究所所長/同所智能網聯部部長/同所智能網聯部工程師
インテリジェント・コネクティッド・ビークル(訳注:原文は「智能網聯汽車」、ICVと略す)の発展は新たな段階に入り、中国では、2021〜25年に向けたICV標準制定計画策定とともに、当該計画に基づく標準制定が行われてきた。本文では、中国の新段階のICV関連管理政策を分析するとともに、ICV標準の制定および国際標準法規との調和の現状を紹介し、標準制定計画に基づく中国の今後のICV標準制定の動向について概説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動車業界におけるデータ・個人情報の規制18
森規光/呉馳  森・濱田松本法律事務所弁護士/同中国律師
近年、中国においても、自動車と情報技術との融合によって、自動車の情報化(いわゆるInternet of Vehicles〔IoV〕)が急速に進んでいる。こうしたIoVや自動運転等の新技術の発展に伴い、自動車分野のデータや個人情報の重要性が高まると共に、その保護も課題となってきている。また、自動車分野の先進的なデータや大量の個人情報は、国家安全の観点からも規制の対象となってきている。中国では、2021年からデータや個人情報に関する法令が整いつつあるが、特に自動車業界におけるデータや個人情報に関して特別な規制を推進してきている。本稿では、これらの自動車業界におけるデータや個人情報に関する法規制の動向と実務上の留意点について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動運転・MaaSにおける政策の現状と注目点22
平槇早彌佳  日中経済協会業務部
従来の製造業にとどまらない形で発展を続ける自動車業界は、世界的な変革期を迎えている。中国でも2020年10月に発表された「新エネルギー自動車産業発展計画(2021~35年)」において、高度自動運転・ICV(インテリジェントコネクテッドビークル)の商業運用や、ワンストップ型のサービスプラットフォームの構築を目指すことが示され、自動車大国から自動車強国への流れが加速している。本稿では、中国の自動運転・MaaSに焦点を絞り、政策の現状と注目点を整理したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年7月号(通巻342号)

スペシャルレポート   中国の音と映像の行方
激動の中国における音楽と映画の歴史6
蝦名康平  日中経済協会調査部
「中国の音と映像の世界」というテーマで今月号ジャーナルを企画したが、読者を含め世間一般でどれほど中国のカルチャーが浸透しているだろうか。文化とはある日に突然生じるものではなく、独自のメインストリームがあり、そこから枝分かれした一連の流れの中で芽生えてくるものだ。娯楽・文化産業を取り巻く現状や展望については、本誌で有識者の方々に素晴らしい解説をしてもらった。本稿では、中国の音と映像の世界がいかに今日までつながってきたのか、その背景の流れを振り返っていきたい。 /// 続きは本誌ご参照
歴代興行収入の上位を独占した国産映画は中国映画市場を牽引できるか9
徐昊辰  映画ジャーナリスト
2020年、全世界は新型コロナウイルスの影響を受け、映画業界も前例のない危機に陥った。北米映画市場の年間興行収入は、19年の約2割程度まで落ち込み、全世界の年間興収では7割以上も激減した。その中で、当時唯一新型コロナウイルスの影響が落ち着いた中国映画市場はいまだに完全復活には至っていないものの、北米市場を超え、初の世界1位となった。このような形で世界一になったのは、世界的なパンデミックなどの複合的要因によるものと捉えられがちだが、実はこの2010年代、中国映画市場は信じられないスビートで急成長していた。 /// 続きは本誌ご参照
中国の急成長する音楽市場と海外企業の現地進出のトレンド14
ジェイ・コウガミ  デジタル音楽ジャーナリスト
2019年の新型コロナウイルスの感染拡大に端を発する経済低迷や消費行動の変化が各方面に大打撃を与えたが、各国の音楽市場は数年前から続くサブスクリプション中心のコンテンツ消費の急拡大が続いており、プラス成長が加速した。当然ながら、各国の音楽業界、レコード会社、アーティストの多くは、事業や活動の休止を余儀なくされた。一方で市場全体を俯瞰すると、日本を除くアジア諸国や、中南米、中東、北アフリカといった音楽新興国の多くでは、急ピッチでサブスクリプションやストリーミング、モバイル消費者の獲得が進んでおり、音楽消費のデジタル化へ移行し終わった欧米市場を上回る速度で2桁成長を記録するほど、売り上げが伸びている。 /// 続きは本誌ご参照
ゼロコロナ政策下におけ中国の音楽ライブ産業の観察18
盧佳霊  LuuvLabel(上海粉鹿文化伝播有限公司)CEO
2020年から始まった新型コロナウイルスの流行は中国の様々な公演産業にも影響しており、新型コロナ感染拡大を抑え込めた収束期と感染拡大が広がった時期では大きな差があった。政策による補助金や恩恵を受けているライブハウスはほとんどなく、音楽フェスも厳しい状況を余儀なくされていた。この時期における音楽公演産業の動向を観察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国エンタメに広がる締め付けの行方22
安田加奈子  エーランド株式会社代表取締役
筆者は仕事兼趣味として、Twitterで中国エンタメ界に関する情報発信をしている。これまでは同じ業界やファンの方々と情報交換をするために使っていたが、2021年夏に中国エンタメ界への規制がはじまって以降、ビジネス誌からテレビの情報番組まで、突然たくさんの日本のメディアから問い合わせをもらうようになった。中国エンタメ界に携わる人間として、明るいニュースで注目を集めることが出来なかったことを憂いつつ、せっかく集まった注目を「中国はやはり得体が知れない」で終わらせないために、規制の背景やその先の未来について考えてみたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年6月号(通巻341号)

スペシャルレポート   地政学から中国を見る
地政学から中国を見る2
髙見澤学  日中経済協会理事、調査部長、業務部長
突然のロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮による度重なるミサイル発射実験、さらには国境をめぐる中印対立や混迷するミャンマー情勢など、地球規模で影響を及ぼしかねない問題が中国の周辺で頻発している。戦後80年近くが経過し、中東やアフリカ、アジア、東欧等で局所的には一時的な混乱が生じてはいたものの、世界全体をここまで震撼させる事態になることはなかった。その間、国際社会で存在感を急速に高めてきた中国だが、その高まりとともに中国が世界に与える影響、逆に世界が中国に与える影響は必然的に大きくなり、大国としての中国に求められる役割も重く圧し掛かってくる。 /// 続きは本誌ご参照
ウクライナ侵攻で中露に不協和音6
名越健郎  拓殖大学特任教授
ロシア軍のウクライナ侵攻は、中国にとっても衝撃であり、中国は対応に苦慮している。国是の主権・領土保全尊重に違反するほか、ロシアを支援すれば、欧米諸国からの二次制裁を浴びかねないからだ。中国はウクライナなど旧ソ連諸国に経済進出を図っており、中国とロシアの外交体質の違いも浮き彫りになった。しかし、習近平国家主席は盟友・プーチン大統領の失脚は阻止すべく、一定の支援を与えそうだ。 /// 続きは本誌ご参照
最近の北朝鮮の動向と中国10
平岩俊司  南山大学総合政策学部教授
米国との対決姿勢を強める北朝鮮。北京冬季オリンピック期間中は控えてきたミサイル発射実験も、開催終了後に再開し、国際社会は警戒を強めている。ここにきてロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシアを擁護することで強力な後ろ盾の確保を狙う北朝鮮だが、そこに中国とは異なる立場の違いが見えてくる。 /// 続きは本誌ご参照
地政学から見た中印関係14
清水学  有限会社ユーラシア・コンサルタント代表取締役
ロシア軍のウクライナ侵攻は期せずして、インドが置かれている地政学上の重要性を浮上させる契機となった。2022年3月3日の国連総会での「ロシアに対する譴責」決議、さらに4月7日の国連人権委員会理事国からのロシア解任決議に対して、インドは米国などに同調せず棄権にまわった。QUADとの関連でインドは米国に接近しているような印象があっただけに、独自の立場を崩さないインドの存在感が際立っている。そこには中印露の地政学的関係が大きく影を落としている。 /// 続きは本誌ご参照
政変が変えるミャンマー・中国関係の行方18
中西嘉宏  京都大学東南アジア地域研究研究所准教授
ミャンマーと中国との関係はいま、大きな転換点を迎えている。かつての軍事政権時代、両国関係はミャンマーの中国への経済的依存が顕著であった。ところが、2011年の民政移管をきっかけに変わる。欧米諸国との外交関係改善と経済改革を梃子に、ミャンマーは中国との非対称的な関係の転換を図ったのである。16年に成立したアウンサン・スーチー政権も、前政権の改革路線を引き継いだが、2期目に入る直前の21年2月に軍によるクーデターが勃発する。軍の市民への弾圧に国際的な非難が集中し、10年代の経済成長を支えた投資や援助の減少は不可避の情勢だ。この国は再び停滞の道を歩むことになりそうである。政変後の流動的な情勢を踏まえ、これからのミャンマーと中国はどうなっていくのか本稿で検討したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国のエネルギー供給網に試練22
澁谷祐  独立コンサルタント、有限会社エナジー・ジオポリティクス代表取締役
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻という緊急事態が勃発し、世界を震撼させている。日米欧の先進国グループ(G7)は、ロシアに対しエネルギーを含む経済制裁措置を発動した。グローバルなサプライチェーン(供給網)に分断化の兆しが見える。対ロ経済制裁に反対する中国・習近平政権では、「中ロエネルギー準同盟」強化の方向性も排除されていない。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年5月号(通巻340号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2021/2022―第13期全人代第5回会議を終えて
減速する2022年の中国経済―一層悪化する内外環境6
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
コロナショックからV字回復を見せた中国経済は、2021年第1四半期にGDP成長率がピークを迎えた後、減速に転じている。不動産市場の調整とコロナ情勢を巡る不確実性に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、22年には景気の低迷が続くと予想される。全国人民代表大会において、政府は5.5%前後という経済成長率の目標を掲げているが、その達成は困難であると思われる。 /// 続きは本誌ご参照
中国政治―21年の総括および22年の見通し10
川島真  東京大学大学院総合文化研究科教授
2021年から22年にかけて中国政治は基本的に22年秋の党大会での人事に収斂する方向で動いている。しかし、それだけで全てが説明できるわけではない。コロナ禍からの脱出や経済の構造改革、米中対立とウクライナ問題など、数多くの課題やリスクを抱える中で、22年春の全人代で強調されたのはむしろ民生問題だった。これはあえて抑制的な議論をしたのではなく、人々の生活や暮らしそれ自体が最大の課題となっていることを示すのだろう。 /// 続きは本誌ご参照
中小企業支援とリスク管理強化を軸とする中国の金融政策運営14
萩原陽子  三菱UFJ銀行経済調査室調査役
2021年に中国金融当局はコロナ禍によるダメージを強く受けた中小企業支援のための金融緩和を継続する一方、不動産貸出規制強化に伴って表面化した不動産業界の債務リスクへの対処も余儀なくされた。また、インターネットプラットフォーマーの市場独占の弊害を踏まえたインターネット金融の監督・管理、ならびに、暗号資産取引禁止などフィンテック分野の規制にも本腰を入れた。 /// 続きは本誌ご参照
中国の住宅市場の動向と見通し18
安田明宏  株式会社三井住友トラスト基礎研究所海外市場調査部主任研究員
2016年末に打ち出された「房子是用来住的、不是用来炒的(住宅は住むためのものであり、投機の対象ではない)」という大方針のもと、住宅需要は購入制限令により抑制傾向が続いている。一方の住宅供給は、20年の不動産デベロッパー向けの融資制限の影響が強まり、低迷を余儀なくされている。本稿では、足元の住宅市場の動向を概観し、22年の市場見通しを示す。また、22年3月の全人代の政府活動報告で言及された住宅関連の内容をまとめ、長期的な視点で住宅市場を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
デジタル中国の新たなステージ22
李智慧  株式会社野村総合研究所未来創発センターグローバル産業・経営研究室上級コンサルタント
中国の第14次五カ年計画では、デジタル経済を経済社会の持続的で健全な発展に向けての大きな原動力と位置付けられている。同計画を踏まえて策定された「第14次五カ年計画デジタル経済発展計画」は、技術革新をさらに促進する方針を継続する一方、デジタル・ガバナンス体系の健全化、都市部と農村部のデジタル格差の縮小も重要視している。中国のデジタル経済は、規範的な発展、包摂・イノベーション重視のステージへと転換し始める。 /// 続きは本誌ご参照
高齢社会に移行した中国と年金問題26
片山ゆき  株式会社ニッセイ基礎研究所保険研究部准主任研究員
中国は2021年に高齢社会に移行した。国連の当初の予定よりも前倒しで移行しており、高齢化、少子化、人口減少などの人口問題が一気に噴き出している。老後の生活をどう支えるのかが大きな課題となる中で、22年2月、政府は年金の安定した給付の確保を目指すとして全国に分散する年金積立金の統合を発表した。しかし、統合だけでは本質的な解決には結び付かず、制度の構造的な問題の改善や運用の向上が必要となってくる。22年の全人代の報告では、老後保障や年金を意味する「養老」という言葉が10回使用されるなど、政府として取り組むべき大きな課題となっている。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年4月号(通巻339号)

スペシャルレポート   中国法制・審判入門
中国法入門(1)中国の法と秩序―その歴史・現在・未来6
但見亮  一橋大学法学研究科教授
いわゆる「新時代」における習近平の統治は、一面において法治を強調しつつ、同時に徳治を提唱するものであり、この組み合わせは正に中華民族の伝統である、とされている。本稿では、中国が歴史の中でどのような法制度(法意識)を構築してきたのかを振り返るとともに、その理解に基づいて、現在提唱される「習近平法治思想」に光を当て、その核心を照らし出してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国法入門(2)中国法の極意11
射手矢好雄  アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー弁護士、一橋大学法科大学院特任教授
中国はリアルなパラレルワールドである。日本とは大いに異なる。中国の法律制度は、法律だけを見ていても分からない。中国法の極意は、中国の仕組みを理解することである。法律だけでなく政治・経済・文化も考慮したハイブリッド法務が求められる。中国共産党が中国の全てを指導すること、法律は管理の手段であること、外資に対する規制はなくならないことが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
中国本土の民事・刑事訴訟制度及び裁判の手続きと流れ15
安翊青/莘欣  上海里格(リーグ)法律事務所首席パートナー弁護士/同紛争解決部長、弁護士
中国本土の民事訴訟、刑事訴訟は「四級二審」制度で、裁判権の行使機関は人民法院である。法院は、基層人民法院、中級人民法院、高級人民法院、最高人民法院の四等級あり、一つの案件が終了または法的に発効するには、二つの等級の法院で審理される必要がある。日本と比較すると、特に民事訴訟において、日本では裁判当事者の関与が重視されているのに対し、中国では法院の職権による裁判運営がなされている点が特徴的である。もっとも近年は、当事者の関与を重視する方向で改革が進められている。また、2020年1月15日、最高人民法院は「民事訴訟繁簡分流改革試行計画」を発表し、北京、上海、広東など一部地域で単独審制の適用範囲を拡大し、二審法院が一部の簡易民事事件を単独審で審理できると規定した。 /// 続きは本誌ご参照
外資企業が注意すべき法制度(1)経営管理関連の法制度をめぐる最近の動向20
熊琳  北京市大地法律事務所シニアパートナー弁護士
2021年より、日系企業の経営と密接に関わる外商投資ネガティブリスト、従業員の休暇制度、「民事訴訟法」等に関する重要法令の改正が相次いでいる。「外商投資法」の施行以来、外資系企業にも一律に適用されている「会社法」にも、近くかなり大規模な改正が行われることとなっており、これらの改正内容は日系企業の経営管理に多くの重要な影響をもたらすものになるため、これについて知り、適時に的確な対応を取っていく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
外資企業が注意すべき法制度(2)情報セキュリティ、個人情報保護、独禁法24
石本茂彦  森・濱田松本法律事務所上海オフィス首席代表、弁護士
中国ビジネスにおいて注意が必要な法律分野は多岐にわたる。本稿では、そのうち、最近特に注目される情報セキュリティ、個人情報保護、独禁法の動向について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年3月号(通巻338号)

スペシャルレポート   中国 ASEAN新時代へ
中国の対ASEAN戦略と日本の対応6
篠田邦彦  政策研究大学院大学政策研究院教授・参与
中国は2021年にASEANと包括的戦略パートナーシップを結び、RCEPの発効やCPTPPへの加入申請による市場アクセスの改善・ルール構築、一帯一路構想の下でのハード・ソフトのインフラ整備を通じてアジアでの広域経済圏の構築を目指している。日本としては、インド太平洋地域での地域経済統合や第三国市場協力の取り組みを通じて、質の高いルールの構築・遵守を中国に働きかけていくべきである。 /// 続きは本誌ご参照
中国・シンガポール関係の展望10
江藤名保子  学習院大学法学部教授
近年、中国との外交関係が注目される国家の1つにシンガポールがある。1965年の建国以来、シンガポールにとっての中国は文化的にも人的にも密接な関係があり、それゆえに意識的に政治的な距離を維持してきた相手である。従来からシンガポールは米国との安全保障上の協力を梃子に、中国に接近しつつもその磁場に飲み込まれないよう中立的な立場を志向してきた。だが近年、米中対立が経済安全保障や価値規範などの領域に拡大するなか、シンガポールをめぐる米中の綱引きは厳しくなっている。 /// 続きは本誌ご参照
インドネシアと中国―政経分離の二国間関係14
川村晃一  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター東南アジアI研究グループ長
インドネシアにとって中国は、貿易、投資の両面で最重要国になっている。2014年のジョコ・ウィドド政権発足後、両国間の経済関係はますます進展し、インフラ整備、デジタル化、グリーンエコノミー化と経済協力の領域は拡大している。新型コロナウイルス対策においても、両国の密接な関係が活かされた。経済分野においては両国の利害が一致することが多い。一方、政治・安全保障面では、とくに南シナ海問題をめぐって両者の軋轢が表面化しつつある。ただし、インドネシアは政治・安全保障問題と経済関係を切り分けて考えている。前者の点では米国や日本からの協力を取り付けつつ、中国との間では今後も経済協力を進めていく方針である。 /// 続きは本誌ご参照
ベトナムの対中関係―経済と安全保障のトレード・オフ18
庄司智孝  防衛研究所地域研究部アジア・アフリカ研究室長
ベトナムにとって中国は最も重要な二国間関係であり、協力と対立の側面を併せ持つ複雑な様相を呈している。中国と複雑な関係にある国は何もベトナムに限らないが、ベトナムにとって、北方の巨大な隣国との対立の側面は、他の国々より際立っている。南シナ海の領有権をめぐり対立が激化する一方、経済面での協力関係というよりはベトナムの対中経済依存はますます深まっている。本稿は、ベトナムの対中関係を経済と安全保障のトレード・オフとしてとらえ、考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ASEANの関係深化と日本企業22
小山雅久  日中関係学会理事
米国も中国も日本もアジア太平洋、なかんずくASEAN諸国との経済的つながりは欠かせないし、その舞台における日本が果たす国際的役割への期待は大きいと言われるが、現在、中国ビジネスに直接関係しない経済界のビジネスマンはどれくらい問題意識を持っているだろうか?中国の存在感はますます大きくなる気配は感じているはずだが、今や個々の企業においてもこの大きな潮流を読み解き、生き抜き、貢献して行く意識の醸成が求められている。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年2月号(通巻337号)

スペシャルレポート   第15回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議―カーボンニュートラルを目指す多様な道筋と日中の協力2
山田平/上原健幸  日中経済協会業務部
2021年12月26日、日中経済協会は、経済産業省、国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で「第15回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。前回同様、日本会場と中国会場をオンラインでつなぐ形式を採用し、日本会場では萩生田光一経済産業大臣、山口壯環境大臣、宗岡正二日中経済協会会長、保坂伸資源エネルギー庁長官、孔鉉佑中国駐日本国特命全権大使、中国会場では何立峰国家発展改革委員会主任、任鴻斌商務部副部長、叢亮国家発展改革委員会副主任がそれぞれ出席したほか、オンライン形式を含めて日中合計で約700人の官民関係者が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー効率の向上(省エネ)分科会―カーボンニュートラル実現に向けた日中協力の方途6
澤津直也  日中経済協会業務部
本分科会では、日中双方でオンライン形式を含め約150人が参加した。カーボンニュートラルに向けた日中協力のあり方をめぐり、両国政府代表による政策説明のほか、両国企業7社による脱炭素等に関する取り組みが紹介された。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会―カーボンニュートラルに向けた自動車産業の転換期7
平槇早彌佳  日中経済協会業務部
自動車関連の分科会は今回で15回目の開催となり、日中両国政府、企業、業界団体等計8人がそれぞれの取り組みについて講演し、交流を行った。オンライン形式の参加を含めて日中双方で約150人が参加し、「CASE」に直面している自動車産業への関心の高さがうかがえた。 /// 続きは本誌ご参照
水素・クリーン電力分科会―日中共通課題:低炭素社会実現への挑戦8
藏田大輔  日中経済協会業務部
日中両国は低炭素社会の実現に向けて努力と模索を続けている。2020年に日本と中国のトップが目標達成までのビジョンをそれぞれ発表するとともに、その実現に向け強い決意を示した。本分科会では、主として水素とクリーン電力に焦点をあて、政府と企業がそれぞれ抱える課題や強みについて率直な議論を展開した。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易(水環境対応と汚泥処理)分科会―カーボンニュートラルと維持・管理、持続可能な水ビジネスに向けて9
清水綾  日中経済協会業務部
本分科会は日中の「長期貿易協議委員会」において、日本側は省エネ等技術交流促進部会、中国側は省エネ・環境保護技術合作分会が5年に1度協力覚書を更新しながら、第1回フォーラムから様々なテーマのもと定期交流の場としてきた。覚書改訂年である2021年は「将来のカーボンニュートラル目標実現への対応」を枠組みに盛り込み、分科会テーマも第10回から継続交流している水・汚泥処理分野において、「グリーンエコノミー」「低炭素経済」を念頭とした持続的な水事業に向けた「維持・管理」に焦点を当てた。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国地域協調発展戦略
ゼロ・コロナ政策により成長を続ける中国都市14
周牧之  東京経済大学教授
2020年からの中国における都市政策や都市のパフォーマンスを語るには新型コロナウイルスパンデミックとその対策の分析が避けられない。本稿では様々な情報を収集・分析し、中国また各方面の動向をふまえながら、中国のコロナ下における都市の動静についてマクロ的・ミクロ的観点から考察を加える。 /// 続きは本誌ご参照
「広東・香港・澳門大湾区」の最新動向と香港の役割18
伊東正裕  香港貿易発展局東京事務所長
中国本土政府が主導する広域経済圏発展計画「広東・香港・澳門大湾区(グレーターベイエリア)」が大きな注目を集めている。広東省珠江デルタ流域の主要9都市と香港・澳門の2特別行政区を一体化して発展させる本計画の概要と最新動向について概観するとともに、「一国二制度」のもと、域内で最もユニークかつキーとなる存在である香港の機能や優位性を踏まえた役割について、中国本土政府からの視点も交えて詳しく解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2022年1月号(通巻336号)

スペシャルレポート   CHINA 2022
「灰色のサイ」はどこにいる?中国リスクの行方7
吉岡桂子  朝日新聞編集委員
中国経済が数々のリスクを抱えながら成長の軌道を歩んで来られたのは、一党独裁の政治の硬直性とはうらはらな、経済政策の柔軟性で社会的な課題に対応してきたからだ。それすら失うような政治の変化が起きることが、中国経済にとって最大のリスクだ。習近平体制は2022年に3期目に入るとみられる。「共同富裕」の実現に向けた政策や米中対立下での安全保障上の制約がもたらす影響を、言葉より行動として具体的にみていく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
2022年の中国外交 6つのフォーカスポイント12
青山瑠妙  早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
2021年11月に開催された中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議で採択されたコミュニケにおいて、中国政府は自国の対外政策を「中国の特色ある大国外交」と表現し、気候変動などの重要な国際問題でリーダーシップを発揮すると意気込みを見せている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の製造強国戦略とハイテク産業の現状16
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
2021年3月に採択した第14次五カ年計画(2021~25年)では、「中国製造2025」への言及がなかった。「中国製造2025」は15年に公布されて以来、中国の産業政策の中核に据えられ、米国の警戒心を巻き起こしたが、25年を待たずして中国の政策体系の中から姿を消した。中国の産業政策は、米国の圧力に屈したのだろうか。ハイテク産業の現状を見ると、実は中国は製造強国戦略を着々と進めていることがわかる。 /// 続きは本誌ご参照
2022年の中国―経済と金融の見通し20
福本智之  大阪経済大学経済学部教授
20年、中国経済はコロナ危機からいち早く立ち上がり、主要国で唯一のプラスの経済成長(2・3%)を実現した。21年は、経済の自律的回復への移行に伴い、経済成長は政策サポートを緩めても8%台を確保できるとの見方が、当初は大勢であった。楽観的な景気予測の下、中国政府は、21年3月の全国人民代表大会で、マクロ経済政策について、「急な方向転換は行わない」としつつも、コロナ危機対応のために一時的に踏んだアクセルを緩め、政策の正常化を目指す方針を決めた。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年12月号(通巻335号)

スペシャルレポート   中国経済課題のリスク評価
大手IT企業への規制強化と「共同富裕」のゆくえ4
梶谷懐  神戸大学大学院経済学研究科教授
2020年に強化された中国プラットフォーム企業、IT企業への締め付けは、独占禁止法の徹底という枠組みを超え、「共同富裕」という再分配政策の下で進行しつつある。中国経済のリスク課題を俯瞰し、その本質は何かを探る。 /// 続きは本誌ご参照
社会保障の課題分析―ポスト・コロナ時代のリスクに向けて8
澤田ゆかり  東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
新型コロナは国民に公的医療や生活保障の必要性を皮膚感覚で実感させ、世界各国で「福祉国家の復権」が加速する可能性がある。そのような国際的な環境の中で、中国の社会保障改革の動向と課題を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   日中地方経済活性化アプローチの新探究
座談会:2022年の関西と中国22
鈴木琢也/根来宜克  伊藤忠商事株式会社開発・調査部シニア・コーディネーター、関西担当部長/大阪商工会議所 国際部長
関西と中国の経済関係は、関西財界が国交正常化前の1971年に訪中を実現して以来、親密な交流の歴史が重ねられてきた。コロナ禍にあった2021年を振り返りつつ、ウイズコロナ・ポストコロナの新年、さらには25年の関西・大阪万博に向けたビジネス展望を共有する(司会:今村健二日中経済協会関西本部事務局長)。 /// 続きは本誌ご参照
日中地域経済交流の新たな視座―遼寧省の交流の枠組み創新26
趙焱  日中経済協会瀋陽事務所首席代表
新型コロナウイルス感染症の影響で日中間の往来交流が困難な昨今にあって、遼寧省は日本の地方自治体との間で積み重ねた地域経済交流の歴史を踏まえながら、未来を見据えて新たな交流の枠組み構築にも意欲的に取り組んでいる。本稿では、その実状を当協会瀋陽事務所から紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
レポート「2021年日中経済協力会議ー於遼寧」分科会の注目点28
日中経済協会日中東北開発部会事務局
2021年9月23日に開催された「2021年日中経済協力会議ー於遼寧」は、日本と中国東北地方3省1自治区(遼寧省、吉林省、黒龍江省、内モンゴル自治区)との経済協力の促進を目的に、00年からほぼ毎年、中国東北地方あるいは日本において継続してきた。今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、前半(午前)はオンライン視聴を取り入れた初のハイブリッド形式を採用。本レポートではリアル会議のみであった後半のテーマ別分科会の注目点を紹介し、遼寧経済活性化のニーズを浮き彫りにする。詳細は『2021年日中経済協力会議ー於遼寧報告書』を参照いただきたい(連絡先:日中経済協会業務部主任・藏田)。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年11月号(通巻334号)

スペシャルレポート   好好学習―中国・教育発展の現在地
中国の教育戦略―高等教育の変化から見る今後の展望2
南部広孝  京都大学大学院教育学研究科教授
中国の高等教育は21世紀に入って以降急速な拡大を遂げ、巨大な学生人口を擁するようになった。そうした規模の拡大に伴い、一方では世界一流大学の形成に向けた重点支援が行われ、他方では経済・社会の発展に必要な多様で大量の人材を養成するよう機関種別の調整が行われている。そのうえで、中央政府主導によって、思想政治教育の強調を含む教育内容の見直しや、教育の質の向上が図られている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の科学技術の現状と課題6
林幸秀  ライフサイエンス振興財団理事長、国際科学技術アナリスト
筆者は、本誌の2018年7月号に「中国の科学技術発展動向」と題する記事を投稿し、中国の科学技術の拡大と進展について分析した。それから3年以上が経過しているため、本稿では改めて現在の中国の科学技術の状況を紹介し、中国の強みや課題は何か、日本は中国にどの様に対応すべきかを述べる。 /// 続きは本誌ご参照
中国オンライン教育の現状10
平井孝明  山田コンサルティンググループ株式会社海外事業本部副部長、山田商務諮詢(上海)有限公司総経理
この10年間、中国のモバイルインターネットの急速な普及・発展に伴い、オンライン教育業界は拡大の一途をたどっている。新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活、仕事、学習スタイルに大きな変化を及ぼし、学校の授業にもオンライン授業が導入されるなど、オンライン教育業界の発展に拍車をかけた。一方で、中国政府は小中学生の宿題負担などの軽減を掲げ、経営難に立たされる学習塾や新分野への転換を行う教育機構が出るなど、中国の教育業界は大きな構造転換が図られようとしている。 /// 続きは本誌ご参照
米中対立で漂流する中国の高度人材の今14
姫田小夏  フリージャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰
世界から嘱望される中国の高度人材。とりわけ、米国でテクノロジーと国際視野を身に着けた中国の留学経験者には明るい未来が約束されていた。ところが、米トランプ政権以降の米中の対立激化と新型コロナウイルスの蔓延で、その活動範囲は大きく狭められてしまう。中国に戻るべきか、米中以外の第三国なのか。さらには「海亀族」として戻った中国に活路はあるのか。米国で学位を取得した中国の高度人材は今、大きく揺れている。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー:神戸中華同文学校―中日で育む次の世代18
張述洲/李俊吉  神戸中華同文学校校長/同教頭
神戸市で青春時代を過ごした作家・村上春樹の短編集、「中国行きのスロウボート」。表題作品で描かれた中国人の子供たちが通う小学校のモデルと言われる学校が、六甲山と並ぶ夜景の名所で知られる諏訪山のふもとにある。市街地を見下ろす少し高台の自然に囲まれたその学校を目指して、今日も坂道を子供たちが連れ立って歩いてくる。中国語と日本語が混ざり合う声が、マスク越しでも明るく街に響く。1899年、清朝末期の戊戌の変法で知られる維新派リーダー梁啓超氏の提唱による日本での華僑学校の建設運動の始まりをきっかけにして、神戸華僑同文学校は設立された。その後市内の中華学校との合併を繰り返しつつ、二度の大戦や大空襲、そして阪神・淡路大震災など激動の歴史を経て今なお国際色豊かな街の象徴の一つとして、地域に根差し続けている。現在は神戸中華同文学校(小学部と中学部を併設)と校名を改め、「德・智・体」(徳育・知育・体育)を備えた「将来中日友好事業に積極的に貢献できる人材を育てる」という教育理念の下、日中両国の言語を使った国際教育などを行っている。独自のカリキュラムや教育方針は注目を集め、昨今は日本人生徒も受け入れるなど、いまや市内でも有数の進学校となっている。そんな同校の歴史とこれからについて張述洲校長と李俊吉教頭にお話しを伺った。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年10月号(通巻333号)

スペシャルレポート   中国経済を支えるロジスティクスパワー
中国における物流発展と物流政策6
大西康雄  国立研究開発法人科学技術振興機構特任フェロー、上海リーグ法律事務所顧問
中国における物流サービスの発展は、2000年代入り後のことである。発展の背景には、対外開放と市場経済化の進展があり、物流業はこのプロセスが拡大し深化するとともに、ますます多くの機能を担い、さらにはそのプロセスを促進する存在となった。本稿では、こうした基本認識を踏まえながら、物流業の現況について物流市場、物流企業、物流政策の三つの側面から整理・分析する。その上で、若干の展望を試みたい。 /// 続きは本誌ご参照
海運市場からみた中国経済の現状10
町田一兵  明治大学教授
コロナが大流行した2020年が過ぎ、依然として変異種が猛威を振るう中、ワクチン接種の世界規模での普及により経済活動が徐々に回復し、連動してモノの動きも活発化をしている。海上輸送も大きく回復し、好況を呈している。しかし、それに伴い中国発の海上コンテナ不足が深刻となり、それが世界の経済回復の足かせとなっている。他方、中国内航輸送の大型化やコンテナ化が進み、港湾を起点とする鉄道輸送と連携したインターモーダル輸送が強化され、合わせて港湾運営事業者の統合、周辺国との海上航路の強化、海南島での新たな国際ハブ港湾の構想など、国内水運の効率化や周辺国との海上輸送ルートの強化を通じて、国内市場の持続的成長の後押しおよび周辺国との経済的連携の強化を図り、海運産業は引き続き中国経済を支える最も強大な輸送モードとして進化し続けるだろう。 /// 続きは本誌ご参照
グリーン化に突き進む中国の物流14
張哲  日通総合研究所Research&Consulting Unit 3シニアコンサルタント
地球温暖化問題は、最も深刻な環境問題になりつつある。このまま温室効果ガスの排出が増加し続けると、異常気象の頻発、生態系の危機、水不足の一層の悪化等の悪影響が世界的に生じ、生き物の生息基盤を脅かすことが懸念される。そこで、人口・経済大国である中国の企業や組織がどにような技術を駆使して、環境に配慮した物流に取り組んでいるのかを、「グリーンロジスティクス」の視点から紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
昨今の中国の物流DXの動き18
日比浩二  山九株式会社国際・港運事業部国際物流推進部参与
世界を席巻しているデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が中国の物流現場においても、同様に活用されている。本稿では、中国独自の歴史や要因・背景、いま物流DXが向かっている方向に関する観察・分析を行い、その結果を踏まえ、今後の中国物流業界における課題と展望をまとめたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国における物流園区について22
張園園  福建農林大学准教授
改革開放以来、中国経済が急成長するに従って、物流に対する需要は著しく増加している。一方、中国の物流業はまだ発展途上であることが、物流の発展において大きな課題となっている。特に、物流園区を整備し、物流センターを合理的に立地させることは、物流業界のコスト削減に重要な意義がある。本稿では、中国物流採購連合会、中国物流学会が発表した「全国物流園区(基地)調査報告(2018)」を基に、中国における物流園区の現状および利用状況とともに、物流園区の問題点および今後の展開などについて論じたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年9月号(通巻332号)

スペシャルレポート   中国経済の新たな原動力
市場化と新たな発展モデルへの期待8
髙見澤学  日中経済協会理事・調査部長・事業開発部長
今回のスペシャルレポートでは、中国経済の新たな原動力として、市場化による発展モデル、新型インフラ建設、デジタル経済とイノベーション、サプライチェーンの再構築を取り上げ、それぞれ専門家としての独自の観点から分析いただいた。漠然としたテーマにもかかわらず、今後の中国経済のゆくえを占う重要な示唆を得ることができるだろう。 /// 続きは本誌ご参照
開発経済学からみた中国の新しいインフラ建設投資と中国経済展望12
柯隆  公益財団法人東京財団政策研究所主席研究員
歴史的な曲がり角に差し掛かった中国経済。今後、成長し続けるかどうかは習近平政権が経済の市場化を進めるかどうかに掛かっている。新型インフラ投資は市場化を進め、経済成長を押し上げる国家戦略である。 /// 続きは本誌ご参照
中国のデジタル経済とデジタル・イノベーション16
新川陸一  NTTデータ(中国)投資有限公司チーフストラテジーオフィサー
中国のデジタル・イノベーションは目覚ましい。この約20年間、PCとスマホの普及により発展が加速し、最近では新型コロナウイルス感染でその力を大いに発揮した。デジタル経済の規模は経済全体の約4割と試算されている。政府のサポートもこの発展を後押ししたが、中国の「気質」による作用がより大きいと考えられる。だが、中国のデジタル・イノベーションは新たなフェーズに入り、「秩序ある低成長」の方向に向かっている。 /// 続きは本誌ご参照
産業チェーン・サプライチェーンの再構築20
真家陽一  名古屋外国語大学外国語学部教授
米国と中国の対立が激化する中、両国経済のデカップリング(分断)に対する懸念も高まりつつある。こうした中、中国はデカップリング・リスクに備えるべく、産業チェーン・サプライチェーンの再構築を図るとともに、技術の国産化を推進し、対米依存を抑制していく方向性も示している。本稿はまず、中国の産業チェーン・サプライチェーンの再構築における基本方針を確認する。次に、2021年3月に開催された「第13期全国人民代表大会第4回会議」(全人代、国会に相当)で採択された「第14次5カ年計画および2035年までの長期目標要綱」における関連の政策措置を検証する。その上で、具体的な施策として打ち出された「優良な製造業企業の育成・発展の加速」について考察する。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年8月号(通巻331号)

スペシャルレポート   時装中国―アパレル大国 中国のあゆみ
中国アパレル産業の発展状況6
辻美代  流通科学大学経済学部教授
中国は1978年の改革開放政策をきっかけに、今やGDP世界第2位を誇るまでに成長を果たした。この経済発展においては、アパレルが果たした役割は非常に大きい。ここでは、改革開放政策が始まった初期から世界の工場と呼ばれた成長期、ファッションや産業繊維などの世界最大の市場に成熟した現在に至るまでの政策動向や市場の歩みを紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
アフターコロナの中国アパレル市場と日系企業の内販10
岩下祐一  繊維ニュース上海支局長
中国のアパレル市場ではここ数年、「国潮」(国産ブランド熱)トレンドを背景に、様々な新興ブランドが誕生している。国内ブランドが力をつける中、日本をはじめとした海外ブランドの多くは厳しい戦いを強いられている。本稿では、国内有力ブランドの動きを紹介するとともに、日系企業の取り組みや生き残りをかけた今後の戦略についてまとめた。日本の「カワイイ文化」やテキスタイルを取り入れ、差別化を図る中国内陸部の若手デザイナーたちの声もお届けする。 /// 続きは本誌ご参照
Z世代の登場は中国ファッション業界の何を変えたのか16
劉佩芳  上海服装業協会副秘書長
Z世代(1995~2010年生まれの世代)は、中国において未来のトレンドではなく、今まさに2021年のC位(コアポジション)にある。購買力や富の大半はまだⅩ世代(1965~80年世代)とY世代(80~95年世代)にあるものの、デジタルネイティブとして青春を過ごすZ世代は、インターネットも活用して活気あふれるライフスタイルを自ら積極的に表現し、人々の視線を集めてこの時代に変革や影響をもたらすと同時に、消費市場にも大きな衝撃を与えている。消費市場の最先端にあるファッション市場は目まぐるしく変化し、間違いなくそのトレンドの方向を示していると言えるだろう。流行を追うファッションブランドは、現在も将来においてもZ世代を徹底的に調査し、それに相応しい商品を作り出すことが求められている。消費力の向上とZ世代の流行への発言権の移転は、中国のファッション業界にどのような変化をもたらしたのか。この変化の裏にはどのようなロジックがあるのか。デジタル化、国潮ブーム、持続可能、ファン経済の4つのキーワードで解説したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の外資導入政策の変遷と日系アパレル産業の歩み20
能瀬徹  上海華鐘投資コンサルティング有限会社総経理
中国の「改革開放」政策がスタートして40年余が経過した。この40年間で中国の名目GDPは240倍に成長し、米国に次ぐ世界第2位の経済大国に成長した。「改革開放」政策の柱は言うまでもなく外国資本を中国に積極的に導入し、これを自国の発展・成長のために利用することである。この外資導入政策がいかなる変遷をたどり、その過程で日本のアパレル産業の対中ビジネスがいかに変化して来たかを振り返り、その今後を検証してみたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年7月号(通巻330号)

スペシャルレポート   中国カーボンニュートラル達成へのロードマップ
地球温暖化をめぐる国際動向と中国のしたたかさ2
有馬純  東京大学公共政策大学院特任教授
2020年10月末に菅義偉首相が2050年カーボンニュートラル目標を表明して以降、我が国のエネルギー温暖化政策をめぐる情勢は大きく変化した。21年4月には米国主催の気候サミットにおいて菅首相が「2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、我が国は2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく」と表明した。国際社会、環境団体、主要メディアはこれを歓迎しているが、筆者はこれに同調する気になれない。長く気候変動交渉に関与してきた経験に照らすと、今回の菅首相のマイナス46%表明は、かつて日本が気候変動交渉で犯した失敗を繰り返すものに映るからである。 /// 続きは本誌ご参照
中国の炭中和戦略と動向6
高世楫/李継峰  国務院発展研究センター資源環境政策研究所所長兼研究員/同所エネルギー政策研究室副主任兼研究員
中国は2030年カーボンピークアウト、60年カーボンニュートラル(中国語:炭中和)達成公約を実現するためCO2排出量を削減するための努力を続けている。中国はこれまでCO2排出量の削減に豊富な経験を蓄積しており、太陽光発電、風力発電、新エネルギー車などの産業基盤を形成してきた。一方、CO2排出量削減に関する社会的コンセンサスの形成、発展と排出量削減の両立という大きな挑戦に向かって、広範かつ深遠な経済・社会システムの変革を推進していく必要がある。中国はイノベーション、協調、グリーン、開放、共有という13・5以降の新発展理念の下、グリーン・低炭素エネルギーの開発を軸として経済・社会発展の全面的なグリーン転換を行う。そして省エネ・環境の産業構造、生産モデル、ライフスタイル、空間構造の形成を加速、生態環境の保護を優先しグリーン・低炭素と質の高い発展の道を歩むことで、中国の現代化目標を実現する過程においてカーボンピークアウトとカーボンニュートラルを達成していく。 /// 続きは本誌ご参照
中国、2060年カーボンニュートラルに向けた発展戦略10
岡﨑雄太  環境省大臣官房総合政策課企画評価・政策プロモーション室長
中国政府は2020年、CO2排出量を2030年にピークアウトし、2060年にカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)を目指すことを宣言し、長期的な経済発展と脱炭素を両立させるべく、再エネや電気自動車(EV)などの普及拡大を進めている。その背景には、大学や政府研究機関の研究者が結集したチームによるシナリオ分析と政策提言があった。先進国が中国の目標は不十分であると圧力をかける中、多くの都市や企業が目標の前倒しを掲げ、排出量取引制度を始めとした具体策が進められている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の再生可能エネルギー政策と今後の戦略について―再エネの積極的導入によりCO2排出ピークアウトを目指す14
眞田晃  ⽇中経済協会北京事務所電⼒室⻑(一般社団法人海外電⼒調査会派遣)
習近平国家主席が2020年9月の国連総会で表明した「2030年より前のCO2排出量のピークアウト到達」、「2060年より前のカーボンニュートラル実現」は、“三〇六〇目標”と称され、中国の各級政府、企業が行動目標として掲げるに至っている。“三〇六〇目標”達成のために最も期待されている手段である再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の導入について習主席はさらに、20年12月の地球温暖化対策に関する国連会合(世界気候サミット)で、「2030年の風力・太陽光発電の設備容量を12億kW以上とする」と宣言している。本稿では、具体化しつつある“三〇目標”達成の道筋と巨大かつ困難なチャレンジである“六〇目標”について再エネの視点から紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年6月号(通巻329号)

スペシャルレポート   中国 変貌する金融のいま
中国の商業銀行のガバナンスとリスク管理上の課題―主要株主はどうあるべきか6
岡嵜久実子  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
WTO加盟後の約20年で、中国の銀行業金融機関は目覚ましい発展を遂げた。しかし近年、一部ではあるが、不良債権の増大、さらには経営危機の問題など、金融リスクが顕現化しつつある。2010年代半ば以降に取り組んできた金融監督体制の整備をさらに浸透させるとともに、影響力を持つ主要株主のあり方を見直す必要性が高まっている。 /// 続きは本誌ご参照
金融リスク抑制に注力する中国人民銀行―不動産バブルを抑制しつつ、危機対応からの脱却を慎重に模索10
佐藤直昭  みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部アジア調査チーム主任エコノミスト
中国は景気が堅調に回復しているものの、中国人民銀行は、政策の継続性を重視し、景気の安定維持に配慮しつつ、段階的に金融政策の正常化を行う姿勢を示している。中国が危機対応からの脱却を慎重に進める背景には、大規模緩和に伴う悪影響が顕現化し、金融リスクへの対応を迫られている影響している。2020年半ば以降、中国人民銀行は、最大の金融リスクとされる不動産バブル抑制策を打ち出し、不動産市場の沈静化を図った。今後も人民銀行は、慎重な流動性の調節を継続し、バブル抑制策の効果や景気の回復ペース、企業債務の改善状況をみつつ、慎重に金融政策の正常化を図る見込みである。 /// 続きは本誌ご参照
中国のモバイル決済とデジタル人民元―データをめぐる政府とプラットフォーマー14
員要鋒  帝京大学経済学部准教授
いよいよ始まったデジタル人民元の実用実験だが、まだその経済的効果や利便性は明確になっていない。本稿では下記の観点からモバイル決済との比較からデジタル人民元について論じてみたい。(1)中国モバイル決済市場で進む寡占:Alipay(支付宝)とWeChatPay(微信支付)の二者択一に、あなたならどう対応するか?(2)データ独占をめぐる政府とプラットフォーマー:データは誰のものか?(3)デジタル人民元とモバイル決済:デジタル人民元時代にAlipayとWeChatPayは優位性を維持できるか? /// 続きは本誌ご参照
中国債券市場の成長と対外開放の枠組み18
関根栄一  野村資本市場研究所北京代表処首席代表
2020年、中国債券市場は、世界第2位の規模に達した。同年は、新型コロナ禍に伴う景気対策が行われ、資金需要が拡大したことにより、発行金額も前年比26%増に達した。中国債券市場の投資家は商業銀行、金融商品、海外機関投資家等から構成されるが、保有状況は銘柄によって異なる。中国債券市場では、01年12月の世界貿易機関(WTO)加盟以降、外国人投資家向け投資制度が創設され、徐々に緩和されてきた。投資に伴う税制制度や格付け市場の整備を通じ、開放のレベルがさらに引き上げられることが期待される。 /// 続きは本誌ご参照
新型コロナウイルスと高まる医療保障への需要―イノベーションと規制の狭間で22
片山ゆき  株式会社ニッセイ基礎研究所保険研究部准主任研究員
中国の保険市場は世界第2位の規模まで成長し、イノベーションを通じた市場成長にも積極的だ。しかし、現在は、アント・グループのIPO延期に見られるように、イノベーションというアクセルを踏みながらも、オンライン上の金融・保険サービスという新たな民間保障のあり方にはブレーキを踏むという、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態にある。新型コロナの経験を経て、保険会社は新たなヘルスケア経済圏を形成しつつあり、イノベーションと規制の狭間において新たな成長モデルを模索し続けている。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年5月号(通巻328号)

スペシャルレポート   2021年全人代分析―第14次五カ年計画がスタート
第14次五カ年計画の注目点6
田中修  日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター上席主任調査研究員
3月11日、第13期全国人民代表大会第4回会議で「中華人民共和国国民経済・社会発展第14次五カ年計画と2035年までの長期目標要綱」が承認された。計画は質の高い発展を重視し、期間中の平均成長率を提起しなかった。また、イノベーション、内需中心の成長、CO2排出削減、共同富裕の促進、食糧、エネルギー・資源、金融の安全保障が重要政策となっている。2021年のマクロ政策は、急転換はしないとしながらも、財政政策は「財政の維持可能性」、金融政策は「マクロレバレッジ率の基本的安定」が重視されている。 /// 続きは本誌ご参照
炭素排出実質ゼロに向けた中国第14次五カ年脱炭素・エネルギー計画の基本方針と課題10
李志東  長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学専攻教授
2020年9月、中国は二酸化炭素排出量を30年までにピークアウトさせ、温室効果ガス排出量を60年までに実質ゼロとする温暖化防止の「3060目標」を国際公約として国連総会で公表した。公約達成の担保となる「国民経済・社会発展第14次五カ年計画と2035年までの長期目標要綱」は、21年3月11日に閉幕した第13期全国人民代表大会第4回会議で採択された。今後は計画をどこまで具体化・実現できるかが注目されることになる。本稿の目的は、温暖化防止に関する「3060目標」の概要と取り組みの現状を把握するとともに、炭素排出実質ゼロに向けた第14次五カ年計画の基本方針と課題について検討を試みることである。 /// 続きは本誌ご参照
第14次五カ年計画に見るヘルスケア産業の発展政策14
鶴田祐二  野村綜研(上海)咨詢有限公司副総経理・産業三部総監
新型コロナウイルスの影響が長期化する中、世界の2021年は先行き不透明な中での船出となった。一方中国では、第14次五カ年計画は、成長の羅針盤として産業別にビジョンが示されており、中でもヘルスケア産業は疾病予防から始まり、国民の健康に対するコミット、デジタル医療から医療機器や新薬開発のイノベーションまで極めて明確な方向性が示されている。当該産業の成長は疑う余地のない一方、集中購買、医療機器、新薬の国産化など注目すべき動向も見られ、日本企業は戦略の見直しが迫られている。 /// 続きは本誌ご参照
2035年へ向けたグローバル・サプライチェーンの再編―「外資導入」・「国内産業育成」融合による「産業集積」18
朽木昭文  放送大学教養学部客員教授
中国では「外資導入」と「国内産業育成」の産業政策路線をめぐって論争があった。2005年、筆者が出席した広州市花都区での「2005花都自動車フォーラム」において、龍永図氏(01年WTO加盟の首席交渉代表)は外資導入を重視する立場から中国自主ブランドは必ずしも必要ではないと発言した。これに対し何光遠氏(元機械工業大臣)は外国から技術や管理を学びつつ自主ブランドを発展させることこそが重要であると国内産業育成を主張し、多くの参加者から喝采を浴びた。現在、両路線は融合して戦略的新興産業集積政策となって第14次五カ年計画にも組み込まれており、グローバル・サプライチェーンの再編に大きな役割を果たすだろう。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年4月号(通巻327号)

スペシャルレポート   中国に住まう、商う中国不動産の現実
中国の不動産政策と市場動向2
安田明宏  三井住友トラスト基礎研究所海外市場調査部主任研究員
世界的に新型コロナウイルス(以下、COVID-19)が猛威を振るう中、中国経済は早い回復を見せており、不動産市場もおおむね巡航速度の範囲に戻っている。感染再拡大の懸念は残るが、不動産デベロッパーの債務拡大や住宅価格の高騰といった、従来から続く構造的な問題への対応や公募REITなどの新たな市場の創設に動き出している。本稿では、COVID-19の影響を交えながら不動産市場の動向を概観し、注目される不動産関連政策について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国不動産証券化の現状と今後の見通し―期待できるインフラ公募REITの導入6
胡笳  ニッセイ基礎研究所社会研究部研究員
不動産証券化とは、不動産保有者が持つ不動産を対象に、将来安定して見込める収益を基に資金調達を行う手段である。現在、中国の不動産証券化としては、房地産投資信託基金(類REIT)、商業不動産担保証券(CMBS)、運営収益権担保証券、管理費担保証券や住宅ローン担保証券などが挙げられる。加えて、2020年4月、中国はインフラセクターにおける国際基準を満たした公募REIT(インフラ公募REIT)を創設すると発表した。本稿では事業用不動産に着目し、類REIT、CMBS、インフラ公募REITを中心に、中国不動産証券化の現状と今後の見通しについて紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国都市開発事業における森ビルの取組み―上海で展開する森ビルの街づくりと挑戦10
叶一成  森ビル株式会社グループ執行役員、森ビル(上海)有限公司董事・総経理
長期的視野に立った都市のグランドデザインを描き、未来へ向けて地域やコミュニティの可能性を引き出し、発展の力となる都市を創り、都市を育む使命を担う森ビルは、「Vertical Garden City―立体緑園都市」と3つのテーマ「安全・安心」「環境・緑」「文化・芸術」を重視した街づくりを中国・上海で如何に展開してきたのか。弊社の中国事業の歩みを紹介するとともに、中国の不動産・都市開発の変遷、近年のトレンドを解説し、今後の展望を探る。 /// 続きは本誌ご参照
日系企業のオフィス・住宅事情と直面する課題14
小金井英生  STARTS(スターツ)世達志不動産投資顧問(上海)有限公司董事長総経理
スターツコーポレーション株式会社(本社東京都中央区)は、1986年のハワイ出店を皮切りに、現在は21の国と地域・35都市(2021年3月1日時点)で、日系企業向けの不動産仲介や不動産管理などのコンサルティングをはじめ、ホテル、サービスオフィス、レンタルファクトリー、駐車場の運営、そして個人向け投資など幅広い事業を展開し、年間約1000社の日系企業をサポートしている。中国では、03年に上海で現地法人を設立。現在は北京・広州・武漢のほか、台湾や香港に拠点を拡大した。上海では不動産仲介サービスを中核として、サービスオフィスの運営も行っている。当社は多様化する日系企業のニーズに応え、働き方の変化やBCP(事業継続計画)に対応したオフィス環境整備のほか、住まい探しにおける「赴任前サポート」からコロナ禍で心配される「赴任地の生活情報と着任後サポート」の提供まで、赴任者が中国で仕事に集中できる環境づくりの支援にも努めている。本稿では、日系企業の入居するオフィス、住宅事情について、北京・上海・広州3都市の比較を交え、直面している課題や必要な対策を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
不動産分野における日中協力―万科インダストリーシティの取組み18
瀋陽万科企業有限公司中日インダストリーシティプロジェクトチーム
中国各地では、産業園(産業パーク)構想を推進する動きが加速している。地理的なアドバンテージや既存産業・資源などを活用し、一定のエリアに内外の企業を誘致するもので、都市の開発と合わせ、地元の経済発展への起爆剤としても期待されている。ITや電子産業、医療、物流、環境といった産業セクター別のパークのほか、日本やシンガポール、ドイツなど誘致する外資企業の国籍を絞ったものもある。瀋陽万科企業有限公司は、遼寧省・瀋陽市内で「瀋陽万科中日インダストリーシティ」プロジェクトの開発を2019年から計画し、21年に本格的に建設工事をスタートさせる。これは、中国でも初めてとなる地元政府と民間企業が共同で進める産業園の建設であり、日本企業の誘致に特化した新たな試みである。本稿では、プロジェクトの紹介と当社の取り組みなどを、林曈総経理のメッセージを交えながら紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年3月号(通巻326号)

スペシャルレポート   新たな価値創造―中国文化産業
文化強国を目指す中国―ソフトパワー重視と文化産業振興6
中川涼司  立命館大学国際関係学部教授
中国は2000年ごろから文化産業振興を、国内的また対外的な文化ソフトパワーの向上とリンクさせながら進めてきた。20年の中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議では35年までに「文化強国」となることを目指すことが明確化された。文化産業振興政策の下、アニメ、特撮映画、実写映画それぞれが量的にだけでなく、質的にも劇的な成長を遂げた。ハリウッドなどへの進出も進み、映画における中国イメージは大きく改善された。しかし、それをめぐって不満に思う流れも強くなっている。その典型は20年のディズニー『ムーラン』公開をめぐる議論であった。 /// 続きは本誌ご参照
変動する中国コンテンツ産業―構造転換と海外展開の動向10
青﨑智行  白鷗大学経営学部教授
急速に成長してきた中国コンテンツ産業は、デジタル・プラットフォームの台頭に伴う市場競争激化や情報・言論の管理統制をめぐる政策強化などに加え、新型コロナウイルスや国際環境といった外的要因によっても変化を余儀なくされている。こうした状況が中国コンテンツ産業との連携に商機を見出そうとする諸外国の事業者にも様々な形で影響を及ぼすことは必至で、日本も例外ではない。中国コンテンツ企業との協業・競争は既に新たなステージに突入している。 /// 続きは本誌ご参照
文化産業としてのカラフルツーリズム―紅色旅遊について14
舛谷鋭  立教大学観光学部教授
新型コロナ発生源とも言われる中国の観光産業は、湖北省武漢市を含む中南地域だけでなく、全国的に大きなダメージを被った。日本と同様にインバウンドは「蒸発」し、中国への国際観光客到着者数はフランス、スペイン等に次ぎ、タイを凌駕しアジアトップ(UNWTO〔国連世界観光機関〕、2018。以下同じ)に位置していたが、400億ドル近くの観光収入が失われたと見られる。世界のアウトバウンドツーリズムで国際観光支出の5分の1に当たる2800億ドル近くを占めた中国人観光客は、目的地を海外から国内に切り替えた。コロナ前は人口の1割が海外旅行をし、27年までには2割に達すると見込まれていたが、先行きは不透明だ。もう一つ気になる点は米中対立で、イスラムフォビアの進んだ21世紀初頭に中東ムスリム観光客が欧米からイスラムフレンドリーなアジアへ目的地を移したように、中国人観光客の欧米回避や東南アジア回帰、そして、ますます内向きに、紅色旅遊を含む国内再発見が進むかもしれない。 /// 続きは本誌ご参照
文化交流が拓くポストコロナ時代の中日共同発展の道18
潘林  中国国際経済交流中心交流部対外項目処副処長
2020年、新型コロナウイルス感染拡大は中日間の人文交流を停滞させた。しかし、我々隣国は苦楽を共にしてきたことで、両国民の心の絆をより緊密なものとした。中日両国の連綿と続いてきた2000年にわたる歴史文化の淵源は、両国関係の基礎を築いたばかりでなく、100年に一度の疫病と変局が交錯する今日においても現実的な意義を有していることを証明した。中日両国は同じアジアの国、東洋文化圏にあるという共通の価値を見出し、手を携えて常態化する新型コロナウイルスの抑え込みとポストコロナ時代に向けた協力を展開する中で、引き続き重要な役割を果たすものと信じる。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年2月号(通巻325号)

スペシャルレポート   第14回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
中国における環境問題の動向と日中関係2
染野憲治  早稲田大学現代中国研究所招聘研究員、独立行政法人国際協力機構「環境にやさしい社会構築プロジェクト」チームリーダー
20年1月23日、春節前の最後の出勤日、勤務する北京の日中友好環境保全センターでも武漢で発生している肺炎への注意が高まり始め、中国の同僚からは良いお年をという言葉と共にN95マスクを渡された。中国生態環境部(以下、MEE)では、2月1日に新型コロナウイルスに関連した医療施設および都市汚水の監督管理に関する通知を出すと、その後も緊急対応の施設整備に対する環境アセスメントの特例措置、環境汚染防止の財政資金を感染状況が深刻な地域の水質汚染対策や廃棄物処理へ重点配分する指示、医療廃棄物および排水の処理状況や水源地の環境モニタリング結果の公表を続けた。筆者にも同僚から日本における医療廃棄物処理や医療施設の排水処理に関する質問が届き、日本の感染性廃棄物処理マニュアルの提供などを行った。春節から数カ月間、新型コロナウイルスの猛威は環境分野にも大きな影響を与えた。 /// 続きは本誌ご参照
全体会議―脱炭素社会に向けたエネルギー協力6
日中経済協会
2020年12月20日、日中経済協会は、経済産業省、国家発展改革委員会、商務部との共催で、日本会場、中国会場をオンラインでつなぎ「第14回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。全体会議には、日本側は梶山弘志経済産業大臣、宗岡正二当協会会長、保坂伸資源エネルギー庁長官、中国側は何立峰国家発展改革委員会主任、唐登傑国家発展改革委員会副主任、李成鋼商務部部長助理など、両会場には合わせて450人を超える官民関係者が参加した。コロナ禍により日中間の実質的な往来が難しい中、今回初めてオンライン形式で行われた本フォーラムは同時にオンライン配信を行い、会場以外でも多くの参加者を得た。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー効率の向上(省エネ)分科会10
平槇早彌佳  日中経済協会事業開発部
省エネルギーの推進が、エネルギー消費の削減と経済成長の両立における重要課題であるという共通認識のもと、日中両国での関連政策紹介や、エネルギーマネジメント等の分野に関連する企業間交流の活性化をテーマとした事例の紹介と議論が行われた。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会10
能登麻規子  日中経済協会東北開発・イノベーション事業部
2020年、日中双方がカーボンニュートラル実現に向け努力目標を表明したことを踏まえ、自動車分野においても世界各国で省エネ・環境への対応および技術進歩が期待されている。こうした中、自動車分科会は今回で14回目の開催となり、オンラインを含め日中合計約180人が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
水素・クリーン電力分科会11
藏田大輔  日中経済協会東北開発・イノベーション事業部主任
19年に初めて本フォーラムの分科会として設置された「水素」に加えて20年は「クリーン電力」を合わせた形で本分科会が開催された。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易(水環境対応と汚泥処理)分科会11
清水綾  日中経済協会事業開発部
本分科会は毎回、日中長期貿易協議委員会・省エネ等技術交流促進部会と中日長期貿易協議委員会・省エネ環境保護技術合作分会の間で開催されている。今回日本側は経済産業省製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室、中国側は商務部アジア司と対外貿易司のもとで、国家発展改革委員会資源節約・環境保護司の中国機電産品輸出入商会の実務協力を得て実施された。今回の参加者数は、中国側60人、日本側60人(内オンラインは37人)に上り、水・汚泥ビジネスへの関心の高さがうかがえた。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー・環境分野における日中協力モデルプロジェクト12
日中経済協会
本フォーラムでは、14件の日中協力プロジェクト調印の発表が行われた。日本側は梶山弘志経済産業大臣、宗岡正二当協会会長、保坂伸資源エネルギー庁長官が、中国側は何立峰国家発展改革員会主任、唐登傑国家発展改革委員会副主任、李成鋼商務部副部長がそれぞれ立ち会う中、プロジェクトが披露された。日本会場では1~9の日本側プロジェクト代表者が登壇し、10~12の日本側プロジェクト代表者は中国会場で登壇した。今回を含む14回のフォーラムで発表された調印プロジェクトは累計で402件となった。 /// 続きは本誌ご参照
技術交流会13
清水綾  日中経済協会事業開発部
日中省エネルギー・環境総合フォーラムが第10回の節目を迎えた2016年以来、毎年中国の地方都市にて、経済産業省および日中経済協会、国家発展改革委員会および中国地方政府などとの共催で、日中協力プロジェクトの形成促進に向けたビジネスマッチングを主眼とする技術交流会を開催している。20年は10月22日に、山東省・青島市を開催地として日本会場などとオンラインでつないで行った。一般視聴者向け配信サイトではピーク時で約5700人が視聴し、関心の高さがうかがえた。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国デュアル・サーキュレーション発展のゆくえ
中国の新たな発展戦略となる「双循環」―「国内循環」と「国際循環」の相互促進を目指して14
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
中国は長い間、技術・部品と市場を共に海外に大きく依存する加工貿易をテコに発展してきた。しかし、近年、労働力が過剰から不足に転じたことに加えて、海外における保護主義の台頭と米国における対中デカップリング政策の実施を受けて、加工貿易を中心とする「国際循環」に頼った発展戦略の限界が露呈されている。これに対して政府は、「国内循環」と「国際循環」の新たなバランスを目指す「双循環」戦略を打ち出している。 /// 続きは本誌ご参照
新インフラ建設と双循環構想は何を目指しているのか18
高口康太  ジャーナリスト、千葉大学客員准教授、週刊ダイヤモンド特任アナリスト
2020年は中国経済にとって激動の一年となった。もともと第13次五カ年計画の最終年という節目であったが、それに加えて新型コロナウイルスの流行というアクシデント、そして米中対立の激化という対外的課題が降りかかった。歴史的に見てもきわめて異例なレベルの激動の年となったが、中国政府はきわめて抑制的な対応を示している。「新インフラ」「双循環」という2つのタームからこの点を考えてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
コロナ後の中国消費・流通市場トレンド22
郷裕  株式会社野村総合研究所ICTメディア・サービス産業コンサルティング部上席コンサルタント
現在も世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国経済はいち早く回復し、消費も活性化している。特に、これまでも成長を続けていたオンライン市場はコロナ禍を経て成長に拍車がかかり、ますますデジタル化が進んだ。流通小売業もデジタル領域に積極的に投資をした結果、リテール・イノベーションが常態化し、消費者もデジタル社会下で消費価値観や消費スタイルに変化が起こっている。本稿では、中国消費・流通市場のメガトレンドとともに、コロナ禍がもたらした市場のさらなる変化とビジネスチャンスを紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2021年1月号(通巻324号)

スペシャルレポート   2021年中国経済を問う
2021年中国経済―全面的小康社会実現後の道筋4
高見澤学  日中経済協会調査部長
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい景気が大きく後退した2020年は終わりを告げ、新しい年が始まった。中国では第13次五カ年計画に対する総括が行われ、新たに第14次五カ年計画策定に向けて目標が示されている。今のところ、感染症対策と景気対策の両立に成功していると思われる中国だが、より不確実性が高まっていることは間違いない。第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)での議論を踏まえ、21年の中国経済を占ってみたい。 /// 続きは本誌ご参照
2021年の中国経済の展望と日中関係の新動向8
柯隆  東京財団政策研究所主席研究員
2021年の中国経済の展望について尋ねられたら、「短期的には楽観的で、中長期的には慎重に見ている」と答える。20年、習近平政権は「双循環経済モデル」を打ち出した。「双循環経済モデル」とは、引き続き外需の拡大に努めると同時に、内需を刺激し経済成長を維持する考えである。もっとはっきり言えば、米中対立が長期化し新型コロナ危機が終息していない中、外需の拡大が期待できないため、内需重視で経済成長を維持していくという方針であろう。 /// 続きは本誌ご参照
困難な時期を迎えた日中ビジネス―日本企業に求められる理念と対中距離感12
後藤康浩  亜細亜大学都市創造学部教授
米中の対立が先鋭化する中で、日本企業は対中ビジネスにおいて、まったく新しい覚悟と行動を求められている。米中の政治体制、政策のいずれを支持するか、判断を迫られる局面が今後、出てくるからだ。必要なのは企業として揺るぎない理念、原則を確認し、歴史的な評価を受けても恥じることなき行動をとって行くことだろう。 /// 続きは本誌ご参照
ポストコロナにおける中国フィンテック政策の強化と展望16
邵永裕  みずほ銀行中国営業推進部特別研究員(学術博士)
コロナ禍の影響と国内金融情勢のタイト化および国際通商関係の不安定などの状況下においてデジタル経済の発展をリードしてきた中国フィンテック分野の業況と政策が注目されるが、本稿では中国フィンテックの最新業況の概観とポストコロナにおける中国政府の強化策の展開を整理し、その行方を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国におけるエネルギー需給動向について20
郭四志  帝京大学経済学部・大学院教授
2020年に入って以降、第4次産業革命の着実な進展や米中摩擦の深刻化に加え、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生、蔓延し、中国経済やエネルギー需給を取り巻く環境は大きく変わっている。こうした中、世界第1位のエネルギー消費大国である中国のエネルギー需給がどうなっているか、エネルギー需給構造の課題やそれに対する政府の取り組みはどのようなものか、そして中国がクリーンエネルギーを目指し、ポストコロナのエネルギー需給構造をどのように転換していくのかについて述べてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の地域発展戦略―中国中部地域から見た中国内需拡大の展望24
佐伯岳彦  独立行政法人日本貿易振興機構武漢事務所長
中国の国内市場の形成や内需拡大は、2000年代初期から今次第14次五カ年計画に関する建議が採択されるに至るまで、中国の経済政策の重要な一環を占めてきた。「双循環」のうち、国内大循環を成功させるためには、広大な中国の内陸地域を発展させることが肝要である。そこで、「長江経済ベルト」を牽引する中国の中部地域(湖北省を中心とする4省)の特徴について紹介しつつ、同地域が地域発展戦略で果たす役割について論ずる。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年12月号(通巻323号)

スペシャルレポート   14億人の胃袋を支える中国食糧事情
世界の食料需給と中国6
小泉達治  経済協力開発機構(OECD)農業貿易局食料・農業市場貿易課農業政策分析官
中国では、今後、旺盛な食料需要量増加に対して、生産量の増加が追い付かず、食糧や他の農畜産物でも純輸入量が増加する見込みである。一方で世界全体では、今後、食料生産量の増加率が需要量の増加率を上回ることにより、多くの国際食料価格が下落基調で推移する見通しである。ただし、今後の見通しにおいては、新型コロナウイルス(COVID-19)のさらなる感染拡大等のリスクや不確実性も依然としてある。 /// 続きは本誌ご参照
中国の食の安全保障10
柴田明夫  株式会社資源・食糧問題研究所代表
食糧安全保障については、転ばぬ先の杖を5年、10年先に付いているのが中国だ。最近の同国の大豆、トウモロコシ、豚肉などの爆買いの背景には、将来の食料危機に対する備えがあるようだ。中国は、食料については近年、これまでの「95%自給」原則から、「自給プラス輸入」に大きく舵を切っている。具体的には、食料の輸入拡大に加え、農業の海外進出戦略を進めることだが、それは世界の食糧市場における大きな不安定要因となる「戦略転換」でもある。 /// 続きは本誌ご参照
コロナと米中対立による中国農業・食料政策の転換―食料増産と輸入先多様化へ14
阮蔚  農林中金総合研究所理事研究員
コロナウイルスの世界的な感染拡大は一年になろうとしているが、その終息の気配はなく、世界各国の経済、社会、政治に甚大な影響を与え続けている。コロナが中国の食料・農業政策に与えた最大の影響は2015年からの食料減産政策の中断と増産再開である。さらに国内増産にとどまらず、冷戦状態に陥っている米国からの農産物輸入の拡大、輸入先の多様化など食料・農業の国家管理を強化している。端的に言えば、中国は食料確保のための準戦時体制に向かおうとしている /// 続きは本誌ご参照
日本の農産物の中国輸出ビジネスの近況18
吉田賢哉  株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門シニアマネジャー
現在9,000億円強の日本の農産物輸出額は、日本政府が輸出拡大を後押ししていること、海外において日本食への関心が高まっていることなどを背景に、今後一層拡大していくことが期待される。中国は、日本の農産物にとって現状では2番目に大きな輸出先であり、巨大なポテンシャルを有している市場であることから、日本の官民が一体となって積極的に中国向けの輸出拡大策を推進していくことが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
中国農業を脅かす自然災害22
横山達也  日中経済協会調査部次長
2020年の世界は、新型コロナウイルスによる混乱だけではなく、例年にも増して気候不順や天災に見舞われた年となっている。世界気象機関(WMO)の発表では、地球の年間平均気温は観測史上、最も高いと予測され、日本にも酷暑や大型台風の襲来、大雨などの災害をもたらしている。日本の約26倍という広大な国土を誇る中国では、大洪水や干ばつなどの災害がより多く、広範囲に発生し、農業に深刻な被害を与えた。また、18年から中国全土に感染が拡大したアフリカ豚熱の影響は今も大きく、養豚数の激減により豚肉価格は高止まりを続けている。さらには、食物を食い荒らすバッタの大量発生も報告されている。中国政府は20年8月、主要穀物は1年分の備蓄があり、その他の農作物も需給バランスが崩れることはないと発表しているが、相次ぐ災害に不安の声も少なからずあるようだ。ここでは、中国の農業生産に大きな影響を及ぼす自然の脅威について触れてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー「この人に聞く」―中国の食を伝えて親子3代:赤坂四川飯店・陳建太郎さん24
横山達也  日中経済協会調査部次長
焔わき立つ中、真剣なまなざしでリズム良く中華鍋を振り続ける。丁寧に下茹でされた豆腐にオリジナルの豆板醤などを加えて生み出される「麻婆豆腐」は、祖父の代から受け継ぐ伝統の味だ。東京都千代田区に本店「赤坂四川飯店」を構える四川飯店グループは、初代の故陳建民氏から数えて62年を迎え、今日では3代目となる陳建太郎さんが切り盛りする。四川料理の神様と呼ばれた建民氏、父で「料理の鉄人」として全国に名を知られた2代目の建一氏の跡を継ぎ、経営者として、また一人の料理人として活躍する建太郎さんにお話を聞いた。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年11月号(通巻322号)

スペシャルレポート   越境ECで広がる中国との新たなビジネスチャンス
越境ECビジネスの現状と今後の展開6
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
本号スペシャルレポートでは、成長著しい日中間の越境ECをめぐるビジネス環境の現状を把握し、課題を整理することで、日本企業にとっての新たなビジネスチャンスの方向性を探ることを目的に、研究者、弁護士、実務に携わる事業者および浙江省商務庁の皆様に、5つの専門的視点から紹介と解説をお願いした。本稿では、越境ECの全体像を概観するとともに、中国の各種政策・法規の動向を踏まえて、今後のビジネス展開に関する提案にも触れた。 /// 続きは本誌ご参照
中国向け越境ECにおける日本企業のビジネスチャンス10
竹内英二  日本政策金融公庫総合研究所特任研究員
人口の減少と高齢化が進む中、日本企業にとって海外市場の開拓は欠かせない。海外市場を開拓するには、海外での出店、商社を通した輸出、観光客の誘致といった方法があるが、比較的取り組みやすいのは、インターネットを使って海外の消費者に販売する越境ECである。特に中国は市場が大きいうえに、日本製品の人気が高く、中小企業にとってもチャンスは大きい。ただし、競争は激しく、投資もかさむ傾向にある。参入に当たっては慎重さが求められる。 /// 続きは本誌ご参照
中国リアル店舗との融合による越境EC事業の推進14
手塚貴博  平和堂(中国)有限公司広告電商事業部助理
世界最大のネット社会である中国において、日本商品の人気・需要は依然高いものがある。そのような状況の中で、「越境EC」は中国の消費者が日本商品を含めた海外の商品を手軽に入手できる有効な手段として認知されている。弊社も2017年から越境EC事業を立ち上げ、中国現地実店舗と連動させながら重点事業として展開している。 /// 続きは本誌ご参照
越境ECの特徴と市場参入にあたっての留意点18
高岡正人  株式会社エフカフェ取締役
中国の消費者は、多くが中国大手のプラットフォーム事業者が運営する越境ECサイトを利用している。日本企業としては、各事業者がこれまでの実績を踏まえて出店者に提供しているサービスを効果的に活用しつつ、いずれかのサイトに出店することが、中国市場への本格的参入の第一歩になると考えられる。本稿では、Tmallグローバルを事例とした越境ECの特徴と自社サイト開設までの一連の手続き、ならびに市場参入にあたっての留意点を解説する。 /// 続きは本誌ご参照
浙江省における越境ECの発展概要と日本企業との協力強化への期待20
浙江省商務庁
浙江省は中国国内でも有数の越境ECプラットフォーム集積地であり、中国と日本、世界の市場をつなぐ重要なハブとなっている。2015年に杭州市が国務院から全国初の越境EC総合試験区として承認されたのを皮切りに、同区の設置はすでに省内10都市に拡大している。政府と民間が一体となって越境ECのエコシステムの進化を推進し、市場の急速な成長を後押ししている。本稿では、浙江省商務庁から越境ECの発展状況および日本企業との協力の可能性、さらには同省の代表的企業をご紹介いただいた。 /// 続きは本誌ご参照
日中間の越境ECに係る法律問題24
安翊青/張駿  上海里格法律事務所首席パートナー弁護士/同シニアパートナー弁護士
中国の越境EC市場への参入を希望する日本企業は、今後の市場開拓と事業展開を推進するうえで越境ECに関する法律の理解が必要不可欠である。本稿では、日本企業のサポートとなるよう、越境ECのビジネスモデルを概観し、中国政府の各種振興政策を紹介するとともに、法的リスク回避につながる関連の手続き、税金および企業としての注意点などを解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年10月号(通巻321号)

スペシャルレポート   中国の改革開放と新たなビジネスモデル
パンデミックと「改革開放6
加茂具樹  慶應義塾大学総合政策学部教授
中国の「改革開放」という路線は、パクス・アメリカーナ(米国覇権の下の平和)とグローバル化の深化が、その展開を支えてきたといってよい。新型コロナウイルスの感染爆発(パンデミック)は、この二つの要素を揺るがしている。パンデミックは、中国の「改革開放」にとっても、時代を画する事件となりそうである。 /// 続きは本誌ご参照
変化する中国の労働市場と雇用対策10
箱﨑大  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター主任調査研究員
新型コロナウイルスの流行が沈静化に向かうと、中国の政策の重点は雇用の安定にシフトした。焦点は大学生と農民工だ。コロナ禍では、かつて一握りのエリートであった大学生の余剰が再確認される一方、農民工は現場復帰の遅れ、つまり不足が問題となった。コロナ禍が終息すれば、対面型ビジネスの制限が緩み、景気回復テンポは速まるであろうが、それは少子高齢化に伴う労働力不足の問題が再燃し、企業がその対応に追われるということでもある。 /// 続きは本誌ご参照
中国のビジネスモデルと「社会性」―ファーウェイの事例からの示唆14
全洪霞/髙久保豊  日本大学大学院商学研究科博士後期課程/日本大学商学部教授
経済のグローバル化やデジタル経済の進展を踏まえ、世界的にもビジネスモデルの転換が議論されている。こうした中、最近では経営方針の主眼を「経済性」から「社会性」に転換しつつある中国企業も少なくない。そこで本稿では、グローバルに事業を幅広く展開しているファーウェイ(華為技術)の「Win-Win志向」の取り組みを事例として、新たなビジネスモデルに向けた分析を試みたい。 /// 続きは本誌ご参照
岐路に立つ日中ビジネス―新たな協業の可能性を求めて18
林千野  双日株式会社海外業務部中国デスク、北東アジアデスクリーダー
現在、世界の情勢は日に日に不確実性を増しており、私たちは大きな「危機」に直面していると言えるだろう。しかし、使い古された言い回しではあるが、「危機」には「危険」と「機会」の2つの側面がある。ここでは、「日中ビジネス」に的を絞り、目前の「危機」を「機会」につなげるために、筆者の実体験も踏まえ、中国の発展の軌跡や着目すべきいくつかの事象を切り口として、今後の新たな協業の可能性を考察してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネス環境改善最前線22
高見澤学  日中経済協会調査部長
改革開放以来、時代の要請に合わせて姿形を変えてきた対外開放政策は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大と米中経済対立によって大きな岐路に立たされている。ビジネススタイルも従来とは異なり、モデルとなる前例がない中で新たなビジネスモデルの構築が求められている。中国におけるビジネス環境の改善を訴えてきた日本経済界だが、今後はこれまでの改善要望に加え、新たなビジネスモデル構築に向けたビジネス環境の整備・改善についても対応を検討していかなければならない。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年9月号(通巻320号)

スペシャルレポート   中国の「走出去」政策―新局面を迎えた中国の対外経済戦略
中国の対外経済戦略の調整―コロナ禍への対応と今後6
大西康雄  科学技術振興機構中国総合研究・交流事業特任フェロー
新型コロナウイルスの感染流行が短時間で世界を席巻したことは、図らずも、中国の「一帯一路」構想によってヒト、モノ、カネの流動が加速していた現実を見せつけた。それが世界経済に与える負の影響は、世界大恐慌以来のものになるとの予測もある。こうした状況下で、「一帯一路」構想に代表される中国の対外経済戦略が見直しを余儀なくされていることは間違いないであろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国の「一帯一路建設」、「環境配慮」の産業クラスター網によるサプライチェーン形成10
朽木昭文  放送大学教養学部客員教授
ポスト・コロナにおいて、中国は新型インフラ建設、自由貿易試験区、一帯一路共同建設の三位一体の政策により「産業クラスター」を形成する。グリーンとデジタルがキーワードとなる集積である。つまり、グリーンの「エコシステム」の下でデジタルの「次世代情報産業」クラスターを形成するのである。中国の産業クラスターは、一帯一路共同建設により参加国と「連結」され、中国国内、欧州、アフリカ、南米をネットワークとする「サプライチェーン構築」を進める。 /// 続きは本誌ご参照
中国の「一帯一路」構想における対外金融協力の枠組み14
関根栄一  野村資本市場研究所北京代表処首席代表
中国の「一帯一路」構想の下における対外金融協力の枠組みは、2015年3月ビジョンの中で、従来の取り組みを同構想向けに位置付けなおしたものや、新たに創設した資金協力手段から構成される。二国間では現地通貨建て決済や債券市場の協力、多国間ではアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が含まれる。15年9月以降は、「一帯一路」の英文呼称が変更され、債務への配慮や、制度・市場・人材作りにも焦点が当てられている。AIIBによる新型コロナ禍対応金融支援も注目される。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」戦略に潜む債務持続性の問題をどう見るべきか18
唱新  福井県立大学経済学部経済学科教授
中国の一帯一路構想は参加国との貿易と投資を拡大させた一方、投資相手国の債務問題がたびたび懸念されている。こうした中で、米国発の「債務の罠」、「債務外交」などで、中国の「一帯一路」を批判・否定する論調も高まっている。実際には、一帯一路構想で実施した建設プロジェクト自身は相手国に債務問題を直接的に引き起こすわけではないが、一部の途上国では大規模なインフラ投資により、債務の持続性も無視できる状況にない。2019年6月に世界銀行は一帯一路構想に関する報告書を発表し、中国の一帯一路構想の成果を客観的に評価した上で、それによる債務の脆弱性と財政リスクの問題を指摘し、債権管理とリスクの回避に関する提言も行った。中国側もその提案を真摯に受け止め、債務持続性に対し、真剣に対応し始めている。本稿では一帯一路構想の進展状況、債務問題の実質と中国の債務持続性への対応を考察したい。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」戦略とインフラ投資の行方22
徐一睿  専修大学経済学部准教授
「一帯一路構想」が実践されてからまもなく7年、その「南南協力」を基本理念とする経済協力、そして、インフラ投資のあり方について、新たなステージに突入したと考えられる。既存の経済インフラ投資は雇用を創出することができるが、途上国の公衆衛生や生活インフラの充実も重要な課題となる。人類運命共同体を実現するために、投資、貿易、援助によって構成される中国の「三位一体」の対外経済システムにおける再構築が必要となる。 /// 続きは本誌ご参照
「中欧班列」を利用した日本発中国経由欧州向けルートのテスト輸送と商品化について26
石川輝雄  株式会社日新事業戦略部中国室
中国政府は2013年に習近平国家主席提唱の現代版シルクロードともいえる「一帯一路」構想を開始した。この政策実現の重要な担い手と言えるのが中国〜欧州間鉄道網の構築である。11年に運行を開始した中国〜欧州間鉄道便はその年、17便が運行されたに過ぎなかったが、19年にはなんと8225便にまで急成長、国際物流ネットワークが誕生するに至った。弊社では13年に鉄道輸送について調査を開始、試行により安全性を確認、中国で営業開始した。また、日本ではこのルートを利用し日本から欧州までの輸送日数の短縮を目的とした商品開発に着手、18年に日本で初めて日本発中欧班列経由ハンブルグ向けトライアルに成功、翌19年にはより早いルートを開拓できたことにより、サービスメニュー化が完成した。ここでは日本発の中国経由欧州向けサービスの商品化に至るまでの経緯を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年8月号(通巻319号)

スペシャルレポート   コロナショック後の中国のゆくえ―2020年全人代を終えて
経済と民生の安定を軸に―コロナ禍での全人代6
横山達也  日中経済協会調査部次長
第13期全国人民代表大会第3回会議(以下全人代)が、5月22日から開かれた。いまだ完全終息には至らない新型コロナウイルスによる影響が注目を集める中で、中国政府は経済成長の具体的な数値目標を示さず、雇用の確保と感染症対策をはじめとした民生の安定を最重要課題とし、喫緊の事態に最優先で対処する姿勢をみせた。また、積極的な財政出動と経済産業対策を打ち出し、世界経済の見通しが不透明な中において、まずは急ぎ国内景気を回復・安定させることを図っている。一方で国防予算は引き続き増額したほか、香港市民に大陸と同様の治安措置をもたらす「国家安全法を香港に導入する議案」を採択するなど、安全保障や統治に関しては強い姿勢を貫いたという印象を残した。 /// 続きは本誌ご参照
コロナ危機からの脱却と未来産業の基盤づくり10
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
中国経済は、2020年1~3月はコロナ禍の影響で大きく落ち込んだが、5月にはプラス成長を回復し、通年でもプラス成長を目指している。政府は雇用の回復を第一としながらも、投資過熱を招かないよう、控えめな積極財政を組んでいる。そしてこれを機に5G通信網、電気自動車の充電設備など未来産業の基盤整備に取り組む。 /// 続きは本誌ご参照
中国の財政・金融政策の重点課題―市場メカニズム導入の重要性は変わらない14
岡嵜久実子  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
中国の財政・金融政策は、2018年下期以降、景気減速への配慮を厚くしてきたが、20年はさらにその度合いを強めている。全世界を襲った危機への対応として、当面緩和的・拡張的政策が採用されるのは自然なことであるが、デレバレッジの先送りには限界があるのではないか。経済の効率を一段と向上させるためには、過剰債務の削減とともに市場メカニズムのさらなる導入を進めることがカギとなる。 /// 続きは本誌ご参照
加速するデジタル化―医療や商業スタイルの変化とインフラ建設18
岡野寿彦  NTTデータ経営研究所シニアスペシャリスト
中国では感染防止や経済再開を目的にITサービスが迅速に提供され、「コロナテック」と言う造語もできた。遠隔医療とライブコマースがその代表だと言える。これは新たな変化が起きたのではなく、インターネットが生活シーンに浸透し、さらにデジタル技術で産業の効率化を進めようとする取り組みが、コロナにより加速したと見るべきだ。中国政府が新型インフラ建設を進めるなかで、政府と企業の役割分担がどのように推移していくか着目したい。 /// 続きは本誌ご参照
“withコロナ”時代―強気な外交が招いた中国包囲網のゆくえ22
神子田章博  NHK解説委員室解説主幹
「一度戦狼になれば死ぬまで戦狼だ」中国人民解放軍の特殊部隊「戦狼」の元兵士が、二人の中国人の同志と共に、アフリカの某国を舞台に、1万人の軍隊と死闘を繰り広げるアクション映画での、主人公のセリフだ。中国の対外戦略はいま、この映画になぞらえて「戦狼外交」と呼ばれている。「自らの主張を声高に訴え、自らの非は決して認めない。そして中国政府の関係者や機関が、国の内外で独善的とも言える手法で宣伝戦略を展開する。異論を唱える国があれば、自らの強大な経済力を背景に、貿易上の経済制裁を通じて黙らせようとする」かのように見える。一言でいえば“超強気”な外交だ。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年7月号(通巻318号)

スペシャルレポート   中国自動車産業の最新動向
新型コロナウイルス下の中国自動車市場の新たな動きとMaaSへの試み2
有田直矢  上海莱弥信息諮詢有限公司(インサイツ)東京事務所顧問
新型コロナウイルスは中国自動車市場にも確実に影響をもたらしている。一方で、米テスラ上海工場による中国産「Model3」の製造と納車開始は、中国NEV市場やラグジュアリー市場に強烈なインパクトを与えている。乗用車販売は量的成長が厳しい中、高品質なものほど尊ばれる、日系各社にとってはチャンスとなる消費レベルの上昇が続いているのが中国市場だ。一方で、マイカー需要は確実に低減しており、中国でもMaaSへの動きが見られる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の燃料電池車産業はなぜ急速に成長しているのか6
大川龍郎  国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)北京事務所長
中国の燃料電池車(FCV)市場は、販売台数が2016年以降毎年2倍のペースで成長し、普及台数でみると20年のうちにトップの米国を追い抜く可能性もある。こうしたFCV市場をけん引する地方政府の戦略や中国のFCV市場はどこまで成長するのか、外国企業から見た中国市場の課題は何かなどについて紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
変貌する中国自動運転業界と日中協力の展望12
張翼  野村総研(上海)諮詢有限公司副総経理
自動運転時代となると、中国の自動車産業には独自の優位性に基づいた技術や事業モデルのイノベーションが起こってくる。世界最大規模のデジタル・エコシステムを梃とした強力なサービス・イノベーション力および政府主導型の社会実装力が注目されている。一方で、要素技術力やモノづくり力に強い日本の産業界との補完関係が存在しており、とりわけスマートシティ・プロジェクトの構築運営およびデジタル・エコシステムの利活用においては日中協力の余地が大いに見込まれる。 /// 続きは本誌ご参照
中国におけるICV標準策定の現状と計画16
王兆/孫航  中国汽車技術研究中心有限公司(CATARC)汽車標準化研究所副所長/同研究所標準法規研究五室主任
中国ICV 標準体系の下、全国汽車標準化技術委員会ICV 分科標準委員会(SAC/TC114/SC34)は、中国の自動車、電子、通信、交通、インターネット関連企業、大学、研究機関を組織し、ICV標準の策定を全面的に展開している。この策定には先進運転支援システム、自動運転、自動車の情報セキュリティ、コネクテッド機能および応用、リソース管理・情報サービスなどをはじめとした多くの分野が含まれる。さらに、国際標準法規に関する交流を強化すべく、国際標準法規協調専門家グループや海外専門家諮問グループを設立するとともに、日本などをはじめとする自動車産業先進国との交流を強化し、ICV国際標準法規の策定を共同で推進している。キーワード:智能網聯汽車(ICV)、標準法規、国際協力 /// 続きは本誌ご参照
長江デルタ地域における都市建設と自動運転の動向20
能登麻規子  日中経済協会調査部
近年中国では国家政策を背景に、あらゆる産業・社会から各種データの収集を行い、地域や業界・官民の枠を越えた連携を通じて社会や都市のスマート化、産業全体の技術開発力向上を全国規模で進めている。特に智能網聯汽車(インテリジェント・コネクテッドカー)は、移動によりあらゆる情報の収集・接続・組み合わせが可能となり、より効率化された新たなサービスの創出が期待できることから、都市建設を進める上でも欠かせない存在となっている。今回は、都市計画の中で自動運転の取り組みを進めている一例として、長江デルタ地域における政策や技術開発の現状、同分野での実証試験の実情を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年6月号(通巻317号)

スペシャルレポート   中国のエネルギー事情と今後の日中協力―エネルギーの新旧融合
中国のエネルギー構造改革の現状と課題―求められる不測の事態への対応6
高見澤学  ⽇中経済協会調査部長
これまで中国の経済発展を支えてきたエネルギー産業は、技術革新や国民生活の向上に伴い大きな転換点を迎えている。持続可能な経済・社会の実現に向け、着実に成果を上げてきたエネルギー政策も、今回の新型コロナウイルス感染拡大によって状況が一変し、こうした不測の事態にも耐え得るエネルギー分野での新たなシステムの構築が求められている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の石油・天然ガス需給動向10
竹原美佳  独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構調査部上席研究員
中国の石油消費は交通輸送分野における代替が進み成熟化。しかし消費の7割を輸入に依存しており、世界的な供給過剰や新型コロナウイルスによる需要急減にも関わらず政府はエネルギーセキュリティの観点から国内生産強化方針を維持。天然ガスは大気汚染対策や低炭素化社会の実現という観点で政策的に石炭からの燃料転換が進められ、今後も成長が続く。成長著しい中国の天然ガス市場に注目し新規ビジネスを仕掛ける日本企業が存在する。 /// 続きは本誌ご参照
石炭―進む脱石炭化、消費構造転換と安全保障で見直しも14
堀井伸浩  九州大学大学院経済学研究院准教授
2008年以降、中国で急速に進んだ脱石炭化の背景にはもちろん環境対策の急激な進展がある。ただし、やみくもに石炭の消費量を削減しただけではない。大型排出源に対しては排出基準を強化してきちんとした環境対策設備の導入を進め、中小排出源はガスを始め、他の燃料への転換を進めた。その結果、石炭消費はより効率的かつ環境負荷の小さな構造へと転換した。米中貿易戦争が激化する中、中国のエネルギー政策は再び安全保障の要素を考慮する方向に舵を戻したように見える。新型肺炎で経済が甚大な打撃を被ったこともあり、長年主役を務めてきた石炭の力量は改めて見直され、スキャンダル(環境負荷)も乗り越え、意外としぶとく舞台を務めるのではないか。 /// 続きは本誌ご参照
中国の原子力発電事情―第13次5カ年計画の導入目標は未達18
眞田晃  ⽇中経済協会北京事務所電⼒室⻑(一般社団法人海外電⼒調査会派遣)
中国語で原子力発電は、「核能发电(発電)」、一般には略して「核电」と呼ばれる。中国(大陸部)で最初、1994年に相前後して営業運転を開始した民生用の「核电站」すなわち原子力発電所は、秦山(浙江省嘉興市)と大亜湾(広東省深圳市)であり、我が国から遅れること28年であった。その後中国は、自主開発とともに、フランス、カナダ、ロシアおよび米国からの導入技術により原子力発電所の建設を進め、2019年末の段階で米国、フランスに次ぐ世界3位の設備容量にまでその規模を拡大している。この間、中国の原子力発電所は良好な運転実績を達成するとともに、大きなトラブルの発生もないとされている。また、原子力発電技術の面においても、中国は第二世代炉の国産化・自主技術化を成し遂げるとともに、事故発生時に大きな対応裕度を持つ第三世代炉の導入では世界のトップに躍り出ている。このように我が世の春を謳歌しているかのような中国の原子力発電ではあるものの、第13次5カ年計画の20年の導入目標は未達が確実となるとともに、今後の導入規模についても不透明感がただよっている。本稿では、中国の原子力発電事情について、現在に至る主要な経緯と今後の見通しについて紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国における再生可能エネルギー開発の現状と政策動向22
李志東  長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学専攻教授
中国は低炭素社会構築の一環として、化石電源から再生可能エネルギー電源への構造転換、すなわち電源構成の低炭素化を推進している。その結果、2019年において、再生可能エネルギー電源は総発電設備容量の39.5%、総発電電力量の27.8%を占めるようになった。風力や太陽光の発電設備の生産・導入量は共に世界最大となった。中国政府は、30年に発電電力量に占める再生可能エネルギー中心の非化石電源の比率を50%へ高める長期目標を設定した。その効率的実現を目指して、従来の固定価格買取制度(FIT)等の支援策から入札制や利用目標達成義務・グリーン証書取引制度への転換を加速し始めた。本稿では、中国の再生可能エネルギー開発について、計画目標の達成状況と政策動向を中心に検討を試みる。 /// 続きは本誌ご参照
水素社会に向けた取り組みが続く中国26
高橋大輔  独立行政法人日本貿易振興機構上海事務所経済情報・機械環境産業部部長
利用時にCO2を排出しない究極のクリーンエネルギーであり、大気汚染などの環境対策にも貢献する水素。日本は世界に先駆けて水素社会の構築に向け着々と歩を進めてきたが、中国においても近年急速に水素エネルギーの実用化に向けた動きが見られる。中国各地方で続々と導入・振興計画が発表され、水素ステーションの導入などが進みつつあるが、広大な面積と世界最多の人口を持つ中国は、このまま水素社会の構築に一気に進むのだろうか。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年5月号(通巻316号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2019/2020―米中摩擦と新型コロナウイルス対応の影響下で
当面の経済情勢とマクロ政策2
田中修  日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター上席主任調査研究員
2019年10~12月期に、いったん安定したかに見えた中国経済は、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大により大きく鈍化した。これに伴いマクロ政策は、当初財政政策は「質・効率の向上」、金融政策は「柔軟・適度」とされていたが、2月23日の大会議において、マクロ政策の一層の強化が打ち出され、3月27日の党中央政治局会議では、財政赤字の拡大と包括的景気対策の検討が決定された。その一連の過程を概観する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の金融政策におけるリスク対応と対外開放6
萩原陽子  三菱UFJ銀行経済調査室調査役
2019年の中国当局の主要課題は米中通商摩擦への対応であった。その中で金融面の政策は二つに大別できる。一つは、通商摩擦激化前に進めていたデレバレッジ(過剰債務削減)政策に通商摩擦が加わるという難局の下でダメージを受けた部門に対する支援を中心とする対応策であり、もう一つは米国の要求にもある対外開放への取り組みであった。ところが、20年に入ると、新型コロナウイルス(新型ウイルス)問題への対処が最優先課題に浮上してきた。 /// 続きは本誌ご参照
中国の雇用政策と社会保障の動向10
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
2019年12月の中央工作会議では、19年の社会経済情勢を総括しつつ、20年の重要課題として質の高い経済発展、絶対貧困の撲滅・汚染防止・マクロ経済の安定のほか、雇用政策および社会保障問題の改善が強調された。産業構造の高度化や高学歴化に伴い労働の需給構造が大きく変化し、また、そうした変化を反映し社会保障問題も重要性を増していることが背景にある。本稿では、中国の労働市場で起きつつある構造変化、およびそれにかかわる雇用政策の動きを分析し、社会保障政策ならびにその実績を解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の電力事情―第13次5カ年計画の達成状況と次期5カ年計画に向けて13
眞田晃  ⽇中経済協会北京事務所電⼒室⻑(一般社団法人海外電力調査会派遣)
中国では経済成長のスローダウンがいわれて久しいが、電力需要は堅調な伸びが継続するとともに、風力および太陽光などの再エネ電源を中心とした発電所の新増設が積極的に続いている。2019年は第13次5カ年計画の4年目にあたり、電力分野では同計画の20年目標の達成にはっきりと濃淡が現れてきている。また、19年後半からは次期第14次5カ年計画に向けての政策議論もスタートしている。ただ、20年に入り、新型コロナウイルスの影響で、中国の社会生活と経済は極めて大きな影響を受けている。この原稿を準備している3月下旬の時点で、電力分野では20年1〜2月の電力消費量が前年同期比でマイナス7・8%の大幅減少であったと発表されているが、その内容の分析および今後の見通しについて論じるタイミングにはまだ至っていない。このような状況を踏まえ、本稿では中国の電気事業の現状と動向について、19年の実績と20年の年初までの動きを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
逆境の中の中国デジタル経済の底力と今後の展望18
李智慧  株式会社野村総合研究所上級コンサルタント
新型コロナウイルスとの戦いの中、生活の隅々に浸透しビジネスのオンラインとオフラインの融合を加速させつつある中国のデジタル経済を読み解く。 /// 続きは本誌ご参照
中国自動車産業展望―新型ウイルス対応で2カ月間停滞、2020通年は反転回復の可能性に期待22
久保鉄男  株式会社フォーイン社長
2020年春節明けの2カ月間、中国の自動車産業は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で稼働率が50%前後まで低下したが、3月後半に小康状態となり、生産は徐々に回復しつつある。4月以降回復を続けても通年で2カ月分の減産は必至。20年の自動車生産は2200万台前後に低下する勢いだ。世界最大の生産・販売国に一気に駆け上がった中国自動車産業としては初めての停滞と困難な時期を迎えるが、これまで支援してくれた海外パートナーは今、自国の感染対策に追われて余裕がなく、部品サプライチェーンの再構築、輸出拡大等、生き残りをかけた自力の経営努力が問われる。人口規模や所得水準と自動車保有水準を先進国と比較すると、市場成長余力を残す中国。20年前半の停滞はやむなしだが、2億6000万台に達した保有母体から発生する代替需要の促進や、普及率の低い地方・農村部での新規需要開拓につながる、政府の景気刺激策如何では、リーマン・ショック直後の景気対策で一気に世界最大規模に拡大したのと同様に、年後半に反転回復局面に入る可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国半導体及び同製造装置産業の現状と課題24
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
中国半導体産業の最大の課題は国産化率の向上にあるが、米中貿易摩擦の影響があったところに、新型コロナウイルスの影響が重なり、国産化の動きに拍車がかかっている。そして、装置産業である半導体産業の国産化率の向上のためには、製造装置の国産化率の向上が求められるが、製造装置の中資系メーカーの技術力向上が課題となっている。 /// 続きは本誌ご参照
中国のロボット産業とスマート製造の動向26
太田志乃  名城大学経済学部准教授
世界最大のロボット市場である中国は、ロボット市場の中でも大きなシェアを占める「産業用ロボット」産業強化にも急ぐ。「中国製造2025」が示すように、同産業の強化はスマート製造の一貫であり、中国政府も財税支援強化のほか、同産業に従事する人材育成にも熱心である。近年の産業用ロボット市場は、米中交易問題に起因して雲行きが怪しいのは変わりないが、2020年初頭から世界中を混乱の渦に陥れたコロナショックは、今後の製造現場の形を変えていく可能性がある。「中国製造2025」の取り組み最中において、同国の「産業用ロボット」産業がこの現場改革の中心となる可能性もある。 /// 続きは本誌ご参照
中国の電子商取引と流通28
神谷渉  玉川大学経営学部国際経営学科准教授
中国では電子商取引(ネット販売)が引き続き拡大し、アリババや京東といったネット販売大手だけではなく、新興企業や新たな販売形態に注目が集まっている。チェーンストアは、業績が二極化しており、大型店は苦戦する一方で小型店は好調を維持している。外資系小売業も撤退の動きと進出の動きが交錯している。新型コロナウイルスの影響によって、実店舗からネット販売へのシフトや実店舗のデジタル化が一層拡大することが予想される。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年4月号(通巻315号)

スペシャルレポート   中国の環境問題と解決策の模索
中国の資源総合利用と循環経済の進展―成果と課題6
吉田綾  国立研究開発法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター循環型社会システム研究室主任研究員
本稿では、改革開放後の約40年間の環境保護や資源の総合利用(資源の効率的な利用)に関する政策の実施状況を振り返り、資源総合利用や循環経済に関する法制度の変遷を整理する。また、最近の廃プラスチックの輸入禁止政策の背景や禁止後の中国国内リサイクル産業への影響についても考察する。 /// 続きは本誌ご参照
「ゼロ・エミッション・チャイナ」―中国版グリーン・ニューディールの提案10
青山周  アジア・ユーラシア総合研究所客員研究員
世界各地で毎年のように発生している異常気象などの影響により、国際社会では気候変動に対する関心が高まっている。また、海洋プラスチックごみ問題への対応も急務となっている。経済発展を遂げた中国のプレゼンスはこうした地球環境問題においても非常に大きく、中国に対する国際社会の期待や果たすべき責任が今後ますます増大することは確実である。新型コロナウイルス肺炎で先行きが見通せない中、明るい未来を取り戻す「次の一手」も考えなければならない。こうした状況を中国はいち早く認識し、内外にインパクトのある行動を起こすべきだ。 /// 続きは本誌ご参照
第13次五カ年計画における緑色発展政策と企業によるグリーン物流への取り組み14
伊藤季代子  日中経済協会調査部主査
2020年は、第13次五カ年計画(16〜20年)の最後の年であり、中国共産党が掲げる長期目標の一つである「小康社会の全面的完成」の仕上げの年でもある。そうした中で、中国の生態環境問題への対策は、「小康社会の全面的完成」のための重要事項の一つとされている。本稿では生態環境問題を解決するために政府が打ち出した緑色発展に関連する政策とそれに呼応した物流企業が実施しているグリーン物流の取り組みについて述べてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国におけるコベネフィット・アプローチによる協力事業の意義について18
井上直己  上智大学大学院地球環境学研究科准教授
日本は今日に至るまで、中国に対して時代の変化に応じて、環境分野で様々な協力を行ってきた。本稿では、日中間の環境協力の中でも特に日本の環境省が推進する「コベネフィット・アプローチ」(途上国の社会的課題に対処しつつ、温室効果ガスの排出を抑制し、グローバルな気候変動問題に対応するアプローチ)に関するこれまでの日中協力の変遷と、中国での直近の協力事例の成果を述べる。 /// 続きは本誌ご参照
大阪市が実施する循環経済分野での日中都市間協力22
三原眞  大阪市環境局環境施策部都市間協力担当課長
大阪市と上海市は、1974年に友好都市提携を締結して以降、様々な分野で交流を促進している。友好都市提携45周年の2019年9月には、大阪市から廃棄物分野における交流促進を提案し、上海市の賛同を得た。上海市では、19年7月に「生活ごみ管理条例」が施行され、生活ごみの分別を徹底しているが、分別後の減量・リサイクルの施設整備等に課題がある。そこで、大阪市は生活ごみに焦点を当て、上海市の循環経済実現に貢献する都市間協力をスタートさせている。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年3月号(通巻314号)

スペシャルレポート   中国ニューエコノミーの栄枯盛衰
発展する中国ニューエコノミーの光と陰4
高口康太  ジャーナリスト
世界が驚くほどの進展を見せる中国ニューエコノミー。一見華やかに発展している分野だが、その実態を正確に把握することは難しい。その理由は、経済の規模推計の難しさと中国企業の姿勢にある。 /// 続きは本誌ご参照
中国スマート製造―その進化への中国企業の最新の取り組みと日中産業協力の可能性8
富澤克行  三菱電機株式会社執行役員・中国総代表
ドイツが提唱するインダストリー4.0の中国版として2015年に始まった中国製造業のスマート化は、19年までの5年間で非常に大きな進化を遂げてきた。半導体を始めとした各種先端産業の強化ばかりが注目されているが、実際には、従来の労働集約型産業構造をイノベーション型の製造業へ改革することを目的とした取り組みが積極的に行われ、技術・技能を集約した新たな構造への改革が着実に進んでいる。本稿では、こうした中国製造業の最新動向の一端を、著者が危機感とともに日系メーカにとって大きなチャンスと捉えている4点について、19年12月に経済産業省および中国の工業信息化部が主催した日中スマート製造セミナーでの中国側の発表も含めて、その変化を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の社会生活におけるSNS活用12
新川陸一  NTTデータ(中国)投資有限公司チーフストラテジーオフィサー
中国におけるSNSの普及は目覚ましい。アリババと並ぶ中国トップインターネット企業であるテンセントが提供する「微信(ウィーチャット)」や「QQ」を筆頭に、SNS機能を備えた数多くのアプリが社会生活を便利で豊かなものにしている。ただし、個人情報漏洩、犯罪の温床化、多くの虚偽情報、情報統制の存在といった問題を抱えながら普及していることも事実である。 /// 続きは本誌ご参照
中国配車アプリの現状と課題―タクシーがつかまらない!16
田中信彦  BHCCパートナー、亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科
中国でタクシー配車アプリの利用が広く普及していることはよく知られている。しかし、アプリの普及で確かに「便利」にはなったが、それでタクシーにまつわる問題が解決されたかと言えば、そうとも言えないのが現状だ。実感値で言うと、日常の移動に新たな選択肢が加わったものの、タクシー業界積年の問題は相変わらず――という感じが強い。タクシーの需給関係のアンバランスは根の深い問題で、根本的なミスマッチの解決には、なかなか妙案がないというのが現実のようだ。 /// 続きは本誌ご参照
中国モバイル決済の現状と行方20
員要鋒  帝京大学経済学部准教授
中国で急速に普及してきたモバイル決済は、既に国民生活に欠かせない社会インフラとして定着している。モバイル決済は、単なる決済機能にとどまらず、電子商取引(EC)や資産運用、さらには個人信用など、そこを起点とした各種サービスの提供を通じて、中国の経済成長のけん引役を果たしている。 /// 続きは本誌ご参照
中国・シェア自転車の「ジェットコースター的」展開―変わる競争の方向と当面の展望24
駒形哲哉  慶應義塾大学経済学部教授
不況に喘いでいた中国の自転車産業の救世主として登場したシェア自転車は、凄まじい勢いで拡大し、自転車業界に巨大なインパクトを与えた。しかし、自転車の放置や過剰投入された自転車の保管・処分等の問題を受け、事業に対するルール化を契機にシェア自転車の勢いはジェットコースター的な急降下を始めた。それでもなお、シェア自転車が事業の柱となっている中国自転車業界の現状を探る。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年2月号(通巻313号)

スペシャルレポート   第13回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議―水素エネルギーや海洋プラスチックごみ問題などの分野における新たな協力モデルの構築6
日中経済協会事業開発部
日中経済協会は、経済産業省、国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で、2019年12月8日、東京にて「第13回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。全体会議には、日本側から梶山弘志経済産業大臣、松本洋平経済産業副大臣、小泉進次郎環境大臣、宗岡正二日中経済協会会長、髙橋泰三資源エネルギー庁長官、中国側から張勇国家発展改革委員会副主任、李成鋼商務部部長助理、孔鉉佑中国駐日本国特命全権大使をはじめ、両国政府・企業・団体・専門家等、官民合わせて約800人(日本側約500人、中国側約300人)が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
マッチング交流会10
日中経済協会事業開発部
12月7日、日中省エネルギー・環境総合フォーラムのプログラムとしては17年以来の2回目となる「マッチング交流会」を開催した。日本企業による技術やソリューションのプレゼンテーションを交え、日中企業がマッチングを通じてビジネスにつながるネットワークづくりを行った。中国側からは日中長期貿易、省エネ促進、循環経済の各分科会参加者を中心に、80社の約100人が、日本側からは24社の約50人が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
水素分科会―水素社会の実現と日中新時代12
藏田大輔  日中経済協会調査部主任
SDGs、パリ協定の合意など、環境改善が地球規模での大きなテーマとなる中で、世界はエネルギーの転換期を迎えている。日本は、2017年に世界で初の国家レベルの水素に関する戦略「水素基本戦略」を策定し、また、18、19年と2年連続で水素閣僚会議を開催するなど、官民が水素社会の実現に向けて関係各国と歩調を合わせて取り組みを始めている。一方中国では、長江デルタなど地方レベルでの水素産業発展計画の推進や、民間レベルでも取り組みを進めている。この両国が、今次フォーラムでは初めてとなる「水素」をメインテーマとした分科会を立ち上げ、水素社会実現に向けての取り組みや課題などを紹介するとともに、同分野での日中協力の方向性や方法等について議論を展開した。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会―変化に対応した自動車産業の質の高い発展に向けて14
能登麻規子  日中経済協会調査部
自動車産業は広範な関連産業を持ち、経済やエネルギー消費に大きな影響を与える産業であり、日中両国はともに国際市場にも進出している。自動車分科会は日中経済のさらなる成長と発展を目指し、課題共有、関係構築を目的として本フォーラムの第1回(2006年)以来毎回開催されており、今回で13回目の開催を迎えた。19年の自動車分科会も18年と同様、環境・省エネの観点からの「自動車の電動化・スマート化」をテーマとして設定し、両国での取り組みや課題、新エネ自動車(NEV)や各種技術、自動運転、コネクテッド、データやプラットフォームの活用などのテーマを中心に、日中合計約110人が交流を深めた。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易分科会―グローバルな水需要に対応するための日中協力16
清水綾  日中経済協会事業開発部
世界的な水需給問題に対して、日本と中国はなにができるか。人口の増加や都市化に伴い世界の水需要は増加の一途をたどっているが、多くの地域では依然として深刻な水不足や水質汚染の問題を抱えている。中国もまたそうした問題に直面している当事国だが、一方で一部の有力企業は第三国での水ビジネス市場に進出し、海外における存在感を強めている。こうした時世の流れを汲み、第10回フォーラムから継続して「水循環」をテーマとしている日中長期貿易分科会は、今回の主題を「グローバルな水需要に対応するための日中協力」と設定した。日中双方の官民における海外での海水淡水化や汚水処理事業、それら先進技術、水需要の現状を紹介し、中国市場だけにとどまらない世界的な水問題解決のニーズに対する日中間の協業の可能性を探った。 /// 続きは本誌ご参照
クリーンコール技術と石炭火力発電分科会―低炭素・資源循環型社会の形成に向けたクリーンコール技術最前線18
薬師寺三希子  日中経済協会事業開発部
2015年12月に地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」が採択されて以降、世界的に「低炭素化」さらには「脱炭素化」は動かしがたい趨勢となりつつある。こうした中、本分科会では、クリーンコール技術のさらなる向上と石炭燃焼時に発生するCO2排出量の削減を責務と捉え、最新の技術開発状況や、効率的な運用モデル等について報告が行われた。 /// 続きは本誌ご参照
省エネ促進分科会―省エネ政策および加熱・冷凍冷蔵・冷房産業における省エネの取り組み20
江上舞  日中経済協会事業開発部
省エネ促進分科会では、日中両国共に、エネルギー消費効率の向上(省エネ)と、経済成長を両立させる必要があるという共通認識のもと、高効率の加熱・冷凍冷蔵・空調産業のエネルギー多消費機器の省エネの発展を図ることをテーマに、政府・企業の省エネへの取り組みについて紹介と議論が行われた /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会―持続可能な資源循環経済の構築に向けて22
伊藤季代子  日中経済協会調査部主査
2019年の第13回日中省エネルギー・環境総合フォーラムの全体会議において、水素エネルギーの活用と並んでプラスチックリサイクルは、重点的項目として取り上げられた。プラスチックリサイクルを積極的に行い、資源を循環させることは、日中両国のみならず、海洋プラスチックごみを減少させるなど世界規模で取り組むべき問題である。こうした背景のもと、循環経済分科会は「持続可能な資源循環経済の構築に向けて」をテーマに掲げ、官民の取り組みについて紹介と討議が行われた。 /// 続きは本誌ご参照
調印案件プロジェクト24
日中経済協会事業開発部
本フォーラムでは、全体会議にて合計26件の日中協力モデルプロジェクトの文書交換が行われ、今回を含む過去13回のフォーラムで発表されたプロジェクトは累計で388件となった。文書交換に先立ち、12月7日に事前調印式が開催された。立会人は、日本側から資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課・山崎琢矢課長、中国側は国家発展改革委員会資源節約・環境保護司循環経済処・陸冬森処長が務め、13件の協力プロジェクトが調印された。 /// 続きは本誌ご参照

  2020年1月号(通巻312号)

スペシャルレポート   2020年の中国経済と地域協調発展戦略
2020年の中国経済展望6
真家陽一  名古屋外国語大学外国語学部中国語学科教授
中国にとって2020年は、第13次五カ年計画(16〜20年)の最終年であるとともに、中国共産党の目標達成に向けて政策的にも重要な年となる。主要国際機関の予測によれば、米中貿易摩擦を背景に、20年の中国経済はさらに減速すると見る向きが多い中、目標達成に向けた中国政府の対応が注目される。また、20年は第14次五カ年計画(21〜25年)の策定が大詰めを迎える年となる。同計画の策定に向けて、どのような議論が展開されるかが、中長期的な中国経済の行方を大きく左右する。 /// 続きは本誌ご参照
京津冀経済圏の今後の展望―雄安新区が新たな成長エンジンとなるか?10
安生隆行  経済産業省通商政策局北東アジア課係長
2019年に入り、国家千年の大計と強調される習近平国家主席肝いりの国家プロジェクト「雄安新区」の全体像が見えてきた。同年1月に中国共産党中央委員会および国務院から発表された「河北雄安新区の全面深化改革・拡大開放の支持に関する指導意見」には、行政・社会管理の構造改革につながる試みなどの記載があり、京津冀経済圏に属する雄安新区が各種構造改革の端緒となる可能性がある。こうした中、本稿では、全体の枠組みとなる京津冀一体化構想の概要を整理したうえで、その中核となる雄安新区の現状や課題などについて報告したい。 /// 続きは本誌ご参照
中心都市から見た長江経済ベルトの発展14
周牧之  東京経済大学教授
中国の「長江経済ベルト」は、「一帯一路」、「京津冀(北京市、天津市、河北省)一体化」とともに習近平政権が進める「三大国家戦略」のひとつである。中国の東部・中部・西部を貫く長江経済ベルトは、面積が国土の21・4%を占め、人口と域内総生産はいずれも中国の40%を超えている。本稿では、規模の巨大さ故に実態が見えにくい長江経済ベルトの現状と課題を、「中国中心都市&都市圏発展指数」で分析する。 /// 続きは本誌ご参照
東北三省経済発展のカギ―新しい東北振興と国際連携18
穆尭芊  環日本海経済研究所(ERINA)調査研究部研究主任
計画経済時代に「共和国の長男」と呼ばれた東北地域は、東南沿海地域と比べて市場経済の波に乗り遅れ、かつて輝いた重化学工業は産業構造の改善の重荷となり、2014年以降の経済成長は伸び悩んでいる。また、情報技術や交通インフラの急速な発展により、中国国内の地域経済一体化が進み、市場競争の下で重要な生産要素の東南沿海地域への流出も見受けられる。国際連携の面では、「一帯一路」の下で地理的に近い北東アジア諸国との経済協力を強化し、食品・農業・機械・化学工業・観光・人材などの資源を生かして新たな競争優位を作り出さなければならない。 /// 続きは本誌ご参照
西部大開発政策および西部地域経済の現状と展望22
劉世慶/邵平楨  四川省社会科学院西部大開発研究中心秘書長・研究員/同中心副秘書長・副研究員
2000年から始まった西部大開発政策は、20年に渡る4回の五カ年計画を経て、西部地域には大きな変化をもたらした。中央政府の全面的な小康社会の実現や現代化建設の方針に従い、西部各地はインフラ建設、環境保護、対外開放、産業発展等の面で不断の努力を続けてきた。第14次五カ年計画を迎えようとしている今、中国は「二つの百年」の実現を目標に掲げ、西部地域における全面的な改革の深化と開放の拡大を梃にした質の高い発展を実現し、西部発展の新たな局面を生み出そうとしている。 /// 続きは本誌ご参照
粤港澳大湾区の現状と課題26
吉冨拓人  在香港日本国総領事館専門調査員
2019年2月、香港・マカオ・広東省9都市の地域発展戦略である「大湾区」マスタープランが発表された。だが、本来ならば同プランにより打ち出された施策の実現化に向けて動き出すべき大事な時期に、香港は政治の荒波に突入した。「逃亡犯条例」改正問題に端を発した抗議活動は長期化し、「一国二制度」をめぐる根深い問題が表面化した。「大湾区」は、「地域一体化」と「一国二制度」という両立の難しい課題に直面している。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年12月号(通巻311号)

スペシャルレポート   中国のヘルスケアとビジネス展望
中国養老市場へのチャレンジ―その足跡と今後の展開8
椛澤一  株式会社リエイグループ代表
株式会社リエイ(中国展開ブランド「礼愛」)は2011年から中国養老市場への参入に着手し、現在では、中国の国営通信社・新華社からも日本介護の進出企業の代表的存在として取材を受けるなど注目を浴びている。これまでの経緯と現状および今後の展望を紹介し、容易ではない中国市場展開に取り組まれている読者の参考に供したい。 /// 続きは本誌ご参照
日中高齢化対策戦略技術プロジェクトと高まる日本への期待12
臣川元寛/内山智尋  独立行政法人国際協力機構(JICA)日中高齢化対策戦略技術プロジェクト長期専門家/同事務所所長助理
プロジェクトは2016年5月から開始された。18年10月、安倍晋三首相が訪中した際、対中ODA(政府開発援助)の新規供与の終了を伝達、両国首脳は今後新たな次元の日中関係として、開発協力分野における対話や人材交流を推進することを決めた。同プロジェクトも20年5月で4年間の活動期間を終えることになるが、中国側関係者からの高齢化対策分野における日本への協力の期待は高まりを続けている。 /// 続きは本誌ご参照
公的医療保険における個人口座の廃止が示すもの16
澤田ゆかり  東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
中国特有の医療保険に転換の兆しがみられる。それは市場経済化の長い道程の中でどのような意味を持つものなのか。公的医療保険における個人口座廃止に焦点を当て、その意味を読み解く。 /// 続きは本誌ご参照
中国のビジネス環境改善とヘルスケア分野のグローバル化20
十川美香  日中経済協会理事
日中経済協会は、毎年の「日中経済協会訪中代表団(2015年から日本経済団体連合会と日本商工会議所との合同訪中代表団)」派遣に際し、賛助会員を中心とする日本企業・日系企業が中国で直面しているビジネス環境の課題について、これまでの改善状況と現在の要望をアンケートにより集約して商務部との交流会議に反映し、商務部と共にビジネス環境の改善状況をレビューするとともに、改善推進への意見交換を行うなどしてきた。またこうした経験の蓄積に基づき、当協会北京事務所を中心に、中国日本商会のヘルスケア産業に関わる第三工業部会ライフサイエンスグループ企業の中国での事業環境改善に向けた活動展開に対しても、当協会として可能なサポートを行ってきた。ここでは、こうした当協会の活動から、中国のヘルスケア分野などのビジネス環境改善の動向を整理する。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年11月号(通巻310号)

スペシャルレポート   グローバル・ガバナンスの革新ー日中協力の新たな地平を拓く:2019年度日中経済協会合同訪中代表団抄録
李克強国務院総理との会見(全文)―中国は自由貿易を推進、中日経済協力を強化、引き続きビジネス環境改善に努力6
日中経済協会
日中経済協会は、9月9日から14日まで、日本経済団体連合会および日本商工会議所との5回目となる合同訪中代表団(総勢230人、通算45回目)を北京および内モンゴル自治区に派遣した。北京では2018年に続き全団員での李克強国務院総理との会見を果たすとともに、商務部、工業信息化部、国家発展改革委員会との全体会議を開催、内モンゴル自治区では同自治区政府との交流を行った。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第16回)提言書要旨―グローバル・ガバナンスの革新:日中協力の新たな地平を拓く11
日中経済協会
グローバル経済システムの再構築/中国のビジネス環境改善/日中協力の新展開/アジア太平洋地域経済の発展と日中協力 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―自由貿易体制の維持とグローバル・ガバナンスの革新12
日中経済協会
鍾山商務部部長:これまでの40年間で中国は劇的に変化し、日本と中国の経済貿易実務協力においても実りある成果を得た。同様に、今後の40年も大きく違うであろうし、その発展過程で、中日両国の経済協力には、非常に大きな潜在力と可能性がある。両国の経済・貿易の実務協力を発展させるために、以下を提案する。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―日中産業協力の新展開16
日中経済協会
張峰総工程師:2019年1〜7月の中国の工業・経済は全体的に安定しており、工業付加価値は前年同期比5・8%増加した。マクロ経済に関する一連の政策が効果をみせ、工業生産は合理的な範囲を維持している。中国における5Gライセンスは、19年6月に正式に発行された。5Gに関連する応用・イノベーションも急速に進展して、コネクテッドインダストリー、コネクテッドカー、医療、スマートシティ等の分野におけるモデル応用も、次々と登場している。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―安定成長と構造調整の両立を目指して:日中協力の可能性20
日中経済協会
宗岡正二団長(日中経済協会会長):中国の産業構造改革では、過剰生産設備解消への努力が成果を挙げている一方、新たな能力増強により過剰能力問題が惹起される懸念が生じている。国有企業改革では市場が決定的役割を担うメカニズムへの移行が重要であると考える。引き続き改革に向けた取り組みを要請する。 /// 続きは本誌ご参照
内モンゴル自治区訪問団報告―新たな経済発展の可能性を秘める内モンゴル自治区24
畑田好朗/藏田大輔  日中経済協会調査部プロジェクト担当部長/同部主任
第45回日中経済協会合同訪中代表団一行は、北京での一連の行事を終えた後、9月12~14日の日程で地方視察を実施した。今年の地方視察は内モンゴル自治区である。同地では、布小林・内モンゴル自治区政府主席から歓待を受け、布主席や同自治区地方政府幹部との会見ならびに同地企業関係者との交流を行った。本稿では、同自治区の概況や経済状況を簡単に触れた上で、地方視察での行事について報告する。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年10月号(通巻309号)

スペシャルレポート   日中新時代の構築ーG20大阪サミットを踏まえて
新しい時代の日中関係はどうあるべきか4
宮本雄二  宮本アジア研究所代表・元駐中国大使
世界は、真の多極化世界に向かって進んでいる。この「新しい時代」に最も適しているのが、戦後の政治経済秩序を支えた理念とルールと仕組みである。現行の国際秩序を護持し改善し発展させることこそが、世界全体の利益となる。それから最大の利益を得てきた日中を含む国々は、そのための努力を倍加する責務がある。日中両国は、国際秩序の護持発展という共通の課題を持ったことを自覚すべきである。日本は、米中の衝突を回避し、米中が共存共栄できる条件を見出し、新たな米中関係が構築できるように積極的に側面支援するべきである。 /// 続きは本誌ご参照
「新たな時代」の日中関係構築へ8
門脇仁一  外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第一課長
日中関係は昨年の首脳・外相往来等で正常な軌道に戻り、新たな発展を目指す段階へと入った。今年(2019年)6月のG20大阪サミットで安倍晋三総理は習近平国家主席と日中首脳会談・夕食会を実施し、来年春の習主席の国賓訪日で原則一致し、関係改善の流れは加速している。本稿では、昨年来からの関係改善の流れに寄せて、最近の日中関係、そして今後の日中関係の在り方について考察したい。 /// 続きは本誌ご参照
似て非なる2つの米中対立―日中、耐震構造急げ11
秋田浩之  日本経済新聞社コメンテーター
いま米中対立はトランプ大統領が主導しているわけではなく、ハイテク、地政学をめぐる両大国の覇権争いである。この攻防はトランプ大統領が2020年秋に再選されなくても、深まっていくと考えるべきだ。日本は米中対立が長年続くという前提に立ち、外交を組み立てる必要がある。大切なことは米国と対中政策を密に調整し、連携することだ。逆に、米中を両てんびんにかけた「八方美人外交」は破綻する公算が大きく、避けるべきだ。 /// 続きは本誌ご参照
米中貿易摩擦の中でのRCEPと東アジア協力の行方15
篠田邦彦  政策研究大学院大学政策研究院教授・参与
今年(2019年)6月末に日本がG20大阪サミットを主催する中、米中首脳会談が行われたが、今後、米中貿易摩擦がさらに拡大し、アジア経済に悪影響を与えることが懸念される。米中対立の間で、ASEANは独自のインド太平洋見通しを打ち出しており、日本としては、こうした動きを後押しすべく、東アジアにおいてRCEPを中心とするFTAネットワークの拡大・深化や様々な地域協力を進めていくべきである。 /// 続きは本誌ご参照
G20大阪サミット開催の意義と今後の日中関係への期待19
鈴木琢也  伊藤忠商事株式会社審議役 調査・情報部関西担当部長
今年(2019年)6月28、29日、日本で初めてのG20サミットが大阪で開催された。これまで世界経済を議論する場はG5に始まりG7、G8などの変遷を辿り、2008年からは多様化する世界経済をまとめる意味で、いわゆる西側先進国だけでなくBRICSや将来の発展が期待される国と地域が一堂に会するG20サミットという大規模な首脳会議が行われるようになった。開催地大阪に在って、米国の一国主義、保護主義を排除し、かつ米中貿易摩擦を緩和させていくために、今後日中関係はどうあるべきか、考察してみた。 /// 続きは本誌ご参照
G20大阪サミットの成果と関西経済への効果22
藤原幸則  一般財団法人アジア太平洋研究所主席研究員
G20大阪サミットは大阪・関西の魅力を世界に発信できた。関西経済にとって、単年度の経済効果は大きくないが、ポストサミットの継続的な効果は大きく、国際会議をはじめMICEの誘致で優位となる。また、会議結果として、「大阪」の名を冠したグローバルな取り組みが打ち出されたことは、関西経済にとって大きなレガシーであり、今後、世界に向け積極的に貢献すべきであろう。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年9月号(通巻308号)

スペシャルレポート   中国経済の課題分析―ビジネス・エコシステム実相探究とともに
中国経済情勢―米中貿易戦争の影響を踏まえて2
関志雄  野村資本市場研究所シニアフェロー
米中貿易摩擦は、貿易戦争を経てハイテク戦争へとエスカレートしており、長期化の気配を見せている。これを背景に中国では、景気が減速しており、景気対策を求める声が高まっている。その上、生産の海外移転が加速していることに加え、海外からの技術導入も困難になってきていることから、潜在成長率の低下も懸念される。この難局を乗り越えるために中国は、外圧をテコに、改革・開放を加速させなければならない。 /// 続きは本誌ご参照
中国の金融リスク管理の現状と課題―経済の安定成長へのスムーズな移行の鍵6
岡嵜久実子  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
中国では、企業および地方政府関連機関と金融機関が過剰生産能力や過剰債務の削減に取り組む中で、経済成長の鈍化がみられていることもあり、一部で金融リスクが顕現化し始めている。同国経済の安定成長への移行をスムーズに進めるためには、金融リスクを適切に管理し、金融の市場化を着実に進めることが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
ハイテク企業を輩出する中国のエコシステム10
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
ドローンのDJI、DNAシーケンシングのBGI、さらには米中貿易戦争の焦点ともなっているファーウェイなど、中国から有力なハイテク企業が次々と生まれてくるのはなぜだろうか。それは優れたアイディアを大きく育てるエコシステムが中国にはあるからである。本稿では中国でハイテク企業がたくさん誕生し、大きく育つ環境を明らかにするとともに、そこにはらまれている危うさも指摘する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ニューエコノミーを支えるICT産業のエコシステム14
新川陸一  NTTデータ(中国)投資有限公司チーフストラテジーオフィサー
中国のICT産業(情報通信技術産業)は、量的にも質的にも急速な発展を遂げている。このエコシステムを見ると、総じて国有企業の存在感が強いものの、インターネット関連ビジネスやスマートフォンでは民間企業の強さが目立つ。ただし、ハイエンドの半導体は外資依存が続く下で、中国のICT産業は、米国との関係の影響や、中国政府と外国との間の板挟みなど、容易ではない問題を抱え、難しい局面にある。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年8月号(通巻307号)

スペシャルレポート   2019-20年の中国ビジネス環境概説
外商投資法の制定とその中外合弁実務への影響6
曾我貴志  曾我法律事務所弁護士
中国で外商投資法が制定された。改革開放40年の蓄積の上にさらなる対外開放を進めるための諸施策が標榜されているが、多くは政策理念的なスローガンの域を出ない。ただ、中外合資経営企業法を含む外商投資三法を廃止し、外商投資企業の組織機構も統一的に会社法に服するとしたことは特に中外合弁実務に重大な影響をもたらす。本稿は、外商投資法の概要と共に会社法の規定が中外合弁企業においてどのような変化をもたらすのかという点を解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の知財司法制度改革の現状と我が国の対応10
小野寺良文  森・濱田松本法律事務所弁護士
中国は、国を挙げて技術覇権を目指しており、国内特許出願数は2011年以降世界1位、PCT出願数も17年に日本を抜いて世界2位となり、1位の米国に肉薄している。特に5G、AI等の重点分野では、他国を凌駕する特許ポートフォリオを形成しつつあり、米中貿易戦争の原因となっている。特許侵害訴訟数も世界1位の2万2000件に達しており、損害賠償の高額化や専門裁判所の整備も進め、重要な紛争解決地となっている。本稿では主に特許紛争に焦点を当て、中国の現状および日本企業の対応策について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の環境規制14
内海真一/大野木昇司  日中環境協力支援センター有限会社社長補佐/同取締役
ここ数年、中国の環境規制が大幅に強化されてきた。特に2012年の習近平政権の発足以降、環境政策が共産党中央委員会の方針へと格上げされ、製造業各社にとっては政治リスク、人件費高騰、知財問題等と並ぶ新たなリスクとなった。環境規制の強化は、習近平政権の肝いり政策「生態文明建設」であるため、今後も長く続く。日系企業は中国環境規制への古いイメージを改め、情報収集を強化し、現在の環境規制に適切に対応していくことが求められる。 /// 続きは本誌ご参照
中国労働市場における需給動向と賃金事情19
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
中国の労働市場で地殻変動が起きている。就業人口は2016年を境に減少する局面に入っており、15歳以上人口に占める就業者割合(就業率)も低下傾向にある。その結果、都市労働市場では需給逼迫が発生し、急速な賃金上昇も続いている。ただ、経済成長が減速し始めた10年以降、賃金上昇のペースが緩み、失業率も比較的高い水準にとどまる。本稿では、都市労働市場における過剰から不足への構造変化を明らかにし、賃金に及ぼすその影響を定量的に分析する。 /// 続きは本誌ご参照
日中社会保障協定の発効による「保険料の二重負担」の解消と手続き24
林隆行  外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第二課調査員
今年(2019年)5月16日、「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」(以下「日中社会保障協定」)の効力発生のための外交上の公文の交換が行われた。これにより、この協定は19年9月1日に発効となる。この協定により、これまで問題となっていた年金制度に係る「保険料の二重負担」が解消される。本稿では、中華人民共和国(以下「中国」)の年金制度の概要について述べた上で、この度発効する日中社会保障協定により得られる効果と「保険料の二重負担」の解消に関する手続きについて要綱を述べる。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年7月号(通巻306号)

スペシャルレポート   日中第三国市場協力の展望と中国の「一帯一路」国際協力
中国「一帯一路」構想と日本の第三国市場協力6
伊藤季代子/藏田大輔  日中経済協会調査部主査/同部主任
かつて東洋と西洋は陸と海のシルクロードでつながり、交易が活発に行われていた。シルクロード沿線各地にはその痕跡を今に残している。そして、現在、このシルクロードに再び世界からの注目が集まっている。主役は世界第2位の経済大国となった中国が進める政策、「一帯一路」構想である。本稿では、同構想の今をレビューした上で、日本はこの構想にどう向き合っていくのかについて論じたい。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」による中国対外直接投資の新展開と中外企業提携拡大への展望10
邵永裕  株式会社みずほ銀行中国営業推進部調査役、学術博士
中国企業の対外展開の中で「一帯一路」関連地域への投資拡大が新たな流れになり、それに伴う中外企業の提携や協業の事例も増えつつあり、日系企業も中国企業との第三国市場での協力事業も両国関係の改善推進の中でこれまで以上の拡大が見込まれる。このことは中国対外直接投資の質的レベルの向上と中外関係の改善などに役立つであろう。 /// 続きは本誌ご参照
日中企業の第三国での協業ビジネスモデルの分析14
小山雅久  三菱商事株式会社地域統括部グローバル調査チーム中国特命担当
中国は構造改革の中での経済減速、米国との経済摩擦など、内外の不確定要素が高まる中でいかに社会安定を維持するかという重要な局面を迎えている。日本経済も中国への経済依存は大きく、第三国協業ビジネスは新たな日中協力拡大の可能性を秘めている。経営理念を共有できる中国パートナーと共に双方の政府の力を得た主体的なビジネス創出を期待したい。 /// 続きは本誌ご参照
ユーラシア地域輸送インフラと日中協力18
徐一睿  専修大学経済学部准教授
「一帯一路」構想が実践されているなか、ユーラシア大陸をまたぐ輸送インフラが形成されつつある。アジアないし世界における重要なプレーヤーである日本と中国の協力は、一帯一路沿線の多くの途上国にインフラという地域公共財をもたらすという意味で、極めて重要な意義を持つ。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年6月号(通巻305号)

スペシャルレポート   CASEを中心とした日中自動車産業の展望と課題
世界における自動運転の現状と展望2
鈴沖陽子  株式会社テクノバ先進モビリティグループ主任
自動運転の技術開発は、既存の産業の枠組みを超えて、世界で進展している。国・地域も、そのメリットを早期に社会が享受できるよう積極的に支援している。自動運転につながる技術である運転支援は既に普及段階にある。高度な自動運転は、2020年から25年に一部実用化することが想定され、1)高速道路等から始まるオーナーカーでの活用と、2)稼働地域を限定した物流・移動サービスでの活用という二つのアプローチから、公道実験が各地で実施されている。各国は、この新たな技術・製品を自らの国でどう受け入れるか、法制度整備、社会受容性向上の具体的な検討を開始している。 /// 続きは本誌ご参照
自動運転に関する日本自動車工業会の取組みと、今後の日中協力の展望6
横山利夫/加藤昌彦/近藤晴彦/森田真/谷口悟史/石井啓介/青野道彦  一般社団法人日本自動車工業会自動運転検討会主査/同検討会副主査/同検討会副主査兼DSSAD対応検討WG主査/同検討会ユースケースWG主査/同検討会安全性評価WG主査/同検討会ヒューマンファクターWG主査/同検討会道交法対応WG主査
日本自動車工業会は、自動運転技術を実用化することにより、世界で最も安全、効率的で、自由なモビリティ社会の実現を目指している。自動運転実用化に向けては、技術、制度整備、社会受容性等様々な課題を解決する必要があり、自動車業界全体で取り組んでいる協調領域の内容を紹介する。また、自動車は国際商品であるため基準調和/標準化が大変重要であり、2018年10月、日本自動車工業会と中国自動車工業協会は覚書を締結し、具体的な連携可能性について検討を開始している。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動運転にかかる産業発展の現状と展望10
李雅琪  中国電子信息産業発展研究院研究員
近年、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)、インターネットやビッグデータなどに代表される次世代情報技術が、急速に発展している。これらは自動車産業にも広く浸透しており、既存の自動車技術や製品の概念を覆すようなイノベーションと産業構造の変革を引き起こしている。自動車のスマート化、コネクティッド化も絶えず進歩している。自動運転技術は中国自動車産業の発展に大きなビジネスチャンスをもたらすと同時に、多くの課題を抱えている。長期的な視点から見れば、自動運転は新しい形の交通・運輸サービスの形成を促し、自動車産業とビジネスモデルを全面的にアップグレードし、社会・経済の発展に極めて大きな戦略的意義を持つ。 /// 続きは本誌ご参照
日本人が知らない普及台数世界最大の新エネルギー自動車市場―中国の低速電動車市場13
大川龍郎  国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)北京事務所長
中国の新エネルギー自動車(NEV)市場は2018年に100万台を超え、世界の注目を集める存在であるが、政府からの補助金は年々削減され20年には廃止されることから、その将来を危惧する声もある。一方で、ネット通販の宅配や農村の足となっている小型電動車は、政府の補助金もなく年間100万台を突破し、普及台数で世界最大のNEV市場となっていることは、日本であまり知られていない。この小型電動車市場が大きな変革期を迎えている。 /// 続きは本誌ご参照
自動運転標準化に関する動向について16
赤津洋介  名古屋大学大学院工学研究科特任教授
自動運転に関する標準化動向は各標準化団体において論議をされているが、本稿では特に自動運転のシステム開発に係る標準化の動向と、それに付随する要素技術の標準化動向に関する概説を行う。これらの標準化活動は自動運転を商品化するに際し必要不可欠なものであり、各標準化の動向の理解を促すことを目的とする。 /// 続きは本誌ご参照
中国のインテリジェント・コネクテッドカーの標準体系建設と国際協調20
王兆/孫航  中国汽車技術研究中心(CATARC)有限公司総工程師/同公司高級工程師
2017年、中国は「インテリジェント・コネクテッドカー(智能網聯汽車、以下ICV)標準体系構築ガイドライン(智能網聯汽車標準体系建設指南)」を発表し、併せて「ICV分科標準委員会(智能網汽車分標委)」を設立し、一連のICV関係の標準策定に向けて動き出した。ここでは、中国および国際的なICV産業の発展状況を紹介し、基本原則、建設目標、主な枠組み等の観点から、中国のICVの標準体系に対する概要を解説し、中国のICV標準体系構築および標準制定の最新動向を共有し、中国の国際標準法規協調への参画や、国際交流の展開に関連する活動について紹介したい。キーワード:ICV、標準法規、標準体系、国際標準 /// 続きは本誌ご参照
中国自動運転実現のための巨大オープンプラットフォーム―百度Apollo計画24
能登麻規子  日中経済協会調査部
現在中国では、通信・AI(人工知能)・最先端の各種インフラなどと協調した次世代型自動車である「インテリジェント・コネクテッドカー」の技術革新が進んでいる。その一方で、地図会社の買収を機に自動運転事業に乗り出した百度(Baidu)は、中国での自動運転実現に向け、関係する各業界による協働作業としてのプラットフォーム「Apollo計画」を展開している。自動運転に欠かせない高精度地図やソフトウエアを強みとして、中国の自動運転分野を牽引する百度のApollo計画の取り組みついて紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年5月号(通巻304号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2018/2019―第13期全人代第2回会議を終えて
2019年の中国経済、景気維持向け大型の投資刺激策2
北原基彦  日本経済研究センター主任研究員
2019年の中国経済は米中貿易摩擦など下押し圧力が強まるなかで、どれだけ景気を維持できるかがカギとなる。3月に開催した全国人民代表大会は、大掛かりな企業減税や公共投資の拡大などを通じて6・0%成長を目指す方針を打ち出した。しかし米中関係の先行き不透明感や国内のリスク要因の増大などで政策のかじ取りは難しさを増している。 /// 続きは本誌ご参照
対米貿易摩擦を念頭に変化を見せる中国の金融政策スタンス6
萩原陽子  三菱UFJ銀行経済調査室調査役
2017年の共産党大会で政権基盤を強化し政権2期目に入った習近平国家主席にとって、18年はある程度景気減速のリスクを負ってでも懸案であるデレバレッジ(過剰債務の削減)を始め構造改革を進めるべき年であった。ところが、米国との通商摩擦が双方で制裁関税を賦課し合うまでに激化するに至り、これに伴う中国経済へのマイナスのインパクトを減殺するために景気に配慮せざるを得なくなる。本稿ではその影響を免れなかった金融政策を取り上げ、考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の不動産市場の現状と見通し―住宅市場における2018年の回顧と2019年の見通し10
曹雲珍  一般財団法人日本不動産研究所主任研究員
中国では国内経済の減速と対米貿易摩擦に直面している中、2019年3月5日に全国人民代表大会が開かれ、最も注目されている経済成長率は、6~6・5%と引き下げられた。急速に発展してきている不動産業が中国の経済成長を支える最も重要な柱の一つになっていると指摘され、不動産市場への注目度がますます高まっている。本稿では、中国不動産市場の特徴を解説し、18年の市場を回顧しながら19年の市場見通しについてまとめる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の石油・天然ガス産業の動向14
竹原美佳  独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構調査部上席研究員
米中貿易摩擦を受けて中国ではエネルギーセキュリティ意識が高まり、政府は国有石油企業に国内原油・天然ガスの開発強化を求めている。しかし油価低迷時の投資縮小と油田の成熟化から原油は生産減少が続く。国内生産の減少と製油所の新増設に伴い原油輸入は増加が続く。原油輸入増加の一方で、精製処理能力の過剰から余剰のガソリンや軽油の輸出が増加している。天然ガスは大気汚染対策に伴う石炭からの転換政策により開発が進むが、需要の伸びには追い付かず輸入が増加している。2018年に中国は、日本を上回り世界最大の天然ガス輸入国となった。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動車市場―量の飽和と質的な変化、そしてNEV16
有田直矢  導知(上海)信息諮詢有限公司(インサイツ東京事務所)顧問
2018年に28年ぶりのマイナス成長となり、19年も厳しい販売状況が続く中国自動車市場。しかし、詳細に状況を見ていくと、中国の自動車市場は、低価格帯のものから、より高級志向、品質重視の方向に動き始めていることが分かる。また、引き続き好調なのがNEVで、次期国家戦略の策定も始まっている。その中ではCASEはもちろん、MaaSなど次世代モビリティ産業における中国の意気込みが盛り込まれることが予想される。 /// 続きは本誌ご参照
中国IC産業及び同製造装置産業の現状と構造問題の改善に向けて18
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
中国の半導体産業と製造装置産業は、需要サイドも供給サイドも、中国経済の減速、スマホ需要の減退などから2018年は減速したが、19年も同様に減速すると考えられる。IC産業の最大の課題は国産化率の向上にあるが、米中貿易摩擦の影響から国産化の動きにブレーキがかかることは避けられない。そして、国産化率の向上のためには、規模を追う産業政策ではなく、製造ノウハウなどの経験蓄積の産業政策に切り替える必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国のロボット産業動向22
太田志乃  一般財団法人機械振興協会経済研究所調査研究部研究副主幹
中国は世界最大のロボット市場である。そして中国が狙うのは、市場だけではなく産業用ロボット生産トップ国としてのポジションである。中国は産業用ロボットの主要顧客である自動車や電気電子産業の市場としても世界最大であり、これらの生産現場で用いられる産業用ロボットの市場を内資製で占めることは、一層の国内市場活性化に結び付く。一方で、いわゆる中米交易問題に起因し、同産業の動向は2018年夏頃から雲行きが怪しくなりつつある。今後、我々は同産業の動向をどのような視線でみればよいのだろうか。 /// 続きは本誌ご参照
発展する中国の電子商取引と流通への影響26
神谷渉  玉川大学経営学部国際経営学科准教授
中国における電子商取引(ネット販売)は拡大しており、商品販売額の2割弱を占めるまでになった。これまでのネット対リアルの戦いから、電子決済プラットフォームを中核とする企業連合同士の戦いに進化している。大手流通企業の多くはアリババかテンセントとの資本提携を行うようになっており、両社の流通への影響は無視できないものになっている。2019年1月には電子商務法が施行され、電子商取引に関するルールの整備も行われた。法律の施行により健全な電子商取引市場の拡大に寄与することが期待される。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年4月号(通巻303号)

スペシャルレポート   米中貿易摩擦の行方
地域経済連携と米中貿易摩擦―CPTPP・RCEPへの期待と日本の役割6
清水一史  九州大学大学院経済学研究院教授
米中貿易摩擦の拡大は、世界経済に負の影響を与えており、特に発展を続ける東アジア経済にとっては大きな打撃となる。世界で保護貿易が拡大する中で、日本が関係国とともに進めてきたCPTPPや日本EU・EPAが発効に至ったことには大きな意義があり、RCEPも今秋をめどに全面妥結を目指して交渉が進められている。こうしたメガFTAを通じて保護主義に対抗することが求められる中、日本の役割は大きいといえよう。 /// 続きは本誌ご参照
トランプ大統領が仕掛けた対中貿易戦争の結末10
柯隆  東京財団政策研究所主席研究員
米中貿易戦争の問題の本質は、引き潮にある米国の技術覇権が中国にチャレンジされ、貿易戦争が米中の技術覇権争いに発展しつつある。貿易戦争が下火になっても、技術覇権争いは相当に長期化すると予想される。地政学リスクを含め、国際社会を安定させるためには、対話を強化し、ルール作りを加速することが求められる。 /// 続きは本誌ご参照
米中の貿易管理政策と日本の対応(I)14
一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)事務局
世界の二大経済大国である米中の緊張状態は、産業界に大きな影響を及ぼしている。本稿では、米国による「輸出管理改革法」など最近の新たな輸出管理に関連する規制と、中国で2017年6月に公表された「中国輸出管理法草案」を中心に解説する。なお、米国の最近の規制には、貿易・投資や国際的サプライチェーンに影響するものも見られるため、それも紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
世界食料需給からみる米中貿易摩擦18
小泉達治  農林水産省農林水産政策研究所上席主任研究官
2018年以降、米国と中国政府は、追加関税と報復追加関税を段階的に発動しており、農産物では、同年7月に中国政府が米国産大豆に25%の追加関税を賦課した。18年における中国の大豆輸入先では、ブラジルからの輸入量が増加する一方、米国からの輸入量が減少した。米国では18年度に大豆生産量が増加、輸出量が減少しており、期末在庫量は過去最高水準まで増加することが見込まれている。こうした動向は、世界大豆需給の不安定要因となることが考えられるため、今後も注視が必要である。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年3月号(通巻302号)

スペシャルレポート   日中両国の物流・ツーリズムにおける新潮流
日中観光産業の現状と展望10
守屋卓  日中平和観光株式会社代表取締役社長
日中国交回復8年前の1964年に中国専業旅行社3社が立ち上がり、日中旅行業界の幕開けを迎えた。それから54年が経過、今では日本人のアウトバウンドから中国人のインバウンドが大きく逆転、観光立国を目指す日本にとっては中国が最も重要な国となった。一方、旅行業界はネット業界の参入により大きな転換期を迎えた。唯一の中国専業旅行社として日中旅行業界の歴史をたどり、現状と今後の展望に触れてみる。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」政策に基づく広域物流における中国政府の施策14
町田一兵  明治大学商学部准教授
2008年末のリーマン・ショック後の景気回復策として開始した大規模な公共交通インフラへの投資が、やがて13年に習近平国家主席が提唱した「一帯一路」構想に合わせ、これまでの国内交通結節点の機能強化や、複数輸送モードによる広域交通幹線の整備、物流園区の設置が国境を越える広域物流展開の布石となった。同時に、中国政府は国際物流を促進するため、これまでの通関の迅速化やAEO制度の相互認定、国際道路輸送協定の締結、国際道路運送条約への加盟など、周辺国を中心に国境を越える広域物流の促進に多くの関連施策を実施しており、それに加え、現在中国各都市発の中央アジア・欧州行きのブロック・トレーン(チャイナ・ランド・ブリッジ、CLBと称す)に地方政府も多額の補助金を拠出するなど、様々な施策で中国発着の国際貨物輸送のさらなる活発化を促している。 /// 続きは本誌ご参照
順時而謀 順勢而為(時に合わせて考え、勢いに乗って為す)―日本発SEA&RAIL輸送事業(E-EXPRESS)の現状と展望18
高晨  シノトランスジャパン株式会社副社長
シノトランスジャパン株式会社は、日本で最も早い時期に設立した中国資本企業の一つである。日本市場では長年の信用があり、良質なサービスを提供していることで、日中のコンテナ海運分野では一定の市場規模と影響力を有している。近年の中欧班列(中国・欧州間国際鉄道輸送)の発展により、中国外運股份有限公司(中外運)と中国鉄路総公司(中国鉄路)の二大中国国有企業は緊密に連携し、2018年から我が社は、中国鉄路のマルチモーダルを専門とする専業会社との提携に調印し、中鉄コンテナ有限責任公司(中鉄コンテナ)の日本での管理と運営業務を担当、日本発のSEA&RAIL輸送事業「E-EXPRESS」を展開することとなった。 /// 続きは本誌ご参照
日本郵便の中国における越境EC物流の展開について22
久田雅嗣  日本郵便株式会社国際事業部長
近年の越境EC市場の成長には目を見張るばかりである。「輸出」に対するハードルも随分と下がり、これから海外進出したい、という企業の方や個人事業主の方からご相談を受ける機会も増えている。その一方、発送手続きが煩雑で大変、というお声を聞くこともまだまだ多い。日本郵便では、そのような悩みを解消し、お客さまにとって海外発送がより身近なものとなるよう、各種サービスを提供している。本稿では、特に中国宛のサービスに焦点を当て、皆さまにご紹介させていただく。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年2月号(通巻301号)

スペシャルレポート   第12回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議―日中協力の強化とグローバルな環境問題への取り組み2
日中経済協会事業開発部
日中経済協会は、経済産業省、中国・国家発展改革委員会、商務部との共催で、2018年11月25日、北京にて「第12回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。全体会議には、日本側は世耕弘成経済産業大臣、宗岡正二日中経済協会会長、高橋泰三資源エネルギー庁長官、中国側は何立峰国家発展改革委員会主任、銭克明商務部副部長、張勇国家発展改革委員会副主任をはじめ、両国政府・企業・団体・専門家等、官民合わせて約800人(日本側約300人、中国側約500人)が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
日中省エネルギー・環境総合フォーラムの歩み―拡大・充実する日中の省エネ・環境分野の協力プラットホーム6
日中経済協会事業開発部
「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」は、日本と中国の政府・企業・学術関係者などが一堂に会し、中国の資源・エネルギーの効率的な利用や、地球環境保護までも視野に入れた同国の環境改善に関して、政策情報や知見を交流するほか、ビジネスベースでの協力を図るプラットホームとして創設された。初めての開催は2006年5月で、以後はほぼ毎年、東京都内または北京市内で開かれている。今回で12回目を迎え、フォーラムで議論されるテーマも幅広い分野に及び、日中双方の企業などが取り交わす調印案件も、着実に積み上げられている。 /// 続きは本誌ご参照
省エネ技術イノベーションシステム構築分科会―システム構築におけるチャレンジとチャンス8
今村健二/笹原信  日中経済協会関西本部事務局長/東北開発・イノベーション事業部プロジェクト担当部長
日中両国において、省エネをめぐる政府の様々な政策や法律・制度のもと、産業界の努力および社会の意識向上が相まって、省エネ技術は高度な発達を遂げながらその普及・応用も進み、広範な産業・生活の各分野でエネルギー効率を向上させてきた。その結果、量の面ではまだ省エネ余地のある分野への拡大が求められると同時に、質の面では技術イノベーションによって次の高みを目指す段階に来ている。本分科会では、省エネ技術がイノベーションを果たすためのシステム構築が日中共通の課題であるという観点から、日中双方の政府と企業・関係機関の参加者が、それぞれの取り組み紹介とパネルディスカッションを通じて、直面しているチャレンジとチャンスを活かすための方策を共有するとともに、今後の日中協力の可能性を探った。 /// 続きは本誌ご参照
クリーンコールテクノロジーと石炭火力発電分科会―日中交流を通じて技術の更なる高みを目指す10
後藤雅彦  日中経済協会総務部
CO2の排出量を減らし、環境に負荷をかけない社会をつくる様々な取り組みが世界中で進められている中、電力もその例外ではない。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会―プラスチック問題のイノベーション:プラスチックごみの汚染防止・削減、プラスチック資源循環を取り巻く日中両国の取組み12
伊藤季代子  日中経済協会調査部主査
いまやプラスチック関連の問題は世界規模となり、様々な深刻な悪影響を引き起こしている。今回の循環経済分科会は「プラスチック問題のイノベーション」と題し、この問題を重点的に取り上げることにした。以下では、分科会で両国の政府・企業・団体が発表した内容の要旨を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会―日中自動車の電動化・スマート化の実現、発展へのロードマップ14
能登麻規子  日中経済協会調査部
自動車分科会は、広範な関連産業を持つ自動車産業における相互理解・関係構築を目的として本フォーラムの第1回(2006年)以来、毎回開催されてきた。今回、本分科会の議論から発展した成果の一つとして、CHAdeMO協議会と中国電力企業連合会との間で交わされた「電気自動車の急速充電規格に関する共同開発への合意」が日本側司会の経済産業省製造産業局自動車課・生田目企画官より紹介された。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易分科会(水循環改善におけるイノベーション)―水循環技術イノベーションの深化へ16
石威  日中経済協会事業開発部
日中・中日長期貿易協議委員会の省エネ等技術交流促進部会(中国側は環保技術合作分会、事務局は商務部対外貿易司が従事)は、日中省エネ・環境ビジネス促進・支援の場として、2006年の第1回フォーラム以来、分科会の形をもって毎回定期交流を行っている。第12回目となる今回は「水循環改善における技術イノベーション(水循環システム、海水淡水化、汚水汚泥処理)」をテーマとした。日本側は経済産業省、日中長期貿易協議委員会省エネ等技術交流促進部会および事務局、中国側は商務部、国家発展改革委員会、日中両国企業関係者らを加え計150人が参加した。水需給事情や両国の政策、製品・技術について紹介し合い、同分野における新たな日中協力の可能性を探った。 /// 続きは本誌ご参照
調印案件プロジェクト18
平槇早彌佳  日中経済協会総務部
今回のフォーラムでは、全体会議にて新規24件の日中間協力プロジェクトについて合意文書の交換が行われ、本フォーラムで合意した協力プロジェクトの累計は362件に達した。また、全体会議前日の11月24日には、協力プロジェクト調印式が行われ、日本側から経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課の山影雅良課長、中国側から国家発展改革委員会資源節約・環境保護司総合協調指導処の王静波処長が立会いの元、11件のプロジェクトが調印された。 /// 続きは本誌ご参照

  2019年1月号(通巻300号)

スペシャルレポート   2019年中国経済・社会の注目点
2019年の中国経済展望4
真家陽一  名古屋外国語大学外国語学部中国語学科教授
2019年は「米中貿易戦争」に伴う米国との対立の緩和を図るとともに、その長期化に伴う景気減速を内需拡大によりいかに下支えしていくかが、中国にとって重要な政策課題となろう。他方、中長期的にも持続可能な成長を維持するためには、構造改革を進めていくことも必要不可欠であり、中国は双方のバランスを取りながら、「二兎を追う」ことが求められている。 /// 続きは本誌ご参照
米中貿易摩擦が及ぼす中国経済への影響8
大和香織  みずほ総合研究所調査本部アジア調査部中国室主任エコノミスト
12月1日の米中首脳会談では、追加制裁措置の一時猶予などで両国が合意したが、米国が求める構造改革に中国が対応するのは難しい。これまでの米中貿易摩擦に伴う制裁措置による中国の輸出や物価への直接的影響に対して、政府は減税などの緩和策を講じてきたが、投資や消費への間接的影響が顕在化すれば財政による下支えは限界となろう。米中協議の行方次第で中国経済が長期低迷に陥る恐れもあり、今後の動向が注目される。 /// 続きは本誌ご参照
新時代の日中産業協力のあり方12
後藤康浩  亜細亜大学都市創造学部教授
米中の争いは貿易戦争から知的財産権保護や政府の企業への関与など広範な分野を包括する経済戦争へとエスカレートしている。その背景には過去、日米の間にも生じていた半導体等先端技術をめぐる対立がある。この米中対立を共存、協力に転換する仲介的役割が今、日本に求められており、日中産業協力の新たな役割となっている。 /// 続きは本誌ご参照
デジタル経済がもたらす中国社会の変貌16
岡野寿彦  株式会社NTTデータ経営研究所シニアスペシャリスト、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「日中ビジネス推進フォーラム」研究員
デジタル経済において中国政府が政策課題とする「社会信用の改善」や「サービス受益者の拡大(格差是正)」は、取引の活性化、消費者の主体性拡大、金融包摂など一定の成果を上げ、社会変化をもたらしつつある。プラットフォーマーが提供する決済や信用スコアが、これら構造転換を進める上での社会インフラとなっている。一方、イノベーションを担う人材の強化も「大衆創業・万衆創新」などが取り組まれているが、社会にさらなる価値を提供するためには、経営品質や継続性の重視など企業人の思考や組織マネジメントの変革が必要となっている。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   日中第三国市場協力
日中第三国市場協力の展開20
福永佳史  経済産業省貿易経済協力局貿易振興課長
2018年10月26日、北京にて、「第1回日中第三国市場協力フォーラム(以下、第三国フォーラム)」を開催した。多くの日中企業の経営トップを含め、予想を大きく上回る約1500人に参加いただいた。また、今回の第三国フォーラムに合わせ、日中の政府関係機関・企業・経済団体等の間で52件の協力覚書が署名交換されるなど、大きな成果も得ることができた。本稿では、日中第三国市場協力の展開について、概要を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギープラントの建設およびデジタル技術適用における日中協力22
堀口宗尚  千代田化工建設株式会社執行役員
千代田化工は、これまでの中国企業との協業実績(1)中国企業の第三国事業のEPC、2)中国製機器・資材の第三国プラントへの活用、3)中国モジュールヤードの活用)を踏まえ、中国寰球工程有限公司との間に、第三国市場での協業のための覚書を締結した。製油所・石油化学という伝統的に千代田化工が豊富な実績を有する分野における協業にとどまらず、現在注力しているデジタル・AIの分野も含めた協業である。これを契機に中国企業とさらなる協業の可能性を模索していく予定である。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年12月号(通巻299号)

スペシャルレポート   中国の最新ビジネス環境動向2018-2019
中国ビジネスの規制緩和と外国投資法の立法動向6
射手矢好雄  森・濱田松本法律事務所弁護士、一橋大学特任教授
日中経協ジャーナル2017年12月号(中国の最新ビジネス環境動向2017-2018)において、筆者は外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)に記載のない投資については認可ではなく届出で設立できるようになったことや、外国投資法の制定が準備されていることをレポートした。その後、18年にネガティブリストが改正された。営業許可書に関する制度も改革され、中国は全般的に規制緩和の方向に動いている。外国投資法は18年12月に審理が開始されることが決まっており、制定が秒読み段階に入った。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネス法務のリスクマネジメント―サイバーセキュリティ規制への対応10
本間隆浩  森・濱田松本法律事務所弁護士
中国での事業経営に当たっては、日本よりも早い法改正および実務運用の変化に適切かつ迅速に対応することが必要となる。特に、近時においては、環境規制の厳格化や、ネットワーク安全法(いわゆる中国版サイバーセキュリティ法)への対応が、中国で事業を行う企業において重要な課題となっている。本稿では、これらの中国法務における近時の重要課題のうち、ネットワーク安全法を取り上げ、その概要および企業において必要となる対応について紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国現地法人の資金調達を巡る当局の管理動向14
久保満利子  三菱UFJ銀行国際業務部調査役
近年の中国における資金調達を巡っては、金融自由化、人民元国際化の流れの中で、企業に対する法整備が進み、規制緩和、手続き簡素化の方向にある。一方で、経済改革の進展、銀行業務の多様化、経済のグローバル化とそれに伴う金融リスクの高まりの中で、監督官庁の銀行に対する管理が厳格化の方向にある。本稿では、最近の金融当局の管理動向を概観した上で、中国現地法人の資金調達の具体的規定について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
新個人所得税法で求められる新たな税務管理18
浦野卓矢  デロイト中国税務部ディレクター
中国の新個人所得税法が2019年1月1日より全面的に施行される。改正により基礎控除額や適用税率テーブルが変更となり、そして税務上の居住者の概念が明確化された。さらに専門付加控除や確定申告が新たに導入された。これにより、外国籍個人および中国籍個人の税金計算は複雑性が増すことになった。源泉徴収義務者としての雇用主の負担も大きく増えることになり、日系企業も早急に体制整備を行うことが求められる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の労務管理に関する法律の最新動向および留意すべき点22
熊琳  北京市大地律師事務所代表弁護士
ここ1年間で、中国では法制度の改定と国家機構改革が行われ、社会保険管理制度も大きく変化した。これに加えて、労働紛争の解決に関わる経済補償金の計算根拠、労働仲裁規則の改定や司法機関の処理方針傾向等にも、多くの新たな変化が現れている。本稿では、これまでの変化と影響について解説するほか、本社と現地法人がともに留意すべき労務管理の「実務上のリスク」問題のうち、典型的なものを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
最近の中国環境規制が日系企業に与える影響と対応策26
大野木昇司/内海真一  日中環境協力支援センター有限会社取締役/同社長補佐
中国では習近平政権の発足以降、環境政策が共産党中央委の方針へと格上げされ、かつてない環境規制の「嵐」が各地を襲っている。党中央の環境査察団が各地で、環境不適合の企業や産業団地を次々に暴き、日系企業を含め罰金総数や処罰件数も増えている。環境規制の強化は、習近平政権の肝いり政策「生態文明建設」であるため、環境規制の強化は今後も長く続く。日系企業は中国環境規制への古いイメージを改め、情報収集を強化し、環境政策の変化に対応することが求められる。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年11月号(通巻298号)

スペシャルレポート   グローバル化とイノベーションに向けて―2018年度日中経済協会合同訪中代表団抄録
李克強国務院総理との会見(全文)―中国は市場の公平性、透明性、予見可能性向上に努力6
日中経済協会
李克強国務院総理:日本経済界三団体(日中経済協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所)合同の訪中代表団に対し、心から歓迎を申し上げます。私は、5月に訪日した際、日中友好七団体が共同で盛大に開催してくださった歓迎レセプションに出席致しました。三団体がそれに参画し、積極的な役割を果たしてくださったことに、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第15回)提言書要旨:世界経済秩序の確立とイノベーションの新展開―日中協力の新たな指針11
日中経済協会
世界経済の構造的変化と秩序の確立/日中の経済構造及びビジネス環境の持続的改革/イノベーションに向けた日中協力の展開/アジア経済の新展開と日中協力 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―グローバル秩序の再構築と日中協力12
日中経済協会
傅自応商務部副部長:毎年のように日本の主な経済団体と企業家が商務部においでになり交流できることを大変うれしく思う。私からは3点申し上げたい。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―持続・安定的な経済成長と構造改革:日中協力の視点から16
日中経済協会
宗岡正二団長(日中経済協会会長):寧吉喆副主任におかれては今年7月に来日され、経済産業省との高級事務レベル協議で、経済情勢や双方の経済政策、第三国市場協力等の個別分野に関して認識の共有がなされた。今後のさらなる進展を期待している。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―新次元の日中イノベーション協力20
日中経済協会
王新哲工業信息化部総経済師:2018年、経済の高質成長という新たな要求に基づき、サプライサイドの構造改革を主軸に、製造強国とネットワーク強国の構築を推進し、前向きな成果を挙げている。携帯電話利用者数は15億人に近づき、4G利用者数が占める割合は約73%となり、移動ブロードバンド利用者数は12億3000万人を上回っている。 /// 続きは本誌ご参照
浙江省訪問団記録―ニュー・エコノミーが成長を牽引する浙江省24
高見澤学  日中経済協会調査部長
北京での一連の活動を終えた合同訪中団は、9月13日、地方訪問団として60人がデジタル経済の発展著しい浙江省杭州市を訪れた。ニュー・エコノミー分野での日中協力の新たなビジネスモデルを求め、民営企業との交流を深めることが今回の訪問の目的の一つでもある。地方訪問団の団長は、昨年に引き続いて日中経済協会副会長である日産自動車の志賀俊之取締役が務めた。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年10月号(通巻297号)

スペシャルレポート   中国の外交と国際関係
中国の外交戦略2
川島真  東京大学大学院総合文化研究科教授
中国の外交戦略は、中国から見れば合理的である。その背景は、米国の対外政策の変更や、第4次産業革命の到来といった社会的変化がある。それだけに、秩序形成には特に規範・ルールづくりの面でまだまだ課題が残されている。 /// 続きは本誌ご参照
多角的貿易体制と中国6
荒木一郎  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
米国と中国の「貿易戦争」がますます激化しつつある。過去20年間、重要な通商紛争を平和裡に解決してきたWTOの紛争解決システムは、この危機に対処することができるだろうか。 /// 続きは本誌ご参照
中国への関与政策は失敗したのか―中国と米国、EUそして日本10
青山瑠妙  早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
中国の改革開放政策採択後、米国、日本など西側先進国は中国に対して関与政策をとり続けてきたが、これまでの中国に対する関与政策は失敗したとの認識が米国の政府関係者や学者の間で広まっている。失敗を批判するのは簡単だが、果たしてどのような対中政策が望ましいのか、中国と米国、EUそして日本の関係から分析する。 /// 続きは本誌ご参照
朝鮮半島情勢と中国14
平岩俊司  南山大学総合政策学部総合政策学科教授
2018年1月1日の「新年辞」で北朝鮮の金正恩委員長が平昌オリンピックへの参加の意思を表明したことを契機として南北関係は一気に好転し、それを軸に北朝鮮の核ミサイル問題をめぐる国際情勢の雰囲気も一気に変わった。そうした流れは、韓国の米国に対する積極的な働きかけもあって、ついに6月12日には歴史的な米朝首脳会談の開催につながった。米朝首脳会談については様々な評価があり、こうした動きが本当に「朝鮮半島の完全な非核化」に至るかどうか、国際社会が注目することとなった。 /// 続きは本誌ご参照
一帯一路構想とASEANの対応18
石川幸一  亜細亜大学アジア研究所教授
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、中国の一帯一路構想(BRI)に大きな期待を寄せている。ASEANは現在ASEAN経済共同体2025の形成を進めており、大きな課題は輸送インフラの建設である。そのインフラ建設の資金需要(2016~30年)は3兆ドルを超えるが、ASEANインフラファンドの資金規模は約5億ドルに過ぎない。そのため、BRIがそのギャップを埋めることを期待している。高速鉄道などBRIによる巨大プロジェクトは既に動き出している。期待と裏腹に対中債務の増大、地場経済への貢献の小ささ、中国の影響力の拡大などの懸念も表面化している。 /// 続きは本誌ご参照
中露関係の深層22
廣瀬陽子  慶應義塾大学総合政策学部教授
近年、ロシアと中国の関係は「蜜月」と称されるほど緊密になっている。しかし、中露関係の実態は、米国の一極的世界に対抗して多極的世界を目指すなどの共通目標もある一方、反目し合う部分も多いことから、「離婚なき便宜的結婚」と表現する方が的確だ。それでも、2014年のウクライナ危機以後、中国の「一帯一路」構想とロシアの「ユーラシア連合」構想の連携に象徴されるように、中露関係の強化はロシアにとって避けられない現実となった。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年9月号(通巻296号)

スペシャルレポート   中国経済の中長期展望―重要課題分析
中国経済の中長期展望2
津上俊哉  現代中国研究家、日本国際問題研究所客員研究員
7月6日、懸念されていた米中貿易戦争が本当に始まってしまった。中国は昨年来国内経済政策では引き締めモードの経済運営を余儀なくされてきており、そこに米中貿易摩擦の悪影響が重なれば経済運営の困難さが増す。本稿では、過去の経済政策を振り返るとともに、今後の中国経済がどういう道を進むのかを展望したい。 /// 続きは本誌ご参照
新たな段階を迎えた国有企業改革6
大橋英夫  専修大学経済学部教授
改革開放40年を通して、国有企業改革は経済改革の核心部分を占めてきた。財政・金融改革から社会保障改革にいたるまで、経済改革の諸局面はいずれも国有企業改革を起点としている。習近平時代を迎えて、国有企業は民営企業の資本参加を含む混合所有制改革、また中央国有企業の大型合併・再編を通して、企業体力の増強と経営効率の改善に努めている。しかし国有企業優位の非中立的な競争政策は、中国経済の将来に暗い影を投げ掛けている。この深層を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
正念場にさしかかる中国の金融リスク対応10
岡嵜久実子  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
中国では、2015年以降集中的に取り組んできた金融のデレバレッジについて、一定の成果が見られ始めている。ただし、デレバレッジの推進は深刻な信用収縮を招く恐れもある。フィンテックに代表される金融のイノベーションの芽を摘むことなく、金融秩序の安定を確保するために、当局には大胆さと慎重さのバランスをとることが求められている。 /// 続きは本誌ご参照
持続可能な社会保障の構築へ―中国型福祉ミックスの模索14
澤田ゆかり  東京外国語大学総合国際学研究院教授
中国の社会保険基金は、収支の悪化が深刻化しつつある。黒龍江省では、基礎年金の積立金が底をついた。また社会保険全体が政府からの補助金への依存を高めている。こうした社会保険の危機には、少子高齢化だけでなく、「国民皆保険」にむけた制度設計が影響を及ぼしている。今後、高齢者の介護需要が高まると予想されるなか、社会保障改革は再び財政負担の軽減に向けて福祉多元化モデルに向かう可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国の新型都市化への「物差し」―中国都市総合発展指標18
周牧之  東京経済大学教授
「中国都市総合発展指標」は、都市評価の「物差し」をGDPから総合指標に転換し、都市をより魅力的かつ持続的なものへと導く試み。NTT出版からこのたび、日本語版〈環境・社会・経済 中国都市ランキング〉が出版された。その極意と今後の展望を解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年8月号(通巻295号)

スペシャルレポート   日中平和友好条約締結40周年―競争から協調へ:李克強総理来日を機に
経団連ならびに日中交流促進実行委員会の日中交流活動について4
久保田政一  日本経済団体連合会事務総長、日中国交正常化45周年・日中平和友好条約締結40周年交流促進実行委員会(日中交流促進実行委員会)事務局長
日中国交正常化45周年、日中平和友好条約締結40周年にあたり、経済界では、各界の協力を得て日中交流促進実行委員会を設置し、様々な分野の交流行事を推進している。今年5月の李克強総理来日時には、実行委員会主催により、歓迎レセプションを開催したほか、経団連主催で日中韓ビジネス・サミットを開催し、日中韓3カ国の経済関係においても、連携協力推進の機会を得た。 /// 続きは本誌ご参照
未来につなぐ日中エネルギー協力の精神―日中経済協力40年の足掛かり6
高見澤学  日中経済協会調査部長
「日中平和友好条約締結」、「中国改革開放」、「日中長期貿易取決め締結」と、3つの40周年を迎えた今年、日中経済関係は大きな転換期を迎えている。知られざる部分も含め、日中エネルギー協力が果たした日中経済関係への役割を振り返りつつ、今後の日中経済協力の発展に対する期待を述べてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
日中社会保障協定の署名―「保険料の二重負担」の問題解消へ10
草聡  外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第二課調査員
今年5月9日、東京において「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(日中社会保障協定)」の署名が、安倍晋三内閣総理大臣および李克強中国国務院総理の立ち会いの下、河野太郎外務大臣と王毅国務委員兼外交部長との間で行われた。日中平和友好条約締結40周年の今年に本協定が署名されたことは、日中双方の経済界に前向きなメッセージを発信するものであった。今後、日中両国は本協定の早期発効に向けて所定の手続きを行っていくこととなっている。本稿では、まず中国の社会保障制度の概要をおさらいした上で、我が国が他国と結んでいる社会保障協定の意義にも触れつつ、今回署名された日中社会保障協定の内容について要綱を述べる。 /// 続きは本誌ご参照
日中金融協力の強化―Win・Winの日中経済関係の深化13
井上寛樹  外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第二課事務官
日中平和友好条約締結40周年となる今年5月、中国の李克強総理が国務院総理として8年ぶりに来日し、9日、安倍内閣総理大臣との首脳会談を行った。首脳会談では、RQFII枠の付与、人民元クリアリング銀行の設置等の日中金融協力の深化について合意した。今回の合意内容は、我が国にとって対中人民元ビジネスを行う機会の拡大をもたらすのみならず、中国にとっては「人民元の国際化」や対外開放を進展させるものであると言えることから、今回の金融協力の強化は、Win・Winの日中経済関係をさらに深化させるものであった。 /// 続きは本誌ご参照
日中第三国市場協力16
杉田定大  日中経済協会専務理事
日本政府は、昨年6月に安倍総理が国際交流会議で行ったスピーチや11月のベトナムでの日中首脳会談、そして今年5月の東京での日中首脳会談の結果を踏まえた形で、意欲のある日本企業の積極的な海外展開を支援する立場から、日中の民間企業間のビジネス協力を後押していく方向性を打ち出している。これに合わせて、官民双方で具体的な動きが進んできた。 /// 続きは本誌ご参照
ユーキャンの中国での取り組みについて―教育分野を中心として(サービス産業における日中協力の事例)20
吉井文吾  成都生涯科技有限公司副総経理
2018年5月9日、日中首脳会談の場で、世耕経済産業大臣は、何立峰国家発展改革委員会主任との間で「サービス産業協力の発展に関する覚書」に署名した。「日中サービス産業協力メカニズム」を構築し、高齢化、教育等のサービス産業領域での協力を進めていくとしており、18年は介護や生活支援などの分野を取り上げるが、19年以降に教育分野での協力を展開するといわれている。それを先取りする形で、中国の教育分野で意欲的な取り組みを進めている事例を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
「日中長期貿易取決め」の成立と意義―民間主導で目指した長期協力関係22
山本祐子  前日中経済協会事業開発部長
1978年、日中平和友好条約締結に先立つ2月16日、北京において調印された「日中長期貿易取決め」。政府と連携しながら、民間主導で日中間の貿易拡大と経済協力促進の基礎を形成してきたこの取決めも今年で40年となる。 /// 続きは本誌ご参照
四川と日本の地方間協力で輝かしい明日の共創を24
尹力  四川省人民政府省長
中日両国は重要な隣国であり、四川と日本の地方間では、経済、文化の往来において悠久の歴史を紡いできた。中日平和友好条約締結40周年にあたる今年の春から夏へと変わる麗しい季節に、私は日本全国知事会の招きにより四川省政府代表団を率いて北海道での第3回中日省長知事フォーラムに出席するとともに、東京、山梨等を訪問し、四川と日本の地方間の経済協力、文化交流等の促進に関する良好な成果を上げた。 /// 続きは本誌ご参照
中日関係発展の新たなチャンスを活かし、遼寧と日本の各分野での交流促進を26
応中元  遼寧省外事僑務弁公室主任
中日国交正常化以来、両国各界関係者の共同の努力のもとで、中日関係が大きな発展を遂げたことは、両国と両国人民に実質的な利益をもたらし、地域の平和と安定にも重要な役割を果たしてきた。ここ2年、中日両国指導者は多くの会談と会見を行ってきた。5月、中国の李克強総理は日本で開催された中日韓首脳会談と「第3回中日省長知事フォーラム」に出席し、両国関係が改善の機運にあることを示した。そして、両国が各分野で交流・協力を深化させるための新たなチャンスをもたらした。 /// 続きは本誌ご参照
黒龍江省と日本は共に経済協力関係促進を―訪日を契機に28
趙万山  黒龍江省商務庁庁長
黒龍江省は中国の重要な商品穀物生産基地、グリーン食品産業基地、重要設備製造基地であり、エネルギー・原材料基地である。2017年、省のGDPは前年比6・4%増の1兆6199億9000万元に達した。日本は重要な経済・貿易協力のパートナーであり、近年、協力関係は深まり、経済交流は頻繁になっている。日本からは伊藤忠商事、双日、三菱商事、パナソニック等の著名企業が投資している。現在、黒龍江省はサプライサイド構造改革をメインとし、生態環境保護、永久基本農田(訳者注:農地保護政策)、都市開発の境界という3本のレッドラインを厳守し、投資誘致や技術分野の人材募集に力を注ぎ、省全体の産業プロジェクトのレベルアップを推進し、省の経済・社会全体の質の高い発展を促進している。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年7月号(通巻294号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2017/2018(II)―新次元の産業協力を念頭に
中国の次世代型自動車産業の動向と日中アライアンス8
有田直矢  導知(上海)信息諮詢有限公司(インサイツ東京事務所)顧問
新エネルギー車(NEV)の時代に完全に突入した中国自動車市場において、次の大きな流れになっているコネクテッド、およびその先の自動運転。中国ITビッグ3であるバイドゥ(百度)、テンセント(騰訊)、アリババ(阿里巴巴)、そして長安汽車や北汽集団など中国地場メーカーの取り組みなどを通じて、2018年4月開催の北京モーターショー前後の最新状況を解説し、その上で、日本企業としてこの業界に取り組むべき態度を提言する。 /// 続きは本誌ご参照
中国のロボット産業の動向と日中アライアンス12
太田志乃  機械振興協会経済研究所調査研究部研究副主幹
中国が世界最大のロボット市場であることはよく知られている。ロボットは、主に工場など生産現場で用いられる類を産業用ロボット、そして運送や農業分野で用いられる類をサービスロボットと区分するが、2017年時点でグローバル出荷台数が多いのは産業用ロボットで、中国がグローバルの約3割を占める大市場となっている。今後も同国における産業用ロボット需要は拡大すると予測されており、この大市場に向けて多くの国、企業が熱い眼差しを送っている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の物流とIoT―日中アライアンスの視点を交えて16
町田一兵  明治大学商学部准教授
中国の物流市場は、拡大と共に産業全体の高度化が徐々に進められている。政府はIoTを産業高度化を進める際のキーワードとして考え、各種政策を打ち出しながら、物流企業のIoT導入を促している。企業側でも近年IoT関連技術を活用する動きが活発化しており、一定の効果が認められた。今後さらなるIoT化を図る際、異なる業界を跨ぐ共通基準の設置やICチップの国産化が不可欠となる。 /// 続きは本誌ご参照
中国におけるコンテンツ産業の動向20
青﨑智行  白鷗大学経営学部教授
「第13次五カ年計画」において、文化産業は支柱産業として位置づけられるとともに中華文化の影響力拡大が主要目標に掲げられている。文化産業の牽引エンジンというべきコンテンツ産業はこれまでも堅調な伸びを享受してきたが、インターネットの浸透したメディア環境、コンテンツビジネスのアップグレード、国家戦略における明確なポジショニングなどにより、中国コンテンツ産業にこれまでみられなかった構造変化が訪れている。そしてその動向は、諸外国コンテンツ産業にとっても決して無関係ではない。 /// 続きは本誌ご参照
中国の化学産業動向と日中間の交流について24
松本直  日本化学工業協会国際業務部長
近年、中国の化学産業は他の産業と同様に急速に大きく発展してきた。本稿では、中国の化学産業の現状と今後の動向について、中国工業信息化部による5カ年計画等を参考にしながら、日本化学工業協会の視点で述べることとしたい。これに加え、日化協が携わった、日中間の国際会議などを通じた中国側化学産業関係者との交流についても、触れることとする。 /// 続きは本誌ご参照
中国の建築・住宅産業動向と日中交流28
満田將文  日中建築住宅産業協議会事務局長
最近10年の中国の住宅の発展について、日中建築住宅産業協議会と中国との交流を基に、いくつかのキーワードを検証しながらその変転を見る。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年6月号(通巻293号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2017/2018―第13期全人代第1回会議を終えて
2018年の中国経済、金融リスクへの対応カギに2
北原基彦  日本経済研究センター主任研究員
2018年の経済成長目標は6.5%に設定された。前年と同水準で、20年の「全面的な小康社会」の実現に向け、習近平政権の意欲を示した形となった。一方で「3大堅塁攻略戦」のトップとして金融リスクへの対応が強調された。中国経済はリバランスの着実な実施を求められており、成長率の維持か構造改革の推進かの舵取りは容易ではない。また米国との貿易摩擦など外部要因も予断を許さない。17年秋の党大会は国づくりが新しい段階に入ったことを宣言したが、少子高齢化の足取りが早まる中で成長一辺倒の政策で体制の安定が図れるか、2期目に入った習近平政権の政策面の質的な転換が問われている。 /// 続きは本誌ご参照
中国における金融システミックリスク対策の強化6
萩原陽子  三菱UFJ銀行経済調査室調査役
習近平国家主席が政権2期目に磐石の体制を築けるように指導部人事を決定する上で、2017年10月の共産党大会までの安定成長は不可欠なファクターであった。しかし、成長を支えるために企業債務は拡大が避けられず、14年末から名目GDP比で1990年代の日本のバブル期の水準を超えた。この結果、16年にはIMFやBISといった国際機関が債務の膨張に対して強く警鐘を鳴らすようになった。こうしたこともあり、習政権は債務抑制を含む金融システミックリスク対応を強化してきている。 /// 続きは本誌ご参照
シェアリングエコノミーの中国的展開―シェア自転車の爆発的普及が示すこと10
駒形哲哉  慶應義塾大学経済学部教授
「混沌の中での発展」という特色を示しつつ、情報通信技術をベースとした中国の今後の経済産業の発展を象徴する存在となっている「シェア自転車」。これをターゲットとしてシェアリングエコノミーの中国的展開を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の石油・天然ガス産業の動向14
竹原美佳  石油天然ガス・金属鉱物資源機構調査部上席研究員
中国は2017年に米国を上回る世界最大の原油輸入国となった。原油生産は14年下期の油価低下以降投資が低迷したことにより伸び悩んでいる。国内生産の減少と製油所の新増設、輸送・貯蔵インフラの増加に伴い原油の輸入が増加している。天然ガスは大気汚染対策に伴う石炭からの転換政策により需要が急増した。特に液化天然ガス(LNG)の輸入が増え、中国は日本に次ぐ世界2位のLNG輸入国となった。天然ガスの生産は伸びており、需要の伸びに追い付かず輸入が増加している。シェールガスなど非在来型ガスの開発、調査研究も進められており、17年にはメタンハイドレートの長期生産試験を実施した。国有石油企業に加え、民間企業による中東、ロシア等一帯一路沿線国における資産買収が活発に行われた。また、米中エネルギー協力合意により中国の米国からの原油・LNGの輸入が増加している。こうした動向を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動車産業の動向17
呉保寧  現代文化研究所調査研究本部上席主任研究員
全人代という最高レベルの国家イベントで国務院総理が、外資規制の緩和、新エネルギー自動車の普及、自動車の輸入促進、中古車取引の拡大、排出ガス規制の厳格化といったキーワードで中国自動車産業の課題と問題意識を提起し、今後の政策の方向性を明らかにした。日系メーカーはその影響をしっかり見極めながら、中国戦略を中長期的視点から点検する必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
IC産業及び同製造装置産業の現状と発展可能性について―製造分野のIoT(スマート製造)をにらんで22
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
AI技術が飛躍的に向上する中、中国の半導体(IC)産業と同製造装置産業の発展の可能性をどうみておくべきか、最新の動向を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の流通と電子商取引26
神谷渉  玉川大学経営学部国際経営学科准教授
中国の流通におけるネット販売の位置付けは年々飛躍的に高まっている一方で、商品販売額に占める割合は依然として15%程度となっている。有力なネット販売事業者は大手小売業と提携することで、既存の小売業も巻き込んださらなる拡大を模索している。その結果、アリババのジャック・マーが提唱した「新小売」に代表されるように、ネットとリアルの新たな連携モデルが次々と出現し始めている。また、無人コンビニなど新たな技術を活用した新しい小売形態の模索も始まっている。これらの次世代の取り組みによって、中国の流通が世界の注目を集めている。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年5月号(通巻292号)

スペシャルレポート   「一帯一路」最新動向と大湾区構想の展望
構想から実務の時代へ、「一帯一路」とビジネスチャンス4
江原規由  一般財団法人国際貿易投資研究所研究主幹
提起以来5年、「一帯一路」への世界的関心は高まり続けており、その行方につき、多くのことが語られている。「一帯一路」は、合作共贏(ウィン・ウィン)を目的とし、「共商、共建、共享」(共に話し、共につくり、共に分かつ)の『三共』を基本理念とし、『5通』を主要事業としている。世界は「一帯一路」をどう見ているのか、「一帯一路」の可能性や課題、そして、ビジネスチャンスの視点から考察してみた。 /// 続きは本誌ご参照
「粤港澳大湾区」構想からみる「海のシルクロード」の最新動向と香港の役割9
伊東正裕  香港貿易発展局東京事務所長
現在、中国と香港の動向に関して最も注目を集めているのは、現代版のシルクロード経済圏構想「一帯一路」と、珠江デルタ地域経済圏構想「粤港澳大湾区」であろう。本稿では、「一帯一路」と「粤港澳大湾区」の最新トレンドについて概観したうえで、両構想の関係について説明する。さらには特別行政区として21年目を迎えた香港の両構想における戦略的重要性と果たす役割についても解説する。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」と日中協業の可能性14
月岡直樹  株式会社みずほ銀行国際戦略情報部調査役
日本企業の間に「一帯一路」インフラプロジェクトへの参画を模索する動きが活発化している。中国では、国家戦略ありき、採算度外視のインフラ受注を見直す動きがみられるほか、有識者もプロジェクトの市場性を重視する姿勢を強調。海外企業との連携に前向きな意見も拡がり始めている。日本企業と中国企業が第三国のインフラプロジェクトで協業できる可能性はあるのか。あるとすれば、どのような協業スキームが考えられるのか。 /// 続きは本誌ご参照
「一帯一路」構想がもたらすもの18
林千野  双日株式会社海外業務部中国デスクリーダー
2013年、習近平国家主席により提起された「一帯一路」構想(以下、「構想」)は、14年12月、中央経済工作会議において正式に中国の発展戦略として認定され、爾来、中国政府の強力なバックアップのもと、対象国(中国語で「沿線国」、以下「沿線国」)とされる60カ国以上の国々において様々なプロジェクトが進行中である。壮大な「構想」の全貌を把握することは極めて困難だと思われるが、ここでは筆者の視点に基づきその基本構想のフレームワークを俯瞰し、現地視察を通じての実体験も交えて、中国の変化が「構想」にもたらすであろう影響や、第三国における日中協力の可能性についても考察してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
物流からみた「一帯一路」構想とユーラシア大陸横断鉄道22
福島竜男  日本通運株式会社東アジアブロック地域総括室自動車事業開発部長
「一帯一路」構想に沿った物流ルートが次々と形成される中で、中国と欧州を結ぶ国際鉄道輸送が「船より早く、飛行機より安く」というニーズに応える第三の輸送モードとして、商品開発が進められている。中国の内陸都市を主に出発点とする、ユーラシア大陸横断定期貨物列車「中欧班列」は、高運賃等の課題もあるが、地方政府の助成金制度、増便や中国と沿線諸国鉄道会社との運賃協定など、運送コストの削減および長期的運用に向けた取り組みが進められており、「一帯一路」の物流を支えてゆくことが期待される。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年4月号(通巻291号)

スペシャルレポート   日中ライフサイエンスビジネスの可能性
「中国健康2030」から読み解くヘルスケア産業発展の方向性―日本企業はどう向き合うか6
鶴田祐二  野村綜研(上海)咨詢有限公司産業三部総監
中国においては高齢化や所得水準の増加を背景に、国民の健康意識が高まっている。中国政府は、2016年に国家戦略として中長期的なヘルスケア領域のガイドラインとなる「健康中国2030」を策定。国民に対し健康的な生活の提供を約束すると同時に、ヘルスケア産業のイノベーションの促進を担うものとして期待されている。近年では、市場からの民間資本の流入も進み、業界横断的なプレイヤーも出現している。このような動きは日本企業に多くの事業機会をもたらすことが期待される一方で、当該領域でプレゼンスを高めるメガ・プレイヤーとどう向き合うかという課題も突きつけている。 /// 続きは本誌ご参照
医用機器ビジネスの歩みと中国での展開について10
奥成博  株式会社堀場製作所開発本部医用開発担当副本部長・理事
社会の高齢化に伴い拡大が続く中国の医用検査機器市場。日本とフランスからの製品輸入、現地販売・サービス対応により、現地ニーズに合ったビジネス展開を始めた堀場製作所だが、その後新たな製品の現地生産を実現、グローバル展開を目指し、品質確保とコストダウンを積極的に進めた。当初難航が予想された、現地生産販売許認可取得も大幅に短縮。その秘訣とは? /// 続きは本誌ご参照
健康食品での中国越境ECへの進出と今後の課題・展望について14
保田大  アサヒカルピスウェルネス株式会社ダイレクトマーケティング部長
主に日本国内において健康食品の通信販売を手掛ける当社は、中国越境ECモール「京東全球購」に「Calpis 可尔必思医薬保健海外旗艦店」を2018年1月1日にオープンし、同国での健康食品の販売に着手した。その背景、目的、現況そして今後の展望について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―相澤病院が目指す「康復」から「リハビリテーション」への道のり18
大塚功  相澤(北京)医院管理有限公司総経理、社会医療法人財団慈泉会相澤病院リハセラピスト部門部長、理学療法士
長野県松本市に所在する社会医療法人財団慈泉会(相澤病院)は、急性期リハビリに力を入れており、その医療実績は内外より高い評価を受けている。2012~13年度には、経済産業省「日本の医療機器・サービスの国際化推進事業」を受託し、中国でのリハビリ病院設立を目指した現地調査などを経て、15年に相澤病院100%出資の「相澤(北京)医院管理有限公司」を設立、リハビリコンサルティングの事業化に結実した。その後、中国式の「康復」(本文で解説)の考え方を、いかに世界の標準的な「リハビリテーション」へ導いていくか、その険しい道のりの現状と課題、そして今後のビジネス展望を大塚総経理に聞いた。 /// 続きは本誌ご参照
中国の健康養老ビジネスにおける現状と展望―「未富先老」「4・2・1家族」現象から見た高齢者産業の挑戦と機会24
傅子毅  日立(中国)有限公司養老介護事業推進本部事業推進部総経理
近年、名実ともに「少子高齢化」社会に突入した中国。急増する高齢者介護に対する社会保障負担の拡大、高齢者扶養の弱体化に伴う社会介護負担の増大などの問題は、国の経済・社会基盤を崩壊させる危険性を有している。一方、これを官民連携による新たなビジネスチャンスとして捉える見方も少なくない。 /// 続きは本誌ご参照
中国医薬品審査に係る規制緩和―日本の医薬品業界活動の成果28
高見澤学  日中経済協会調査部長
急速に拡大する中国の医薬品市場。日本の医薬品業界は新薬投入手続きの迅速化や簡素化に向け、規制当局に様々な形で働きかけを行ってきた。今回、中国の規制当局が医薬製品に関する国際的な枠組みに加盟したことで、日本側業界の要望が実現する形となった。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年3月号(通巻290号)

スペシャルレポート   2018年中国経済動向の注目点
2018年の中国経済と国有企業改革の展望8
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
2017年10月の中国共産党第19回大会では習近平総書記の権威と権力がいっそう強まった。だが、習氏がその強い権威と権力を使って経済をどの方向に引っ張っていこうとしているのかは依然曖昧である。今後、市場経済の方向へもっと進んでいくのか、それとも国家の経済に対する関与がますます強まるのか。そもそも今は景気の上昇期にあるのか下降期にあるのか。本稿ではこの2つの疑問に対する私の考えを述べたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国証券業の新たな対外開放をめぐる動き14
関根栄一  野村資本市場研究所北京首席代表
2017年に中国政府は2回にわたりサービス業の対外開放の方針を打ち出し、同年10月の第19回党大会でも確認している。サービス業の中でも金融業は対外開放に重点が置かれた業種であり、同年11月の米中首脳会談を機に、証券業でも大幅な外資出資制限の緩和の方針が公表された。出資面だけでなくライセンス面での規制緩和や、日本を含む海外勢の証券業への新規参入も注目される。また、対外開放の前提として、金融リスクの発生防止も課題である。 /// 続きは本誌ご参照
中国のAIについて―政府の取組みと一部応用事例18
貞川晋吾  住友商事グローバルリサーチ株式会社国際部シニアアナリスト
何げない生活の中でAIが浸透し、そのAIに対してビッグデータが良好な学習環境を与えている等、日々新たな認識を迫られる中国。AIの応用を強く意識せざるを得ない報道も次々となされている。中国政府が想定しているAI産業の発展政策を講じるとともに、AIの応用事例を通じて最近の中国経済の一端を紹介してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
大気汚染対策の急進展と広がる歪み22
堀井伸浩  九州大学大学院経済学研究院准教授
北京市民のこの冬の過ごし方はここ数年と違ったものになっているはずだ。毎年冬になると深刻なスモッグに悩まされていた北京であるが、今年は冬にも青空が見られるようになった。最大の要因は北方地域全体での脱石炭化、特に暖房のガス転換である。一方、北京に隣接する河北省でもいつもと違う冬を過ごしている人もかなりの数に上るようだ。ガスに転換したのは良いものの、ガス供給が滞ったり、あるいは値上がりし過ぎて使えず、寒さに震える冬である。本稿はガス転換の実態を踏まえ、ガスの供給不足が生じた原因と抱える問題について考察する。重要な点は、習政権が打ち出している、市場メカニズムを中心原理とする方針と相反して、大気汚染対策に関しては結局政治的介入が強すぎるということである。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年2月号(通巻289号)

スペシャルレポート   第11回日中省エネルギー・環境総合フォーラム―日中双方の強みを活かし、第三国市場ビジネス協力も推進
全体会議4
山本祐子  日中経済協会事業開発部長
日中経済協会は、経済産業省、中国・国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で、2017年12月24日、東京にて「第11回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。全体会議には、日本側は世耕弘成経済産業大臣、中川雅治環境大臣、宗岡正二日中経済協会会長、平木大作経済産業大臣政務官、中国側は張勇国家発展改革委員会副主任、高燕商務部副部長、劉少賓中国駐日本国大使館臨時代理大使はじめ、両国政府・企業・団体・専門家等、官民合わせて約860人(日本側約480人、中国側約380人)が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
省エネ環境分野における日中の第三国市場協力分科会―新次元のビジネスモデルを目指して8
金子美帆  日中経済協会事業開発部
新たな経済成長ポイントの形成に求められる「第三国市場協力」「第三国市場協力」とは、複数の国・地域の企業等が、それぞれの優位性を活かしながら当該諸国以外での海外市場を協働で開拓していくことである。リーマン・ショック以来、先進諸国における深刻な産業空洞化や、世界におけるコスト上昇に伴う国際市場での需要減退などにより、世界経済は期待されるような成長を遂げることができず、相変わらず低迷した状態が続いている。その一方で、経済のグローバル化が進展し、IoT等の情報・通信技術が発展して、経済の規模拡大と共に、質の向上が求められている。また、新興国や発展途上国では工業化が進みつつあるものの、先進国でさえその対応に苦慮しており、ここに双方の強みを生かした融合によるイノベーションが求められている。一般的には、第三国への裨益を前提として、先進国企業の優れた技術や設備と新興国・途上国の豊富なエネルギー資源やマンパワー等を有機的に結合させ、第三国において互いの長所を十分に発揮し、最大のコストパフォーマンスが提供できるような新たな成長ポイントを創出し、それによって、これまで抱えてきた課題の解決につながることが期待されている。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー分科会―省エネの普及における政府とサードパーティの役割10
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
今回の省エネルギー分科会では、日本と中国が省エネの普及という社会的課題の実現に向けて、それぞれの政府が政策・法規面で関連産業における省エネの取り組みとイノベーションをリードすることをベースとし、金融面でのサポートを重要なツールとしながら、サードパーティの活躍が省エネポテンシャルの開拓に大きな効果を発揮しているという現状認識を共有した。そして、省エネ分野においては、今後の日中協力に大きな可能性を有していることが明らかになった。 /// 続きは本誌ご参照
クリーンコール技術と石炭火力発電分科会―クリーンコールの更なる高度化を目指して12
後藤雅彦  日中経済協会総務部
中国は発展途上の大国であり、エネルギーについては依然として石炭に大きく依存しているため、環境面の要求から石炭のクリーン利用をさらに進めることが大きな課題となっている。また、気候変動対策の観点から、世界的に石炭火力発電によるCO2の削減が強く求められており、同時に大気汚染対策に向けては、CO2以外の煤じん、NOx、SOx等への対応が必須となっている。クリーンコール技術と石炭火力発電分科会では、これまで主としてCO2の削減に向けての技術交流を行ってきたが、今回はさらにIoTを活用した効率的な運用や再生エネルギーの導入に際しての負荷調整など、単に技術的な事柄のみでなく、運用面についてのプレゼンテーションや交流が行われた。加えて一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)が本分科会の開催に合わせ、毎回実施している日中共同委員会ともコラボレートする形で、フォーラム翌日開催の同委員会において個別企業による技術紹介やブース展示が行われ、ビジネスマッチングにも配慮した形となった。 /// 続きは本誌ご参照
資源循環利用・ごみ処理分科会―循環型社会形成に向けた日本の着実な取り組みと中国の新アプローチ14
久力翔  日中経済協会調査部
資源循環利用・ごみ処理分科会は、循環型社会形成への課題解決のために、日中両国が資源循環利用とそれを支える、ごみ分別や廃棄物の処理技術・経験・システム等の交流を深化させ、ビジネス協力につなげることを目的としている。特に今回は中国側から、都市化の発展を妨げているごみ処理問題について、生活ごみの分別、そのために必要な教育、また、急増する自動車の再資源化、ごみ分別率の低さによって難度を増している廃プラスチックと、回収業者の零細化と相俟ってリサイクル率が向上しない廃タイヤのリサイクルを、どのように解決すべきかといった課題が示された。これに対して日本側は、政策セッションと事業セッションのプレゼンテーションに現場視察を組み合わせ、中国側に日本の政策・制度の進化と関連技術への理解を深めてもらえるよう努めた。国レベルの循環型社会形成の着実な取り組み、その中でエコタウンなど先進的な取り組みを進めてきた地方自治体・川崎市、ならびに日本有数の景勝地として、厳しい環境規制に取り組み続けている京都でのごみ分別処理の定着、川崎エコタウンを構成する昭和電工のケミカルリサイクルやバイオマス発電、廃タイヤのリサイクルシステムを構築してきた日本自動車タイヤ協会の取り組み、美しい自然を誇る富山県の優秀ものづくり企業・エムダイヤの廃タイヤなどの破砕分別技術などである。以下ではこれらのエッセンスを紹介しつつ、中国側から説明されたリサイクル分野と「インターネット+」を組み合わせた新たなアプローチ等についても触れ、今後のビジネス協力についての試論をまとめてみた。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の知能化・電動化分科会―日中次世代自動車業界の盛会16
西槙躍  日中経済協会事業開発部プロジェクト担当部長
自動車分科会は知能化・電動化をテーマに3時間にわたって、日中双方の政府、団体と企業の代表者がプレゼンテーションを行った。分科会出席者は日本側が73人、中国側が87人となり、本分科会開催以来最も多い出席者数を記録した。次世代自動車分野の日中協力について、この2年間は充電システム、互換性(「互聯互通」)に関する共同研究を巡って、進捗状況や研究成果に重点をおき、また、双方のEV、PHVの普及、燃料電池発展戦略のロードマップなどにテーマが絞り込まれてきたが、今回はこれまでの議論を踏まえ、自動車の知能化を象徴する自動走行、電動化の終極の目標といわれる水素燃料に関して議論が集中した。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易分科会―水循環向上のためのイノベーション(海水淡水化、汚水・汚泥処理)18
能登麻規子  日中経済協会総務部
日中の長期貿易協議委員会の省エネ等技術交流促進部会は、省エネ・環境分野における民間企業を主体とした具体的な協力案件の創出・促進のための交流の場として、本フォーラムの第1回(2006年)から日中長期貿易分科会の形で定期交流を続けている。本分科会では、当初から「汚水・汚泥処理」と「自動車リサイクル」の二大テーマで交流を重ね、汚水汚泥処理における技術提携が進み、参加企業の中国現地での製造拠点形成、中国企業とのアライアンスによるインフラプロジェクト受注など、ビジネスの成果につなげてきた。前回の第10回からは中国が直面する厳しい水需給事情や汚水処理に関する問題などを背景に、国家発展改革委員会や業界関係者の要望に応える形で「節水・海水淡水化」を新たな分野として加え、水循環において川上となる海水淡水化から、川下である汚水・汚泥処理・処置まで一貫したテーマのもとで交流することとなった。今回も「水」にフォーカスし、「海水淡水化」と「汚水・汚泥処理」を主題に部会メンバーをはじめ日中の企業関係者と、経済産業省、商務部、国家発展改革委員会関係者など合わせて約80人が参加し、各企業の最新の技術や両国政府の政策等の紹介が行われ、新しい協力案件を求めていくこととなった。 /// 続きは本誌ご参照
調印案件プロジェクト20
杜本水萌  日中経済協会事業開発部主任
今回のフォーラムでは、新規23件の日中間の協力プロジェクトについて合意文書の交換が行われ、本フォーラムで合意した協力プロジェクトの累計は336件に達した。本フォーラム全体会議前日の12月23日には、協力プロジェクト調印式が行われ、9件のプロジェクトが調印された。調印式では、日本側から経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課の茂木正課長、中国側から国家発展改革委員会資源節約環境保護司の呂ろ侃かん総合処長が挨拶を行った。 /// 続きは本誌ご参照

  2018年1月号(通巻288号)

スペシャルレポート   日中グローバルパートナーとしての新展開に向けて―2017年度日中経済協会合同訪中代表団抄録
李克強国務院総理会見(全文)―中国の対外開放拡大は改革を導く6
日中経済協会
2017年11月20~23日、日中経済協会合同訪中代表団(第43回)は北京を訪れ、李克強国務院総理との会見、商務部、工業信息化部、国家発展改革委員会との全体会議および日中企業家対話を行った。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第14回)提言書要旨11
日中経済協会
提言の重点:1)反グローバリズムへの懸念がある中、中国が構造改革や適切なマクロ経済運営を通じて世界経済の安定に貢献され、自由貿易の推進や地域経済協力の高度化、地球温暖化への取り組みなどに日中両国で積極的な役割を果たしていくことが期待されている。2)日中両国の産業界は、人口構造の変化や地球環境問題への対応、第4次産業革命によるイノベーションを推進させるため、お互いの強みを活かしたビジネス協力を深めていくことが重要である。3)日中両国は、世界経済の持続可能な発展に貢献すべく、グローバル・パートナーとして包括的で質の高い自由貿易体制の枠組み構築において主導的な役割を果たすと共に、第三国市場、とりわけアジア太平洋地域の中長期的な経済発展の基盤整備の推進を図っていくべきである。4)その実現のためにも、次世代につながる日中関係の深化に向けた、早急かつ継続的なビジネス環境整備を提案する。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―グローバルビジネス展開と日中Win・Win協力12
日中経済協会
鐘山商務部長:中国の対外開放の歩みは止まらず、各国と共に「一帯一路」建設を強く推進し、共同発展の新たなエネルギーを生み出す。高レベルの貿易と投資の自由化・円滑化政策を実行し、参入前の国民待遇+ネガティブリスト管理制度を全面的に実行し、市場参入を大幅に緩和し、サービス業の対外開放を拡大し、外国投資の合法的権益を保護する。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―新産業革命に向けた日中産業協力15
日中経済協会
劉利華工業信息化部副部長:現在、グローバル社会で新たな科学技術革命と産業変革が生じ、新技術、新産業が絶えず出現し、新しい成長軸を生み出している。インターネットなど情報通信技術とその他産業との融合は、人類の生産と生活方式に革命的な変化をもたらしている。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―経済の長期安定・持続的成長とサプライサイド構造改革18
日中経済協会
宗岡正二団長(日中経済協会会長):中国共産党第19回全国代表大会で、新たな指導体制と今後の政治・経済運営の方針が示されたことをお慶び申し上げる。今後の持続可能な経済発展に向けたマクロ経済運営と構造改革に期待している。習近平国家主席、李克強国務院総理と日本の安倍晋三総理大臣との会談を受け、今後の日中両国の関係改善にも大いに期待するところ。保護貿易主義など反グローバリズムの動きが懸念される中、両国には自由貿易の推進や地球温暖化対策への取り組みで積極的な役割を果たすことが期待されている。両国はグローバル・パートナーとして、世界経済の持続可能な発展に資する、包括的で質の高い自由貿易体制の枠組み構築や、アジア太平洋地域の中長期的な経済発展の基盤整備を図っていくべきである。こうした観点から、日中関係の深化に向け、中国の構造改革のさらなる強化をお願いしたい。本日は、寧副主任をはじめ、国家発展改革委員会の皆さまからサプライサイド構造改革の成果と展望、「一帯一路」構想などを説明いただくと共に、日本経済界の取り組みを紹介しつつ、グローバル社会に向けた日中産業協力の可能性について意見交換したい。 /// 続きは本誌ご参照
日中企業家対話総括セッション―日中両国企業によるグローバル化協力とイノベーション協力22
日中経済協会
姜増偉中国国際貿易促進委員会会長:習近平総書記はAPECサミットの席で、中国の開放の歩みは止まることはなく、より高次な開放的経済を発展させ、より高レベルな貿易と投資の自由化と円滑化政策を実行すると明確に述べた。今後15年間に中国は24兆ドルの商品を輸入する見通しである。これは日本を含む世界各国に巨大な市場とビジネスチャンスを提供する。中日両国の経済の相互補完性は大きく、協力のモデルも多様で、成熟度も高い。省エネ・環境、養老介護、AI、ハイエンド製造業等の分野で広大な協力の空間がある。双方の協力は今後一層緊密になるであろう。 /// 続きは本誌ご参照
広東省訪問団―活力ある広州・深圳企業との関係強化に向けて26
高見澤学  日中経済協会調査部長
北京での一連の活動を無事に終えた日中経済協会合同訪中代表団は、日産自動車の志賀俊之取締役を団長とする広東省訪問団を組織し、現地参加者も含めた一行70人が広州、深圳で交流を行った。ベンチャー企業による起業やイノベーションが盛んな広東省での交流の様子をレポートする。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年12月号(通巻287号)

スペシャルレポート   中国の最新ビジネス環境動向2017-2018
中国ビジネスの外資規制緩和と外国投資法の立法動向4
射手矢好雄  森・濱田松本法律事務所弁護士、一橋大学特任教授
中国への投資は規制緩和の方向にある。以前はすべての投資に認可が必要だった。現在ではネガティブリスト(外商投資参入特別管理措置)に記載がある投資については認可が必要だが、ネガティブリストに記載がなければ届出で足りるようになった。今後さらなる規制緩和が予定されており、外国投資法も制定される予定である。ただし、規制が完全になくなることはなく、認可を必要とする投資は残る。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネス法務のリスクマネジメント―近時の法務監査でよく見られる問題点と対応策8
本間隆浩  森・濱田松本法律事務所弁護士
中国での事業経営に当たっては、適用される法令だけでなく、最新の実務運用や法改正の動向にも注意を払う必要がある。多くの日系企業においては、法令遵守に細心の注意を払って事業が行われているが、日本とは異なる法令・制度改正のスピードや、過去の実務慣行の影響等により、どうしても陥りがちな落とし穴が存在しているのも事実である。本稿では、企業の内部監査やM&Aにおけるデュー・ディリジェンス等の法務監査において、よく見られる問題点とその対応策について、近時の傾向も踏まえながら紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国税収管理の最新動向12
冨永和晃  上海徳勤税務師事務所有限公司シニアマネージャー・税理士
中国政府は近年、『簡政放権』(政府機構における手続簡素化と地方行政部門等への権限委譲)の政策を積極的に推し進めており、行政の効率化および経済の成長につなげようとしている。これに伴う税務行政面における最近の顕著な変化点として、許認可手続きが従来の事前審査から事後管理へ移行されたことがあげられる。事後管理はこれまでの事前審査とは異なり、納税者が自らの判断に基づく届出手続きを行うことになるが、これにより、届出手続きに関わる税務コンプライアンス違反行為の結果は、よりいっそう納税者の自己責任となる。本稿では2015年12月に中国税務当局による徴税管理手続きの方針と方向性を定めた『国税、地税徴収管理体制改革の深化に関する方案』が実施されて以降の、改革方針の「事前審査」から「事後管理」への移行、金税三期の本格稼働について取り上げ、最近の運用状況および税務徴収管理の動向を紹介する。なお、本記事の意見にわたる部分は筆者の私見であり、所属する組織の公式見解ではない。 /// 続きは本誌ご参照
ビジネスの視点から見た中国サイバーセキュリティ法16
高橋美智留/門松慎治  外国法共同事業ジョーンズ・デイ法律事務所弁護士・弁理士/同事務所弁護士
中国において、サイバーセキュリティ法(「中華人民共和国網絡安全法」、以下「新法」)が2016年11月7日に成立し、17年6月1日に施行された。この新法は、中国の国内企業および外資企業の情報管理に重大な影響を及ぼすものとして、世界中の注目を集めている。中国進出の日本企業にとっても、必須のコンプライアンス課題の一つとなりつつあるこの新法につき、いかなる点が問題となっているのか、そのポイントを解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国知的財産権分野の現状と保護制度の整備状況20
袴田知弘  特許庁審査第一部自然資源審査官
本稿は、中国における知財問題をテーマに、全体の動向から法改正の状況まで、いくつかのトピックを取り上げる。具体的には、1)中国と日本の知財制度の共通点、2)特許出願件数、3)模倣品問題、4)悪意の商標出願問題、5)部分意匠制度、6)職務発明制度、7)輸出専用OEM品問題について、筆者の3年間にわたる中国駐在経験を踏まえて紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
外国人就労許可制度の大改革と現地の労務管理に関するホットトピックス―最新動向および対処法24
熊琳  北京市大地律師事務所代表弁護士
2017年4月より中国全土で実施が開始された新たな外国人就労許可制度には、従来の制度に比べると多くの変更が加えられている。新制度のもとで駐在員の就労許可がスムーズに取得・更新できることは、本社と現地法人にとって重要な課題である。また、現地法人の経営と密接に関係する労務管理の法制度において、最近では法律の具体的執行方法の明確化、細分化が不断に進められている点が注目され、これについて必要な認識を持つとともに正確に対応することが重要となる。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年11月号(通巻286号)

スペシャルレポート   中国のサプライサイド構造改革の課題と展望
対症療法にとどまる「供給側改革」―求められる市場化を中心とする制度改革6
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
2011年以降、中国経済は労働力過剰から不足への転換など、供給側の変化に伴う潜在成長率の低下をきっかけに、それまでの高度成長期と異なる「新常態」に入っている。これに対して、政府は政策対応として、「供給側改革」を打ち出している。15年12月の中央経済工作会議において、その五大任務として、1)過剰生産能力の解消、2)不動産在庫の解消、3)過剰債務の解消(脱レバレッジ)、4)コストの低減、5)脆弱部分の補強(合わせて「三つの解消、一つの低減、一つの補強」)が示されている。しかし、その内容は「供給側管理」とも言うべき対症療法にとどまっている。中高速成長を持続させるためには、成長エンジンを労働力と資本といった生産要素の投入量の拡大から生産性の向上に切り替えていかなければならない。それに向けて、さらなる市場化を中心とする制度改革が求められる。 /// 続きは本誌ご参照
金融の「安定」と「市場化」のバランス―技術進化を活かす工夫を10
岡嵜久実子  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
中国の金融制度改革は市場メカニズムを浸透させる方向で進んでいるが、近年は債務問題への対応もあって、市場化に向けた動きは緩やかになっているようにみえる。金融市場の安定は極めて重要であるが、金融技術の進歩や経済のグローバル化の進展に金融制度改革が遅れをとらないためには、現状を打破する思い切った対応も必要なのではないか。 /// 続きは本誌ご参照
中国政府による賃貸住宅の基盤整備―賃貸住宅市場拡大方針と農村の土地制度改革14
曹雲珍  一般財団法人日本不動産研究所研究部・国際部主任研究員
昨年12月の中央経済工作会議では、2016年は「サプライサイド構造改革の推進に取り組む年」、17年は「サプライサイド構造改革を深化させる年」と位置付けられた。政府は住宅市場の供給体系として販売と賃貸を並行して推進していく方針を明確化し、遅れている賃貸住宅市場の環境整備、賃貸住宅供給の基盤整備に向けた取り組みを昨年から積極化している。本稿では、中国の賃貸住宅市場の実態、土地制度の特徴および農村の土地制度改革に触れながら、農村建設用地を活用した賃貸住宅の供給など、政府による賃貸住宅の基盤整備について説明し、期待される効果と課題を整理する。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年10月号(通巻285号)

スペシャルレポート   日中創新企業協力の展望:日中企業経営者イノベーション協力フォーラムの開催から
対談―人のネットワークが生む文化とイノベーション2
山下晃正/杉田定大  京都府副知事/日中経済協会専務理事
杉田専務理事:7月4日から5日、中国企業家倶楽部・中国緑公司連盟一行の京都訪問の機会に、京都府、京都市、京都商工会議所と共に当協会は、「日中企業経営者イノベーション協力フォーラム」を開催させていただきました。皆さまのご協力にあらためてお礼申し上げます。さて、フォーラムのパネルディスカッションでもご紹介しましたが、実は中国側の主要メンバーの方々との交流は、遡ること2001年からの「日中経済討論会(大阪)」と「日中ベンチャーフォーラム京都2001」から始まっており、当時のベンチャーフォーラム京都でも山下さんの力をお借りして実現したという背景があります。残念ながら、04年に日中ベンチャーフォーラム京都は終了し、07年で大阪の討論会も終了しました。今回は、それらをベースに新たな交流の場を設け、今後さらに交流を深めていきたいと考えています。 /// 続きは本誌ご参照
イノベーションを産む日中の持続的交流エコシステム醸成に向けて7
杉田定大  日中経済協会専務理事
8月17日、京都府庁で山下晃正京都府副知事と対談し、これを本誌スペシャルレポートの第一弾としてご紹介した。この対談の中では、7月4日の中国企業家倶楽部・緑公司連盟訪日団と京都経済界の方々との交流会としての「日中企業経営者イノベーション協力フォーラム」と、翌5日の同訪日団の「けいはんな学研都市(関西文化学術研究都市)」や福寿園などの視察の意義をレビューしつつ、京都ならではの中国、アジアとの交流の経験とイノベーションに向けた取組みおよび文化に根差したアプローチについて、知財問題等の指摘も含めて多面的に語り合えた。この対談と今回のフォーラムの実録および須藤智徳・立命館アジア太平洋大学准教授の論稿を併せて読者に読み進めていただく中で、今回のフォーラムをどう捉え、これを機会に今後どのような活動展開が必要であるのかを、より多くの方々とともに検討し、今後の活動への賛同者、参画者を増やしていきたい。ここでは、今後の展開への検討項目を3点挙げてみる。 /// 続きは本誌ご参照
日中企業経営者イノベーション協力フォーム実録―スピード経営・ニューエコノミーと匠・独創・事業継続―日中それぞれの秘訣8
日中経済協会調査部
日中経済協会は、2017年7月4日、中国企業家倶楽部・緑公司連盟訪日団(団長・馬蔚華中国企業家倶楽部理事長はじめ35人)を京都に迎え、京都府、京都市、京都商工会議所との共催により「互いに学び合い、未来を作ろう~中国のスピード経営・ニューエコノミー、京都の匠・独創・事業継続、それぞれの秘訣~」をテーマとする「日中企業経営者イノベーション協力フォーラム」を開催した。訪日団は、5日には京都府等の案内により「けいはんな学研都市」を視察、7日には東京での昼食交流会に臨んだ。ここでは、日中の企業家がそれぞれの特長を語り合い、イノベーション協力の可能性を模索した一連の交流を振り返り、その意義と今後の方向性を浮き彫りにしたい。 /// 続きは本誌ご参照
研究教育機関として日中創新企業の協力に期待すること18
須藤智徳  立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部准教授
本稿では、研究教育機関としての大学の視点から、日中創新企業の協力に期待する効果と大学が果たすべき役割について考察する。立命館アジア太平洋大学は、学生数の約半数が留学生という多文化共生環境にあり、中国からの留学生数も多く、また中国との関係も深い。立命館アジア太平洋大学は持続可能な開発目標(以下SDGs)に着目している。SDGsの17の目標にはイノベーションが含まれており、日中共にイノベーションがSDGs実施のキーワードの一つとなっている。他方、イノベーションは協力して進めていくことによりトレードオフを回避し、付加価値を高めることができる。日中創新企業が互いに協力することで、イノベーションを通じたSDGsの達成と持続可能な世界の構築をリードすることが期待されるとともに、大学もアカデミックな知見の提供とともに「学びあいの場」を提供していくことで協力することが可能である。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年9月号(通巻284号)

スペシャルレポート   高齢化社会での日中Win-Win協力の方途を探る:中国シルバービジネスの課題と将来展望
介護サービスと経営の現地化―北京・上海・成都での事業展開の軌跡から2
椛澤一  株式会社リエイ代表取締役社長兼会長
株式会社リエイは、企業等の福利厚生施設の運営管理を手掛ける会社として1980年に設立。介護サービスには、2000年の日本の介護保険制度施行時に参入したが、その3年後、介護事業には珍しい早期の海外展開でタイに進出し、その後、11年に中国北京、さらに上海、成都へと展開中である。本スペシャルレポートの皮切りは、このような先駆的な海外介護事業展開の経験談を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
介護からエンゼルケアまでの高質なサービスに集中6
石崎利生  株式会社ケアサービス専務取締役、上海福原護理服務有限公司総経理・董事
株式会社ケアサービスは、1970年設立の老舗介護事業者であり、介護からエンゼルケア(葬儀)までの一貫したサービスを提供することに特徴がある。2015年、上海で設立した独資企業も訪問入浴とエンゼルケアサービスを提供して評判となった。質の高い独自のサービスに拘わりを持つ同社の経験を石崎利生専務取締役にうかがった。 /// 続きは本誌ご参照
中国向け健康・介護ビジネスの取組みについて10
長野晄史  株式会社菅原取締役社長
中国における高齢化問題は、中国国内の経済や社会に対して大きな負担となりつつあると認識している。日本においては、すでに高齢社会~超高齢社会へ入っており、少子化と合わせて少子高齢化という大きな社会的な課題に取り組んでいるところである。日本におけるその変遷は、中国側からみて取り入れるべき、または取り組むべき点が多々ある状況にあると考える。この様な中、当社として中国の高齢化問題に関わる業務について取り組んでいる内容について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
介護職員研修とコンサルティング経験に基づく中国介護事業の成長性13
松山英樹  株式会社ゲストハウス代表取締役
株式会社ゲストハウスは、高齢者賃貸住宅やデイサービス(訪問介護・居宅介護支援)などの介護事業と高齢者施設の運営・管理を手掛けている。上海では現在、介護職員資格取得学校を経営し、上海市の介護業界の人材育成に貢献しつつある。またこれまで、現地企業との提携によるホテル・介護施設の一体化経営の受託やコンサルティング、認知機能向上プログラムなどの展開経験をも持つ。その中でのノウハウや教訓について、松山社長にうかがった。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   高齢化社会での日中Win-Win協力の方途を探る
中国の高齢者向け建築と標準化17
華山  親和源股份有限公司顧問、中国房地産協会老年住区委員会委員・専門家
中国の高齢者人口は2017年から50年までに2億人から5億人に増加し、一日平均2万人が60歳に達する。その間、5億人の高齢者が寿命を迎えるため、中国社会は合計10億人前後の高齢者人口の養老生活を負担する必要がある。「積極的で、高品質な価値ある養老生活」の実現は、中国が国を挙げて取り組み、実現したい「中国の夢」の一つでもある。従って、中国の高齢化は政府の責任および経済的負担、家庭の負担、伝統文化の継承と社会倫理の再構成のいずれをとっても大きな課題となっている。しかし同時に、高齢化は市場需要を拡大し、多くの新興産業の発展を促進している。特に不動産業界においては、核家族化により、中国沿岸発達地区および大都市において、子供世代が基本的に親世代と別居することが時代の流れとなり、一種のトレンドとなっている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の高齢者介護サービス事業における日本企業への期待と役割20
殷婷/川田恵介  独立行政法人経済産業研究所研究員/東京大学社会科学研究所准教授
本稿では中国における高齢者介護サービス産業の将来性について、中国政府の政策と中国社会の背景とともに論じる。特に中国政府は現在、在宅介護サービス産業の発展を重要視しており、当該産業は日系企業に対しても有望な市場であると考えられる。しかしながら中国社会には同時に、介護サービス事業を運営するにあたって様々な障害も存在しており、地場のサービス産業との提携等、考えられる克服策についても議論する。 /// 続きは本誌ご参照
ODAを通した高齢化対策の日中技術協力「日中高齢化対策戦略技術プロジェクト」24
佐々木美穂/中村麻紀  独立行政法人国際協力機構(JICA)中華人民共和国事務所次長/同所主任調査役
急速な高齢化が進行する中国では、高齢化対策は国家の最重要課題の一つとなっている。中国における65歳以上の人口はすでに日本の総人口を超え約1億5,000万人に達し、その人口規模の大きさから高齢者向け市場の潜在性に企業の注目が集まるなか、高齢化対策に関わる制度構築支援等、政府開発援助(ODA)事業として協力できる側面も多い。JICAはODA事業を通して、過去10年以上にわたり当分野の技術協力に携わっているが、近年、日中技術協力のニーズは益々大きくなり、また多様化してきている。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年8月号(通巻283号)

スペシャルレポート   新ラウンドの東北振興戦略本格化とビジネスチャンス
新段階に入った東北振興戦略と日中協力の重要性2
松野周治  立命館大学名誉教授・社会システム研究所上席研究員
「一帯一路」戦略が注目されている一方、昨年後半以降、中国では東北振興の新段階構築に向けた一連の新政策が打ち出されている。地域発展戦略は継続しており、その重要性は少しも変わっていない。日本企業は、産業構造調整、国有企業改革、対外開放の深化など東北の課題解決に関わってきたが、近年、日本の対東北投資・貿易は伸び悩んでいる。新たなビジネスチャンスを捉え、東北における日中協力を拡大することは、中国だけでなく、新たな経済構造に移行しつつある日本にとっても重要である。 /// 続きは本誌ご参照
東北振興戦略実施の現状と課題および将来展望―新産業・新産地の育成創出と内外連携重視による成長回復に向けて6
邵永裕  みずほ銀行中国営業推進部調査役・学術博士
2003年10月に「東北振興戦略」が打ち出されてから、数多くの中央・地方政府による関連政策や支援措置が策定・展開され、一定の成果を収めてきた。それらの成果は、戦略実施からほぼ10年経った12年3月の「東北振興第12次五カ年計画(11~15年)」において、1)全国平均以上の経済成長スピード、2)食糧増産の持続、3)外資導入額の大幅増(近年遼寧省に加え、黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区へのFDI(直接投資)実行額も10%以上増加)、4)社会保障や住宅関連の生活水準の改善、という4方面から評価された。ところが、13年に入ると東北地域の経済に変調が見られ、成長率は他の3大地域(東・中・西部)を大きく下回り、各省のGDP成長率も全国平均を下回り、最大の工業省である遼寧省は15年にはマイナス成長となった。この新たな経済的変調の原因や現地動向を探るため、筆者は昨年9月に東北3省の主要4都市(ハルビン、長春、瀋陽、大連)にて現地調査を行った。本稿は現地で得た情報や感触を踏まえ、入手できる地域統計や研究論文などを参照し、東北地域の経済実態と政策の最新動向を伝え、今後を展望したい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   新ラウンドの東北振興戦略本格化とビジネスチャンス:日本企業から見た現地の魅力とビジネスチャンス
今、脚光を浴びる中国東北地域の現状と課題および今後の姿10
上前展幸  トヨタ自動車長春事務所・瀋陽事務所(兼務)首席代表、長春日本商工会会長
中央政府の政策を踏まえ、東北地域は今、大きく変革を遂げようとしている。しかし、はたしてそう簡単に変革することができるのか?そこには、乗り越えなければならない大きな課題が山積している。一方で、東北地域には中央政府から熱い視線が向けられており、ビジネスの種を探す絶好のチャンスと考えられる。今、求められているのは日系企業の高い技術・ビジネスノウハウと思われる。 /// 続きは本誌ご参照
丸紅の対中不動産投資―吉林省長春市で日系企業初の住宅開発12
室橋一正/劉飛揚/永井亮  長春市領運房地産開発有限公司董事長/長春市領運房地産開発有限公司副総経理/丸紅株式会社不動産開発事業部海外開発事業課長
氷点下20度を超える厳寒期は春節を過ぎると次第に緩み春が近づく。4月には草木が一斉に芽吹き、桃花が咲き誇る。そして楊(カワヤナギ)の木の白い綿が舞う6月を過ぎると気温が一気に上昇し、夏が来る。短い夏を存分に満喫しようと薄着になった人々が街に溢れ出す。長春で一番活気と、パワーがみなぎる季節だ。80年代中盤に対中不動産投資を開始し、劇的な経済発展とともに不動産市場が巨大市場へと変貌してきた過程を常に先駆的に実体験してきた丸紅が、時に経済不振ばかりが取りざたされる中国東北部、その中核都市・長春での不動産開発に至った経緯、その魅力を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
瀋陽工場の生産能力増強で、拡大する中国の自動化需要に対応14
塚畑浩一  安川電機(瀋陽)有限公司総経理
近年中国において、労働力不足や賃金の上昇に伴い、製造業の自動化・ロボット化に対する需要は拡大を続けている。併せて、それに使われるサーボドライブに対する需要も年々増え続けている。安川電機は遼寧省瀋陽市にサーボドライブ専用工場を設立し、現地生産でその要求に応えているが、さらなる需要の拡大を見込んで新工場を増設し、生産能力の拡大を図っている。 /// 続きは本誌ご参照
日本式介護サービスの中国への輸出16
後藤美帆  長谷川トラストグループ株式会社海外事業部長
長谷川トラストグループ株式会社は、中国黒龍江省ハルビン市で自立高齢者向け、要介護高齢者向けの2つの施設を備えた大型の養老院を2016年12月にオープンした。ベッド数は最終的に約5000床を計画している。ハルビンという地域の特徴を活かし、かつ反映させた施設運営を行いながら、近い将来の中国高齢者介護市場の拡大を見据え、ここハルビンを拠点に養老介護ビジネスを拡大していく予定である。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年7月号(通巻282号)

スペシャルレポート   中国13・5計画期の政策課題と戦略
国家イノベーション駆動型発展戦略の課題と展望2
真家陽一  名古屋外国語大学外国語学部中国語学科教授
2017年3月、中国において第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第5回会議が北京で開催され、今年の政治・経済・社会の各分野にわたる政策運営方針が審議された。会議の初日には、李克強総理が約1時間40分にわたって、所信表明に相当する「政府活動報告」を行った。その中で、最も力を入れて読み上げたのが、「イノベーション」に関わるパートであったといわれている。その背景としては、中国が中長期に発展を維持する上での最大の課題ともいえる「中所得国のわな」注1を克服するには、イノベーションが大きなカギを握っていることが考えられる。世界の多くの開発途上国は「中所得国のわな」にはまっており、このわなを克服して先進国入りしたのは、アジアでは日本以外には韓国とシンガポールくらいしかないとされる。国際通貨基金(IMF)によると、中国の1人当たりGDPは、16年は8,113ドルに達しており、すでに中所得国の水準に入っているが、他方で人件費の上昇も続いており、まさに「中所得国のわな」を回避し、経済発展の持続により、中所得国から先進国へと脱皮するのか、あるいは「、中所得国のわな」にはまり、経済成長が大幅に鈍化するのか、という分岐点に差し掛かっていく重要なターニングポイントを迎えている。このため、中国は第13次五カ年規画(16~20年。「13・5計画」と略す)において、「国家イノベーション駆動型発展戦略の実施」を掲げ、発展をリードする上での第一の原動力として、イノベーションを極めて重視する方針を打ち出している。本稿は、まず、17年の政府活動報告から中国の政策における現時点でのイノベーションの位置付けを確認する。次に、国家イノベーション駆動型発展戦略の内容を概観しつつ、中国のイノベーション政策の方向性を検証した上で、中国のイノベーション能力を評価しつつ、今後の行方を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
「パリ協定」遵守に向けた中国の中長期低炭素・エネルギー計画の概要と実現可能性6
李志東  長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学専攻教授
「パリ協定」が2016年11月4日に発効したのを機に、約束草案(INDC)に定めた長期目標の効率的実現が各国にとっての共通課題となった。中国も例外ではない。その具体策として、政府が全国排出権取引市場の整備を始めとする市場メカニズムの活用に取り組む一方、長期対策の基本方針を定め、低炭素・エネルギー関連第13次五カ年計画を体系的に作成した。本稿の目的は、中国のINDCと中長期計画を概観した上で、その実現可能性と課題、日中協力への期待について検討を試みることである。 /// 続きは本誌ご参照
中国「三農問題」の現状と13・5計画の農業・農村政策10
大島一二  桃山学院大学経済学部教授
近年の中国における深刻な社会問題の1つとして「三農問題」があげられる。この「三農問題」とは、農業問題・農村問題・農民問題の3つの問題の総称で、農業と農民が中国経済・社会において著しく不利な産業、階層として位置付けられ、これが中国社会の中で問題化していることを指す。以下で詳しく述べるが、これら諸問題の深化に対して、現在中国政府は、本稿で紹介しているように、いくつかの重要な対応策を講じつつあり、これが、以前との比較で一定の成果をあげはじめているのは事実である。しかし、長期にわたって不利な状況に置かれてきた農業と農民の社会的地位を、抜本的に改善する道のりはいまだ非常に長いと言わざるを得ない。これらの諸問題の解決なくして、「三農問題」が中国の経済発展のボトルネックとなることは避けがたく、中国政府に課せられた大きな課題となっているのが現状である。こうした状況の中で、本稿では、中国における「三農問題」の現状に言及しつつ、この改善を目標の一つとした第13次五カ年計画の農業・農村政策について検討し、現在の中国の農業・農村経済が直面する政策課題について明らかにする。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   三大地域発展戦略の展望
中国の「一帯一路」構想の現状と日本としての経済交流のあり方について18
篠田邦彦  日中経済協会北京事務所長
2017年5月半ばに北京で「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムが開催された。中国がアジアと欧州等をつなぐ巨大な経済圏構想を打ち出し、各国首脳・閣僚等の参加の下、協力の実現に向けてリーダーシップをとる中、日本としても前向きに関与していく姿勢を示した。今後、日本の官民として具体的にどのような経済交流を進めていくべきか考察することとしたい。 /// 続きは本誌ご参照
長江経済ベルト発展戦略分析22
周牧之  東京経済大学経済学部教授
長江経済ベルトは「一帯一路」、「京津冀(北京市、天津市、河北省)一体化」と同様に、近年中国で最も重要な国家戦略の一つである。中国の東部、中部、西部を貫く長江経済ベルトは、中国経済の「背骨」であり、沿海地域から内陸部までの開発を連動させる役割が大きく期待されている。長江経済ベルトとは、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省、湖北省、湖南省、重慶市、四川省、貴州省、雲南省の9省と2直轄市をカバーし、長江流域に位置する巨大な経済エリアである。総面積はおよそ205万平方キロで、中国全土の約21%を占める。同ベルト内の地級市以上の都市注1数は110都市あり、中国全土の地級市以上の295都市のうち4割弱を占めている。長江経済ベルトでは2015年の常住人口は5億4000万人、域内総生産は30兆3000億元に達し、前者は全国の42・1%、後者は同42・2%を占めるに至っている。 /// 続きは本誌ご参照
北京・天津・河北一体化発展戦略と雄安新区26
十川美香  日中経済協会理事・企画担当
2017年4月1日、中国では、深圳経済特区、浦東新区と並ぶ新しい特区「雄安新区」の設立が発表された。深圳は鄧小平氏、浦東は江澤民氏により推進され、今回の雄安は習近平国家主席のイニシアチブによる国家プロジェクトであるということで、内外の注目を集めている。その発表直後の4月下旬、当協会は、「北京・天津・河北一体化発展(京津冀協同発展)」の深化に向けて日本の東京の非首都機能等分散、国家戦略特区、超スマート社会「Society5.0」の経験や手法を学びたいとする中国側の要請に基づき、河北省発展改革委員会の組織した「河北省イノベーション訪日団」を経済産業省、国土交通省、内閣府、外務省、つくば市および日本を代表する企業等の協力を得て受け入れ、訪日に際しての交流セミナーでは、訪日団長・党暁龍河北省発展改革委員会副主任から「京津冀協同発展」戦略における「雄安新区」の位置付け等についての紹介を受けることができた。以下では、この概要を取りまとめるとともに、公開情報をレビューし、「三大地域発展戦略」の1つである「京津冀協同発展」戦略とそのなかの雄安新区の意味を展望する。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年6月号(通巻281号)

スペシャルレポート   進展する中国知財戦略と権利保護
中国知財強国戦略から見る日本の知財制度の課題2
馬場錬成  特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長
中国の知財意識は、既存製品のデッドコピーや模倣品から数世代を経て、特許申請や訴訟により知的財産権を主張するまでに向上している。知財支援補助政策を通じて特許申請数、知財訴訟案件数等、数において米国を抜いた中国は、「知財強国」の実現を目指して、知財権の品質向上を図っている。本文では中国の模倣品史と模倣品取締体制を紹介し、中国の知財戦略の目標、現状から日本の知財制度の課題を明確にし、これからの日中間知財協力の方向性を示す。 /// 続きは本誌ご参照
中国のイノベーションに向けた技術取引市場の役割と知財情報の活用6
宮川幸子  特許業務法人IP-FOCUS弁理士
中国の「自主創新」国家戦略においては、技術の導入と中国での研究開発を結び付けて、中国独自のイノベーション成果を生み出すことが鍵となる。これを実現するため、中国では、政府・大学・企業を問わず様々な組織が技術取引を主体として活動する大規模な技術取引市場が形成されており、中国型イノベーションの発展を牽引している。本稿では、中国技術交易所の訪問レポートを中心に、中国型イノベーションの事例から日本と中国との連携の方向性について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の中小企業知財戦略―ベンチャー支援を中心に10
角田芳末  特許業務法人信友国際特許事務所所長・弁理士
中国の特許出願は、現在世界の特許出願の約半数を占める。中国は、中央政府、省・市・区などの地方政府、民間企業、大学を挙げて知財立国から知財強国への道を歩んでいる。そのスピードたるや、想像を絶する速さである。特に、先端的な技術を持つベンチャー企業の発掘と支援には目を見張るものがある。ここでは、特に、国、地方政府、さらにはベンチャー・キャピタルの中小ベンチャー企業の知財支援策にスポットを当てて見たい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の農林水産分野のブランド保護制度:商標法と地理的表示制度を中心に14
生越由美  東京理科大学イノベーション研究科教授
中国の農林水産分野におけるブランドは、主に4つの法律によって保護されている。その内の一つである「地理的表示保護制度」は日本より20年も早く導入されており、一部では日本よりも法制度が整っている。そこで、「地理的表示商標」や「馳名商標」を保護する主な4つの法律の解説を通じて、中国のブランド保護制度の実態を紹介し、日本と中国が安定したブランド農林水産物を提供し、日本が「地理的表示保護制度」を充実させるために必要な法整備を施す方針を示す。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   消費を牽引する中国ネットビジネス
中国の電子商取引による消費拡大の将来性と課題18
金堅敏  富士通総研経済研究所主席研究員
中国のECの成長は、成長率も小売総額に占めるシェアも世界の2倍以上と、明らかに特殊な存在になっている。その背景には、情報インフラ、取引のセキュリティや信用体制、オンライン決済システム、EC物流などのインフラが急速に整備されていることがある。ユニークな商品への特化、農村ECの開拓、越境ECの展開など、市場戦略の広がりや深まりが見えている。EC成長の裏側に、伝統小売業の閉店増などのインパクトが大きくなっており、オンライン・オフラインとの融合など、小売業の革新活動も見られる。また、EC市場の成長も次第に低下してきて、オフライン、オンラインと物流を融合した「新零售」が提起されており、その動きを見ていく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
中国SNS×ECの結合―世代のソーシャルコマースと越境ECへの活用法22
渡辺大介  株式会社クロスシー代表取締役社長
「SNSプロモーションで、ECの売り上げに直結させるのは難しい」―SNSは情報取得を目的に使われることが多いため、そこからすぐに商品を購入しようとするユーザーは多くない。広告色の強いコンテンツをSNS上で展開してしまうと、逆に敬遠される傾向も強い。よって、SNSプロモーションは、商品やブランドの認知度向上を狙って行われるのが一般的だ。これは中国のみならず、日本や米国も含め、世界中で課題とされているものである。そんな中、中国版LINEとも呼ばれる「WeChat(微信)」と、中国EC市場のB2C分野で2位のECプラットフォーム「JD.com(京東商城)」を連動させ、その問題解決を図るプロジェクト「京騰計画」が注目を集め始めている。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年5月号(通巻280号)

スペシャルレポート   日中経済産業白書2016/2017 第12期全人代第5回会議を終えて
2017年の中国経済、民間投資拡大がポイントに2
北原基彦  日本経済研究センター主任研究員
中国政府は2017年の経済成長目標を6.5%と定めた。成長率の鈍化を容認する「新常態」への移行を受けて、前年からさらに目標を引き下げた。中国版の「3つの過剰」解消や、世界経済の不透明性といったマイナス要因を抱えるなかで、民間の設備投資や個人消費に成長のけん引役のバトンをどう渡していくかがカギを握る。17年は第19回党大会という最大の政治要因をかかえるだけに、経済の失速は許されず、経済運営のかじ取りは一層難しさを増すことになる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の金融政策と外為規制の展望7
萩原陽子  三菱東京UFJ銀行経済調査室調査役
中国政府は、2016年には過剰生産能力を削減しつつ安定成長を維持することを最優先にインフラ投資とともに金融緩和を進めた。この結果、経済成長は政府目標通り達成し得たものの、このタイミングでの金融緩和は不動産バブルや債務拡大に伴う懸念を強め、人民元安・資本流出も進行した。これを踏まえ、政府は17年には経済成長維持のみならず、金融・為替リスク回避も必須のファクターとして政策運営を行い、秋の共産党大会に備えると考えられる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の自動車産業の動向10
呉保寧  現代文化研究所調査研究本部上席主任研究員
2016年の中国の新車生産・販売台数はともに2,800万台の大台を超えた。17年も好調さが見込まれており、2,900万台強の市場規模になると予測されている。一方、中古車取引台数では16年は1,039万台になり、初めて1,000万台を超えた。17年は1,250万台になると見込まれている。新車市場の中長期予測について楽観論と慎重論があり、現状より伸びることでは一致しているものの、年間最大で3,500万台から4,500万台まで意見が分かれている。一方、SUV(スポーツタイプ多目的車)市場の人気爆発の要因は、中国自主ブランドのSUVのコストパフォーマンスが良いことにあるが、メーカーにとって燃費規制対応の課題があり、ハイブリッド車(HV)技術を導入する必要があるとの指摘がある。また、17年3月の全国政治協商会議(政協)で吉利汽車トップが、「自動運転」および「メタノール自動車」をテーマに提案したことが注目された。 /// 続きは本誌ご参照
中国のIC産業の現状とIoT関連ビジネスの可能性14
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部准教授
第12期全国人民代表大会第5回会議では、多くの電子関連の民間企業トップも代表として参加していた。ICなどの電子産業や普及しつつあるIoT関連ビジネスは、民間企業が主体であり国は産業政策で支援するといういわば「国援民進」体制である。集積回路(以下、IC)産業においては、微細化技術などで2世代(約3年)の技術格差があるといわれているが、民間企業の技術革新が鍵を握る産業であり、特にIoT関連ビジネスでは民間企業の動向が注目される。 /// 続きは本誌ご参照
中国の工作機械と産業用ロボット18
太田志乃  機械振興協会経済研究所調査研究部研究副主幹
中国の生産設備関連産業は、ここ十年で大きな変革を遂げている。特に工作機械は、消費ならびに生産ともに世界一位に、産業用ロボットも世界トップの消費国となった。これは中国におけるモノづくりが、労働集約的なラインからこれらの生産財の活用へとシフトしつつあることに加え、IoT(Internet of Things)に向けた世界的な取り組みが中国でも展開されつつあることに起因している。中国ではこれらの潮流が、企業による動きのみならず、それを後押しする国や省政府などの支援によっても産み出されている。今後も拡大するとみられる同産業において、中国ではどのような動きがこれらの潮流の源となっているのだろうか。 /// 続きは本誌ご参照
中国の流通と電子商取引22
神谷渉  玉川大学経営学部国際経営学科准教授
中国の消費者の嗜好がモノ消費からコト消費にシフトしつつある中で大手小売業は苦戦を強いられている。一方、これまで高い伸びを示してきたネット販売も成熟しつつあり、次の一手が模索されている。このような状況の中、従来は対立関係にあった大手小売企業とネット販売企業の協業や戦略的提携が進んできており、中国の流通は新たな局面を迎えている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の交通と物流24
町田一兵  明治大学商学部准教授
絶えず交通関連インフラに巨額な投資をし続けてきた中国は、全土の骨組みとなる幹線鉄道/道路の整備、大都市の空港設置、主な港湾および関連施設の整備が、2010年までにほぼひと通り完成した。それを踏まえ、第13次五カ年計画(2016~20年)においても、交通関連インフラの整備に依然として15兆元を投じるなど注1、重視する姿勢を示した。ただし、それまでの輸送モードごとの整備拡張ではなく、国内複数の広域経済圏の形成および相互間の連携強化、国際輸送力の強化をサポートする交通インフラの拡張整備など、物流の量的成長の対応と同時に、物流サービスの質的向上を目指す施策となっている。さらに、国内交通ネットワークの強化と共に、陸路を中心とする中国発のモノの流れが国境を越えて延伸している。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年4月号(通巻279号)

スペシャルレポート   2017年の中国経済・社会分析
2017年の財政・金融動向2
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
2016年の中国経済は、依然指標がまだら模様の横ばい状態が続いており、17年はインフレ・資産バブルの懸念が出ている。このため人民銀行は金融について、これまでの緩和気味の政策を景気中立型に転換した。他方、19回党大会が開催される17年は、経済・社会の安定が特に重視されるため、財政政策による一層の景気下支えへの期待が高まっており、安定成長と財政規律のバランスをどう図るか、財政当局は難しい選択を迫られている。 /// 続きは本誌ご参照
景気停滞期の中国経済の課題7
柯隆  株式会社富士通総研主席研究員
中国研究者にとって、中国経済の実態が分からないときに助け舟となる表現の一つは「転換期」という言葉である。すなわち、いつでも、中国経済は転換期にあると言っておけば間違いはない。まさに絆創膏のような言葉である。むろん、読者の多くは、転換期という言葉を聞き飽きただろう。重要なのは、今の中国で何が起きているのか、明日の中国がどうなるのかにある。 /// 続きは本誌ご参照
新しい天地を切り開けるか―中国外交と米中関係の行方13
朱建栄  東洋学園大学グローバルコミュニケーション学部教授
中国外交の新しい動向は日本からは見えにくい。特に2016年後半からの中国外交の「静かな変化」を検証する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ITサービス産業の伸長と興隆する深圳の製造ベンチャー17
藤代康一  株式会社三井物産戦略研究所産業情報部産業調査第一室研究員
経済成長と所得水準の向上を背景に、中国で新しい企業が次々に生まれている。その中で大きな割合を占めるのが、スマートフォン(以下、スマホ)を基点とする消費に関わるITサービス企業である。その多様なサービスは、日本を遥かに超えて進んでおり、中国経済の新たな成長エンジンとなっている。ITサービス産業の伸長が目立つ一方で、製造業においても注目すべき動きがみられる。深圳で勃興する製造業ベンチャーである。かつての深圳は、労働集約的な製造業が主であった。その為、人件費上昇により、労働コストで優位性を持つ東南アジア低所得国と技術力の差が大きい先進国との板挟みによる衰退が予想された。しかし、深圳ではこれまで築いてきた産業基盤を活用し、新たな企業が登場している。次々に登場する新たなITサービスと、ものづくりの基盤を有する中国の姿は、さながら、米国のシリコンバレーにおける新ビジネス創出機能と日本の大田区などが持つものづくりの基盤を併せ持っているようにもみえる。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年3月号(通巻278号)

スペシャルレポート   東アジア経済連携
米国トランプ新大統領と東アジア経済連携6
白石隆  政策研究大学院大学学長
米国トランプ政権の発足により、グローバル化に対する不確実性が高まっている。こうした中で、今後の米国をはじめとした国際情勢の方向と日中を含む東アジア経済連携に対する影響について、政策研究大学院大学の白石隆学長に聞いた。インタビュアーは日中経済協会の杉田定大専務理事が務めた(インタビュアー:杉田定大日中経済協会専務理事)。 /// 続きは本誌ご参照
東アジア経済連携の展望10
木村福成  慶応義塾大学経済学研究科委員長・経済学部教授、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト
米トランプ政権の成立は、米国のみならず世界全体の不確実性を大幅に増大させている。本稿では、特に東アジアにおける経済連携の動きに関し、どのような変化が生じうるのか、また我々は今後どのように国際通商戦略を展開していくべきかについて論ずる。東アジア諸国は、世界中に広がる反グローバリズムの風潮を押し戻すため、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については積極的にプランBを模索し、また東アジア包括的経済連携協定(RCEP)の交渉を早期に妥結できるよう、努力すべきである。 /// 続きは本誌ご参照
中国と東南アジア・南アジアから見たアジア経済連携―経済成長ダイナミズムの「西方シフト」14
唱新  福井県立大学経済学部教授
アジアの経済連携は日本をはじめとする先進国の対外直接投資を基軸に、1960年代からアジアNIESに、90年代からアジアNIEsの対外直接投資を加えて、ASEAN、中国に展開されていった。こうした中で、域内各国はキャッチアップ型工業化により経済成長を実現し、アジアは世界で最も活力のある経済圏となった。中国は80年代からの対外開放により、太平洋を挟んで、世界各国との経済連携を強め、飛躍的な経済成長を成し遂げた。2010年以降、中国は内陸と西部の開発計画にあわせて、国境が接している陸の周辺国との経済連携の強化に乗り出しており、とくに「一帯一路」政策の推進を通じて、アジア大陸との貿易と投資を促進していこうとしている。その結果、アジア経済成長のダイナミズムは南アジアと中央アジアなど、アジアの西方に拡大しており、このことをアジア経済の「西方シフト」として捉えるならば、中国はその新たなけん引役になるのではないかと見込まれている。以上のことを踏まえて、本稿では中国とASEANおよび南アジアとの経済協力の進展状況に基づいて、アジア経済連携の現状を考察し、その将来を展望したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国のFTA政策とTPPの影響18
中島朋義  公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)調査研究部主任研究員
本稿ではこれまでの中国のFTA政策の流れを紹介し、それを踏まえて、日米を中心とする環太平洋経済連携協定(TPP)構想が中国に与えた影響を説明したい。その中で特に重要と考えられる国有企業条項をはじめとするTPPの「新しい交渉分野」の影響について焦点を当てた。 /// 続きは本誌ご参照
東アジア経済連携に向けた中国、ASEANの動きと日本の戦略22
篠田邦彦  日中経済協会北京事務所長
2017年は、米国ではトランプ大統領就任、中国では5年に1回の共産党大会開催、ASEAN設立50周年など節目となる年である。米国がTPPから離脱し、中国が一帯一路構想を推し進める中で、日本として東アジア経済連携に向けてどのような戦略をとるべきか、以下考察してみたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年2月号(通巻277号)

スペシャルレポート   第10回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議―日中協力の省エネ・環境技術で新たな市場展開を4
山本祐子  日中経済協会事業開発部長
日中経済協会は、経済産業省、中国・国家発展改革委員会、商務部との共催で、2016年11月26日、北京にて「第10回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。全体会議には、日本側は、世耕弘成経済産業大臣、宗岡正二日中経済協会会長、中国側は、徐紹史国家発展改革委員会主任、張勇国家発展改革委員会副主任、高燕商務部副部長はじめ、両国政府・企業・団体・専門家等、官民関係者合わせて約800人(日本側約300人、中国側約500人)が参加、4年ぶりに両国主催者トップそろっての開催が実現した。 /// 続きは本誌ご参照
都市緑色管理(スマートシティ)分科会―共生型ビジネスモデル実現を目指す8
十川美香  日中経済協会理事
「都市緑色管理(スマートシティ)分科会」は15年11月東京開催の第9回フォーラムからスタートし、他に比べて新しい分科会である。しかも設置当初から、日本側は「スマートシティ」、中国側は「都市緑色管理」を分科会名とし、今回もこれらが踏襲された。しかし「スマートシティ」の実情にも日中間で相違があり、「都市緑色管理」という言葉についてはなおさら、日本人には分かりづらい。 /// 続きは本誌ご参照
省エネサービス産業分科会―エネルギー消費効率改善と関連市場の拡大10
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
中国においては、経済の新常態のもとでエネルギー情勢に変化が生じている。近年、エネルギー消費全体の増加率は年々鈍化し、経済成長率とのリンクは見られなくなっている。エネルギー消費構造が変化し、石炭消費が2013年をピークに減少を始め、替わって天然ガス消費が増加している。党中央、国務院は省エネ重視の姿勢を鮮明にしており、省エネサービス産業の発展を各種政策により支援している。補助金制度、エネルギー価格、税制、産業政策の見直しを進めるとともに、市場化の推進およびイノベーションとグリーンファイナンス強化の方針を打ち出している。このような積極的支援があるにせよ、エネルギー価格の変動による投資の回収期間への影響や地方ごとにまちまちなエネルギーの需給バランスという現状は、省エネサービス産業の成長を難しくしている面がある。一方、生産能力過剰という業界にあっても、立ち遅れているのは業界自体ではなく一部企業であるという視点に立ち、競争力ある企業をサービス対象とすれば、大きな市場を獲得できる可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会―日中双方の循環経済社会実現に向けて12
久力翔  日中経済協会調査部
循環経済分科会は、日中双方の循環経済に関連する理念、技術、システムについての交流、協力取組事例の紹介を通じて日中協力の成功事例を創出し、両国の循環経済構築および持続的発展に寄与することを目的として開催された。日本側から経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課長髙角健志氏、経済産業省製造産業局自動車課自動車リサイクル室長保坂明氏、中国側から国家発展改革委員会資源節約環境保護司循環経済処長陸冬森氏など、日中双方合計125人が参加した。本分科会では、資源環境に関する政策のほか、リサイクル業界の民間企業が日中各業界のリサイクルビジネスの現状と展望について発表を行った /// 続きは本誌ご参照
新エネルギー車・自動車知能化分科会―日中自動車産業の未来に向けて14
西槙躍  日中経済協会事業開発部プロジェクト担当部長
本分科会は、新エネルギー車・自動車知能化の発展、2030年までのロードマップと新たな日中協力というテーマにフォーカスして開催された。124人(日本側61人、中国側63人)の参加を得て、日中双方の官、民、団体から10人が発表した。日本側は経済産業省製造産業局自動車課の西野聰企画官、中国側は国家発展改革委員会産業協調司機械装備処の呉衛処長が共同で議長を担当した。なお、2年前に締結された「日中新エネルギー車と充電インフラ共同研究に係る覚書」は16年末で終了の時期を迎えたため、前回に続き日本自動車研究所(JARI)と中国汽車技術研究中心(CATARC)の代表が、「充電インフラ整備および運営モデル、電気自動車と充電インフラの互換性などの分野での共同研究」をテーマに研究結果を発表した。 /// 続きは本誌ご参照
クリーンコール技術・石炭火力発電分科会―石炭火力発電所における環境改善効果向上を目指した日中間のビジネス協力に向けて16
後藤雅彦  日中経済協会総務部
2015年12月のCOP21におけるパリ協定の採択など、国内外のエネルギー、温暖化対策を巡る議論が大きく進展している中で、日本では16年6月に次世代火力発電に係る技術ロードマップが策定された。他方、中国のエネルギー構成において石炭は重要な基礎的地位を占めており、中国政府はこれまで一貫して石炭発電産業のクリーン高効率発展を重視している。特に第13次五カ年計画にあっては、石炭火力発電の既存ユニットの大幅な改造と新規建設ユニットの平均石炭消費量を大幅に低減させる方向が打ち出されている。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易分科会―節水、海水淡水化、汚水・汚泥処理における日中間のビジネス協力に向けて18
加藤俊之  日中長期貿易協議委員会事務局
日中両国の長期貿易協議委員会の省エネ等技術交流促進部会(日本側事務局は日中経済協会、中国側は商務部対外貿易司)は、省エネ環境分野における協力案件の形成・促進のための交流の場として、2006年(第1回フォーラム)以来、分科会の形で毎回定期交流を行っており、従来は「汚水汚泥処理」と「自動車リサイクル」を重点テーマとして取り上げて交流を重ねてきた。現在、世界の多くの地域では水需給の逼迫や水汚染の問題を抱えており、中国も急速な経済成長とともに水不足が深刻化している。水資源問題の改善に向けて中国は水資源分布の緩和や水利用効率の向上のほか、海水の効果的な利用と代替を推進している。第13次五カ年計画策定の16年は、国家発展改革委員会資源節約・環境保護司から提案のあった「節水・海水淡水化」を交流テーマに取り入れ、水循環の川上から、汚水汚泥処理、無害化など川下分野まで一貫した水循環システムにおける日中協力の可能性について交流を図ることになった。日本側は経済産業省から日本企業の強みや海外展開支援の取組みのほか、企業各社から取水技術や膜製品等について、中国側は主に海水淡水化や下水道事業案件の現状や展望等についてそれぞれ紹介し、日中の協力案件を模索していくことになった。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー・環境分野における日中間の協力プロジェクト20
杜本水萌  日中経済協会事業開発部
今回のフォーラムでは、新規28件の日中間の協力プロジェクトについて合意文書の交換が行われ、過去を含めた本フォーラムで合意した協力プロジェクトは累計313件に達した。フォーラム全体会議前日の11月25日には、協力プロジェクト文書調印式が行われ、6件のプロジェクトが、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課の吉川徹志課長、国家発展改革委員会資源節約環境保護司総合協調指導処王静波処長の立会いの下で調印された。 /// 続きは本誌ご参照

  2017年1月号(通巻276号)

スペシャルレポート   一帯一路戦略と中国企業の対外・対日投資
「一帯一路」構想と中国企業の対外進出動向6
大西康雄  ジェトロアジア経済研究所上席主任調査研究員
中国経済は「新常態」と呼ばれる構造転換期にある。対外経済政策もまた転換が図られており、近年唱道されている「一帯一路」構想は、その柱の一つをなしている。本稿では、構想が提起された背景を整理し、それが中国企業の対外進出にどのような影響を与えるのかについて予測を試みる。構想が今後の日中経済関係に有する示唆についても簡単に触れる。 /// 続きは本誌ご参照
中国企業の対日直接投資と金融面の支援手段10
関根栄一  株式会社野村資本市場研究所北京首席代表
中国企業の対外直接投資(フロー)は、2008年のグローバル金融危機の前後で規模が変わった。中国企業の対日直接投資も同様である。20年までの第13次五カ年計画での対外直接投資は7,200億ドルと、前計画時から2,000億ドルが上積みされている。この1~2年の中国企業の対日直接投資案件では、日本の製造業の既存事業の買収や、不動産投資などの増加が特徴的である。日本の企業や金融機関による中国の対外投資のプレーヤーとの関係構築は重要である。 /// 続きは本誌ご参照
交通銀行の国際化戦略と対日ビジネス16
夏慧昌  交通銀行東京支店長
中国経済の持続的な発展とともに中日間の経済貿易の交流も密接になり、中国の銀行の日本など海外市場への進出も活発化し、海外での発展の機会も増加してきた。中国の5大銀行の一つに数えられる交通銀行は、国際化への取り組みを加速させており、グローバルに展開している。交通銀行東京支店は、中日の経済貿易促進の架け橋として、中国企業の対日投資と日本企業の対中投資をイノベーションに富んだ独自の金融サービスを通じて貢献している。提供するサービスは企業融資以外に、不動産融資、人民元決済、SBL/C保証、ビジネスマッチング、海外進出支援など、幅広く事業を展開している。当店は常に新しいビジネスにチャレンジし、独自の市場を開拓し続けている。 /// 続きは本誌ご参照
宝和通商の日本における事業展開―在日中国企業・宝和通商20
韋佳  宝和通商株式会社機材部課長
1993年8月、宝山鋼鉄集団の海外子会社第1号として設立した宝和通商は、主に宝鋼集団の鉄鋼製品の海外販売と日本から鉄鋼生産に必要な設備や部材、資材の調達を行っている。長きにわたり、宝鋼集団と日本企業との橋渡しを行ってきた宝和通商だが、中国の鉄鋼業界再編の流れの中で、今後どのように事業を展開していくのか注目される。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年12月号(通巻275号)

スペシャルレポート   中国の大衆創業・万衆創新と日中ビジネス協力の可能性
中国の新たなイノベーション戦略を支える「大衆創業・万衆創新」政策の展開6
金堅敏  富士通総研経済研究所主席研究員
成長率鈍化を余儀なくされている中国は、中所得国のレベルで停滞し、先進国(高所得国)入りが中々できない「中所得国のワナ」を乗り越えるため、イノベーション活動を奨励、促進し、成長の原動力を技術革新などのイノベーションに求める「創新駆動発展戦略」を展開している。近年、特に注目されているのは、これまでの政府主導・国有企業主導の「挙国体制」イノベーション政策一辺倒から「大衆創業、万衆創新」という「草の根」の創業・イノベーションも重視する政策を打ち出していることである。在来産業では設備過剰等で国有企業を中心とする多くの企業が経営不振にあえいでいるが、電子商取引(EC)を代表とするネット市場や医療、教育などのサービス市場では消費が拡大し続けており、これら新興市場で創業ブームが生じている。BAT(Alibaba、Tencent、Baidu)だけでなく、未上場で市場評価額が10億ドルを超える新興企業、いわゆるユニコーンを数多く輩出している。産業の構造転換が進み、経済成長を支える新たな芽が出始めている。 /// 続きは本誌ご参照
日本の地方創生と日中ベンチャー・ビジネス連携の展開―大阪からの報告10
藤田法子  大阪商工会議所国際部課長、大阪外国企業誘致センター事務局次長
中国企業による対日投資が活発化している。大阪では自治体・経済団体が設置した大阪外国企業誘致センターでサポートした外資系企業のうち約7割がアジア企業、国別で最も多いのが中国である。中国からの進出は過去15年間で「官から民」へ移り、最近は実力を蓄えた民営企業も増えつつある。訪日観光の増加や越境ECの活発化、両国で進む高齢化等を背景に、幅広い業種で日中のビジネス連携が進んでいる。 /// 続きは本誌ご参照
グローバル化の波と中国民営企業14
呉鵾/張凱文  中国企業家倶楽部研究院研究総監/同院項目経理
過去十数年、新興経済体はグローバル経済の版図を塗り替えた。2001年に中国はWTOに加盟し、この15年間、中国企業はより深くグローバル市場に組み込まれ、海外資源を利用し、国外の技術を導入し、国際M&Aと国際資本運用を展開している。中国企業家倶楽部(CEC)の中の理事企業はこうした企業国際化の先行者であり指導者である。アリババ(Alibaba)、新東方(New Oriental)、新浪(SINA)、亜信(AsiaInfo)、携程(Ctrip)などは、海外での上場や資金調達を通じて、全世界的な知名度を獲得すると同時に、グローバルな資本のサポートも獲得した。新希望(New Hope)、東軟(Neusoft)、楽視(Letv)、海底撈(HaiDiLao)は、その業務を全世界に拡大し、国内市場の天井を打ち破った。TCL、聯想集団(Lenovo)は、国際M&Aを通じて自らの分野での全世界のトップになった。復星集団(Fosun)、聯想ホールディングス等の総合的投資会社は、財務投資と株式保有を通じて、国際企業の中国での発展を支えている。 /// 続きは本誌ご参照
中国企業家の経験からみる日中ビジネス協力の可能性18
雪平円  シンフォニー株式会社代表取締役社長
2000年の日本での起業以来、日中ビジネス協力の発展に奮闘してきたシンフォニー株式会社の雪平社長に、日本とのかかわりから、中国企業家としての経験や考え方、今後の展望について話を聞いた。 /// 続きは本誌ご参照
中欧国際工商学院卒業生の在日起業成功談22
肖嘉陵  創新工匠株式会社代表取締役会長
創新工匠株式会社(www.inhoway.com)は、中欧国際工商学院(以下、CEIBS)EMBAの同期生4人が2015年8月に設立した会社です。日中企業間において高度技術交流の推進に貢献することを目指し、設立後の一年間で、中国の上場企業の日本の高度技術企業への投資など、幾つかの成功実績を作り上げることができました。この間、中国の企業・団体代表の訪日ビジネス視察という事業企画を7回実施し、経営層を含めて合計200人以上の中国のビジネスマンが創新工匠経由で来日しました。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年11月号(通巻274号)

スペシャルレポート   新次元の日中産業協力とビジネス環境の更なる改善―日中経済協会合同訪中代表団抄録
張高麗国務院常務副総理会見(全文)―両国関係の更なる発展に向けた協力強化を2
日中経済協会
張高麗国務院副総理:尊敬する榊原定征会長、宗岡正二会長、三村明夫会頭、ご在席の日本の企業家、大使館、メディアの皆さま、お会いでき大変うれしく思います。この度、これほど大きな経済界、企業界の代表団を率いて中国を訪問されたことに、中国政府を代表し心より歓迎いたします。日本経済界の皆さまは長らく中日両国の友好・経済協力関係の発展に取り組んでこられました。過去、比較的困難な時期にあっても、両国間の友好関係に貢献されました。私は身をもって体験しています。企業で働いていた頃は日本の企業と良い協力関係がありましたし、また山東省の書記を務めていた時に訪日し、当時の小泉総理にもお目にかかりましたが、その際、経済界による歓迎行事を催していただき、親しく交流したことが深く印象に残っています。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―構造改革の実行とマクロ経済安定の展望8
日中経済協会
宗岡正二団長(日中経済協会会長):中国の「消費需要構造の高度化」と「第4次産業革命の進展」という新たな動きに対応した、「新次元の日中産業協力」を展開する好機を迎えている。前者は、省エネ・環境、医療・ヘルスケア、物流等での協力深化であり、後者は、あらゆる分野でIoT、ビッグデータ等と在来の技術との融合による新たな価値創造が進みつつある中で、日中産業協力の新領域を開拓するものである。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―日中双方向でのグローバルビジネス協力12
日中経済協会
高燕商務部副部長:最近、習近平総書記は日本の指導者と会い、双方はマクロ経済の政策的連絡を強化し、各分野での実務的協力のレベルを向上させる必要があると述べた。訪中代表団は、日本の経済界が両国の経済貿易関係と実務的協力の発展を重視している表れである。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―中国の構造転換、供給側改革と第4次産業革命に向けた日中産業協力16
日中経済協会
劉利華工業信息化部副部長:今年、中国では産業構造の調整が進展。今年7月までの規模以上工業の成長率は前年同期比6%で、ハイテク産業は10・5%成長。新世代情報技術と製造業との融合が加速し、新たな製造システム構築の力に。政府は、2015年から今年にかけ、「中国製造2025」、「製造業とインターネットの融合発展に関する指導意見」等を公布した。 /// 続きは本誌ご参照
日中企業家対話総括セッション―未来に向けた日中企業協力:革新と包摂性20
日中経済協会
日中経済協会合同訪中代表団は、昨年から中国国際貿易促進委員会と共催で、有力・有望な中国企業、注目すべき企業人との対話・交流の場を設けている。今年の個別セッションでは、(1)世界に貢献する日中経済関係~供給サイド改革・過剰生産能力削減の中での企業経営努力~、(2)イノベーションと日中起業協力、(3)100年後も存続するための企業経営戦略、の3テーマについて素直な問題提起と討論を行った。また、3テーマを総括する全体パネルディスカッションを実施、中国側は約100人の企業家らが出席した。ここでは、総括セッションの発言について概要を紹介する。総じて、日本側は、ルールやスタンダードの遵守を尊重し、企業の社会的責任を果たすことの重要性を強調し、中国側は、日本の技術や経験の優位性を評価し、日本ともっと協力して世界市場でイニシアチブを取りたい、との主張が目立った。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第13回)提言書骨子:不断の改革とグローバル協力の新展開―日中関係の深さと拡がりを目指して24
日中経済協会
「21世紀日中関係展望委員会(第13回)提言書」は、世界経済と密接不可分な中国経済の持続的な安定成長を願いつつ、新次元の日中産業協力の大きな実現可能性とそのために必要不可欠なビジネス環境の改善、および日中両国のグローバル・プレーヤーとしての役割について取りまとめたもので、その骨子を掲載する。日中経済協会合同訪中代表団は、北京での全活動および湖北省訪問の際に、同提言書を中国側に手渡した。 /// 続きは本誌ご参照
湖北省訪問団:拡がりをみせる新次元の日中産業協力26
日中経済協会
湖北省の王暁東代理省長は、9月26日に会見した日中経済協会合同訪中代表団と会見した際に、これまでの日中経済協会をはじめとする日本経済界の湖北省経済への貢献を高く評価するとともに、日本企業によるさらなる湖北省への投資やビジネス展開に期待を示した。今次訪中代表団湖北省訪問団派遣を契機に、新次元の日中産業協力の取組みが始まろうとしている。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年10月号(通巻273号)

スペシャルレポート   中国東北の新常態と環日本海経済交流
対談 日中東北・環日本海経済交流の回顧と展望2
藤野文晤/杉田定大  環日本海経済交流センター長、日中東北開発協会常任理事/日中経済協会専務理事、日中東北開発協会理事長
杉田:日中経済協会の重要事業活動として、合同訪中代表団、日中省エネルギー・環境総合フォーラムに加えて、日中経済協力会議があります。日中経済協力会議は、日中東北開発協会とともに、中国の東北3省1自治区との経済協力を促進する目的で、2000年からほぼ毎年、中国東北の開催省あるいは日本の自治体・地方経済界のご協力を得て開催してきたものですが、15回目となる今年は、11月21日から23日まで富山にて開催致します。そこで今日は、富山の環日本海経済交流センター長でいらっしゃる藤野さんとともに「2016年日中経済協力会議ー於富山」に向けて、これまでの交流や協力の経緯も振り返りつつ、環日本海経済交流の今後の方向性などを展望してみたいと思います。 /// 続きは本誌ご参照
中国経済の「新常態」と東北地域の課題6
穆尭芊  公益財団法人環日本海経済研究所調査研究部研究主任
「新常態」は、中国経済が一定の段階に発展したことを示し、近年の動向を見れば自然な展開といえる。中国経済の態勢は急激に変わらないため、「新常態」もこれまでの成長と切り離して議論することはできない。問題は、中国国内の諸地域の発展の様相が大きく変化していることである。地域間の成長は極めて多様化・複雑化しており、これまでの枠組みでは捉えきれない新しい展開になっている。中部・西部地域に比べ、工業基盤のある東北地域がかえって厳しい状況に面している。本稿は、「新常態」における中国地域経済の構造変化を分析し、東北経済の実態と政策を検討したい。 /// 続きは本誌ご参照
黒龍江への扉は開かれている―「2016年日中経済協力会議-於富山」への誘い10
澤津直也  日中経済協会北京事務所所長代理
黒龍江省といえば、ロシアと国境を分かつアムール川に因む省名の通り、中国最東北に位置する辺境というイメージがあるが、東北平原の肥沃な大地と地平線の先まで広がる農業地帯、大慶油田に代表される資源の宝庫、さらには観光面では冬季の極寒の恩恵を活かしての氷祭り、という特色を備え、いま、力強い指導者の下で変わりつつある。同省をはじめとする中国東北4省区とタイムリーな経済課題を議論する「2016年日中経済協力会議―於富山」を11月にひかえ、本稿では、開かれた黒龍江への扉の向こうの魅力的な姿を垣間見てみたい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   新型都市化とスマート化社会の行方
スマートエネルギーを革新し、居住快適都市を共に建設する22
朱振旗  新奥能源研究院院長
現在、中国における急速な都市化の進行と持続的な経済成長に伴って、人口過密や交通渋滞、エネルギー不足や環境悪化など、様々な問題がもたらされている。これらの問題を解決し、居住快適スマートシティを実現することは、街づくりの目標となっている。そのためには、地域の状況に応じて系統化したトップレベル・デザインを行い、スマートエネルギーから現代的エネルギーシステム構築に着手すること、そして、他国の経験および教訓を取り入れることが重要である。居住快適都市・スマートエネルギー連盟を通して、対外的に開放・共有される技術システムと国際産業連盟を形成し、居住快適スマートシティの建設・発展を持続的に進め、それをリードするあり方を探る。 /// 続きは本誌ご参照
中国版介護保険制度の試行と新型都市化との関係26
于洋  城西大学現代政策学部教授
中国の高齢者向け介護・福祉サービスはまだ制度化されていないが、高齢者の介護需要が急拡大するなか、日本の介護保険制度を参考にした長期護理保険制度(ここでは「中国版介護保険制度」と称する)創設による解決が検討されている。第3次産業の発展が一つの目的とされる新型都市化政策が進むなかで、中国版介護保険制度はいかに作られ、いかに機能していくのか。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年9月号(通巻272号)

スペシャルレポート   中国における産業の高度化と次世代バリューチェーン構築
中国における日立の社会イノベーション事業4
森田守  株式会社日立製作所執行役常務戦略企画本部長
中国経済は、産業構造の改革による「量から質」「輸出から消費」「モノからサービス」へのシフトが進もうとしている。いわゆる新常態(ニューノーマル)への移行である。この産業構造の改革は、中国政府にとって極めて重要なチャレンジであり、日本企業にとっても、事業を変革する契機となっている。構造改革の実現に向けた日本企業との協力のあり方が、今後の両国間の民間協力の重要課題となる。 /// 続きは本誌ご参照
中国製造2025の実現に貢献する当社のトータルソリューションe-F@ctory7
富澤克行  三菱電機(中国)有限公司董事兼副総経理
今後のものづくりにおいて、デジタル空間の活用はますます加速していくが、中国では、単純な省人化や闇雲なIoT化ではない智能化製造に対する視点に大きな変化が感じられる。当社の智能化製造のコンセプト「e-F@ctory」は、従来のソリューションにはない特色を備えており、多くの中国企業から引き合いを頂戴するようになってきた。日系メーカが自らの製造ノウハウを活かし、市場展開できる機会が広がりつつある。 /// 続きは本誌ご参照
中国のIoT市場と「中国製造2025」に関する日系企業のビジネスチャンス10
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部講師
スマホが成熟期に入りつつあるといわれており、IoTはスマホの次の新しい分野として電機業界では期待されている。米国、ドイツを中心に、日本、英国、韓国、台湾などにおいて、政策主導あるいは民間主導でビジネス化の取組みが進められている。もちろん中国も例外ではなく、政府は「中国製造2025」(以下、中国製造)を策定して、政策主導での取組みが進められている。本稿では、注目される中国のIoT関連市場について、特に中国製造を中心に考察していきたい。なお、中国製造の内容については詳細には触れず注1、中国製造を中心として中国IoT関連ビジネスへの参入について実証的に考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国自動車産業の高度化と製品アーキテクチャについて14
大鹿隆  東京大学大学院経済研究科ものづくり経営研究センター特任研究員
中国の自動車市場は、2000年代に入って、沿海部大都市地域を中心に「モータリゼーション」の局面に突入したと言える。自動車生産台数は09年に世界ナンバーワンとなってからも伸び続け、15年には北米の1438万台を1000万台上回る2450万台に達した。日本・米国・欧州企業との合弁会社を擁する中国の自動車グループ6社(上海汽車、東風汽車、第一汽車、長安汽車、北京汽車、広州汽車)の販売台数は、各社100万台を超えている。その一方で奇瑞汽車のような、民間独資の会社も活躍している。 /// 続きは本誌ご参照
中国の物流産業高度化と日中協力の展望18
井出長則  山九株式会社顧問 ロジスティクス・ソリューション事業本部 中国総代表
物流業における日中両国の差異は顕著であり、対GDP物流コスト比率は日本の8%台に対して、中国は16・6%(2014年末)と倍高い。これは、日中の産業構造や産業の分布の違いから必然的に輸送距離が長く、物流コストが嵩んでしまうという止むを得ない点もあるが、中国物流業自身が抱える市場参入ハードルが低いといった構造問題や一部地域での過度な罰金徴収や地域間で異なる高速道路料金収受体系など体制面の問題も存在する。中国はこうした状況を受け、「物流業の発展に関する中長期計画(2014~20年)」を策定し、物流業発展のためのロードマップを示したが、その高度化に向けて日本のこれまで培ってきた経験は参考となろう。以下、私見を述べる。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年8月号(通巻271号)

スペシャルレポート   中国国有企業改革の実相
国有企業改革という問題の位置づけ2
渡邊真理子  学習院大学経済学部教授
中国は、現在世界第2位の経済規模を誇る。これは1978年から始まった改革開放政策の大きな成果である。この40年近くに及ぶ改革のプロセスの背後には、国有企業をどう位置づけるか、という問題をめぐる攻防があった。また、この期間に国有企業が抱えるとされる問題は変質してきている。旧来の国有企業をめぐる制度の枠組みはほぼ完成した。しかし、2010年代に入って特に急速に進んだ産業構造の転換で、既存の国有企業は斜陽産業に転換しはじめている。経済の屋台骨となりつつある新興産業の企業の多くが民営企業となったいま、国家と企業がどのような関係を構築するのか、それをめぐるせめぎあいが続いている。以下、この点を考えていきたい。 /// 続きは本誌ご参照
国有企業改革と銀行システムの変遷―リスク管理の視点がより重要に6
岡嵜久実子  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
90年代における中国の国有企業改革の実践過程では、国有銀行がかなりのコスト負担を引き受けていた。主要銀行が株式を上場し、市場によるチェックを受けるようになった現在、銀行が国有企業の救済に関与するためには責任の所在が明確でなければならない。今次五カ年計画では、「金融が実体経済に貢献する」ことが強く求められているが、政府、企業、銀行が市場メカニズム活用と金融リスク管理の視点を共有することが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
産業ケーススタディー(1):中国設備製造業の企業改革動向10
太田志乃  一般財団法人機械振興協会経済研究所調査研究部研究副主幹
ドイツが発信したIndustrie4.0において、主役となる産業は産業用ロボットや工作機械、3Dプリンターなどの設備製造業だろう。これらの機器が工場でネットワーク化され、顧客ニーズにいち早く対応することが急務となっている。特に「世界の工場」である中国はその対応に加え、この生産財市場における自国シェア拡大にも注力している。本稿では主に産業用ロボット市場に着目し、企業間連携にみる中国企業の規模拡大に向けた取り組みをみていく。 /// 続きは本誌ご参照
産業ケーススタディー(2):中国石炭産業の企業改革動向14
常静  一般財団法人石炭エネルギーセンター事業化推進部担当部長
中国の一次エネルギーは生産・消費とも石炭が7割程度を占めているが、近年経済が高成長から「新常態」へ移行する段階において石炭消費は減少。PM2.5等の環境問題に起因して、石炭の利用に賛否両論の議論がなされている。一方、2012年までの十数年の高度成長に牽引され、石炭消費の急増による石炭価格の高騰のために炭鉱業固定資産投資は累計3兆6,700億元となり、石炭消費39億6,000万トン(15年)に対して、出炭規模は全国合計57億トンとなった。「新常態」への適応による15年の中国の実質ベースの経済成長率は6.9%と、過去25年で最低の伸び率であり、石炭の供給過剰も深刻化しつつある。供給側の改革による構造調整に耐えうる石炭企業が生き残り、ゾンビ企業を淘汰することが話題となっているが、負債処理、国有石炭会社のリストラ対策は中国社会の安定に影響を及ぼし得ると言っても過言ではない。本文は、中国の一次エネルギーの重要な一翼を担う石炭産業の直面する課題を整理し、過剰な炭鉱生産能力解消の国策実行に伴う炭鉱企業の改革動向に焦点を当てる。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年7月号(通巻270号)

スペシャルレポート   中国経済「新常態」の展望
「新常態」に移行する中国経済―量的拡大から質の向上へ6
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
2011年以降、中国経済は、従来の年率10%前後の高成長から7%前後の中高成長に移行したことに象徴されるように、「新常態」(ニューノーマル)と呼ばれる新しいステージに入っている。それに伴って、成長率が低下している一方で、生産様式の面では生産要素の投入量の拡大からイノベーションなどによる生産性の上昇へ、所有制の面では国有企業から民営企業へ、需要の面では投資から消費へ、産業の面では工業(第二次産業)からサービス業(第三次産業)へ、という主役交代が進んでいる。このような変化は、中国経済の構造が改善し、成長エンジンが古いものから新しいものにシフトしていることを意味している。 /// 続きは本誌ご参照
中国経済成長の新たな原動力―イノベーションと創業10
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
中国の経済成長率は2015年の6.9%から、16年第1四半期は6.7%と減速しているが、16年は成長率6%台という数字が示唆する以上に厳しい年になるだろう。その行方も気になるところだが、そちらにばかり目をとられていると、中国経済の重要な変化を見落とすことになる。それはイノベーションが経済発展を主導するようになったということである。 /// 続きは本誌ご参照
中国の「新常態」と日本企業がもつべき視点14
駒形哲哉  慶應義塾大学経済学部教授
マクロ的にみれば、景気低迷で中国経済の出口は見えにくい。しかし、情報通信技術の発展を媒介に構造変化の芽は確かに育っている。中国国内市場の激しい競争は続くが、需給の質的ギャップのなかに新たなビジネスチャンスが生まれている。また、「転換点」を超えたかにみえ、既存製造業の東南アジア展開が進展しても、一部業種において中国は「量産マザー工場」として製造拠点の地位を維持する可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年6月号(通巻269号)

スペシャルレポート   対中直接投資・ビジネス環境と関連改革動向
中国における外資参入規制緩和4
射手矢好雄  森・濱田松本法律事務所弁護士/一橋大学特任教授
中国では外資参入に関する規制緩和が進んでいる。会社法改正に伴い、最低登録資本金の規制がなくなった。投資ガイドラインが改正され、独資で参入できる分野が増えた。上海等の自由貿易試験区では、サービス業における規制緩和が進んでいる。近い将来には、外国投資法が制定され、ネガティブリストに記載がなければ投資に認可が不要になる。ただし、中国における外資参入規制は完全にはなくならない。重要な分野における政府の管理や監督は強化される。 /// 続きは本誌ご参照
中国における税制改革の動向と税務上の諸課題10
大久保恵美子  デロイトトーマツ税理士法人エグゼクティブオフィサー/公認会計士・税理士
近年、中国においては税制および徴税管理体制の改革が進められている。その具体的な動きとしては、例えば、増値税改革、移転価格税制に係る規定の改正、事前承認制に代わる事後管理の強化などがある。中国で事業を展開する日系企業にとって、税制改革が進む中での環境の変化を適切にとらえることは、税務上のリスク低減を図る上で重要といえる。本稿では、中国における税制改革の動向を概観した上で、多くの日系企業が税務上の課題として認識している主な事項を取り上げ、各々の留意点を整理する。なお、本記事の意見にわたる部分は筆者の私見であり、所属する組織の公式見解ではない。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスの現場から見た「法治」改革16
本間隆浩  森・濱田松本法律事務所アソシエイト(上海事務所一般代表)弁護士
習近平政権による「法治」改革が開始されて3年余りが経過し、注目された司法改革についても、各種制度の整備が進み、一定の成果が上がりつつある。他方、「法治」改革は、法執行の厳格化という形でも、中国の事業環境に大きな変化をもたらしている。企業におけるコンプライアンスの重要性はこれまでになく高まっており、特に、賄賂やカルテル等の取締リスクの増大への対応は、ビジネスの現場における喫緊の課題となっている。 /// 続きは本誌ご参照
中国における知的財産権保護制度の最新の傾向20
小野寺良文  森・濱田松本法律事務所弁護士
中国では、プロパテント政策を推進しており、知財の出願数のみならず、侵害訴訟の件数も急増している。2014年11月以降、北京、上海、広州に中国初の知財専門裁判所である「知識産権法院」がそれぞれ設立されたが、これらの法院における審理方式の確立、研究が進んでいる。本稿では、これらの最新動向を概観し、日本企業の留意点について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
日系企業の中国事業再編―労務問題対応は依然として中心的課題の一つ24
熊琳  北京市大地律師事務所代表弁護士
事業再編は、外部環境の変化に適応するには有効な方法であるが、中国法と実務の複雑さにより、難題が多い。中でも労務問題は、対応の最も困難なものであり、これを適切に解決できるかどうかが、事業再編の成功のカギとなる。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年5月号(通巻268号)

スペシャルレポート   2016年全人代分析―13・5計画解説
新常態中国の鍵を握る「供給側改革」―焦点となる過剰生産能力の解消と国有企業改革6
萩原陽子  三菱東京UFJ銀行経済調査室調査役
2015年11月、習近平国家主席は中央財経領導小組(経済運営方針の最高決定機関)会議において供給側の構造改革の必要性を強調した。これを契機に中央経済工作会議(15年12月)でも、全国人民代表大会(全人代、16年3月)でも「供給側改革」が経済政策の中核に浮上した。リーマン・ショック後の世界的な経済危機においては海外需要の落ち込みを埋め合わせるために「4兆元対策」に代表される大規模な内需拡大策で対応したが、高度成長期・人口ボーナス期を終え、過大な生産能力の調整を余儀なくされている新常態(ニューノーマル)の中国においては「供給側」を「改革」することこそが重要であるという認識がうかがわれる。 /// 続きは本誌ご参照
13・5計画期の中国社会保険制度―中国の医療、年金制度の行方10
片山ゆき  株式会社ニッセイ基礎研究所保険研究部研究員
2016年3月の全国人民代表大会(全人代)において、第13次五カ年計画の建議が採択された。前回の五カ年計画の採択時とは異なり、中国の経済成長の減速が鮮明化、今後の経済成長率や産業構造の改革が一層注目されることとなった。しかし、そもそも経済成長を支えるエンジンである生産年齢人口に目を向けると、12年をピークに減少に転じている。中国社会は急速に「老いて」いるのだ。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   創新と改革のフロンティア・深圳
イノベーション都市・深圳14
于智栄  深圳市駐日経済貿易代表事務所首席代表
中国初の経済特区であった深圳は、都市レベル初の中央政府批准の自主イノベーションモデル区として、13・5計画期に新たな責務を果たすことを期待されています。 /// 続きは本誌ご参照
中国深圳の発展は日本企業のチャンス17
朴雪峰  中科領創科技(深圳)有限公司 董事長兼総経理
香港を追い抜く勢いで成長する深圳。その発展の道のりを語るとき、日中両国の経済交流と日本企業の貢献に触れずにはいられません。そして現在も深圳は日中協力、共同発展推進の舞台として大きな魅力を放っています。 /// 続きは本誌ご参照
深圳企業ビジネス・ケーススタディ:深圳生まれのグローバルICT企業―ファーウェイ21
王欣  ファーウェイ・ジャパン渉外・広報本部長
2016年1月にファーウェイ・カナダより日本に赴任しました王欣(オースティン・ワン)と申します。この場をお借りして「日中経協ジャーナル」の読者の皆さまにご挨拶させていただくとともに、ファーウェイについて少しお話させていただきます。 /// 続きは本誌ご参照
深圳企業ビジネス・ケーススタディ:BYDの「三大グリーンドリーム」―電気自動車、蓄エネ施設・設備、太陽光発電24
花田晋作  ビーワイディージャパン株式会社執行役員
BYD(漢字表示「比亜迪」)は1995年に設立、IT、自動車、新エネルギーの3つの主要事業を手掛ける先端技術を柱とする上場企業です。イノベーションを力に20年にわたる成長を遂げ、現在深圳、北京、上海、西安、長沙、恵州、南京および世界各地に製造拠点を合計23カ所設け、1500万平米を超える敷地面積と総従業員数約18万人までに至りました。2015年度のBYDの売上高は800億元、前年比37・48%増、新エネルギー車販売台数は世界1位となりました。 /// 続きは本誌ご参照
深圳企業ビジネス・ケーススタディ:ドローン業界の牽引役―DJI大疆創新公司27
遠山雅夫  DJI PR
DJI大疆創新公司は2006年中国深圳に誕生しました。大きな夢を抱いて生まれた会社DJIは、技術の力で夢の実現と無限の可能性を創造してきました。DJIの一般向け空撮ドローンは現在全世界70%のシェアを誇り、数知れぬ人々の視線を空へと誘い、新しい世界の楽しみ方を創造してきました。深圳の小さな民家から始まったDJIは、10年の時を経てドローン業界の牽引役までに成長しました。DJIの製品は映像、農業、不動産、ニュース報道、消防、救援、エネルギー、リモートセンシングによる製図、野生動物保護などの分野に広く用いられ、今も新しい分野へ次々と応用範囲を広げています。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年4月号(通巻267号)

スペシャルレポート   中国経済動向データ分析
中国のマクロ経済データの見方2
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
中国の経済指標については、しばしば信憑性が議論される。特に、2015年7・8月以降の株式市場・国際金融市場の混乱の中で、中国の成長率は実際よりもはるかに低いのではないかという議論が活発となり、「李克強指数」なる用語も飛び交った。しかし、中国の経済指標は、ある程度緻密さに欠けるとしても、経済構造の変化と、指標のクセ・動き・相互の関連に注意をよく払えば、中国経済の動向を判断する重要な手掛かりになる。 /// 続きは本誌ご参照
中国の新たな人口問題と新しい人口政策6
尹豪  福岡女子大学国際文理学部国際教養学科教授
中国では1970年代初めから40年余りにわたって、人口抑制政策が実施され、出生率が著しく低下し、大きな人口抑制効果を挙げている。しかし、出生性比不均衡、少子高齢化などの新たな人口社会問題がデータから見ても次第に表面化し、人口抑制政策のあり方が問われるようにもなった。そして、最近になって大きな政策転換を行い、新しい人口政策が打ち出されたのである。その新人口政策と今後の人口動向を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の資源・エネルギーデータをどう読むか11
竹原美佳/関本真紀  独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構調査部課長/同課長
石油需給動向を分析する上で統計は不可欠である。中国の統計だけでは不十分な場合は国際機関の統計データを用いる。例えば中国は石油の実消費や在庫量を公表していないので、世界の石油消費と中国の石油消費を比較する際はIEAの数値を参照する。一方、金属鉱物資源分野においても、中国統計データの課題については度々議論されている。中国はかねてより金属鉱物資源の生産者として大きな位置を占めてきたが、2000年代に入ってからは需要家としての存在感を増し、現在では金属鉱物資源の世界需給に最も大きな影響を与える存在となっている。 /// 続きは本誌ご参照
中国のデータから見る環境問題と対策15
大野木昇司  日中環境協力支援センター有限会社取締役
中国の環境統計には、狭義・広義のものがある。その正確さや信頼性については課題が多いとの指摘もあるが、統計処罰制度や情報公開制度の整備、インターネットの発達、クロスチェック可能な資料の存在により、信頼性は一定程度保たれていると考えられる。統計データから見れば、大気汚染は深刻であるものの、長期的トレンドとしては若干の改善傾向にあり、汚水処理場・ゴミ焼却処理場の大量建設や環境対策が効果を発揮しつつあることがわかる。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年3月号(通巻266号)

スペシャルレポート   2016年中国の改革深化動向
2016年の中国経済、カギにぎる所得環境の動き2
北原基彦  公益社団法人日本経済研究センター主任研究員
2016年の中国経済は前年に引き続き成長率の鈍化傾向が続こう。企業部門における過剰な設備や債務の圧縮を目指す供給側改革を進める中で、中国政府がとれる政策手段には限りがあるためである。しかしながらネット購買の急伸に見られるように個人消費には底固い面もあり、悲観論一色で先行きを見ることはできない。反腐敗キャンペーンを通じた習近平政権の求心力の向上は、16年からスタートする第13次五カ年計画などの政策推進にはプラスに働くことは間違いないが、権力の集中には政策決定の安定性の面で副作用も付きまとう。 /// 続きは本誌ご参照
供給サイドからの構造改革は成功するか8
杜進  拓殖大学国際学部教授
2015年11月10日の中央財経指導小組の第11回会議において、習近平総書記は、「総需要を適度に拡大すると同時に、供給サイドの構造改革強化に力を入れ、供給体系の質・効率向上をはかり、経済の持続的成長力を増強し、我が国の社会生産力水準の全面的な飛躍の実現を推進しなければならない」と述べた。以来、内外の政策研究者の間に、供給サイド改革は流行語となるが、その進め方や経済的帰結について大きな疑問も残されている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の流通――小売・消費動向とネット販売拡大13
神谷渉  公益財団法人流通経済研究所グループリーダー・主任研究員
2015年のGDP成長率が7%を割り込むなど、中国の景気減速に注目は集まっているものの、消費に目を向ければ、都市部を中心に消費者の生活水準は向上し、それに伴い消費に対する嗜好も変化してきている。また、技術の進化・普及によって中国でもスマートフォンなどが急速に普及してきている。従来は、パソコンを持っていなかった人々もスマートフォンを手に入れることによって、インターネットに容易にアクセスできるようになった。 /// 続きは本誌ご参照
中国の不動産市場動向18
安田明宏  三井住友トラスト基礎研究所海外市場調査部副主任研究員
2014年に調整局面を迎えた中国の住宅市場は、15年に入ると早くも回復に向かった。一級都市が先行して底打ちし、二級都市がそれに続く展開となっている。一方、三級以下の都市の足取りは重い。オフィス市場は、一級都市では堅調に推移しているが、二級都市では市場規模が小さく、需給バランスの悪化や改善による変動が激しい。商業施設市場は、プライムエリアは底堅いが、伝統的な店舗販売はEコマースと競合するようになっている。不動産関連の政策は、市場の整備を全国規模で進める一方、都市レベルでの調整が続くだろう。中国資本の海外進出や少子高齢化の影響なども注目される。今後は、着実に住宅在庫の消化を進め、不動産市場の発展を多様化させることが求められるだろう。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年2月号(通巻265号)

スペシャルレポート   第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議6
山本祐子  日中経済協会事業開発部プロジェクト担当部長
日中経済協会は、経済産業省、中国・国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で、2015 年11月29日、東京にて「第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。日本側は、林幹雄経済産業大臣、丸川珠代環境大臣、高木陽介経済産業副大臣、宗岡正二日中経済協会会長、中国側は、張勇国家発展改革委員会副主任、高燕商務部副部長、程永華中国駐日本国大使が出席し、挨拶・基調講演を行った。参加者は、両国政府・企業・団体・専門家等、官民関係者合わせて約750人(日本側約470人、中国側約270人)。また、省エネ・環境分野の日中協力プロジェクト26件が披露された。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー多消費企業の省エネルギー対策分科会―工場の省エネ手法、技術における日中間のビジネス協力に向けて10
杜本水萌  日中経済協会事業開発部
本分科会は、日中両国政府関係者、業界団体および省エネ環境関連企業など、約100人が参加し、日中双方の省エネ対策における交流の場として開催された。中国では、1997年に省エネルギー法が制定され、第12次五カ年計画(「12・5」)においても省エネ政策が重要政策として位置づけられている。このうち、特に重点エネルギー使用分野においては、一定のエネルギー効率向上が見られるものの、生産現場である工場等では、省エネ手法、技術面での情報不足や資金調達力等の障壁から、適切な投資判断に至らないケースがあると考えられる。このため、本分科会は、日本企業の工場向けの優れた省エネ手法や技術に関するプレゼンテーション等をじて、中国における重点エネルギー使用分野のさらなる省エネ化に向けた取組促進を目的に開催された。 /// 続きは本誌ご参照
スマートシティ分科会―「13・5」グリーン発展に向けたコンセプト・マッチングへ12
十川美香  日中経済協会理事・企画調査部長
日本では、特に2011年以降、地域単位でエネルギーを賢く使う「スマートシティ」あるいは「スマートコミュニティ」の取り組みが進みつつある。一方、中国での「スマートシティ(智慧城市)」は、14年3月に発表された「国家新型都市化規劃」においては都市化と情報化の融合を目指す在り方として描かれ、環境に配慮する都市の在り方は「グリーンシティ(緑色城市)」と表現されていた.今次「13・5」計画の建議では「緑色発展」という理念が打ち出され、今回の「スマートシティ」分科会に整合する中国側の分科会名は、あえて「城市緑色管理」という表現が選ばれた。本分科会の中国側議長である王静波国家発展改革委員会資源節約環境保護司総合協調指導処長は、分科会の開幕挨拶で「城市緑色管理」という分科会名には「新型都市化の推進」と「経済発展方式の転換推進」を結合させる意味が込められていると説明している。「13・5」計画期の中国の都市化において、日本のスマートシティと軌を一にする「エネルギーの効率化」がフォーカスされようとしており、本分科会に期待される方向は、都市の発展と環境問題の解決および省エネを両立させていくための認識が共有され、議論が深まることである、との紹介が日本側議長である戸邊千広資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課社会システム推進室長からなされた。 /// 続きは本誌ご参照
次世代自動車分科会―「中国製造2025」では自動車産業が重要な戦略的地位を占める14
西槙躍  日中経済協会企画調査部プロジェクト担当部長
次世代自動車分科会は、日本側70人(経済産業省、自動車メーカー、関連研究所・団体ほか)、中国側45人(国家発展改革委員会、新エネ自動車メーカー、電力企業、関連団体ほか)と、約120人の規模で開催された。日中の次世代・新エネルギー自動車の振興政策や関連インフラ施設整備状況、企業および関連機構の研究・開発、普及と将来計画を巡り、各々5人がプレゼンテーションを行った。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会―日中の資源循環社会建設への成果と課題16
渡辺俊一  日中経済協会参与
循環経済分科会は14時から「さくら」の間で開催され、日本側が最終的に38人、中国側34人、計72人の参加を得た。本分科会では、日中両国政府から、循環型社会建設に向けた法的整備と当面の政策的課題が紹介されたほか、日中双方の地方自治体、学術研究部門、民間企業から具体的な取組事例・成果・課題が報告された。 /// 続きは本誌ご参照
石炭火力発電分科会―石炭火力発電所の省エネ環境技術における日中間のビジネス協力に向けて18
太田圭  日中経済協会総務部主任
石炭火力発電分科会は、日中両国政府関係者、業界団体および電力企業や省エネ環境関連設備メーカーが約90人参加し、今回もフォーラム分科会の一つとして開催された。開催背景として、日本政府は、今年7月、2030年のエネルギーミックスを策定し、その中で、石炭は、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として再評価されている。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易分科会―自動車リサイクルや汚水汚泥処理分野における日中間のビジネス協力に向けて20
加藤俊之  日中長期貿易協議委員会事務局
日中両国の長期貿易協議委員会の省エネ等技術交流促進部会(日本側事務局は日中経済協会、中国側事務局は商務部対外貿易司に設置)は、省エネ・環境ビジネス支援・促進の場として、2006年(第1回フォーラム)以来、分科会の形で毎回定期交流を行っている。第9回目となる今回は、日本側71人、中国側37人の計108人が参加した。今次分科会は、従来より当分科会で議論されてきた「自動車リサイクル(第1部)」と「汚水汚泥処理(第2部)」の2テーマ構成で実施した。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー・環境分野における日中間の協力プロジェクト22
日中経済協会
今回のフォーラムでは、新規26件の日中間の協力プロジェクトについて合意文書の交換が行われ、過去を含めた本フォーラムで合意した協力プロジェクトは累計285件に達した。フォーラム前日の11月28日には、協力プロジェクト調印式が行われ、10件のプロジェクトが、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課の吉川徹志課長、国家発展改革委員会資源節約環境保護司総合協調指導処王静波処長の立会いの下で実施された。吉川課長からは「調印される協力プロジェクトの内容は、IoTを活用した省エネや、廃棄物リサイクル分野に関する協力など、先端技術分野も含め、中国の現状に則した日中間の協力が多く進められている。また、これまで締結された協力プロジェクトを発展させて今回新たに協力プロジェクトを調印している案件もある。これは、本フォーラムを通じた日中協力が進展している証と考える。プロジェクトの目標が達成されるよう日中双方で推進していきたい」との冒頭挨拶があった。王処長からは「フォーラムにおける省エネ・環境分野のプロジェクト調印は、中日双方の実務的な協力に不可欠であり、同時に本フォーラムの成果の表れの一つである。過去8回フォーラムにおいて調印された259件のプロジェクトの多くは、その後も大きな成果をあげているが課題に直面している事例もある。中国は経済産業省と共に、プロジェクトの進捗をフォローし、課題のあるプロジェクトに対しては、日中共に解決へ向けて取り組みたい」との意思が表明された。 /// 続きは本誌ご参照

  2016年1月号(通巻264号)

スペシャルレポート   新常態下のイノベーションとグローバル化の協力に向けて―日中経済協会合同訪中代表団抄録
李克強国務院総理会見(全文)―予見可能性を高め、日中経済を発展の極に2
日中経済協会
李克強国務院総理:まず、日中経済協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所の三大経済団体の皆さまが遠路はるばる中国を訪問されたことは、中日経済協力深化への期待の表れであると思います。先日私は、3年ぶりに開催された中日韓三国首脳会議に参加し、安倍晋三総理とバイ会談を行ったばかりです。我々双方はともに、中日間の四つの政治文書の原則を堅持し、「歴史を鑑とし、未来に向かう」原則に基づき、中日関係を改善の方向に発展させ、長期的、安定的で健全に発展させることで一致しました。中日間の対話のメカニズムも次第に回復しつつあります。これは、中日両国間の経済貿易協力を強化し、経済界の皆さまがその今後について良好かつ安定的な見通しを持つために、積極的なシグナルとなりました。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―中国の産業構造調整と日中新産業協力への共通認識醸成8
日中経済協会
陳肇雄副部長基調発言:中日経済の補完関係は極めて強く、最近のグローバルな科学技術革命と産業革命の高まりのもとで、協力を深化させる潜在力は大きく、共同で議論すべき話題はとても多い。未来に向けて、大局に立ち、強固な在来型産業での協力を維持しつつ、新たな分野での協力を開拓し、それぞれのメリットを充分に発揮し、交流・協力を深化させ、経済貿易協力関係の健全で持続的な発展を推進していきたい。産業構造調整と産業協力という主題について、積極的に新分野、新モデル、新チャンネルを深める議論を行いたい。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―持続可能な安定成長と13次五カ年計画に向けた展望12
日中経済協会
宗岡正二団長(日中経済協会会長)挨拶:第13次五カ年計画においては、中国の持続可能な安定成長、いわゆる「新常態」を実現するために、全面的改革の深化がさらに進められていくものと考えている。世界経済の発展と密接不可分である中国経済の構造改革が、着実に実行されることを強く期待している。中国経済の世界経済に占めるプレゼンスの大きさにかんがみ、改革の進捗や政策決定につき、内外の投資家や市場関係者へタイムリーな情報発信が行われることにより、中国経済の将来展望についての確信が深められるものと考える。現在、日中両国はともに構造調整に取り組んでおり、その決め手はイノベーションにある。中国の目指す消費主導で質の高い安定成長に向けて、日本の先行市場による知見と技術を活かしつつ、それぞれの課題解決に向けたイノベーションに共に挑戦すれば、Win-Winの新たな日中協力のポテンシャルは大きい。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―グローバルビジネスの推進と環境整備16
日中経済協会
宮原耕治副団長(日本郵船相談役)「日中韓FTA等の推進」:11月1日にソウルにおいて3年ぶりの日中韓首脳会談が開催され、日中間FTAの加速化に向けて一層努力することが合意されたことは誠に喜ばしい。日中貿易総額は2015年1~9月の速報値では前年比1割強の減少となり、日本の対中直接投資実行額は15年1~8月の速報値では前年比3割近い減少となっている中、自由な経済活動を促し貿易・投資障壁を撤廃するための経済連携は益々重要性を高めている。中国や韓国は現時点でTPPに加盟していないが、門戸は開かれており、高次元の経済連携が大きく広がっていく可能性を有している。多くの経済連携交渉は、互いに競い合い、連動しつつ進んでおり、TPPの大筋合意を受けて、足元の日中韓FTA交渉が包括的かつ高いレベルで進展することを願っている。 /// 続きは本誌ご参照
日中企業家対話―2020年に向けた日中企業ビジネス協力の新展開22
日中経済協会
姜増偉会長(中国国際貿易促進委員会)中国側代表挨拶・基調発言:昨日、韓国のソウルで、李克強総理は安倍晋三首相と会見し、両国の関係について意見交換するとともに中日韓サミットにも出席され、両国関係が安定に戻り、双方の実務的協力を深めるための新しい方向性を示し、新しいダイナミズムがもたらされた。本日、中国国際貿易促進委員会と日中経済協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所が共同で、ここに中日企業家対話を開催することは、特に重要な意義を持っている。中国国際貿易促進委員会を代表して、双方の企業家に対し熱烈な歓迎の意を表明する。今回の会議を通じて両国の企業は、中国の設備製造と人材資源などの優位性と日本の先進技術と販路ネットワークなどの優位性を連携させ、ともに第三国市場の開発を進め、自らの発展と同時に関連国の繁栄を図ることができればと願っている。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年12月号(通巻263号)

スペシャルレポート   アジア・太平洋の地域経済連携とASEAN統合
TPP大筋合意のインパクト―RCEP、日中韓FTAはどうなるのか2
木村福成  慶應義塾大学経済学研究科委員長・経済学部教授、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト
2015年10月初めの環太平洋経済連携協定(TPP)大筋合意は、東アジア諸国の国際通商政策を大きく揺るがしつつある。協定文のドラフトも11月半ばに公開された。順調に批准・発効に至るかどうかについては、特に米議会がどのように反応するかが読めず、いまだに不確定要素が大きい。しかし、妥協を重ねながらも粘り強く交渉を進め、大筋同意に至ったことは、多くの国で驚きを持って受け止められている。ここまで来れば、タイミングはともかくとして、最終的にはTPPは発効すると、大多数の人が考えるようになった。 /// 続きは本誌ご参照
アジア、中国の活力と新たな貿易対応―ネットワーク型広域ビジネスへの変化と取組み6
美野久志  関西学院大学フェロー
中国と世界との貿易、ビジネス関係を中長期の視点から見ていると、「最早、中国ビジネスは中国ビジネスではない」という実感を強くする。WTO、FTAによる貿易自由化が中国を包み込むように拡大するとともに、アジアでは広域市場の形成と取引方式の多様化・高度化が進行しつつあり、日本企業は従来とは視点を変えて、自らの事業戦略に適うビジネス・取引システムを設計し実行すべき新たな局面を迎えている。 /// 続きは本誌ご参照
TPP大筋合意とAEC発足―日本企業のビジネスチャンス10
石川幸一  亜細亜大学アジア研究所教授
難航していたTPP交渉は10月5日に大筋合意した。人口で世界の1割、GDPで世界の4割を占めるメガFTAが出現することになる。自由化率は工業製品が99.9%、農林水産品は日本を除くと平均98.5%に達し、高い自由化率を実現した。ルールの分野でも国有企業など新たな分野を含め知的財産、サービス、投資、電子商取引、労働、環境など多くの分野を対象としており、21世紀のFTAというべき内容となっている。TPPにより日本のFTAは新しい次元に入った。日本のFTAカバー率は22.3%から37.2%に高まり、自由化率は80%代後半から95.1%に上昇した。日本にとりTPPは米国とのFTAが出来たことを意味し、米国とのFTAがある韓国に対する不利が是正された。11カ国の自由化率は農水産品を含めても99%台に達しており、工業製品だけでなく農水産品の市場アクセスも大きく改善された。TPP参加国が今後増えることは確実である。また、アジアのもう一つのメガFTAであるRCEPの交渉も加速されるだろう。 /// 続きは本誌ご参照
ASEAN経済統合と平行して進むメコン地域の連結性向上14
蒲田亮平  日本貿易振興機構海外調査部アジア大洋州課
ASEANの関税障壁がほぼ撤廃されている今日、生産ネットワークの展開の円滑化に向け、物理的・制度的連結性の向上が重要性を増している。メコン地域は大メコン圏(GMS)開発プログラム等により、域内で先駆けて連結性の改善が進んできた。経済回廊の活用で、実際に「タイ・プラス・ワン」による企業進出や、中国との間の工業製品の輸送が見られている。今後一層生産ネットワークを強化するためには生産拠点同士を結ぶ輸送の円滑化が重要であり、さらなる制度的インフラの整備が求められる。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年11月号(通巻262号)

スペシャルレポート   中国2020年への経済改革動向―13・5計画の見通し
第13次五カ年計画期間に中国は如何にして経済発展方式の転換を加速するか2
胡鞍鋼  清華大学国情研究院院長、公共管理学院教授
経済発展方式の転換加速こそが第13次五カ年計画制定の基幹である。基本理念は、経済成長に関して、発展の立脚点を数量から質と効率の向上へと転換することである。資源エネルギー強度と主要汚染物質総排出量の引き下げ、ならびに全要素生産性増加率、労働生産性上昇率、資源生産性水準の引き上げが主な指標に位置づけられる。各種市場主体の新たな活力を引き出し、創新駆動を新たな動力として強化し、現代産業発展に向けた新システムを構築し、「五化(工業化、情報化等)同調発展」により新常態下のエンジンを作り上げ、地域と全国が協調・連動した統一大市場を形成し、開放型経済発展に向けて新たな優位性を育成することが進むべき道である。 /// 続きは本誌ご参照
人民元の「国際化」―習政権の威信がかかるSDRへの採用8
村瀬哲司  京都大学名誉教授
今年は国際通貨基金(IMF)が、特別引出し権(SDR)の構成通貨を見直す5年に一度の年に当たることから、中国政府は人民元を構成通貨に加えるよう、年初から各国政府や主要機関に積極的に働きかけるとともに、国内での環境整備に努めてきた。SDRは、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4通貨で構成される通貨バスケットで、世界の国々の外貨準備や政府間取引やIMFの取引単位として使われる。人民元がSDR構成通貨として認められることは、米ドルやユーロに並ぶ国際通貨としてのお墨付きを意味する。中国は、政治面では国連の安保常任理事国、経済面では米国に次ぐ国内総生産を有する大国だが、国際金融の分野では、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)のように国際秩序に挑戦する動きを見せるものの、これまで通貨人民元は、主要先進国通貨と同等とはみなされてこなかった。 /// 続きは本誌ご参照
第13次五カ年計画の目標と課題13
朱炎  拓殖大学教授
中国の第13次五カ年計画(2016~2020年)は中国経済の構造転換、長期的な成長に重要な影響を及ぼす。10項目の政策目標を定めたが、その中心的課題は経済成長の維持、改革の推進であるとみられる。25項目の重点研究テーマも公表され、12・5計画と比較すれば、政策の変化も分かる。5年間の成長目標は年平均7%に設定することが妥当だろう。また、今回の計画作成のプロセスにも新しい試みがみられる。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年10月号(通巻261号)

スペシャルレポート   日中産業協力の新展開への展望
転機に立つ中国経済と「中国製造2025」の行方2
後藤康浩  日本経済新聞社編集委員
習近平政権が2015年に打ち出した「中国製造2025」と日本の製造業はいかなる連携ができるのか。新たな日中産業協力の可能性を探る。 /// 続きは本誌ご参照
中国民間企業のイノベーションと日中協力6
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
これからの中国の成長を牽引するのは民間企業である。大衆による起業が活発に行われているのが中国の特徴であり、2015年3月には李克強首相も大衆の起業とイノベーションを経済成長のエンジンにすると表明した。すでに様々な分野で民間企業による注目すべきイノベーションがみられる。日本企業もリスクをとって新たな産業の形成に参加すれば大きな商機を獲得することができるはずである。 /// 続きは本誌ご参照
中国国内の生産現場で活躍するカワサキロボット10
永田泰  川崎重工業株式会社マーケティング本部海外総括部海外一部部長代理
カワサキロボットは、中国の生産現場の自動化・省力化のみならず、製品品質の安定と向上に貢献している。 /// 続きは本誌ご参照
ハイエンド設備製造業への変革に向けた今後の日中連携10
田中邦明  欧姆龍精密設備(上海)有限公司董事・総経理
ハイエンド設備製造業への変革の成功要因(KFS)は、生産技術力強化を狙った日中企業連携の進化にある。 /// 続きは本誌ご参照
製造大国から製造強国へ中国製造業の変革に貢献するe-F@ctory11
富澤克行  三菱電機(中国)有限公司董事・副総経理
製造現場の現実を把握し、ICTシステムと連携させ、全体の機能向上を実現するソリューションを提供。 /// 続きは本誌ご参照
長春アジアパシフィックスマート農業・食品安全産業園プロジェクトとは13
陸冰/明石英浩/陳羽  日立コンサルティング(中国)有限公司チーフ・オペレーティング・オフィサー/同チーフ・ソリューション・アーキテクト/同シニア・マネジャー
国連がリードするモデルエリアプロジェクトは、農業と食品の安全・安心実現に向けた新次元の日中産業協力を切り拓きつつある。 /// 続きは本誌ご参照
営業秘密管理と技術取引のポイント―知財保護の観点から16
加藤康二/髙村大輔  日本貿易振興機構海外調査部主査/同知的財産・イノベーション部
中国事業を展開する上で、知的財産の適切な管理と保護は欠かせない。本稿は、日系企業の中国における共同開発機能の強化や中国技術市場の拡大に着目し、主に営業秘密や技術取引上の取り扱いに焦点をあて、中国の現行法制度と運用のポイントを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年9月号(通巻260号)

スペシャルレポート   中国スマートシティ構築の現状と展望
中国スマートシティ国際博覧会レポート8
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
中国スマートシティ国際博覧会の開催は、中国でのスマートシティに対する関心の高まりに応え、都市生活や行政サービスにおけるインターネットの活用、省エネ環境関連のハイテク、道路交通のスマート化等の進展ぶりを内外に示した。国際協力の各種イベントも開催されたが、なかでも「日中スマートシティ分科会」と「日本の関連技術・システムプレゼンテーション」の開催および「柏の葉スマートシティ」ブースの出展は、大きな注目を集めた。中国のスマートシティ建設に関する日中の交流活性化とビジネスモデルプロジェクトの醸成に向けて一歩を踏み出した本博覧会について、その概要と成果をまとめた。 /// 続きは本誌ご参照
デベロッパーから見た日中スマートシティ協力の展望と課題12
小林誠治  三井不動産諮詢(北京)有限公司総経理
中国政府は、2014年3月に策定した「国家新型都市化規劃(14~20年)」において、都市が抱える課題を解決する新しい都市としてのスマートシティの在り方を示し、同年8月には「スマートシティの健全な発展の促進に関する指導意見」を発表している。中国がスマートシティ開発に本腰を入れ始めたと言えるが、スマートシティはそれ自体が世界的に見ても先進的な取り組みであり、三井不動産が手がける日本国内のプロジェクトにしても試行錯誤しつつ取り組んでいるのが現状である。本稿は、デベロッパーの立場から今後の日中スマートシティ協力につき、その展望と課題を概観したものである。 /// 続きは本誌ご参照
駅まち一体型まちづくり「Station Integrated Urban Design」の実践に向けて―スマートシティを支えるTODと中国での関連ビジネスの可能性15
田中亙  株式会社日建設計都市デザイングループ代表
日本の都市発展を支えてきたTOD(Transit Oriented Development)―公共交通と都市開発の一体的推進―の理念と実践は、中国を始めとする新興国において、都市課題解決とスマートな都市づくりに不可欠な要素として近年着目を浴びており、そこには多様なビジネスチャンスが存在する。 /// 続きは本誌ご参照
スマートシティ建設における中日企業間協力19
胡葆森  建業集団董事局主席
中国の都市化およびスマートシティ建設において、大手デベロッパーが果たす役割は大きいが、河南省に特長ある発展戦略で成長を続けている建業集団がある。河南省は中国一の人口を誇り、省都・鄭州市は人口938万人を擁する「中原経済区」都市群の中心であり、「国家新型城鎮化規劃」においても都市化発展の支柱とされるなど重要なポジションにある。胡葆森主席は、早くから日本の不動産業界と親交があり、昨年からは中国スマートシティ発展連盟の主要メンバーとして中日のスマートシティ交流に関わっている。本稿は、こうした実績を踏まえ、中日企業間協力の経緯と今後の在り方についてまとめたものである。 /// 続きは本誌ご参照
中国版スマートシティ開発への日本企業の参画について22
飯塚浩一郎  海外エコシティプロジェクト協議会
中国では、「国家新型都市化計画(2014~20)」で示された都市建設の方針の一つとして「智慧城市(スマートシティ)」が掲げられ、「人民中心」「持続可能性」「創新」というキーワードが挙げられている。ここで語られている都市化の方向性は、日本が従来進めてきた課題解決型のまちづくりの在り方と同じものである。本稿では、日本企業が国内で培ったまちづくりに関わる知見・技術等が、今後中国の新しい都市化政策の下で現れる新しい都市建設市場で必要とされるものになるという観点から、中国版スマートシティ開発への参画の道筋を検証した。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年8月号(通巻259号)

スペシャルレポート   中国企業の対日投資とビジネス・アライアンス
ICT産業発展と豊かな社会づくりに貢献「お客様志向のイノベーション」を通して2
王剣峰  ファーウェイ・ジャパン社長
今年2月1日のファーウェイ・ジャパン社長就任おめでとうございます。まずは王社長がこれまで歩んでこられた道程と御社の最新状況についてお聞かせください。(以下、書面によるインタビュー記事です)王社長:ありがとうございます。今年、弊社は設立10周年を迎えます。次のマイルストーンに向けて新たなスタートを切る時期に、日本という重要な市場を統括する立場になったことを大変光栄に思います。 /// 続きは本誌ご参照
中国市場で成長する日本企業への投資6
中野宏信  CITIC Capital Partners Japan Limited 代表
後継者問題と国内市場縮小の二つの問題に直面する国内の中堅企業に対し、バイアウト投資と対中ビジネス支援により新たな活力をもたらしてきたシティック・キャピタル・パートナーズ。その11年の経験談を中野代表にお聞きした。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年7月号(通巻258号)

スペシャルレポート   中国高齢化対応の最新動向
人間本位の「四位一体」養老サービス体系を構築2
瀋陽市人民政府民政局
瀋陽市は、東北地域における経済と金融、科学技術研究開発の中心であり、交通の要衝でもある。総面積は1・3万平方キロで、常住人口は828万1000人である。経済と社会がハイスピードで発展するなかで、人口の高齢化が日増しに顕在化してきている。瀋陽市は1992年に「老齢化社会(全人口比で60歳以上が10%超、あるいは65歳以上が7%超)」に入り、2007年には「高齢化社会(60歳以上の人口のうち80歳以上が10%超)」に突入した。現在、瀋陽市の60歳以上の高齢者人口は152万人で、戸籍人口比20・8%という数字は、全国に15ある「副省級行政区都市(省・自治区・直轄市等の省級行政区の次に副省級行政区がある)」の中で第4位である。高齢化は、市政府が直面している重要な民生面での課題である。 /// 続きは本誌ご参照
中国式養老の実践―上海民営養老コミュニティの事例6
奚志勇  親和源股份有限公司董事長
中国における養老施設の代表的経営モデルとして「民営養老コミュニティ」が挙げられるが、そのパイオニアとして知られ、会員制を特徴とするのが上海親和源(以下「親和源」)である。2008年に投資規模約6億人民元で創設された。親和源股份有限公司(奚志勇董事長)が投資主体・資産所有者である。同公司は05年3月に設立され、現代サービス業および老人関連産業を中心に、他の多元的な産業と連動して発展する大型民営企業である。中国が高齢化社会に踏み込んだところで、シルバー産業のビジネスチャンス到来をいち早く感知し、養老プロジェクトの企画に着手し、養老サービスの在り方を探求してすでに10年になる。中国のシルバー産業の先駆者として、介護サービスおよび養老コミュニティの開発と管理・運営に一貫して尽力してきた。専門化、標準化、集約化された現代的サービスを提供する養老サービス機構として、老人介護サービス業のハードとソフトの一体化により全く新しい高齢者の生活スタイルを創造し、時代の精神と社会の需要に合致した養老モデルの創造者、高齢者新生活サービス標準の制定者、市場の開拓者および高齢者福祉の実践者であることを目指している。 /// 続きは本誌ご参照
中国の高齢者介護サービス人材育成市場の現状と日系企業参入のポイント11
賈素平  大連交通大学人文社科学院教授
中国の60歳以上の高齢者人口は、2013年は約1億7600万人で全人口の13・26%であったが、予測では20年には2億4800万人となり、比率は21・3%に達する。50年には比率がさらに20ポイント増え、5億人前後になるとされる。中国はすでに高齢化社会に入っており、時間と共に高齢化が社会に与える影響は深刻化している。社会発展に伴って国民の経済レベルは上がっているが、高齢者の経済保障、ヘルスケア、メンタルケア等に関する需要も激増している。社会保障制度の普及が十分でないため、独居または夫婦のみの高齢者世帯の増加や親族の絶対数減少等の社会的要素が、増大し続ける高齢者福祉ニーズを満たすことをより困難にしている。 /// 続きは本誌ご参照
日本ヘルスケアREIT概観と中国高齢者向け不動産投資環境展望―制度比較、投資拡大と成長期待16
本江思帆  日本アジア投資株式会社投資企画グループ部長
「2億人超の『高齢者』を抱える中国」に「養老ブーム」が到来している。これに伴い、医療・介護施設等のヘルスケア施設の供給促進が求められている中、国が民間資金を有効活用するために不動産証券化手法の採用が急ピッチに検討されている。40兆円の中国シニア市場を巡り内外企業が商機をうかがい、経験者人材、コンサルテイングノウハウの獲得競争が始まっている。日本アジア投資株式会社は日本で30年以上、また中国においても20年以上の投資実績とファンド組成管理経験を活かし、現在中国では、QOL産業への投資を加速し、5月に中国瀋陽のリハビリ・介護施設へ投資を実施した。一方、日本でも、過去数十社のへルスケア関連企業に投資を実行し、多くの企業の株式上場を成功させた。それらの実績やノウハウを通じ、中国ヘルスケアREITにおける投資環境、収益モデルと課題について、実例を示しつつ検討し、併せて提案をしたい。 /// 続きは本誌ご参照
日本のリハビリテーション医学知識を中国で活用する意義について21
郭丹  学校法人植草学園大学保健医療学部理学療法学科準教授、保健医療博士、理学療法士
郭氏は北京出身で、来日して25年。1988年、JICAの無償資金協力で北京に建設された「中国リハビリテーション研究センター」の第一期リハビリテーション専門職研修コースに参加した際、訪中した日本のトップクラスの専門家である津山直一先生(国立身体障害者リハビリテーションセンター総長)のリハビリテーション理論およびその実践に関する講座を聞き、日本のリハビリテーション精神に魅了されたことが日本留学のきっかけとなった。92年4月に国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院理学療法学科に入学し、中国大陸出身者として初めて日本の国家認定資格である「理学療法士」を取得した。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年6月号(通巻257号)

スペシャルレポート
中国の環境ビジネス展望―今なにが問題なのか2
井村秀文  横浜市立大学特任教授、名古屋大学名誉教授
四半世紀にわたって高度経済成長を続けてきた中国だが、さすがに過熱と疲労の気配が見える。「新常態」と形容される新たな発展段階への軟着陸には、成長の鈍化に耐えつつ、産業構造の転換と資源・エネルギー消費の抑制を実現し、不十分だった環境保護対策を強化し、景気刺激策の結果発生した不動産バブル等の後遺症を克服しなければならない。ここで大きな役割を期待されるのが、汚染を大幅に改善し、循環経済・低炭素経済の実現を目指す環境ビジネスである。中国が、責任ある大国として、地球環境や国際平和に配慮した安定成長を目指すことになれば、日中間には環境ビジネスの大きな機会が期待できるだろう。だが、特異な政治・社会体制を維持する中国において、それは果たして可能であろうか。 /// 続きは本誌ご参照
日中新エネルギー車(充電インフラ)共同研究について8
中川恒彦  日産自動車株式会社グローバル技術渉外部
新エネルギー車(次世代自動車)が普及しつつある。中国も例外ではない。電気自動車普及のために様々な国家政策が発表されている。このような中で、経済産業省と国家発展改革委員会の間での日中課長級協議にて、中国側は電気自動車の充電インフラについて共同研究を提案してきた。これを受け、連携のしかた、具体的な内容について日中間で検討がなされ、2014年12月28日、第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラムにて共同研究の覚書が調印された。日中間で初の政府間協議のもとでの共同研究である。ここでは、背景、共同研究の概要、今後の展望などについて述べる。 /// 続きは本誌ご参照
日本の大気汚染対策技術の中国への適用14
島津浩通/加藤敦  三菱日立パワーシステムズ株式会社菲達菱立JV事業推進室副室長/三菱日立パワーシステムズ株式会社菲達菱立JV事業推進室上席主任
大気汚染問題に対応するために各国で排出規制値が制定されている。中国においても、特に煤塵の排出に関してより厳しくなってきており、規制に対応するための技術に焦点が当てられている。三菱日立パワーシステムズ株式会社(MHPS)は発電に伴い生じる有害物質、例えば、窒素酸化物、硫黄酸化物、煤塵やその他の微量物質を排ガスから除去する排煙処理設備AQCSについて多くの実績を有しており、世界をリードしている。MHPSは従来の実績や様々な知見をベースに、特に煤塵、三酸化硫黄の排出を抑制する最新鋭の排煙処理設備として、1990年代に高性能排煙処理システムの開発に着手し、97年に日本国内において初号機の運転を開始させている。以来、この高性能排煙処理システムは日本を中心に新設の石炭火力発電所に対する最適な設備として標準的に採用され、設置された設備はそれぞれ良好な運転を継続している。この高性能排煙処理技術の最大のメリットは高級材料を使用した特別な設備を必要としないという点であり、その卓越した性能は設備の配列を変更したことで得られたもので、コスト面にも優位な技術である。本論文ではこの高性能排煙処理システムの開発の経緯、システムの特徴や運転実績および中国への適用について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
煌めく星空を再び斉の国に―「山東・淄博日中大気汚染対策協力モデル区」に多くの日本企業の参加を!20
日中経済協会事業開発部
面積6000平方キロ、人口420万人。東京と埼玉を合わせた広さの市全域をモデル区として、汚染源企業に日本の省エネ・環境技術を導入し、大気汚染の改善につなげる・・・という試みが昨年から始まっている。特色は省・市政府一体となった強力なバックアップ体制と、日中経済協会との密接な連携にある。協会ではこの枠組みの活用を企業に呼びかけている。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年5月号(通巻256号)

スペシャルレポート   2015年全人代分析
中国経済政策を全人代政府報告から読み解く4
津上俊哉  津上工作室代表
3月5日から始まった第12期全国人民代表大会第3回会議では、久々に李克強総理が主役を務めて政府工作報告を行った。昨年12月の中央経済工作会議などの結果からみて「想定の範囲内」の内容だったが、以下何点かコメントしたい。 /// 続きは本誌ご参照
「法治」に小さいが堅実な一歩―中国の政治社会改革を全人代から読み解く10
朱建栄  東洋学園大学グローバル・コミュニケーション学部教授
3月に開かれた第12期全国人民代表大会第3回会議に関する諸外国メディアの関心はこれまで以上に高い。経済成長率の鈍化とその対策はもちろん注目の焦点だが、習近平主席の権力掌握、反腐敗闘争、「一帯一路」(陸と海の二つのシルクロード経済圏)構想などについても報道が集中した。ただ、外国メディアがほとんど伝えていない、いや伝えにくい全人代のホットな話題はもう一つある。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国新型都市化動向
内陸農村の都市化とは―四川省の事例14
加藤弘之  神戸大学大学院経済学研究科教授
都市化は、「中国の夢」を具現化するかけがえのない目標である。2030年までに順調に都市化が進めば、中国の都市人口は10億人を超えると予測されている。中国に出現する10億人の消費者は、衣食住の様々な側面で巨大な需要をつくりだすし、第三次産業の成長が新たな雇用を創出することも期待できる。都市化がもたらす豊かな可能性に注目して、ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者、ジョセフ・スティグリッツは次のように言明した。「21世紀の人類の発展にとってカギとなる二つの要素は、米国のイノベーションと中国の都市化である」。 /// 続きは本誌ご参照
中国スマートシティ建設の課題と日中ビジネスの新展望(2)―「日中スマートシティ交流会議in柏の葉」から19
十川美香  日中経済協会理事・企画調査部長
2015年の政府活動報告には、新型都市化が内需の最大の在り処とされ、スマートシティの発展が書き込まれた。日中スマートシティ・ビジネスモデルプロジェクトの醸成・実現にはいかなる可能性があるのか。今年1月の交流会議での中国側発言に示された日本企業とのビジネス協力への期待から、新たな展望を読み解く。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年4月号(通巻255号)

スペシャルレポート   2015年の国有企業改革
中国国有企業改革の課題と展望2
柯隆  株式会社富士通総研主席研究員
国有企業の過剰設備を削減するのは政府のトップダウンではなく、市場メカニズムによる必要がある。国有企業の経営幹部の腐敗を防ぐには、それに対するコーポレート・ガバナンスを強化することが重要である。それを実現するには、国有企業の所有制を改革し、その情報開示を促していかなければならない。 /// 続きは本誌ご参照
国有企業改革と対中ビジネスの行方7
江原規由  一般財団法人国際貿易投資研究所研究主幹
習近平指導部が国有企業改革に本腰を入れつつある。すでに、国有資産監督管理委員会が監督管理する国有企業6社を選定し、「四項改革」の名のもとに、各種改革を試行することになっている。国有企業改革は、改革開放以来、何度か行われてきてはいるが、今回実施されようとしている改革は、規模、大胆さにおいて、これまでにないものがある。改革開放の深化を国是として取り組む習近平指導部は、昨年は、反腐敗キャンペーンを大々的に実施し、初めて党政治局常務委員の不正を暴くなど、大胆な対応をとった。今年は、恐らく、国有企業改革が内外で大きく注目されることになろう。このことは、今年3月の両会(全人代、政協会議)の主要テーマの一つとなっていることからも明らかである。本稿では、国有資産監督管理委員会の『四項改革』の内容を中心に、近く公表される国有企業改革の実施方案となる『N+1』方案に焦点を当てる。 /// 続きは本誌ご参照
中国電力セクター改革の課題と展望12
渡辺搖  日中経済協会北京事務所電力室室長
中国の電気事業体制は、発電事業と送・配電事業とに分離されている。現在、電力の消費部門、供給部門、技術部門および管理体制について、徹底的な改革を実施するとしており、それぞれの取り組み状況等を簡単に紹介。とりわけ、管理体制において市場による電力価格決定メカニズムの構築という大きな改革に取り組んでいる。最後の結びとして、我が国の風力発電、太陽光発電による買取価格の高さにも言及する。 /// 続きは本誌ご参照
中国通信セクターの市場化・民営化と外資参入の可能性18
李天一  IIJグローバル・ソリューションズ(中国)、艾杰(上海)通信技術有限公司技術統括部部長
中国全国人民代表大会の開催に合わせ、国有企業における新たな構造改革への期待が空前に高まっている。通信セクターにまつわる改革も国有企業改革の一環として推進され、2014年では工業情報化部は過去にないスピードで市場化・民営化に関係する施策を打ち出していた。また、国有企業改革の先駆けとして注目されてきた上海自由貿易試験区においては、制限項目を示すネガティブリストがさらに縮小され、外資参入への一部規制まで緩和する動きも顕著に現れ始めた。しかし、一部分野における国有企業の影響力拡大と民営企業の影響力縮小現象を反面事例に改革の停滞を危惧する声も存在している。本篇では、中国国有企業改革のこれまでの経緯そして時代とともに変化する改革の手法へのリサーチを踏まえ、通信セクターにおける市場化・民営化ならびに外資参入の現状そして今後の方向性を探りたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年3月号(通巻254号)

スペシャルレポート   日中新世代人材交流の重要性
さくらサイエンスプラン花開く―アジアの若者との交流を目指して2
沖村憲樹  独立行政法人科学技術振興機構(JST)特別顧問、中国総合研究交流センター上席フェロー、日本・アジア青少年サイエンス交流事業推進室長
日中間には、相互依存・相互補完関係にあるビジネス活動をはじめとして、教育・科学、メディア、文化・芸術、スポーツ等永年にわたり築き上げてきた人材交流の太く、かつ多様なチャネルがある。本スペシャルレポートでは、日中の新世代、青年層をターゲットとして実施中の特色のある交流プログラムを紹介し、今後の人材交流の在り方について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
TLPのささやかだが、確実な一歩―東京大学の試みと南京との交流6
刈間文俊  東京大学大学院総合文化研究科教授
1月の末にささやかな式が、東京大学で行われた。トライリンガル・プログラム(TLP)の第一期生18人に、修了証が授与されたのだ。一学年に約3000人の学生を擁する大学にとって、18人というのはじつにささやかな数ではあるが、ここにひとつの未来への希望が託されている。 /// 続きは本誌ご参照
中国大学生《走近日企・感受日本》訪日団の新展開10
横山勝明  日中経済協会参与
2005年春の反日デモをきっかけとして、当時、北京の「中国日本商会」内では、社会貢献事業を強化すべきという機運が高まり、中国の未来を担う大学生に、日本に対する理解を深めてもらうことが、友好関係の構築にとって緊要であるという合意に達した。07年5月に、第1回中国大学生《走近日企・感受日本》訪日団が来訪、本事業が発足した。第1弾(07年春~12年春)は計10回を実施済み、第2弾(12年秋~15年春)は計6回を実施中で、今回の第15回(14年11月25日~12月2日)を含めると総勢466人の中国大学生が来日した。現行の事業内容は、北京地区の6大学から35人の大学生を選抜して日本に招聘し、会員企業への訪問(工場見学を含む)、関西・関東の2大学との交流、週末は1泊2日で会員企業の社員宅にホームステイを行うというものである。日程は8日間で、共催機関は中国日本友好協会。日中経済協会は協力機関であり、受け入れを担当する。筆者は今回から担当者として訪日団に初同行したので、まずはその手記をここに紹介して、所感を結語としたい。 /// 続きは本誌ご参照
「アジア次世代指導者奨学金プログラム」のビジョンと日本法人のミッション―「日中版フルブライト」を目指して14
植田賢司  一般社団法人日本百賢アジア研究院総務部長
若い世代の相互理解と交流を進め、将来の日中関係の架け橋となるリーダーを育成したいとの願いから香港の実業家ロナルド・チャオ氏が創設した「アジア次世代指導者奨学金プログラム」は、すでに2014年秋よりパイロットプログラムに基づく奨学生の受け入れ、送り出しを始めている。現状、中国からの留学生の日本への受け入れは順調に進んでいるが、反面、日本人学生の中国の大学への送り出しについてはまだこれからの状況である。日本において本奨学金プログラムの支援を行う日本百賢アジア研究院としては、日本の各大学と連携して日本人学生の送り出しを後押しし、日本人奨学生の数を増やしていくことが重要なミッションとなっている。各企業に対しては、今後、本プログラム奨学生のインターンや卒業後の就職などの面でのご支援を期待したい。 /// 続きは本誌ご参照

  2015年2月号(通巻253号)

スペシャルレポート   第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議6
伊藤智  日中経済協会事業開発部課長
開催が延期されていた第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラムが、12月28日、北京市で開催、日中双方の政府指導者、企業家ら500人が参加する盛大なものとなった。全体会議においては主催者挨拶、講演に加えスペシャルゲストとして天野浩名古屋大学大学院教授(ノーベル物理学賞受賞者)、王毅中国科学院政策研究所長が特別講演を行ったほか、前日夕方に行われた調印式に続き、日中の省エネ・環境に関する協力調印プロジェクトの文書交換式が行われ、合計41案件が披露された。今回発表分を含め過去フォーラムにおける累計調印案件数は259件となった。午後には日中双方の関心事項につき、6テーマに分かれて分科会が実施され、実務的な交流が行われた。全体会議における各講演者の発言要旨は以下のとおり。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー管理システム・LED分科会:省エネルギーの推進におけるエネルギー管理システム・LEDの現状と展望10
宮田楊一  日中経済協会事業開発部
2014年12月28日午後、国家発展改革委員会においてエネルギーマネジメント管理システム・LED分科会が開催された。日中の官民からなる参加者は約60人に達し、同分野における両国の政策・産業の現状と展望について、情報共有と意見交換を行った。概要は以下の通りである。 /// 続きは本誌ご参照
石炭火力発電(クリーンコールテクノロジー)分科会:中国の石炭火力発電分野における最新法規、政策動向と日本企業のビジネス参入可能性について12
太田圭  日中経済協会総務部主任
石炭火力発電(クリーン・コール・テクノロジー)分科会は、今回もフォーラムの分科会の一つとして開催された。エネルギー消費量世界第1位の中国では、エネルギー生産構成における約7割が石炭由来の火力発電に依存しており、目覚しい経済発展、都市化、工業化を背景に、エネルギー消費量、二酸化炭素排出量が軒並み増加しており、その抑制のための省エネ・環境対策が急務となっている。 /// 続きは本誌ご参照
大気汚染対策分科会:国・自治体・企業の連携が鍵―大気汚染改善に向けて日中の協力をどう活かせるか14
杜本水萌  日中経済協会事業開発部
中国は近年、工業化、都市化、急速な経済成長に伴い、エネルギーの大量消費および自動車保有量が急増し、深刻な大気汚染を招き、その対策は目下最重要課題の1つとなっている。これを受けて今回のフォーラムで初めて分科会が設置され、日中双方から政府、企業、自治体の視点から意見交換が行われた。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会:循環型社会形成のための課題と日中協力16
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
本分科会では、日中両国政府がそれぞれの循環経済分野に関わる法体系・政策の整備状況と次のステップ、日中協力の現状等を紹介したほか、繊維製品および自動車のリサイクル事業について、両国企業から取り組みの事例と直面する課題が示された。 /// 続きは本誌ご参照
次世代自動車分科会:次世代車(省エネ・新エネ車)の普及促進に向けて18
金子涼恵  日中経済協会企画調査部主任
自動車分科会は、2006年の第1回フォーラムの時から毎年分科会を開催し交流を続けている。今年の本分科会では、次世代自動車分科会という名称で、次世代車(省エネ・新エネ車)に関する動向をテーマとして日中両国の政府・企業・研究所各々の立場から紹介を行い、意見交換を行った。 /// 続きは本誌ご参照
長期貿易(LT)分科会:自動車リサイクルや汚泥処理分野での協力具体化20
澤津直也  企画調査部主査
LT分科会は、両国の長期貿易協議委員会の省エネ等技術交流促進部会(双方事務局は日中経済協会および商務部対外貿易司に設置)の共催により、本フォーラムを舞台に第1回以来毎回欠かさず開催してきた定期交流である。第8回目となる今次交流には日本側35人、中国側55人の計90人が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー・環境分野における日中間の協力案件(41件)22
日中経済協会
馬鈴薯澱粉残渣からのバイオエタノール製造実証事業ほか /// 続きは本誌ご参照

  2015年1月号(通巻252号)

スペシャルレポート   2015年の中国経済社会展望
日中首脳会談後の日中関係2
宮本雄二  宮本アジア研究所代表、元駐中国大使
昨年11月10日に約2年半ぶりの日中首脳会談が実現したことにより、日中関係は交流回復の兆しが見えてきた。本稿は、首脳会談はなぜ実現できたのか、そして今後の日中関係はどうあるべきかについて論じたものである。 /// 続きは本誌ご参照
2015年の中国経済展望―国有企業改革のゆくえ6
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
2008年以来の投資主導の成長路線は、14年5月頃から不動産価格が急落したことで行き詰まった。一方で、14万社前後もある国有企業を改革することによって効率向上が実現できれば膨大な成長の潜在力を解き放つことができるかもしれない。実際、14年を通じて中央の巨大国有企業から地方国有企業に至るまで様々な国有企業から改革案の提示が相次いだ。15年は改革の推進勢力と抵抗勢力のせめぎ合いのなかで、国有企業への民間資本の導入や、民間企業の活動分野の拡大が徐々に進むだろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国の住宅市場の現状と展望10
安田明宏  三井住友トラスト基礎研究所海外市場調査部副主任研究員
2012年の後半から過熱した中国の住宅市場は、14年に入ると早くも調整局面を迎えた。全国的に住宅価格の下落が始まると同時に、地方都市を中心に在庫の積み上がりが問題視されるようになり、6月以降、緩和策が相次いで打ち出された。中国の住宅市場の変化は非常に速い。9月には住宅ローンの緩和、11月には利下げが発表され、市場に明るい兆しが見られるようになった。一連の諸策が住宅市場の本格的な回復につながるかどうかは、15年以降に持ち越す形となりそうだ。現在、中国は、経済成長優先から構造改革優先へ転換しようとしている。将来的には、住宅市場にも、構造改革の波が押し寄せることになるだろう。15年は構造改革優先への移行の初期段階として位置づけられ、当面は市場化に向けた施策と従来のテコ入れ・引き締め策が併存する状況が続くとみられる。 /// 続きは本誌ご参照
東アジア地域経済統合はどうなるのか―北京APEC後の展望14
石川幸一  亜細亜大学アジア研究所教授
北京APECの東アジア地域経済統合についての最大の成果は、FTAAP(アジア太平洋FTA)実現に向けた北京ロードマップの合意である。TPPを牽制して中国がFTAAP実現に主導権を取っていくと報じられている。APECでは、ASEAN+3、ASEAN+6とTPPがFTAAPへの道筋であると位置づけてきた。ASEAN+3とASEAN+6はRCEPに統合されたため、TPPとRCEPがFTAAPへの道筋となってきた。北京APECでは、FTAAPに向けて中国主導の第3の道筋が浮上したのだろうか。本稿では、この問いに答えるために北京ロードマップの内容および今までの交渉の経緯からFTAAPの現状と展望について検討をしている。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年12月号(通巻251号)

スペシャルレポート   依法治国と対中投資法務
中国投資のための戦略法務2
射手矢好雄  森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士
中国投資を戦略的に考えるべき時期がきた。中国は世界の工場から、世界の市場へと変貌を遂げつつある。このような中国を外資としてどう利用するかの視点が必要である。中国で物を販売することの規制は少なくなったが、サービス業についての規制は多い。いかに合法的にサービス業を展開するかの仕組みを考えなければならない。もう一つの視点は、中国が外資をどう利用したいか、どのような外資を誘致したいかである。中国では経済発展に伴い、深刻な環境汚染が社会問題になっている。環境問題を解決するような投資が外資に求められており、外資としては大きなビジネスチャンスである。 /// 続きは本誌ご参照
中国における紛争対応―紛争解決および消費者対応等に関する近時の動向6
石本茂彦  森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士
司法改革は中国においても喫緊の課題の一つである。ただそのあり方は日本などと異なり、あくまで「上からの管理」を中心としたものである。また、外国企業による中国の裁判に対する不信感も簡単には拭えない。他方、仲裁についてもCIETAC分裂騒動の記憶も新しく、信頼性に不安が残る。訴訟と仲裁のどちらがよいかはいまだに難しい問題である。一方、消費者との関係では消費者権益保護法が改正され、企業としては懲罰的賠償や消費者協会による訴訟などの新たな問題に対処する必要に迫られている。 /// 続きは本誌ご参照
中国における知的財産の活用と保護、最新の傾向10
小野寺良文  森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士
中国では、プロパテント政策を推進しており、知財の出願数、侵害訴訟の件数は急増している。また2014年8月31日、北京、上海、広州に知識産権法院の設立に関する決定が公布され、北京、上海および広州に知財訴訟を専門的に扱う知識産権法院を設立することが決定された。そしてまず11月6日に北京知識産権法院が設立された。同時に知財関連法の改正・整備も進んでいる。本稿では、これらの最新動向を概観し、留意点について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
競争法分野における取り締まり強化―独占禁止法と不正競争防止法14
熊琳  北京市大地律師事務所中国弁護士
2014年ほど独占禁止法や不正競争防止法といった競争分野における取り締まりが目立った年はない。この背景には何があり、今後もこの流れは続くのか。日系企業がとるべき対策はどのようなものか。また、競争分野における取り締まりの強化は、もともと法令遵守の意識が高い日系企業にとっては、チャンスと言える部分がある。それらのポイントを解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年11月号(通巻250号)

スペシャルレポート   日中相互信頼回復と市場機能重視改革への期待―2014年度日中経済協会訪中代表団
2014年度日中経済協会訪中代表団に参加して2
岡本巖  日中経済協会理事長
第40回日中経済協会訪中代表団は、9月22~25日昼まで北京、25日午後~27日まで山東省を訪問した。団長:張富士夫日中経済協会会長、最高顧問:榊原定征経団連会長、特別顧問:今井敬経団連名誉会長など、日本経済界のリーダーが多数参加された。 /// 続きは本誌ご参照
汪洋国務院副総理との会見4
日中経済協会
汪洋副総理:今回の代表団は本当に大規模ですね。尊敬する張富士夫団長、尊敬する榊原定征最高顧問、ならびに代表団の皆さま、こうして張先生と再びお会いすることができまして、とても嬉しく思います。またこの機会をお借りしまして、榊原先生が経団連会長にご就任されましたことに、心より祝意を表したいと思います。この度、お二人の先生が代表団を率いて訪中されたことに対して歓迎の意を表したいと思います。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議:中速成長持続への展望と課題―改革の進捗状況10
日中経済協会
中国経済は下振れのリスクにさらされるようになったが、基本姿勢を維持し、積極的に行動に乗り出している――朱之鑫国家発展改革委員会副主任は、成長鈍化の現状について率直に認めつつも、改革を全面的に深化させることによって、経済発展、構造調整、民生改善に尽力し、経済・社会全体の安定を維持するとの自信を示した。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議:地域経済連携の促進と日中ビジネス協力の深化12
日中経済協会
経済の後退により、両国の協力チャンスを逸することも目にしたくない――商務部の高虎城部長は、日本の対中投資の減少傾向に憂慮を示すとともに、日本経済界の影響力により、日中関係の改善と発展が促進されることに期待感を示した。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議:産業構造の高度化と日中協力14
日中経済協会
朱宏任総工程師は、中国経済の中でもとりわけ工業・通信業の持続的かつ健全な発展に対する自信を示すと共に、日中両国は相互依存しており、高いレベルで補う関係にあり、協力のポテンシャルも大きく、日中双方が協力関係を築くための有利な環境を作り、障害を克服し、共通認識を求め、共に挑戦して発展を図っていくべきであると述べた。 /// 続きは本誌ご参照
地方訪問:改革・開放のトップランナー・山東省との交流16
日中経済協会
北京に続いて9月25~27日、坂根正弘・日中経済協会副会長・コマツ相談役を団長とする一行65人が山東省を訪れ、短い期間に(1)郭樹清省長との会見、(2)山東省政府とのハイレベル会議、(3)淄博市ならびに(4)青島市政府との交流を実施。これらを通して、中国の中速成長を支える「改革」実行のトップランナー・山東省の強い熱意を実感した。 /// 続きは本誌ご参照
中国企業家とのビジネス交流と視察―M&Aと環境をテーマに18
日中経済協会
今回の日中経済協会訪中代表団では、従来と異なる新たな試みが行われた。それはM&Aと環境をテーマとした「中国企業家とのビジネス交流」であり、北京到着当日(22日)午後の長富宮飯店での交流会と24日午前の関係視察からなる。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第11回)提言書:日中相互信頼への回帰を望む―市場機能重視改革への期待と共に19
日中経済協会
今次訪中代表団の派遣に際し、日中経済協会の諮問機関である21世紀日中関係展望委員会(委員長:福川伸次地球産業文化研究所顧問/元通商産業事務次官)は、第11回目となる提言書を発表した。本提言書は、張富士夫団長より汪洋国務院副総理に手交したほか、中国政府指導層、政府関係者、各界関係者に幅広く配布した。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年10月号(通巻249号)

スペシャルレポート   中国の農業近代化とアグリビジネス
中国の食糧安全保障と戦略的農業への展望2
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
20年ほど前、中国の経済成長は世界を飢えさせる、という中国の食糧脅威論が喧伝され大きな関心が惹起された。その内容としては、人口増加や消費構造の高度化に伴う食糧需要が拡大する一方、農地転用、水不足が進行し食糧の生産能力が大幅に低下する。国内の需給ギャップを埋めるために、中国は高度成長で稼いだ外貨を用いて、国際市場から食糧を買いあさるだろう。巨大すぎる中国の登場で、世界規模の食糧危機が避けられないという主張である。それ以来中国では、人口は13億6000万人増え、国民の消費構造が高度化しつつある。食糧の需要拡大は紛れのない事実だが、食糧生産も増大し続け、95%前後の食糧自給率が維持されている。背景に農地の転用規制、食糧農家への政策支援、農業技術の進歩、農業の構造調整がある。経済のグローバリゼーションを受けて、中国は、生産効率の悪い大豆等の大量輸入を続けそうだが、予想外の災厄が起きない限り、今まで通りの食糧自給率を達成できるだろう。生産能力の維持拡大が期待できそうだけでなく、人口増の減速、都市化・高齢化のため食糧の需要拡大が限られていることが主な原因である。 /// 続きは本誌ご参照
中国穀物生産の近代化と適正規模の家族経営6
阮蔚  農林中金総合研究所主席研究員
中国が食糧調達で大きな転換期を迎えている。経済水準の向上に伴って食糧需要が確実に増大する一方、国内生産における農地と水の制約に加え、農村、農民をめぐる経済環境も劇的に変化しているからだ。これを受け、中国政府は2013年末に食糧輸入の積極的活用とコメ、小麦という主食穀物の絶対的自給を柱とする食糧安全保障戦略の大きな転換に踏み切った。食糧完全自給は、もはや不可能という現実的判断と中国経済がグローバリゼーションに組み込まれたという状況を受けたものだが、この次には主食穀物の国際競争力の維持、そのための農家の経営規模の拡大など国内農業改革という大きな課題が控えている。依然として巨大な農業労働力を抱えている中国は、主食穀物の自給維持のための農業近代化を達成できるのか。その条件は何か。本稿では中国農業の21世紀的課題を考えてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の農業近代化に貢献―双日の黒龍江省との取り組み10
中田龍彦  双日株式会社食料・アグリビジネス本部食料事業部食品事業課アドバイザー
双日の中国食料関係事業と言えば、北京市における日本企業初の総合食品卸売事業「北京三元双日食品物流有限公司」や天津でのミックス粉事業、数々の食品加工事業などがあるが、本稿は農業にスポットを当て、中国最大の農業省である黒龍江省での継続的な取り組みを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の農業近代化とビジネス展開上の課題と展望―植物工場システムの普及に向けて16
中井壯元  無錫菱陽生態農業設施科技有限公司董事総経理
中国の農業近代化は国の重要施策となっているが、生産者側の農業技術はまだ発展途上の段階にある。一方、経済成長とともに国民の健康志向が年々高まる中で、食の安全に関わる問題が後を絶たない状況が続いており、「安心・安全」な食品を求める消費者の声は日増しに強くなりつつある。三菱樹脂アグリドリーム株式会社とチャイナコープ社の子会社である無錫三陽社は、2011年から植物工場野菜の市場性調査を進めてきたが、その結果、中国においても無農薬野菜に対する消費者ニーズがあり、また、生産者の事業採算も十分確保できると判断したことから、中国での植物工場システムの販売拠点となる合弁会社、無錫菱陽生態農業設施科技有限公司を設立し、14年7月より事業を開始した。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年9月号(通巻248号)

スペシャルレポート
13・5計画に向けたマクロ経済運営2
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
第13次五カ年計画(2016~20年)では、経済を高成長から中成長に安定的に移行させるため、経済発展方式の転換・経済構造調整の推進がより重視されることになる。そのカギは、イノベーション駆動による発展である。また、最終年度は小康社会を全面的に実現するとともに、改革で決定的な成果を挙げなければならないとされている。改革の全面深化は全面的な小康社会の実現に不可欠である。経済体制改革の面では、規制緩和、民間活力の活用、混合所有制経済の発展、中央と地方の財源配分の見直し、金融の自由化・国際化が進展しよう。さらに、マクロ・コントロールの面では、これまでの成長率重視から雇用・個人所得の伸び、省エネ・環境などの目標が重視されるようになると考えられる。 /// 続きは本誌ご参照
中国企業の躍進―EC市場と物流戦略の現状と課題6
謝憲文  名城大学経営学部教授
中国EC(電子商取引)市場の急拡大は続いており、今年第1四半期の取引総額は前年同期比27.6%増の4,564億元に達した。3年連続で減速しているリアル小売業の不振とは対照的に、ネット通販企業は急成長の一途を辿っている。本稿では、中国EC市場の全体像を概観し、特にモバイルEC市場の急拡大とその背景を考察すると同時に、EC市場の成長を支えている宅配業の躍進ぶりをEC企業の物流戦略との関連において紹介し、EC企業と物流企業の直面する課題を取り上げて分析する。 /// 続きは本誌ご参照
中国のエネルギー・鉱物資源産業・政策の課題と展望10
篠田邦彦  日中経済協会北京事務所長(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構前北京事務所長)
習近平政権が、中国国内の経済改革をどのように進めていくのか、その中で国内や海外でのエネルギー・鉱物資源の探査・開発・生産に向けた政策をどう進めていくのか、本稿では、こうした疑問に答えるべく、同国の直面する情勢変化、エネルギー・鉱物資源産業・政策の動向、我が国としての関与のあり方について触れていきたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年8月号(通巻247号)

スペシャルレポート   山東省モデルを読む―地域経済の発展と改革
山東省への誘い2
生田章一  日中経済協会専務理事
皆さんは、この人口9700万人、中国のGDPの10%を占める山東省という地名をきいて、はじめに何を連想されるでしょうか?「自分は『思想』というものに一家言を持っている」、と思っておられる御仁にとって、山東省は一度は足を運んでみたい地域でしょう。なにしろ、孔子、孟子、墨子、荘子、孫子など、後世に大きな影響を与えた思想家の多くは、この山東省から輩出されているのです。 /// 続きは本誌ご参照
東レの青島での新型ビジネスモデル構築と今後の課題4
橋本和司  東レ株式会社専務取締役兼東麗(中国)投資有限公司董事長・総経理
東レの本格的な中国事業進出は1993年の江蘇省・南通経済技術開発区でのポリエステルの原糸~織布・染色一貫事業からである。青島では民営企業の青島即発集団と「繊維」および「透析機器・ダイアライザー」の株式会社形態による東レ主導の合弁事業を行っている。今後の中国ビジネスは、経済面の重点国策を正確に把握し、産業の高度化、省エネ・環境、ライフサイエンスに着目してビジネスチャンスを的確にとらえ、高付加価値品の内需向け販売によるビジネスを拡大していくことが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
山東省ハイエンド製造業の現状―コマツ:小松山推建機公司の取り組みの紹介8
佐藤武洋/山本嗣範  株式会社小松製作所中国総代表室室長/小松山推建機公司経営顧問
山東省においても経済発展方式の転換と産業構造の高度化が志向されるなか、これらの中心となる戦略的新興産業の育成は急務となっている。こうした戦略的新興産業の一つである「ハイエンド製造業」、「山東省」、「日系企業」といった要素のすべてを先導しているコマツのモデル的取り組みについて、同社中国進出の経緯から昨年のデミング賞受賞の栄誉に至るまでの全過程を振り返って紹介いただいた(編)。 /// 続きは本誌ご参照
山東省での農業ビジネス展開―朝日緑源事業(農業、乳業)を事例に12
大西隆宏  アサヒグループホールディングス株式会社アグリ事業部門ゼネラルマネジャー
当社は山東省莱陽市に、酪農や野菜栽培を行う直営農場・山東朝日緑源農業高新技術と、牛乳の加工販売を手がける山東朝日緑源乳業(以下、朝日緑源乳業)を経営している。当事業は中国の抱える農業問題の解決の一助となることを目指し、「循環型農業モデル」の確立に取り組んでいる。酪農の牛糞を発酵させ堆肥として使い、改良した土壌でできた農作物を牛が食べる、この一連のサイクルを回しながら持続可能な農業を目指している。また、農場で栽培された生鮮野菜や、酪農で採れた原乳を100%使用した牛乳の生産・販売を通じて、中国における食生活の向上に貢献したいと考えている。循環型農業モデルの実現には時間がかかるため、設立9年目を迎え、環境に配慮しながら地道な取り組みを続けている。 /// 続きは本誌ご参照
山東省からビジット・ジャパン!―ジャパン・クォリティで顧客獲得を目指す全日空16
廣田至夫  全日本空輸株式会社青島支店長
2013年、訪日旅行者数は史上初めて1000万人を突破し、観光立国に向けた機運は地方自治体も巻き込んで高まってきている。国籍別訪日旅行者数では、韓国が全体の4分の1を占め、次いで台湾がそれに迫る勢いで大きく伸びているものの、中国からの旅行者数は前年を割り込んでしまった。しかし、日中間の関係改善が進まないなかであっても、市場には前向きな風が吹いている。現地の様子と航空会社としての取り組みを、現地からリポートする。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年7月号(通巻246号)

スペシャルレポート   中国ヘルスケア産業振興とビジネスチャンス
中国における医療・介護サービス市場とICT活用の可能性2
川森茂樹  株式会社NTTデータ公共システム事業本部ヘルスケア事業部課長
中国の社会的課題をあらわす言葉として「看病難・看病貴」「健康管理難」「養老難」がある。いずれも世界で最も高齢化が進んだ日本の経験とノウハウを活かせる課題であり、日本は、60歳以上人口2億人超、高血圧患者2億人、糖尿病患者1億人の顧客が待つ「巨大市場」のすぐ隣に位置する。ただし、日本と中国は似ているようで社会・文化的な違いは大きい。中国から日本の経験とノウハウを注ぎこんだ「高品質なサービス」を求められつつも、そのままでは受け入れられないであろう。本稿では、日本企業にとってのビジネス機会とアプローチ方法を分析・提案する。 /// 続きは本誌ご参照
中国における再生医療実用化プロジェクトの現状と今後の展望6
浅沼良晴/畠賢一郎  株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)事業開発室/同事業開発室室長
「安全で安心な高度医療やきめ細かな医療サービス」。近年、中国ではこうした医療に対するニーズが加速的に拡大している。これまで日本国内のみで提供されてきた高度な医療やサービスが、これらのニーズに応えられる大きな可能性を秘めている。本稿では、筆者らが長きにわたって日本で手掛けてきた『再生医療』を中国で実用化させるための取り組みの一部をご紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
亀田先進医療・健診システム―丸ごと輸出プロジェクトの現状と今後の展望10
呉海松  医療法人鉄蕉会中国事業統括室長
医療国際化の一環として、医療輸出の議論が盛んになってきている。医療法人鉄蕉会亀田隆明理事長は2011年の経済産業省産業構造審議会基本政策部会において、日本の医療を輸出産業にしていくべきであるとの政策提言を行った。今回紹介する内容は、医療法人鉄蕉会が中国青島市に乳腺疾患治療センターおよび健診センターを建設するプロジェクトである。今の中国の医療市場は、日本にとって医療サービス輸出の試金石となり得る大きなマーケットの一つであると考えている。 /// 続きは本誌ご参照
中国シルバー事業進出Win-Winスキーム検討―リハビリ医療と介護の統合、市場細分化による専門的サービス提供の提案14
本江思帆  日本アジア投資株式会社投資グループ部長
「2億人の高齢者を抱える中国」に数十兆円の商機を見出し、数年前から現地に進出し日々悪戦苦闘する日本の介護事業者。しかし、彼らが直面しているのは、想像を絶する産みの苦しみと困難の連続だった。当社は、30社以上のヘルスケア関連企業に投資実行し、うち6社の株式上場を成功させた実績がある。これらを基に、リハビリ・医療・介護が展開されている日中各50カ所以上の様々な施設で、筆者が実際に、資格研修・ボランティア活動・事業へのヒアリングを実施した経験を踏まえ、本レポートを取りまとめた。日本の介護事業者が、介護保険制度のない中国大陸で、福祉先進国・地域の欧米諸国や台湾、韓国、さらに本土事業者との過酷な競争に生き残るために、日本の「気配り」文化や高い品質を活用して、いかに適切なパートナーを選択し、利用者指向の収益ビジネスモデルを構築するか。実例と提案を通じて、一緒に検討したい。 /// 続きは本誌ご参照
ポリオ撲滅から見る日中医療協力のアセット18
岡田実  拓殖大学国際学部教授
2014年は、日清戦争120周年という節目の年にあたることから、「戦争の歴史」が語られる機会が多いが、実は対中政府開発援助(ODA)開始から35周年の節目の年でもある。1979年12月、訪中した大平正芳総理は、中国の近代化建設を支援するため、ODAの供与を正式に表明した。本稿は、これ以降の日中の「協力の歴史」にスポットを当てるものである。筆者は長年対中ODAに携わってきた。今回のスペシャルレポート「中国ヘルスケア産業振興」に貢献できるとすれば、保健医療分野で中国とのビジネスチャンスに関心をお持ちの読者に「協力の歴史」の一端をお伝えし、「中国ヘルスケア産業振興」に示唆するところを汲み取っていただくことであろう。以下、まずポリオ撲滅を事例に、中国の公衆衛生の実態と協力事業の展開について概述し、それを踏まえて、日中医療協力の「アセット」活用について若干の私見を述べたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年6月号(通巻245号)

スペシャルレポート   都市・農村一体化改革
都市・農村一体化改革の新展開4
杜進  拓殖大学国際学部教授
経済発展に伴って顕著になった中国の「三農」問題は、その本質から言えば、産業間(農業と非農業)、地域間(農村と都市)、住民間(農民と都市住民)の相対的格差の問題にほかならない。かつての日本やその他の先進国においてもこれらの格差が存在していたが、大きな経済的、社会的問題にはならなかった。その主な理由は、生産要素が産業間や地域間で自由に流動することができ、すべての国民が同じ権利を有し、同等の公共サービスが受けられるからである。中国の新指導部が打ち出した「新型都市化」は、制度改革を通じて生産要素の流動性を高め、農民工の市民化と農民への公共サービスの強化を狙う政策である。これは、三農問題を解決するための重要なステップと見ることができよう。 /// 続きは本誌ご参照
都市・農村一体化改革と土地制度改革のゆくえ8
梶谷懐  神戸大学大学院経済学研究科教授
習近平政権は、2013年11月に開催された中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議において社会・経済の様々な分野でかなり踏み込んだ改革の方針を示した。土地制度改革は中でも重要な項目の一つである。中国では、土地制度改革と行財政改革が不可分に絡み合っている。特に地方政府の実質的な債務の拡大を食い止め、ガバナンスを強化するためには、その財源を土地使用権の売却収入に依存するという現状を改善することが必要になる。その成否を握る不動産税の導入や、農民の土地などに対する財産権強化に向けた改革の行方を見守っていく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
戸籍制度改革の「いま」―広がる緩和・撤廃の動き、難色示す地方政府も12
李青雅  独立行政法人労働政策研究・研修機構総合政策部門アシスタントフェロー
中国では、景気が減速し、対外輸出の伸びも鈍化するなか、都市化による内需拡大は投資に代わる次の成長エンジンとなるか否かは、戸籍制度改革がその鍵となる。長い間、人口移動、労働移動を制限してきた戸籍制度を撤廃・緩和する動きはいま全国各地で本格化している。都市・農村に分かれた戸籍の統一や現地の公共サービスが享受できる居民証制度、地元戸籍を獲得するためのポイント制などを導入する地域も増えており、2010年から12年までの3年間、2,505万人の農民工とその家族が新たに都市戸籍を取得し、いわゆる「市民権」を手に入れた。一方、戸籍制度改革の度合いは地域により差が見られ、北京市や上海市などの地方政府は、教育・医療・住宅など公共投資の負担増を懸念し、戸籍制度の撤廃・緩和に難色を示している。本稿では中国独特の戸籍制度の「いま」を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
新型都市化―「中国都市化ハイレベル国際フォーラム」から探る政策的含意16
澤津直也  日中経済協会企画調査部主査
中国では現在、「新型都市化」というキーワードが盛んに俎上に載っている。一般に都市化(Urbanization)といえば、都市への人口集中という社会現象が想起されるが、中国では「都市化こそが内需拡大の最大の原動力である」と位置づけられるように、社会問題解決と表裏一体をなす経済戦略としても内外から注目を集めている。こうした背景の下、中国経済構造改革ともあいまって2020年に向けたマスタープラン「国家新型都市化計画」が3月に発表されるなど政策面も着々と整備されつつある。本稿は、日中経済協会が参加した「2014年中国都市化ハイレベル国際フォーラム(中国城鎮化高層国際論壇)」の情報をとりまとめ、主テーマである政府と市場の役割を考察するとともに、フォーラムから得られた政策的含意から日中都市化協力に向けた展望等を検討するものである。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年5月号(通巻244号)

スペシャルレポート   中国金融改革
進む為替レート・金利・資本移動の自由化―金融開国に向けて8
関志雄  株式会社野村資本市場研究所シニアフェロー
中国は、金融開国に向けて、「人民元の変動相場制への移行」、「金利の自由化」、「資本取引の自由化」からなる三位一体改革を進めている。2005年7月にそれまでの事実上の「ドルペッグ」(ドル連動制)から「管理変動相場制」へ移行し、原則として市場に介入しない完全変動相場制に向けた重要なステップを踏んだ。また、リーマン・ショック以降に一時中断された金利の自由化は、12年6月に、銀行を中心とする金融機関の預金金利と貸出金利の変動幅の拡大という形で再開された。さらに、中国人民銀行は資本取引の自由化について短期、中期、長期という三段階からなるロードマップを提示した。 /// 続きは本誌ご参照
中国(上海)自由貿易試験区が示す金融改革の将来像12
ジェームズ西島  三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司中国ビジネスソリューション室長
昨年9月に始動した中国(上海)自由貿易試験区では投資、貿易、金融、行政の改革が柱となっているが、中でも特に金融改革が注目されている。金融は経常、資本取引の形で貿易や投資の利便性に直接影響する一方、その制度改革には行政の監督管理手法の抜本的な見直しが必須となるため、改革全体の牽引役ともいえる役割を担っている。中国政府は2020年までに上海を国際金融センターに育成する戦略を明確化しており、さらに15年までに上海を人民元取引における国際センターとする目標も掲げられている中で、自貿試験区での具体的な金融改革が進みつつある。 /// 続きは本誌ご参照
金融システム市場化改革の行方―交錯する期待とリスク16
曽根康雄  日本大学経済学部教授
全人代と前後して中国の金融システム改革が始動している。今後1~2年で金利の市場化が実現するとの見通しが打ち出され、民営銀行5行の試行も発表された。その背景には、「影の銀行」やネット金融などで市場金利の空間が拡大していることがある。一方、市場化改革の進展に伴い、銀行経営に伴うリスクの自己負担が各銀行に課せられることになる。一般の預金者も、従来の「銀行神話」から脱却し資産運用上のリスク管理を行うことが求められるが、意識改革は容易ではない。国家の安全と社会の安定を維持するため、投機的資金(ホットマネー)の流出入を増大させる恐れのある資本自由化や人民元国際化などは国内の改革と歩調を合わせ適切なペースで進めるべきである。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年4月号(通巻243号)

スペシャルレポート   中国水市場―改革とビジネスの可能性
中国水関連事業の発展動向2
駱建華  中国全国工商聯環境服務業商会秘書長
2002年以来、中国政府の関連部・委員会は『都市の給水価格改革の更なる推進についての通達』をはじめ、一連の水関連事業改革に関する政策文書を打ち出して来た。これらの政策文書は中国水関連事業の市場化改革について、きわめて大きな指導的な意義を有するばかりでなく、水処理業界の市場化改革を直接加速させた。本稿は、中国の水関連事業の発展動向を解説する。 /// 続きは本誌ご参照
中国下水道事業の現在、過去、未来―2050年の下水道のコンセプトを視野に6
王洪臣  中国人民大学教授、環境学院副院長
日中経済協会は、2014年3月、中国人民大学環境学院副院長の王洪臣教授一行6人を招聘、日中間の省エネ・環境ビジネス推進の一環として、下水・汚泥処理分野において中国の政策決定、技術の評価・選択に影響力のある専門家による日本の下水・汚泥処理および湖沼浄化の視察・理解増進と、セミナーの開催等日本企業との交流を行った。本稿は、王教授が3月7日に東京で行った講演の内容を整理したものである。王洪臣教授は北京市排水集団に約20年在籍、総工程師(チーフエンジニア)を経て09年より中国人民大学環境学院に勤務。下水処理場の設計における中国の権威の一人といわれ、国の委託研究にも多く携わり、政策決定・技術評価に関与している。93年に2カ月間、日本に滞在、東京、大阪、横浜の下水処理場で研修に参加して以来の訪日とのこと。一行は3月3~8日に来日、熊本市の下水道事業、諏訪湖流域下水道と湖沼浄化について視察。セミナーでは特に、王教授を含む6人の専門家が立ち上げた「2050年に向けたコンセプト下水処理場」構想についての紹介が注目された。 /// 続きは本誌ご参照
中国の水ビジネス市場と日本企業の対応について10
汪兆康  メタウォーター株式会社海外事業部技術士(上下水道部門)
深刻な環境汚染に対応するため、中国政府は、4兆元規模の環境改善投資を用意し、中国がこれから世界一の環境市場となることは間違いない。中国水市場における日本企業の優位性、および日本企業が参入しやすい分野を分析し、いかなるアプローチで参入すべきかを論考する。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:独自の技術で安全かつ高効率な「省エネルギーソリューション」を提供12
横山詠一/杉原次郎  株式会社東芝コミュニティ・ソリューション社水・環境システム海外営業部海外営業第二担当グループ長/同主務
2004年、東芝は上下水道における水処理電気・監視制御システムの提供を事業の柱とする現地法人「広州東芝白雲自動化系統有限公司」(GTBE)を広東省に設立し、中国における水ビジネスを展開している。電機メーカーとして水事業に携わって約40年、電気設備、計装設備、監視制御設備をコアにしたシステムエンジニアリングで上下水道分野での実績を培い、日本のこの分野ではトップクラスのシェアを有している。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:BOT事業を通じた下水処理マーケットへの参入13
塩沢祥/武居俊樹  丸紅株式会社環境インフラプロジェクト部部長代理/同部長代理
当社が手掛ける水処理ビジネスは、水処理施設の建設を請け負うEPC事業、処理場の投資・建設・運営を行うBOT事業、水道ユーザーへの上水供給・料金回収から施設の拡張・改修投資等を含む水コンセッション事業(フルサービス事業)に大別されるが、中国ではBOT事業を中心に展開している。1990年代後半にヴェオリア社(フランス)と共同で成都第六浄水場BOT案件を受注した事が中国市場進出の契機となり、2009年には中国の民間下水処理企業「安徽国禎環保節能科技股份有限公司(安徽国禎)」に30%出資し、中国各地で下水処理BOT事業を展開する同社の経営に参画している。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:湖沼浄化、海水淡水化からのアプローチ15
藤波貢/笹原勉/安藤裕/岩瀬英明  日揮株式会社事業推進プロジェクト本部電力・水事業推進部部長代行/同営業本部中国・環境事業開発部部長代行/同第3プロジェクト本部新事業プロジェクト部/同営業本部中国・環境事業開発部マネージャー
当社の中国における水事業は湖沼浄化事業と海水淡水化事業があり、まず湖沼浄化事業について紹介する。2007年に中国太湖でアオコが大量発生し、翌年に小規模な浄化試験を実施した。09年に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「オゾン処理による中国湖沼浄化プロジェクト」として受諾、10年には、日中共同開発事業として、中国国家発展改革委員会(NDRC)とNEDOが覚書を締結し、昆明市滇池で大規模な実証試験を開始した。12年に試験事業が終了し、現在は商業化への本格取組が開始され、第一号案件を受注すべく活動している。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:水処理膜の中国展開―藍星グループとの合弁を通じて16
東レ株式会社水処理事業部門
中国では、高い経済成長に伴う工業化の進展により、水の使用量が急激に増加しています。同時に、都市部では人口増加により水需要が急増する一方、北部では干ばつの影響などにより、あらゆる場面で水の供給不足問題が起きています。こうした状況の中、各種の水源から水を浄化・造水する水処理技術の中で、高精度の水質制御と高速処理が可能な水処理膜を用いた海水淡水化や下廃水の再利用への需要が高まっています。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:深刻な排水問題に取り組む―海水淡水化と排水再利用事業17
堀川幸裕  日東電工(上海松江)有限公司分離膜営業本部本部長
当社では、ユーティリティー関連(造水および排水再利用)の用途が売上の過半数を占め、各官公庁関連の中~大型規模のプロジェクトが大半を占める。発電所における海水淡水化、鉄鋼業界および石炭化工業界における排水再利用が売上の大半を占め、最重要分野として位置づけられる。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:きれいな水を届けたい―膜設備による上水処理18
麻薙幸雄  旭化成ケミカルズ株式会社膜・水処理事業部マイクローザ営業部長
当社の膜ビジネスは約40年の歴史があり、水用途の膜はその後半20年を占める。水事業における本格的な中国進出は、2004年の上海駐在事務所設立からスタート。現在では、杭州に現地法人「旭化成分離膜装置(杭州)有限公司」を06年に設立し、膜モジュールの組立、販売、テクニカルサービスを行っている。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:RO膜による海水淡水化―安価でかつ安定して淡水を生み出す19
小山哲司  東洋紡エンジニアリング株式会社海外事業本部海外営業第2部長
東洋紡の海水淡水化用RO膜は認知度が高く、中国を含めたグローバル展開の中心となっている。2010年頃から、本格的中国で販促を開始し、ちょうど中国でも行政が海水淡水化に本格的に取り組もうという時期と重なった。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:工業汚水における排水回収処理21
小林達也  栗田工業(蘇州)水処理有限公司営業部経理
中国では社会の発展とともに各地の水不足および環境汚染が深刻となってきている。その中で当社は純水、排水、回収技術を駆使し、中国の工業汚水に対する排水回収に取り組み、水の回収とともに濃縮された排水の放流規制の順守という相矛盾するニーズに応えられるような提案を提供している。その実例をいくつか紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業のチャレンジと課題:独自の取水・処理技術による水不足緩和への取り組み22
林野  株式会社ナガオカ常務取締役エンジニアリング本部本部長
当社は地下水取水と関連する水処理技術を中心に水ビジネスを展開している。1990年代より日本国内の地下水市場で展開し、日本の水道設計指針に地下水取水の標準技術として確立された。それ以来、当社のスクリーンは国内の地下水取水市場で高いシェアを持ち、1000以上のプロジェクト実績を有する。飽和状態の国内市場ゆえ、当社は海外に活路を求める方針を確立。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年3月号(通巻242号)

スペシャルレポート   中国サービス産業振興
中国eコマースの現状と将来展望2
上田浩平  みずほ銀行(中国)有限公司中国営業開発部、みずほ銀行e-ビジネス営業部上海駐在調査役
旺盛な個人消費需要を背景に躍進を続ける中国eコマース市場(以下、EC市場)で圧倒的なシェアを誇るアリババ・グループ。当行は、広範な分野での業務協力を行うべく、2013年11月19日に同グループと業務協力覚書を締結した。本稿では、各種統計データおよびマーケットリーダーであるアリババ・グループのEC市場での取り組みを通して、中国EC市場における現状を分析するとともに、今後の将来展望について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
宅急便からトータルソリューションで中国物流を変える6
本間耕司/山中純  ヤマトロジスティクス株式会社執行役員社長補佐兼グローバル事業推進室長/ヤマトホールディングス株式会社グローバル事業戦略担当マネージャー
ヤマトホールディングスは、企業間物流から個人への宅急便配達まで、着実に中国での市場を獲得しつつ、変化する中国の物流業界に挑んでいる。独自のITインフラによる荷物の追跡、効率的で輸送品質を保つ積載技術と管理方法など、これからの中国に必要とされる物流ソリューションや中国物流事情を同社に聞いた。 /// 続きは本誌ご参照
プラットフォームによる中国IT市場進出10
堀池武史  東忠集団副総裁事業発展部総経理
10数年発展を続けている中国に対して、日本IT企業の関わり方も大きく変わってきている。以前は日本市場に向けて、コストダウンを主目的とした生産工場的な役割や、コールセンター、データセンターなどの事業アウトソースとしての役割を中国に求めてきた。最近では、特に中国沿岸地域の人件費の高騰や日本の円安傾向により、そのような役割から中国を市場として捉えた見方に大きく変わろうとしている。ただ、日本企業が中国市場を取り込む際には多くの困難が存在している。以降にその問題点とそれを実際に解決しているある会社の一つの解決方案を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
電子証明書によるネットワークセキュリティ対策と業務プロセスの継続的な改善―日中の拠点が連携して、安全かつ効率的に業務を遂行するために14
西中芳幸  インタセクト・コミュニケーションズ株式会社テクノロジーディレクター
急増するインターネット利用者を背景に、中国ではインターネットによる情報漏洩の被害などが多数発生し、中国国内の利用者だけでなく、中国へ進出する日本企業にとっても、ネットワークセキュリティなどは重要な課題である。本文は、中国における電子証明書やタイムスタンプなどの普及に触れながら、ネットセキュリティの実用例を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
拡大するシルバー産業―日本企業への期待18
葉健栄  株式会社国際マーケティングサービス代表取締役
急速に社会の高齢化が進む中国では、2013年末には60歳以上の人口が2億人を超え、2050年には総人口の30%を占める4.5億人に達する見込みである。民間資本の導入や多様な介護サービス体制の構築といった中国政府の方針により、海外企業が参入する可能性が広がっている。しかし、生産工場から世界で最も潜在力のある市場へと転向しつつある中国の市場開拓には、複雑な中国事情を理解することが不可欠である。本文は海外企業の可能性、リスク、役割等に焦点を当て、今後期待される中国高齢者介護分野の現状、課題と展望について分析する。 /// 続きは本誌ご参照
補論:期待される制度革新と規制緩和22
日中経済協会企画調査部
中国の2011~15年の第12次五カ年計画では、サービス産業を大幅に発展させることによって、投資および外需主導から内需による経済発展方式への転換が提起され、GDPにおける第三次産業の割合を10年の43%から15年に47%まで向上させることが予測性の主要指標に位置付けられた。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年2月号(通巻241号)

スペシャルレポート   2014年の中国経済産業展望
改革推進に舵切る習近平政権―既得権益切り込み鍵に2
北原基彦  公益社団法人日本経済研究センター中国研究室長兼主任研究員
中国共産党第18期第3回全体会議(3中全会)は2013年11月9~12日まで北京にて開催された。会議では、習近平政権の今後の政策方針をまとめた「改革の全面的深化における若干の重大問題に関する決定(」以下「決定」)が採択された。経済面では市場機能の強化、国有企業の改革、農民への財産権の付与など改革色の強い方針が打ち出された。本稿は、市場機能の強化、経済格差の是正などの具体的な改革の内容について、「決定」に沿って分析しつつ今後の政権の運営について論じたものである。 /// 続きは本誌ご参照
中国鉄鋼業の構造改革の行方―注目される過剰生産能力解消に向けた対応とその影響6
伊藤仁  一般社団法人日本鉄鋼連盟国際協力・調査本部海外調査グループ上席参事
中国における2013年の粗鋼生産は7億8000万トンを見込み、世界粗鋼生産の約半分を中国が占めるに至っている。鉄鋼業の過剰生産能力解消は喫緊の問題であり、中央政府は相次いで政策方針を打ち出した。本稿は、中国鉄鋼業の現状および過剰能力への政府対処方針内容を解説し、今後予想されるビジネス等への影響を含む注目すべき点にも触れながら、中国鉄鋼業の今後の動きを分析したものである。 /// 続きは本誌ご参照
中国鉄道改革の現況と展望10
大沼富昭  日中鉄道友好推進協議会理事・事務局長
中国鉄道部は2013年3月に解体し、行政部門は交通運輸部に、現業部門は中国鉄路総公司に移行した。総公司は、旧鉄道部の組織を包括的に承継し鉄道事業を行うこととなったが、8月に発表された「鉄道投融資、鉄道整備推進に関する国務院の見解」により具体的な業務遂行の方向付けが行われた。鉄道部改革の経緯を含め、中国鉄道改革の現況と今後について展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国電子産業におけるスマート化と標準化の攻防―スマートフォン市場を中心に13
近藤信一  岩手県立大学総合政策学部講師
中国市場におけるスマートフォンの出荷台数は、低価格端末を中心に、2015年には5億7000万台まで拡大すると予測されている。急拡大するスマートフォン市場において、今後は価格競争とともに標準化競争が加速しそうだ。また、工業信息化部が昨年12月に、4Gの通信規格「TD-LTE」(中国版LTE)の免許を、チャイナ・モバイル(中国移動)、チャイナ・テレコム(中国電信)、チャイナ・ユニコム(中国聯通)の3社に交付したことで、中国スマートフォン市場をめぐる国内外メーカーの今後の動向が注目される。 /// 続きは本誌ご参照
2013年度海外直接投資アンケート調査結果からみた我が国製造業の有望事業展開先国評価18
阿由葉真司  株式会社国際協力銀行業務企画室調査課長
2013年度海外直接投資アンケートの中期的な有望事業展開先国・地域では92年の質問開始以降、常に第1位であった中国が第4位となるなど順位が入れ替わり、上位4カ国(インドネシア、インド、タイ、中国)の得票率が4割前後で拮抗した。12年度調査で中国を有望とした企業のうち13年度調査で有望としなかった企業の懸念は「労働コスト上昇・労働力確保困難」である一方、引き続き有望とした企業はマーケットの規模・成長性を評価。中国に対する視点の違いが評価を二分する結果となったが、長期的(今後10年程度)な有望国では中国は第2位で引き続き主要な事業展開先国として認識されている。事業展開先国の選択肢が拡大したことが得票率の拮抗につながったと考えられ、これは事業リスク分散の観点から我が国製造業にとって好ましい傾向とも言える。 /// 続きは本誌ご参照

  2014年1月号(通巻240号)

スペシャルレポート   揺るぎない日中関係を目指して―2013年度日中経済協会訪中代表団
2013年度日中経済協会訪中代表団を振り返る2
岡本巖  日中経済協会理事長
2013年度の日中経済協会訪中代表団(団長:張富士夫会長)は、習近平新指導部の今後10年の経済社会政策の骨格を定める3中全会(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)が閉幕して1週間後の11月18日から21日まで北京を訪問した。訪中代表団は、汪洋副総理と会見したほか、国家発展改革委員会、商務部、工業信息化部の指導者等と率直な意見交換を行った。一連の会談を通じ、1)中国が3中全会で広範かつ野心的な改革アジェンダを決定したこと、2)その多くは今後の実行に待つものの、順調にいけば7%程度の持続可能な成長パターンへの転換可能性があること、3)そして今後の実行のためには中国内外の民間企業の活力の活用がこれまで以上に重要であり、先端技術を有し、省エネ・環境・介護医療など「課題先進国」日本との経済交流の回復・拡大について、日本側はもとより中国側にも強い意欲があることを再確認した。今次訪中代表団の秘書長として、派遣準備を含め総括的感想を概述したい。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―日中韓FTA推進とビジネス環境の改善4
日中経済協会
高虎城商務部部長は、省エネ・環境、スマートシティ、医療と介護などの分野における日中協力の深化を強調した。さらに、両国国民の友情関係と相互理解の増進、両国関係の早期改善と発展に期待を示した。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展改革委員会との全体会議―中国の持続可能成長と経済構造改革10
日中経済協会
改革開放なければ、死あるのみ――朱之鑫国家発展改革委員会副主任は、鄧小平氏の言葉を引用し、先の3中全会で採択された「改革の全面的な深化の若干の重大な問題に関する党中央の決定」の、政治、経済、文化、社会、環境を含むトータル改革への決意と自信を示した。60項目にも及ぶ決定の最たる重要課題は経済構造改革である。 /// 続きは本誌ご参照
工業信息化部との全体会議―産業構造の高度化とイノベーション12
日中経済協会
経済グローバル化の進展を「新たな工業革命」と評した蘇波工業信息化部副部長。産業構造の高度化が加速する中国経済に対し、相互依存・補完関係にある日本経済界も「新たな工業革命」の重要なステークホルダーである。本会議では、そうした認識が共有された。 /// 続きは本誌ご参照
唐家璇中日友好協会会長との会見―難局の中で変化の兆しに着目14
日中経済協会
唐家璇中日友好協会会長は会見冒頭、「先ほど汪洋副総理が中国政府を代表して皆さまと会見された。私の知る限り、李克強総理も実は元々皆さまに会う予定であったが、日程上の都合により、どうしても調整がつかず、皆さまにお会いすることができなかった。李総理も非常に残念だと思っており、今後、機会があればぜひ、米倉会長と張会長および代表団の諸先生がたにお目にかかりたいと考えている」と李克強総理の意向を伝えつつ、歓迎の意を示した。 /// 続きは本誌ご参照
地方視察資源依存型の経済から転換を図る山西省16
日中経済協会
北京に引き続いて11月21~24日、加瀬豊双日会長を団長とする一行34人が山西省(太原・大同)を訪れた。中国屈指の産炭地である山西省は、資源依存型から産業多角化による持続可能な経済への転換を図っている。王一新副省長との交流では、こうした山西省の最新の経済情勢やビジネス環境について紹介がなされた。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート
3中全会分析「決定」をどう評価するか18
遊川和郎  亜細亜大学アジア研究所教授
11月9~12日、中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が開催された。3中全会は指導部が発足してからちょうど1年後にあたり、人事が中心となる前2回の中央委員会とは異なり、その指導部の問題意識や中心課題が明確になるため元来注目度が高い。今回は経済が減速し社会矛盾が頻発する中、習近平主席指導部がどのような方向性を打ち出すのか注目された。会議では、「改革の全面的な深化における若干の重大問題に関する決定」が採択された。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年12月号(通巻239号)

スペシャルレポート   中国大気汚染対策最前線
中国の「大気汚染防止行動計画」と日中協力の展望2
胡涛  世界資源研究所シニアアソシエイト
近年、中国の大気汚染の状態は非常に深刻である。特に今年に入ってから、スモッグに覆われ、粒子状物質(PM10)、微小粒子状物質(PM2.5)という特徴的な汚染物質による地域性の大気環境問題が日を追うごとに深刻化しており、人民の健康を損ない、社会の調和と安定に影響を及ぼしている。本文は、中国政府が発表した『大気汚染防止行動計画』の重要ポイントに焦点を当て、今後期待される日中協力の分野について分析したものである。 /// 続きは本誌ご参照
北京市の大気汚染対策―大気改善設備技術交流ミッションの派遣を通じて8
宮田楊一  日中経済協会業務部
中国における大気汚染問題の改善を目的に、当会では今年9月および10月に、「大気改善設備技術交流ミッション」を中国に派遣した。大気ミッションでは、大気汚染を改善、克服する中で日本企業が生み出した技術や設備等を企業の担当者から、また、法規制等を自治体の担当者から中国側にプレゼンテーションをすることで、中国の大気汚染改善に資するビジネスマッチングを実現することが狙いである。本文は、本ミッションを通じた中国政府との交流に触れながら、北京市における大気汚染対策を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
天津市および河北省における大気汚染改善協力の可能性11
内藤英夫  北九州市環境局環境国際戦略室環境国際担当部長
今年10月、日中経済協会の「大気改善設備技術交流ミッション」に参加して、中国天津市と河北省石家荘市を訪問した。本寄稿は、訪問した都市の感想や、セミナーでの発表や中国の人々との交流をとおして、個人的に感じたことなどを取りまとめたものである。 /// 続きは本誌ご参照
山東省における大気汚染の現況と自治体間交流への期待14
中村修  福岡県環境部副理事兼環境保全課長
昨今の中国の大気汚染問題については、福岡は大陸に近いこともあり、県民の関心も高い。今回、「大気改善設備技術交流ミッション」の一員として訪中し、10月16日から17日にかけて山東省を訪問した。今回の訪問で感じた現地の状況等をお伝えしたい。 /// 続きは本誌ご参照
遼寧省における大気改善対策16
川下勝平  古河産機システムズ株式会社第三営業部
遼寧省。中国の東北三省と言われる省のひとつである。青そうに思えた空もPM2.5に侵されていた。我々のミッションは、大気汚染の改善につながる最新技術の紹介と普及である。青い空を取り戻せるか。その可能性について感じたままを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年11月号(通巻238号)

スペシャルレポート   国有企業改革と産業構造高度化
国進民退から戦略的調整へ再転換するのか?―リスタートした国有企業改革2
渡邉真理子  学習院大学経済学部教授
李克強首相は9月に、大連での演説で安定成長を目指して国有企業改革などの構造改革を進めていくと表明した。また、構造改革の一環として、これまで国有企業が独占してきた石油、金融、通信などの分野に民間資金を引き入れ、市場の力を活用すると強調した。「国進民退」から「国退民進」へ、実現の可能性はいかに? /// 続きは本誌ご参照
中国産業高度化の課題と展望―グローバル市場での挑戦8
後藤康浩  日本経済新聞社編集局産業部兼アジア部編集委員
中国は改革開放政策を開始して以来、年率平均9%以上の高速成長を続けてきた。しかし、2011年半ばから目立ち始めた成長鈍化は従来の循環型の景気後退ではなく、構造的な変化をうかがわせている。中国の産業発展を支えた安い人件費と豊富な労働力という人的資源の優位性は消滅し、人民元高、インフラや土地などのコスト上昇が競争力を低下させている。道路、鉄道、空港などインフラ建設によって有効需要を創出し、既存の成熟産業を支えるという政策を繰り返しているだけだ。電機・電子、自動車、環境などの分野ではハイテク分野を強化する動きもあるが、技術よりも価格競争力に頼る傾向は変わらない。中国の産業高度化には大きな壁が立ちはだかっている。 /// 続きは本誌ご参照
東北旧工業基地振興にみる国有企業改革の実態12
朱永浩  公益財団法人環日本海経済研究所研究主任
遼寧省、吉林省、黒龍江省からなる中国東北地域の面積は78.7万平方キロメートルと日本の2倍に達し、人口は1億966万人(2011年末)を数える。近年、この地域に的を絞った経済開発戦略が中国政府によって相次いで打ち出されているが、その契機となったのは、03年に始動した「東北地区等旧工業基地振興戦略」(以下、東北旧工業基地振興)である。この戦略の実現に向けて具体的な施策が実施される中、全国有数の国有企業の集積地であるが故に、東北地域の国有企業改革は緊要な課題の一つとして注目されている。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年10月号(通巻237号)

スペシャルレポート   中国の新型都市化と農村・農業振興
中国新型都市化の本質―日中連携の重要性を見据えて3
小泉英明  株式会社日立製作所役員待遇フェロー
先日、シシリー島にあるエトーレ・マヨラナ研究所で開催された国際会議に出席しました。この研究所の正式名称は「Ettore Majorana Foundation and Center for Scientific Culture」です。文化としての科学を研究するセンターであるように、量子力学の創始者たちの「サイエンスには文化的な側面がないと本物ではない」という強い思いを込めて名付けられたのであります。その熱意は今日まで続いており、1963年から毎年国際会議も開催されていますが、この会議に参加した後にノーベル賞を受賞した人たちも80人近くになりました。私も毎年参加して8年目となります。この研究所の近くに、神殿を中心に城壁で囲まれたギリシアの古代都市の遺跡(Selinunte)があり、この2千数百年前の遺跡から都市の形成を見ていますと、都市や都市国家の原型が見えるような感じがします。翻って今回の中国で行われている新型都市化(城鎮化)の政策は、都市そのものの本質に、かなり迫っていけるのではないかと考えております。 /// 続きは本誌ご参照
都市化と環境問題解決に日中協力で挑む―鎮江生態ニューシティプロジェクトが発進8
周牧之  東京経済大学教授
21世紀に入り9.11同時多発テロ、リーマン・ショック、欧州の債務危機など世界を震撼させる出来事が相次いだ。危機と低成長に苦しむ先進諸国をよそに、中国は高度経済成長を続けた。逆風下での大発展を支えた最大の原動力は都市化である。 /// 続きは本誌ご参照
新型都市化と農業現代化に向けて12
李雪連  丸紅経済研究所シニア・アナリスト
新型都市化は、新政権の目玉政策である。従来の都市化のやり方が難航する時期に入っており、これからの都市化は「三農(農村・農業・農民)」改革と結びつけてより次元の高いものを目指さなければならない。また、食の安心安全への追求意識が高まっており、農業の責任が重大である。このような様々な挑戦を乗り越えるためには、強い農業を作ることが肝要である。大規模化、機械化、産業化、市場化などを含む農業の現代化が必要であり、民間資本や日系などの外資にとって参入するフロンティアが広がってくるだろう。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年9月号(通巻236号)

スペシャルレポート   中国の財政事情と公的債務問題をよむ
債務問題を抱える地方財政―リスクの拡大と構造問題2
内藤二郎  大東文化大学経済学部教授
中国の地方財政に対する警戒感が大きく高まっている。地方政府の債務拡大のリスク、地方政府の資金調達手法の問題、不良債権拡大への懸念など、いずれも見過せない重要な問題である。経済の減速傾向が強まる中で、こうした政府債務に関連する問題の拡大は、中国のマクロ経済を混乱させるアキレス腱にもなる。また中国の地方債務問題は、その規模に加え、不透明な資金調達方法、不適切な投融資の項目や方法など、数々の深刻な問題を抱えている。中国発の政府債務危機を避けるために解決すべき課題は多い。ここでは、根源的課題である構造問題を中心に検証することによって地方債務の本質に迫り、現状の問題点と求められる対応を検討する。 /// 続きは本誌ご参照
地方政府融資平台公司問題の行方6
関根栄一  株式会社野村資本市場研究所北京事務所首席代表
中国では、予算法上の地方政府に対する(1)財政赤字の計上の禁止、(2)法律・国務院の特別規定の無い限り債券発行の禁止、という制約がある中で、2008年の4兆元の景気対策を機に、地方政府融資平台公司が資金調達の窓口としての機能を果たしてきた。その一方、地方債務が増加する中で、10年以降、中国政府による管理や規制も強化されてきている。新指導部も、地方政府の債務問題処理を重視している。地方債務の問題は、これ以上債務が増加するのを防ぎながら、合わせて法令と実態の乖離を埋めるアプローチも必要である。 /// 続きは本誌ご参照
中国の都市化と財政問題10
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
新政権の都市化推進政策は、高度成長の終焉を背景に、新たな成長力エンジンを模索しようとするものである。しかし都市化推進のためには、都市に常住する出稼ぎ農民に対して都市住民と同じ基本公共サービスを提供する必要があり、これには相当な財政負担を要する。また、地方政府が都市化を口実に不動産の乱開発を進める可能性もあり、これは後で大きな財政コストを発生させる。さらに、最近地方政府の融資プラットホームが資金調達のために城投債発行を急拡大していることも、将来の財政リスクを増大させている。都市化の推進は中国の財政問題と大きく関わっているのである。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年8月号(通巻235号)

スペシャルレポート   中国企業のグローバル直接投資
中国企業によるグローバル展開とM&A事情2
江原規由  一般財団法人国際貿易投資研究所研究主幹
中国が国家戦略として推進する走出去(中国企業の対外進出)が新たな展開を見せつつある。その行方は、中国の世界経済におけるプレゼンスと大きく関わっていると同時に、世界経済にとっての新たな潮流として一段と重きを増しつつある。外資導入をテコに世界第2位の経済大国にのぼりつめた中国で、今後、その持続的経済成長と大きく関わってくるのが、外資導入と対極にある走出去である。本稿では、2013年に入ってからの走出去の具体的事例の紹介を中心にレポートしているが、来るべき中国企業の「大走出去時代」の今を少しでも紹介できれば何よりである。 /// 続きは本誌ご参照
中国企業の対日進出とその課題―市場参入形態の戦略的運用の観点から6
杉田俊明  甲南大学経営学部教授
国際ビジネスにおける中国企業の存在感が日増しに大きくなっている。わずか約30年の間に、中国はそれまでの外資の国内誘致「引進来」から自国企業の海外進出「走出去」を推進するようになってきた。市場経済の経験が浅い中国企業もまた、国内市場での生成と発展から、いまや国際市場で多国籍企業に正面から競争を挑み、著名企業の買収までも敢行するようになってきた。本稿は対日進出の事例を中心に、中国企業の進出形態とその戦略を明らかにするものである。現代多国籍企業の国際事業展開形態と対比することにより、中国企業の課題についても触れてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー 中国企業が対日進出上で直面する課題:ハイアール アジア インターナショナル株式会社に聞く―世界のハイアールがWブランド戦略で日本市場に挑む10
今村健二(聞き手)  日中経済協会関西本部事務局長
2002年の三洋電機との提携から10年、白物家電のグローバル市場シェアナンバーワンを4年連続で達成したハイアール(本社山東省青島市)が、新ブランドAQUAを立ち上げ、HaierとのWブランドを武器に日本市場に挑んでいる。明確なビジョンとポジティブな発展戦略、張瑞敏会長の「文化の融合」という経営理念など、世界での急成長を支える強みとその発展史を同社に聞いた。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年7月号(通巻234号)

スペシャルレポート   中国高齢化社会への挑戦
中国高齢化社会の到来2
沈潔  日本女子大学教授
急速な経済成長と共に、中国は今、急ピッチで進む社会の「高齢化」においても、世界から注目されている。なんと中国は世界高齢者人口の20%をも抱えている。一人っ子政策は、中国の人口・社会構造のゆがみをもたらし、高齢化問題はさらに深刻になっている。中国はいかにこの問題に対応すべきなのか。本稿は中国高齢化社会の課題と今後の展望を論じたものである。 /// 続きは本誌ご参照
シルバー産業振興の課題と展望7
邵永裕  みずほコーポレート銀行中国営業推進部調査役博士(学術)
日本に匹敵するほどの速さで高齢社会を迎える中国では、社会保障制度整備不足の現状改善と新5カ年計画期(2011~15年)の制度充実および高齢者事業の産業化(シルバー産業)による市場需要の促進を目指す政策強化が進められており、中国内外企業のシルバー産業への参入にとって有利な市場環境が創出されつつある。本稿はこうした政府政策と企業動向を紹介した上、地域格差や産業の経験・ノウハウ不足とビジネスモデル未確立などの課題を克服するためにも、中央・地域政府の政策支援に加え、日本を主とする先進国とのアライアンスも重要かつ可能であることを展望的に考察する。 /// 続きは本誌ご参照
日本式介護サービスを中国でも―現場の視点から12
田中克幸  株式会社リエイ海外事業開発部長兼理愛(北京)企業管理諮詢有限公司董事
「祖母はすでに高齢(90歳)で先も短く、薬は(代金がもったいないので)買いませんし、医者にも行きません」。それは、ある認知症入居者を巡るご家族との会話でのこと。この発言に多少ショックを受ける一方、正に私たちが知りたい中国人ご家族の心情に触れた貴重な機会でした。当社は「中国人高齢者とご家族にとって、今、必要な介助・介護サービスは何か?」を知るために、高齢者向けモデル施設(北京市海淀区)の運営に取り組む中、日々重要なヒントを得ています。本稿では、中国市場にほとんど馴染みの無い介護事業サービス経過の視点から、ビジネス要点を整理し記述しています。多少なりとも読者の皆さまのビジネスヒントにつながれば幸いです。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年6月号(通巻233号)

スペシャルレポート   中国新政権の政策展望
第12期全人代第1回会議分析―政権指導部の目には何が映っているのか2
加茂具樹  慶應義塾大学総合政策学部准教授
第12期全国人民代表大会第1回会議が3月17日に閉幕した。その直前の3月12日には第12期中国人民政治協商会議全国委員会第1回会議が閉幕していた。この2つの会議の閉幕をもって、昨年11月に開催された中国共産党第18回全国代表大会の開催以来、過渡期にあった中国共産党と国家の指導部の権力交代が完了したことになる。「胡錦濤同志を総書記とする党中央」から「習近平同志を総書記とする党中央」への政権の交代である。本稿の目的は、新しい政権指導部の目に映っている世界を、この2つの会議の動向の分析をふまえて、描いてみようとするものである。 /// 続きは本誌ご参照
中国の新政権発足と日中関係の展望6
朱建榮  東洋学園大学人文学部教授
中国の新政権発足に当たり、中国の研究者から得た情報も交えて、習近平体制、人事関連および日中関係についての最近の動向と今後の展望について紹介する。(4月18日第76回21世紀日中関係展望委員会基調講演より) /// 続きは本誌ご参照
中国の「都市化」政策を考える11
田村暁彦/澤津直也  日中経済協会北京事務所長/日中経済協会企画調査部主査
2012年12月の中央経済工作会議では、「都市化」を「内需拡大の最大の潜在力」として13年経済活動の「主要任務」の一つに位置付け、大きな注目を集めた。中国政府による「都市化」推進に当たっては、戸籍制度改革、都市インフラ整備、土地管理制度改革等の必要性が叫ばれている。都市化そのものは、決して中国だけに見られる特殊な現象でも目標でもないが、少し踏み込んでその背景や内容を見ると、中国の「都市化」は、中国独特の政治と経済の関わりが投影しており、「政策道具概念」としての性格が濃厚である。中国の「都市化」が日本経済界にとって潜在的な商機となることを考えると、中国の「都市化」の本質を正確に理解しつつ、互恵的な日中経済関係の増進につなげることが良策と考える。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年5月号(通巻232号)

スペシャルレポート   2012年度日中経済協会訪中代表団抄録
日中の不正常な状態は両国の利益に合致せず―李源潮国家副主席との会見2
日中経済協会企画調査部
李源潮国家副主席は会見冒頭、「東洋人の習慣として、年長のかたを敬い、張団長、米倉最高顧問のお話をまず伺いたい」として代表団の考えに耳を傾け、以下のような発言を行った。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的互恵関係の深化とビジネス推進―陳健商務部副部長との会見4
日中経済協会企画調査部
北京到着早々の訪中代表団に会見した陳健商務部副部長は、冒頭、「貴代表団は、中国の全人代と全国政協の終了後、初めての日本からの大型ミッションであり、まさに中日経済協力関係発展への重視の姿勢の表れ」と評するとともに、「昨年の下半期以降の波乱により、国交正常化40年以来、最も厳しい局面となり、特に昨年の中日間の貿易額が低下し、今年1~2月期も、引き続き低下してしまったことは、長く中日経済関係を所管する者として、大変見たくない光景であり、心を痛めている。我々は、共同でこのような局面の転換を図っていきたい」と述べた。 /// 続きは本誌ご参照
中国経済の現状と展望および12・5計画の進捗状況―朱之鑫国家発展改革委員会副主任との会見7
日中経済協会企画調査部
朱副主任からはまず、2013年1~2月の中国経済の運営状況について「今年の経済は回復傾向にあり、安定した回復を求めるのが今年の方針になる」として、インフラ、不動産を中心とする固定資産投資の伸びと安定的な消費による内需の堅調さ、新興国向けを中心とする対外輸出入の回復状況が説明された。特に、消費構造について、観光、文化、娯楽・レジャー関係の消費が相当成長していることに着目、また公共財政支出は、医療、住宅保障、省エネ・環境保全分野が大きく伸びているとの言及がなされた。 /// 続きは本誌ご参照
日中戦略的互恵関係の深化―張業遂外交部副部長との会見8
日中経済協会企画調査部
3週間前に在米中国大使の任期を満了して帰国したばかりの張業遂外交部副部長との会見は「皆さまは私が帰国して最初に会った日本のお客さま。日本経済界で大きな影響力を持つ皆さまと知り合うことができて、大変嬉しい」という歓迎の意とともに「王毅外交部長は本日、習近平国家主席の外遊に随行しているため皆様にお会いすることはできない。お詫びとともにくれぐれも皆さまによろしく伝えと欲しいとの伝言があった」とのメッセージから始まった。 /// 続きは本誌ご参照
産業構造の高度化と生産性向上―蘇波工業信息化部副部長との会見9
日中経済協会企画調査部
蘇副部長との会見は、1999年9月の自らの訪日時にトヨタを訪問・視察した体験に触れつつ「日中双方の長期的経済交流は、一衣帯水の日中の民間協力としても深められてきた。皆さまのご努力に感謝したい」という言葉から始まった。 /// 続きは本誌ご参照
日中両国の利益は一つに融合―唐家璇中日友好協会会長との会見11
日中経済協会企画調査部
唐家璇中日友好協会会長との会見は、釣魚台国賓館で行われ、唐会長からは、日中関係正常化に向けた以下のような思いが伝えられた。我々は皆、中日関係の現状を深く憂慮しており、当面の状況を一日も早く糾さなければならない。現実的な問題として、現在の日本政府が現実と歴史を正視し、中国側との対話、交渉の中で充分に誠意を示し、中国側の歩調にも合わせて前に進むことができるかが重要である。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   新政権下の中国経済
今後の中国経済をどうみるか12
津上俊哉  津上工作室代表取締役
「習新政」は第18回党大会から動き出し、順調な滑り出しとも言える。しかし事態は楽観を許さない。また日本も、デフレから脱却しなければならない。日中双方とも、お互いの経済利益を傷つけ合っている余裕はないはずだ。 /// 続きは本誌ご参照
人民元の国際化、資本自由化と金融改革16
村瀬哲司  龍谷大学教授
今年3月の全国人民代表大会における政府活動報告で、温家宝首相(当時)は金融改革に取り組む姿勢を強調する中で、「金利・為替レートの市場化改革を着実に推進し、人民元のクロスボーダー使用を拡大し、人民元資本項目の交換性を段階的に実現する」と明言した。この一文には、人民元の国際化、資本自由化と国内金融改革の三つの重要な政策項目が含まれている。本稿は、この三つの関連性と中国政府がどのように推し進めようとしているのかを論じ、若干の展望を試みたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年4月号(通巻231号)

スペシャルレポート   エコロジー・低炭素社会への展望
大気汚染問題における日中協力のあり方2
明日香壽川  東北大学東北アジア研究センター教授、公益財団法人地球環境戦略研究機関気候変動グループディレクター
周知のように、中国などの大都市の一部がPM2.5(微小粒子状物質)含むスモッグに悩まされている。大気中の煤の量は世界保健機構(WHO)基準の30倍を超える場合もあり、社会的影響、特に深刻な健康被害が懸念されている。本文では、大気汚染への中国政府の措置と日中協力の展望について論じたものである。 /// 続きは本誌ご参照
温暖化政策の展望―エコ文明建設へ向けて6
本郷尚  株式会社三井物産戦略研究所グリーンイノベーション室シニア研究フェロー
2012年11月の中国共産党第18回全国人民代表者会議で政治、経済、文化、社会の発展と並んでエコ文明の建設が打ち出された。11年3月に採択された第12次五カ年計画では成長率の前計画の7.5%から7%への引き下げ、省エネや素材産業を成長産業として育成、CO2を数値目標に加える、など経済成長一本槍から環境と経済の両立への脱皮を図りつつある。本文は、温暖化対策に焦点を当てながらエコ文明建設に向けた課題を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
環境・エネルギー分野における大規模事業化の秘訣―産業を創造する10
石川雅仁/孫勇才  株式会社ドリームインキュベータ執行役員兼得愛(上海)企業管理諮詢有限公司董事・総経理/得愛(上海)企業管理諮詢有限公司項目経理
昨今、日中間を賑わしている大気汚染問題のように、経済発展とともに中国の環境問題は深刻さを増している。環境関連技術に強いと言われる日本企業の躍進が期待される中国の環境・エネルギー分野ではあるが、実情は非常に厳しい。この大きなポテンシャル市場で日本企業が根深く市場参入を果たし、大規模な事業化を実現していくためには何が必要なのか、その秘訣に迫りたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の環境配慮都市づくりの現状と展望14
山村真司  日建設計総合研究所理事上席研究員
近年、中国における都市人口の増加は著しく、エネルギー消費量の急拡大を招いている。これまで以上に都市としての体系的な取り組みが求められている。一方で「環境配慮」を冠する制度は乱立気味で環境配慮型プロジェクトも多種多様あり、環境配慮の実現に向けてその実態の見極めが重要である。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年3月号(通巻230号)

スペシャルレポート   中国をめぐる国際関係とグローバルビジネス
オバマ政権二期目の課題と中国4
村田晃嗣  同志社大学法学部長・教授
1月20日に、アメリカのバラク・オバマ大統領は二度目の大統領就任式に臨んだ。「変革」を訴えた4年前ほどの高揚感は、内外ともに見られない。何しろ、アメリカは1兆ドルを超える財政赤字を抱え、中国の台頭やアルジェリアでの事件のような中近東でのテロ、イランの核開発など、内外の難問に直面している。オバマにとって、厳しい二期目が始まった。そこで、まずアメリカの内政、ついで外交、特にアジア外交について論じてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
日中韓FTAと他の地域経済統合―韓国からの視点8
李昌在  韓国対外経済政策研究院客員フェロー・前副院長
昨年11月20日に日中韓3カ国の経済貿易担当大臣会合がカンボジア・プノンペンで開催され、日中韓FTA(自由貿易協定)の交渉開始を宣言した。これは、昨年5月に北京で開催された第5回日中韓サミットにおいて同交渉の年内開始を3カ国首脳が合意したことを受けたものであった。かくして、3カ国間のFTAに向けた準備作業を10年間行ってきた末に、同FTAを作り上げるプロセスは今や最終段階に入りつつある。 /// 続きは本誌ご参照
中国と北東アジア―ロシアからの視点11
ニコライ・ビロジロフ  ロシア連邦商工会議所北京事務所長
北東アジア地域は、中国、北朝鮮、モンゴル、ロシア、韓国そして日本を包含する地域であるが、同地域の発展と協力の展望は明るい。その潜在力はいくつかの数字を見ることで明らかになる。居住人口は15億人を超える。面積は1728万平方キロ。中国、日本、韓国は、名目GDPによれば世界第2位、第3位、第15位である。購買力平価によって測れば、それぞれ第2位、第4位、第13位である。日中韓3カ国のGDPの合計は世界の20%を占める。これらの国々は、国際貿易量上位10カ国に入る。近年の世界経済の不均衡にも関わらず、同地域のほとんどの国家は持続的な経済成長を維持してきた(中国7・8%、ロシア3・5%、韓国2・5%、日本2%)。ロシアの学者が指摘するところによれば、現在北東アジア地域諸国においては、市場原理には基づくものの、各々の国情に応じて様々に異なる経済発展戦略が実施されている。しかし、重要なことに、いずれの北東アジア地域諸国も外国に対する開放性を示している。 /// 続きは本誌ご参照
中印経済関係は世界経済関係―潜在する緊張の中での拡大と協調14
菅谷弘  財団法人インド経済研究所理事・主任研究員
インドにとって、中国は最大の輸入相手国であるなど、中印経済関係は緊密化している。かつて日本の代替役に位置付けられた中国メーカーも、その価格競争力を武器に、今やインドにおいてメインプレーヤーになりつつある。首脳対話外交などを背景に、中印二大国の協調的発展がBRICsを代表するプレゼンスを占めるに至っている。こうした協調の裏には、国境問題などセンシティブな地政学的問題も存在するが、中印関係の安定は、アジアにとどまらずグローバル経済発展にますます重要になっている。 /// 続きは本誌ご参照
「中国・ASEAN」FTAと日本企業のアジアビジネスの拡大―中国を核とする貿易自由化で広域ビジネスを拓く18
美野久志  グローバルビジネス研究会事務局長、元関西学院大学商学部教授
2010年1月に関税撤廃をスタートさせた『中国・ASEAN』FTAは、中国ビジネスを従来の日中二国間ビジネスから東アジアを中心とした広域ビジネスに変身させつつある。中国との貿易・ビジネスは、もはや日本と中国を往復するようなものではなく、中国を核としてアジアとの貿易、投資などを多面的に進める重層的なビジネスへと変化しつつある。中国は、WTO加盟の次なる通商戦略として、ASEANとの広域FTAを通じてアジアとの貿易・経済関係を強化しようとしている。日本企業は、東アジアに広がる広域貿易自由化をビジネス拡大のチャンスとして活用し、新たなグローバルビジネスを展開することが可能となってきた。 /// 続きは本誌ご参照
日本企業の海外展開と中国ビジネス―2012年度海外直接投資アンケート調査結果から22
阿由葉真司  株式会社国際協力銀行業務企画室調査課長
海外直接投資アンケートにおいて中国は有望事業展開先国として常に1位を確保しており、我が国製造業企業にとって事業展開上重要な国と認識されている。近年、労働コスト増や中国市場の競争激化等により、その有望度はピーク時に比較すると陰りが見られるものの、昨年の近隣諸国との情勢変化後に実施した追加調査アンケートでは中国は有望事業展開先国として引き続き1位を確保し、改めてその重要性が示された。我が国製造業企業はそのような情勢変化の下、他国・地域への取り組みを通じリスクを分散し、より慎重な姿勢をとりつつも引き続き中国事業に取り組む姿勢を示した。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年2月号(通巻229号)

スペシャルレポート   中国の格差是正と分配制度改革
中国の所得分配制度改革4
杜進  拓殖大学国際学部教授
待望の所得分配制度改革案は2012年のうちに日の目を見ることはなかった。国家発展・改革委員会が、財政部、国有資産監督管理委員会、人事・社会保障部などの官庁の協力を得て、「所得分配調節強化に関する指導的意見と実施細則」(中国語は「関於加強収入分配調節的指導意見及実施細則」)と命名されたこの改革案の作成に着手したのは2004年であった。以来、07~09年の3年間において計6回の意見聴取・討論会が開かれ、10年、11年に2度にわたって草案を国務院に提出したが、いずれも差し戻され、修正が命じられた。 /// 続きは本誌ご参照
中国の所得格差―最近の変化傾向10
李実  北京師範大学中国収入分配研究院教授
21世紀に入って以来、中国経済のハイスピードの成長に伴い、都市化のプロセスは安定的に進み、経済構造と雇用構造は次第に高度化し、都市・農村住民の所得も急速に増加しつつある。一方、これらとともに、中国の所得分配の局面にも一定の変化が生じ、新たな特徴があらわれている。 /// 続きは本誌ご参照
格差是正に不可欠な農民工の「市民化」14
三浦祐介  みずほ総合研究所アジア調査部中国室研究員
中国の都市・農村間の所得格差は、改革開放以後ほぼ一貫して拡大を続け、胡錦濤前総書記が政権を担っていた2000年代には、都市家計と農村家計の収入の差は3倍以上にまで広がった。しかし、2010年以降、縮小の兆しがみられる。本稿では、この都市・農村間格差の要因と今後の展望について、農民工と呼ばれる都市への出稼ぎ農民に焦点を当てて考察する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の都市労働問題と格差是正18
銭小英  北京パシフィック投資諮詢中心董事長・総経理
中国経済の持続的成長に伴い、都市雇用者(都市戸籍を持つ労働者)の給与水準注1が急増を続けてきている。21世紀に入ってから、中国の都市雇用者平均年収は毎年12%前後の伸び率(名目)で上昇し、その結果、2011年に中国都市雇用者の平均年収は4万1799元(約51万5000円注2)となり、01年の1万0834元と比べ、10年間で実に3・86倍と大幅に上昇した。 /// 続きは本誌ご参照

  2013年1月号(通巻228号)

スペシャルレポート   2013年の中国政治・経済
徹底分析:第18回党大会の人事と政治に関する初歩的分析4
朱建榮  東洋学園大学人文学部教授
第18回党大会の直前まで、次期指導者がどのようなメンバーになるのか、軍事委員会主席は変わらないのではないかなど、様々な憶測が飛び交いました。ふたを開けてみると、新しい政治局常務委員会の人事には正直、少し驚きを感じました。習近平、李克強を除く5人の政治局常務委員は、いずれも64~67歳という結果をどう分析すればよいのでしょうか。一般的には、江沢民と胡錦濤との間に取引があり、江の影響力が強い者が登用されたという見方が多いようです。しかし、私はここ数日の北京の友人との意見交換を踏まえ、少し異なった見方をしています。 /// 続きは本誌ご参照
徹底分析:党大会後の経済政策―胡錦濤報告と習近平演説を手がかりに6
関志雄  野村資本市場研究所シニアフェロー
第18回党大会における胡錦濤の政治活動報告では、経済発展の目標として2020年までにGDPと都市部・農村部住民の1人当たりの所得を10年の2倍にすることが掲げられています。10年で2倍ということは毎年7・2%上昇が必要ですが、11年の中国のGDP成長率は9・2%、今年も7%台後半になることが見込まれていますから、あとの8年間で平均7%程度成長すれば、この倍増目標は達成できる計算になります。また、所得が今まで農村部よりも都市部でほぼ一貫して伸びており、その結果として格差が拡大してきました。都市部と農村部住民(合わせて家計部門)の1人当たり所得が同率で伸びても、格差が縮小に向かうことはありませんが、せめてこれ以上格差が拡がらないことが目標となっています。 /// 続きは本誌ご参照
徹底分析:党大会と新指導体制の行方8
高原明生  東京大学大学院法学政治学研究科教授教授
党大会と新指導体制の行方について最大のポイントは、安定を維持できるかということかと思います。こうした観点から、中央指導部の決定をどう評価できるかについてお話しをしたいと思います。 /// 続きは本誌ご参照
第18回党大会後の政治の行方10
佐々木智弘  日本貿易振興機構アジア経済研究所副主任研究員
2012年11月15日、習近平が総書記就任後、内外メディアの前で初めて語った姿は実に印象的だった。ちょうど10年前に「毛沢東思想」や「鄧小平理論」といった無味乾燥な言葉を並べた胡錦濤とは違い、習近平は具体的な格差や腐敗の問題に言及した。習近平が自らの言葉でこれらの問題について語ったことはある意味サプライズであり、一瞬多くの人に問題の深刻な状況を忘れさせ、問題解決をこの新しいリーダーに託すことができるのではないかという期待を抱かせただろう。この期待に習近平は応えることはできるのだろうか。その答えは、イエスとも言えるし、ノーとも言える。 /// 続きは本誌ご参照
2013年の中国経済と新指導部の経済政策14
齋藤尚登  大和総研経済調査部シニアエコノミスト
7四半期連続の景気減速が示されている中国では、矢継ぎ早の内需刺激策の発表を通じて、この難局の克服に取り込み、内需主導の緩やかな景気回復を図りつつある。こうした中で誕生した新指導部は、胡錦濤・温家宝政権が腐心してきた底辺の底上げと民生改善を引き継ぎながらの船出となるが、託された課題も多い。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年12月号(通巻227号)

スペシャルレポート   第18回中国共産党大会後の中国
新指導者のもとでの中国政治動向4
天児慧  早稲田大学教授
11月15日、中国共産党第18回全国代表大会が終了した翌日の第1回中央委員総会が開かれ、習近平を総書記とする中央政治局常務委員7人、中央政治局員25人が選出され、これから5年の新しいトップ指導体制が固まった。新指導者に残された課題は、経済成長に伴うジレンマを解消することだ。 /// 続きは本誌ご参照
経済体制改革の課題と展望10
三尾幸吉郎  ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
中国で10月に発表された2012年7~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7・4%増となり、リーマン・ショック直後の09年1~3月期(同6・6%増)以来の低水準となるなど、中国経済は減速を続けている。今回の党大会を経て、新指導者部に残された経済発展への課題を探る。 /// 続きは本誌ご参照
日米中関係の行方と日本の課題14
星野俊也  大阪大学教授
オバマ大統領の再選が決まったアメリカ、習近平氏を新たな指導者として迎えた中国、そして衆議院解散が決まり12月に新たな内閣が発足する日本。それぞれ新政治体制を迎えた日米中関係は、今後どのように動くのか、その行方と日本の課題を読み解く。(本稿は2012年10月29日「日中経済協会関西地区会員等懇談会」における講演内容を編集したものである。) /// 続きは本誌ご参照
資料:中国共産党第18期中央委員会18
日中経済協会
中央政治局常務委員7名の略歴と中央政治局委員25名リスト /// 続きは本誌ご参照

  2012年11月号(通巻226号)

スペシャルレポート   中国ビジネスの今後
現下の日中情勢を受けて、日本経済界は何をすべきか6
田村暁彦  日中経済協会北京事務所長
今般の日中関係の悪化という事態を受けて、日本経済界には日中関係のセカンドチャネルとしての効果的な民間外交が期待される。しかし、日中関係における「黒子」として効果的な役割を担うためには、経済界は、日中間の経済互恵関係の重要性を唱えるだけではなく、バブル崩壊以降の国内政治環境の変化を踏まえ、「包摂性」を旨として日本国内政治にしっかりと関与する必要がある。昨今の嫌中感の蔓延は、我が国国民各層間の利害対立の先鋭化と無関係ではないと考えられるからである。 /// 続きは本誌ご参照
チャイナリスクとしてとらえるべきか?―反日運動による日中経済への影響と今後の対応8
高見澤学  日中経済協会北京事務所所長代理
これまでも何度となく生じてきた中国での反日運動だが、今回は特に落としどころがみえず、両国の経済関係に対する影響も長期化するのではないかとの懸念の声も聞こえる。反日デモの一部の過激な行動によって深刻な被害を受けた日系企業もあるが、これが一般的だと思われることで、反日運動自体がチャイナリスクととらえられる危険性も排除できない。 /// 続きは本誌ご参照
バリケードは取れたが―推移見守る邦人たち12
横山達也  日中経済協会上海事務所長
「困りましたねえ」。今、現地に在住する日本人が会話の中でもっとも使う言葉の一つではないだろうか。9月18日には1万7000人が抗議活動に参加したという上海市。およそ1カ月が過ぎ、一時期と比較して日常生活は平穏を取り戻しつつある。企業の被った直接的な被害や、事業活動への影響は別稿に示されているとおりで、その回復に向けた努力も続けられている。上海総領事館の周囲を取り囲んでいたバリケード(障害物)も10月初旬の国慶節が明けると撤去された。しかしながら、ビジネスや生活を取り巻く物理的・心理的なバリケードは撤去されたとは言い難い。 /// 続きは本誌ご参照
重慶市市長国際経済顧問会議について13
林千野  双日株式会社海外業務部中国デスクリーダー
去る9月23日、重慶市に於いて黄奇帆市長主催の「重慶市市長国際経済顧問会議」が開催された。顧問の一人として初参加となった当社・加瀬会長に同行し、事務方として本会議に出席する機会があった。ここでは中国ビジネスに携わってきた一個人として、その感想を述べてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
日系企業のビジネスリスクマネジメント14
能瀬徹  華鐘コンサルタントグループ副総経理
今回の尖閣諸島問題をめぐる日本のマスコミ報道を受けて、日本企業の間では、またぞろ「チャイナリスク」議論が熱を帯びて来ている。筆者が現地でお手伝いしている新規プロジェクトについても、同様の理由で日本本社の経営陣から「待った」がかかったものが何件かある。しかし、「チャイナリスク」とは一体どのようなリスクなのであろうか? /// 続きは本誌ご参照

  2012年10月号(通巻225号)

スペシャルレポート   第7回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
エネルギー分野の日中協力の回顧と展望4
山下ゆかり/李志東  一般財団法人日本エネルギー経済研究所理事/長岡技術科学大学教授
エネルギーを取り巻く状況が大きく変化する中、エネルギー分野での日中協力の重要性が増している。本稿ではこれまで弊所が関わった日中協力の成果を振り返りつつ、今後の日中協力のあり方について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
日中環境協力の回顧と展望8
小柳秀明  公益財団法人地球環境戦略研究機関北京事務所長
1972年の日中国交回復から今年で満40周年を迎えた。この間、中国は右肩上がりの成長を続け、2010年にはGDPでついに日本を追い越し世界第2位に躍進した。劣悪といわれた環境も徐々にではあるが改善の方向に向かってきている。本稿では日本の対中ODA(政府開発援助)と政府間協力を中心に日中環境協力の歴史を回顧するとともに、今後の展望について若干の考察をしてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
全体会議11
金子涼恵  日中経済協会業務部
本フォーラムは、今年で7回目の開催を迎え、循環経済や水・汚泥処理など横断的、総合的なテーマの分科会が定着し、分散型エネルギーやエネルギー管理システムという新たな分科会が設置され、これまで171件、今回は47件の日中間協力プロジェクトが調印されるなど、日中の省エネ・環境分野における協力の重要なプラットフォームとして役割を果たしている。全体会議における各講演者の発言概要は以下のとおり。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会―中国の資源循環利用産業の発展とビジネスチャンス15
今村健二  日中経済協会関西本部事務局長
中国の第12次五カ年計画で循環経済を大々的に発展させることが打ち出されたことを受け、2012年に公布された「12・5計画省エネルギー・環境保護産業発展計画」および「12・5計画国家戦略性新興産業発展計画」等において、鉱産物資源や固体廃棄物の総合利用、自動車部品・機械電器製品のリビルト、金属・ゴム・プラスチック資源の再生利用、電器電子製品・自動車・厨芥廃棄物・農林廃棄物・紡織品等の資源化利用等を発展させることが、資源循環利用産業の最重要課題として示されている。 /// 続きは本誌ご参照
水・汚泥処理分科会―公共環境インフラの日本での成功例に高い関心16
山本祐子  日中経済協会事業開発部次長
水処理・汚泥処理分科会は、昨年に引き続き日本側110人、中国側30人、計140人が出席して行われた。水処理分野の分科会としては5回目、参加者数も最大級の分科会となっている。今回は、中国において使用可能な技術の紹介と共同事業の円滑な推進をテーマとした。冒頭、経済産業省産業技術環境局實國環境指導室長から、「水・汚泥処理分野は日本が豊富な経験と技術の蓄積を有し、現在でもさらに高度な技術開発を進めており、今後、日中間で協力を進めるに相応しい分野である」とのあいさつがあり、その後、両国によるプレゼンテーションが行われた。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー管理システム分科会―中国一万企業省エネ行動とも連繋17
杜本水萌  日中経済協会企画調査部
中国では、急速な経済発展に伴いエネルギー供給が逼迫し、効率的なエネルギー管理が大きな課題となっている。第12次五カ年計画の重要政策に省エネ対策が盛り込まれことを受け、今回新たにエネルギー管理システム分科会が開催された。12・5計画の最重要課題の一つとして、2015年までに、中国のGDP1万元あたりのエネルギー消費を10年比で16%減とし、標準炭6億7000万トン分の節約を実現することを目標に策定した。そのため官民一体となり、効率的で持続可能なエネルギー管理システムの確立・推進を急ぐ必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
グリーン建築・LED分科会―グリーン建築・LED照明産業の発展加速と日本企業への期待18
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
グリーン建築・LED分科会は、日中両国におけるエネルギー総消費量に占める建築関係のエネルギー消費の増加と、昨今のLED照明の普及と省エネ効果への期待の高まりを受け、日中両国の協力の可能性を展望し、具体化させることを目的として開催された。 /// 続きは本誌ご参照
自動車分科会―次世代エネルギー自動車の未来像と普及戦略19
中島俊輔  日中経済協会事業開発部長
自動車分科会ではここ数年、次世代エネルギー自動車の普及について、政策と技術開発の両面から、日中それぞれの取組みの現状と展望について交流してきた。我が国では3・11を契機にエネルギー基本政策の転換が大きな課題となっており、再生可能エネルギーの利活用、電力供給・消費のピーク調整と有効利用、さらには災害等緊急時におけるエネルギーの確保などを実現するため、分散型エネルギーシステムの導入、家庭や地域単位でのエネルギー利用の最適化やエネルギーそのものの地産地消を実現するスマートハウス、スマートコミュニティの早期普及に注目が集まっている。そして、これらのエネルギーシステムのコアとなるのが、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV/HEV)、プラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)などの次世代エネルギー自動車である。 /// 続きは本誌ご参照
石炭・火力発電分科会―12・5計画および中国側ニーズと日本企業のビジネス参入可能性について20
太田圭  日中経済協会事業開発部主任
石炭・火力発電分科会は、一昨年、昨年につづき、今回もフォーラムの分科会の一つとして開催された。前半の石炭分科会では、日本側は経済産業省資源エネルギー庁石炭課の鈴木謙次郎企画官、中国側は国家能源局煤炭司の夏興処長がモデレータを務め、低炭素・資源循環型炭鉱地域構想とクリーンコールテクノロジー(CCT)、炭鉱メタンガスの有効活用の方法、脱硫等環境設備について政策面や技術面での紹介をもとに、意見交換を行った。また、後半の火力発電分科会では、日本側は前半同様、鈴木企画官、中国側は国家能源局電力司総合処の趙一農処長がモデレータを務め、既存の石炭火力発電所の発電効率向上のための技術導入や、最新の石炭火力発電技術・環境設備の開発普及状況、今後の日中協力等について発表後、意見交換を行った。 /// 続きは本誌ご参照
分散型エネルギー分科会21
伊藤智  日中経済協会業務部主査
分散型エネルギー分科会は、経済産業省資源エネルギー庁と、国家能源局電力司の合意を得て今回新たに設置された分科会である。中国側からは、中央政府関係者、地方政府関係者の他、電網公司、建設企業、コンサルティング企業など、広範なメンバーから構成され、日本側出席者約70人、中国側42人と会議規模は中規模ではあったものの、本分野における双方企業の関心度は非常に高く、視察活動においては、中国側参加者人数が39人となり、今回7分科会の中では最大の視察団規模となった。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易協議委員会第7回定期交流LT分科会―ますます期待されるリサイクル22
葛西敦  日中経済協会事業開発部参与・日中長期貿易協議委員会事務局
日中長期貿易協議委員会・省エネ等技術交流促進部会と中日長期貿易協議委員会・省エネ環境保護技術合作分会が、省エネ・環境に関するビジネスを推進する場として毎年開催している定期交流は7回目を迎え、今回もフォーラム分科会の一つとして開催された。昨年の第6回定期交流に引き続き、テーマは、中国商務部が強力に推進する使用済自動車の回収・処理に関する日中間の技術交流・案件創出、都市汚泥の無害化に関するプロジェクト、汚水・汚泥の処理処置についての技術ニーズ動向などで、日中双方から発表、紹介を行った。省エネ・環境保護分野における共通の原則として「減量化、再利用、資源化」の三本柱がある。 /// 続きは本誌ご参照
第7回日中省エネルギー・環境総合フォーラムでの省エネ・環境分野における日中間の協力合意案件(47件)23
日中経済協会
唐山市曹妃甸新区管理委員会・日中経済協会協力枠組み協定ほか /// 続きは本誌ご参照
パネル展示概要24
日中経済協会
日立産機システム/横河電機/パナソニックエコソリューションズ社/DOWAエコシステム/富士電機/堀場製作所/日本能率協会/横浜市役所/グンゼエンジニアリング/岩崎電気/ダイセン/ウェリンテック・ジャパン/エヌ・イー・ティ/日中環境協力支援センター/イービストレード /// 続きは本誌ご参照

  2012年9月号(通巻224号)

スペシャルレポート   経済発展方式転換の深層をみる2
三年ぶりの低成長―景気減速とともに潜在成長率の低下も反映4
関志雄  野村資本市場研究所シニアフェロー
2012年第2四半期の中国の実質GDP成長率は7.6%と、09年第1四半期(同6.6%)以来の低水準となった。しかし、3年前のリーマン・ショック後の景気後退期とは対照的に、現在、深刻な雇用問題は発生していない。これは、成長率の低下が需要の低迷という短期的要因だけでなく、供給側の変化に伴う潜在成長率の低下という中長期的要因も反映していることを示唆している。 /// 続きは本誌ご参照
中国の市場化改革の現状―「国進民退」をめぐって8
加藤弘之  神戸大学大学院経済学研究科教授
1978年の改革開放以来、中国は伝統的な社会主義から訣別し、資本主義(市場経済システム)への移行を着実に進めてきた。そして、2000年前後の時期、狭義の市場移行を完成したと考えられる。ところが、いま中国では、国有経済が民有経済を押しのけて増長する現象(国進民退)がさかんに議論されている。一部の論者がいうように「国進民退」は資本主義から社会主義への逆行なのか、それとも一時的な現象にすぎないのか。「国進民退」の実態とその是非をめぐる議論を整理することから、中国資本主義の現段階を考える。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業の発展動向―ハイエンド設備製造業を中心に12
近藤信一  機械振興協会経済研究所研究副主幹
戦略的新興産業は、いずれも知識・技術集約型産業で潜在成長力が高く、中国政府は重点分野としてこれらの発展を加速させるとしている。本誌2011年9月号にて、筆者は戦略的新興産業の一つであるハイエンド設備製造業について、中国は技術力が低い「製造大国」からハイエンド機械設備製造業の発展により「製造強国」を目指して国内の産業競争力の底上げを狙っており、そして、その発展の課題はソフト面の技術力の未熟さ、つまりハイエンドの機械設備を使いこなす能力、性能を限界まで引き出す能力の未熟さ、にあると指摘した。本稿では、これを踏まえて、ハイエンド設備製造のうちのインテリジェント製造設備の政策動向、そして工作機械と産業用ロボットの状況について現状報告と課題について考察する。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業と日本企業の先端ビジネス―中国環境・省エネに対する日立の取組み16
小久保憲一  日立(中国)有限公司総経理
日立(中国)有限公司は2006年4月に「中国省エネ・環境事業化推進プロジェクトチーム」を設置して以来、07年1月に中国の国家発展改革委員会と省エネ・環境分野での協力を推進することで合意、07年には「中国雲南省鉄鋼、化学工業業界の電機システムの省エネ・余熱余圧利用モデルプロジェクト」、08年には「日立/寧波市中小企業向け省エネ・環境保全協力プロジェクト」を調印し、それぞれのプロジェクトで日立の技術力を活用して中国の省エネルギー化に貢献している。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業と日本企業の先端ビジネス―清華大学ー東芝エネルギー・環境研究センターにおける取組み17
寺井清寿  株式会社東芝電力・社会システム技術開発センター技監
1997年に、東芝と清華大学は共同研究の包括基本契約を締結し、その後、奨学金制度や技術交流会などを通じて、様々な分野で強固なパートナーシップを構築してきた。2007年には、省エネ・環境問題に協力して取組むこととし、「東芝―清華大学『省エネ・環境』セミナー」を開催し、複数の共同研究を開始した。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業と日本企業の先端ビジネス―中国の経済発展方式転換と東レの中国ビジネス戦略18
村上洋  東レ株式会社取締役国際部門長
東レの中国事業は、1956年に香港で加工貿易を主体とする現地法人を設立した時に端を発する。73年には国営の上海石化へポリエステル繊維の技術ライセンス・プラント輸出を行い、その後、繊維関連を中心に約60件のプラント・技術輸出の実績を積んできた。93年からは沿海部で、繊維とプラスチック事業を中心に独資または大手国有企業・民間企業との合弁の形で本格的な事業を展開してきた。これまでの総投資額は約20億ドルで、従業員は約9000人の規模となっている。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業と日本企業の先端ビジネス―中国の省エネ・環境保護分野におけるJXの取組み19
JX日鉱日石エネルギー株式会社
第12次五カ年計画期の重点分野である戦略的新興産業の一つに省エネ・環境保護産業が選ばれた。当産業に関連して、当社では以下のような取組みを行っている。 /// 続きは本誌ご参照
サービス産業の振興とEコマースの発展20
石里宏  エスペランサ株式会社シニアコンサルタント
第12次五カ年計画ではサービス業の振興が戦略的重点として掲げられた。この背景と振興のために課題とは何か。また、こうしたサービス業の中でも特に成長著しいEコマースを取り上げ、その発展ぶりと外資参入の状況を解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年8月号(通巻223号)

スペシャルレポート   経済発展方式転換の深層をみる1
経済発展方式の転換は不可欠である―投資主導型経済の「罠」4
渡辺利夫  拓殖大学総長・学長
中国経済は多少の上下動を繰り返しながらも、この20年、超高成長軌道を推移してきた。しかし、高成長のパターンにはいささかの歪みがある。このことについては党・政府指導部も十分に認識している。それゆえ「、成長方式の転換」は、アジア経済危機の余波を受けて中国が苦しめられた1997年以来、幾度も高唱されてきた。実際、第11次五カ年計画おいても重要課題の1つであった。しかし、ことが「構造的」要因に由来するものであるがゆえに、「成長方式の転換」はいまなお中国の経済政策の中心的テーマでありつづけている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の社会保障制度の現状と展望9
貢森  国務院発展研究中心社会発展研究部副部長
現行の社会保障体系には、制度のばらつき、運用難、公平性の欠如、不充分なマクロコントロール、財政投入の不足や不十分な公開性、透明性などの問題が山積している。「第12次五カ年計画」では、すべての人々の最低生活の保障、適切な住宅扶助、基本的な保健衛生と社会年金の確立を優先目標に掲げ、「基本を保障し、全国民をカバーし、格差を是正し、受給資格の切り替え継続を容易にする」方針を堅持し、全国規模で制度の整合、基準の制定、財政の投入、基金の調整と情報管理などを進め、飛躍的な進展を目指している。 /// 続きは本誌ご参照
経済発展方式転換に向けた財政・税制面の制度改革と主要課題14
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
経済発展方式の転換を成功させるためには、財政・税制面でも制度の改革が必要となる。本稿では、財政・税制面における主要な課題である地方の財政問題をレビューすると共に、経済発展方式の転換におけるサービス産業振興問題、個人消費拡大のための所得再分配問題などの分野をマクロ的に概観してみたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国の経済発展と産業構造高度化への新たな動き18
柯隆  株式会社富士通総研主席研究員
いかなる国においても経済発展とともに、産業構造が徐々に高度化するプロセスをたどっていくはずである。中国もこれまでの30余年の「改革・開放」において技術レベルの向上と産業構造高度化の過程をたどってきた。共産党政権が樹立されてから、社会主義計画経済の失敗により、経済発展は大きく立ち遅れていた。経済のキャッチアップを図るために、技術レベルの向上はその原動力として重要な役割を果たしてきた。 /// 続きは本誌ご参照
中国・中小企業育成のための金融制度改革22
関根栄一  株式会社野村資本市場研究所北京事務所首席代表
中国が経済発展方式の転換を図るうえで、金融分野の改革がその成否を分けよう。中でも、中小企業向けの金融制度改革が大きな課題になっている。中国の金融分野の中長期的なあり方や改革の方向性を議論する2012年1月の全国金融工作会議では、小型・微型(零細)企業の資金調達難を早急に解決しなければならないことが指摘された。本稿ではこうした小型・微型企業への貸出支援政策などに焦点を当て、中国が直面している中小企業金融の現状と課題を整理し、そのあり方について考えてみたい。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年7月号(通巻222号)

スペシャルレポート   日中韓FTAへの期待
アジア太平洋と東アジアの両面作戦を目指せ―全体戦略の中の日中韓FTA4
木村福成  慶應義塾大学経済学部教授、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト
5月13日の日中韓経済貿易相会合で、日中韓投資協定が署名されるとともに日中韓FTAの年内交渉開始が合意された。しかし、同FTAを通じて日本は何を達成したいのか、その戦略はまだ明示的に打ち出されていない。日中韓FTA交渉開始にあたり、日本を取り巻く国際経済環境等を踏まえ、今後日本が取るべき戦略を読み解く。 /// 続きは本誌ご参照
日中韓FTA―「ポスト『世界第2位の経済大国』モデル」の実現のための我が国FTA政策8
田村暁彦  日中経済協会北京事務所長、東京大学政策ビジョン研究センターシニアリサーチャー、経済産業研究所コンサルティングフェロー
日中韓FTAは、5月13日北京で開催された第5回日中韓サミットにおいて、年内交渉開始が合意された。日中韓FTAに対する我が国の交渉戦略は、我が国にとって経済・社会政策上の最重要課題である「ポスト『世界第2位の経済大国』モデル」の実現への有効性を念頭に、構築されるべきである。 /// 続きは本誌ご参照
日中韓FTAを好機ととらえ農業の競争力強化を目指せ12
美甘哲秀  丸紅経済研究所長
日中韓FTA議論において、必ず議題に上がるテーマが農業である。日本の農産物は、安全性と品質が高く、消費者から信頼されているものの、安価な中韓産の農産物が日本市場へ参入すれば農業の衰退が進み、日本産農産物が食卓から消えてしまうのではないかとの不安を、多くの日本国民は抱えている。だが、同時に日本にとって、日中韓FTAが推進されれば、農産物の輸出を拡大できるビジネスチャンスととらえることもできる。本文では、日本農業の現状を説明しながら、日中韓FTAを視野に入れた農業改革の必要性を説く。 /// 続きは本誌ご参照
日中韓投資協定のポイントと日中韓FTAへの期待16
池上隆介  池上事務所代表取締役
日中韓投資協定の締結により、日中韓投資環境は新たなレベルに引き上げられた。本稿では、今回の締結で新たに合意された規定のポイントを整理するとともに、依然取り残された問題点を分析しながら、今後の日中韓FTA交渉への期待を説明する。 /// 続きは本誌ご参照
中国における知的財産権保護と日中韓FTA20
亀ヶ谷明久  日本貿易振興機構北京事務所知的財産権部長
今年5月13日に署名された日中韓投資協定では、日中投資協定および日韓投資協定には設けられていない規定として、締約国は自国の法令に従って知的財産権を保護する義務を負い、また、知的財産権に関する透明な制度を設立・維持する義務等を負うことが盛り込まれた。また、この署名に先立って5月12日に行われた第9回日中韓経済貿易相会合の共同プレスリリースでは、知的財産権保護による経済発展への寄与についての見解の一致、特許分野での3カ国間の協力の歓迎ならびに知的財産権分野での協力のさらなる進展への期待が表明された。日中韓の経済連携を進めていくにあたり、知的財産権の取扱いは重要な位置を占める。本稿では、知的財産権分野を取り上げ、中国における知的財産権保護と日中韓FTAについてまとめることとする。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年6月号(通巻221号)

スペシャルレポート   日中省エネ環境協力とまちづくり
中国で始動する国内排出量取引制度の検討―日本はこのままでいいのか?5
二宮康司  公益財団法人地球環境戦略研究機関市場メカニズムグループディレクター
いま、中国の気候変動対策が大きな曲がり角を迎えている。世界中のCDMプロジェクトの半分が集中するCDM大国。その中国で、最近最大の関心事になっているのは、もはやCDMではなく排出量取引制度なのかもしれない。 /// 続きは本誌ご参照
セメント産業による中国廃棄物処理ビジネス8
大平弘之  太平洋セメント株式会社海外事業本部企画管理部部長代理
中国では急速な経済成長が続く中、廃棄物の発生量が増加している。工業固形廃棄物発生量20億4000万トンのうち、リサイクルされているのは68%である(2009年)。うち、危険廃棄物発生量は1430万トンであり、リサイクル率はその50%程度にとどまっている。一方生活ごみの発生も増加を続けており、毎年10億トンの生活ごみが発生するものの、適正な処理をされる量は非常に低いのが現状である。09年に都市部で収集された生活ごみは1億6000万トンであり、そのうち無害化処理された量は約72%という状況である。従って近年、これらの廃棄物の適正な処理に対する要求が高まってきている。 /// 続きは本誌ご参照
アジア低炭素化センターによる中国での環境ビジネス展開―北九州市の取組み12
石田謙悟  北九州市環境局アジア低炭素化センター担当部長
日本企業のアジアビジネス展開を支援する北九州市アジア低炭素化センター。同市と中国との協力関係は密接であり、これまでに展開してきたエコタウン協力、省エネの普及、節水型住宅設備普及などのビジネス事例を紹介していく。 /// 続きは本誌ご参照
グリーン建築発展に見る日本企業の商機16
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
中国では急速な都市化と人々の生活レベル上昇を背景に建築に関わるエネルギー消費が急増しており、今後の経済成長のボトルネックとなることが懸念されている。この問題の解決策の一つとして推進されているのがグリーン建築の普及であり、当分野で先進的技術を有する日本企業との協力の期待が高まっている。 /// 続きは本誌ご参照
都市の水不足問題解決に資する海水淡水化:第12次五カ年計画における海水淡水化事業18
太田圭  日中経済協会事業開発部主任
2012年2月7~11日に、日中経済協会では、日本の海水淡水化事業の専門家および関連企業12社・団体25人(団長:造水促進センター・秋谷常務理事)からなる「海水淡水化事業考察訪中団」を派遣した。本団は中国の海水淡水化事業の現場視察とともに、日本企業のビジネス参入の可能性を検討することを目的に、北京市、河北省唐山市、天津市、浙江省杭州市にある中国の海水淡水化事業を担う中央・地方政府および有力研究開発機関、関連企業の関係者と意見交流会を行った。ここでは、本団でのヒアリング内容をもとに、中国が都市の水不足問題の切り札の一つにしようとしている海水淡水化事業の現状と日本企業のビジネス参入の可能性を探っていく。 /// 続きは本誌ご参照
都市の水不足問題解決に資する海水淡水化:渤海湾の海水淡水化プラント課題分析22
古市光春  一般財団法人造水促進センター技術アドバイザー
海水淡水化施設が集中すると見られる渤海湾は、水質が悪く、低水温という日本企業にとっても未知の条件を抱える地域である。唐山曹妃甸北控阿科凌海水淡水化有限公司と天津大港新泉海水淡水化有限公司の二つのプラントの現地視察を通じて浮かび上がった課題を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
都市の水不足問題解決に資する海水淡水化:日本企業の中国海水淡水化事業参入可能性を考える25
岩堀博  日東電工株式会社メンブレン事業部シニアコンサルタント・技術士
広大な曹妃甸エコ工業パークを眺めて空想したことだが、日中共同の大型プロジェクトとして、農業や漁業の工業化をめざして、この広大な土地と海・淡水を使って栽培農業や栽培漁業などに向かって日中の国家間レベルの協力で計画・建設・生産までを総合プロデュースしてみてはどうか。 /// 続きは本誌ご参照
都市の水不足問題解決に資する海水淡水化:「中国海水淡水化事業考察訪中団」の目的と意義28
秋谷鷹二  一般財団法人造水促進センター常務理事
中国では、経済発展や人口の増加により慢性的な水不足が続いている。これに対する中央政府の決断として「南水北調」政策が企画され、現在、すでに南水の一部が中国の北部に送られている。今後も安定した発展を図るには、中国では北部の水資源問題を如何に解決することが重要であり、同時に「南水北調」に加える新たな水資源として海水淡水化に大きな期待がなされている。最近、発表された12・5計画においても、海水淡水化の重要性は指摘され、今後の益々の発展が期待される水ビジネスの宝庫となるものといえる。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年5月号(通巻220号)

スペシャルレポート   全人代分析
全人代と中国のゆくえ4
荒井利明  滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科教授
中国の3月は、年に1度の「両会」の季節である。「両会」とは、全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議の二つを指し、それらは国会に相当する。2002年秋から翌03年春にかけて発足した胡錦濤・温家宝政権下の全人代では、首相の温家宝が「主役」を務め、会議冒頭に施政方針演説である「政府活動報告」を行い、閉会後には多数の内外記者団を前に会見を行ってきた。 /// 続きは本誌ご参照
中小企業政策の重点対象は「小型」「微型」企業へ8
駒形哲哉  慶應義塾大学経済学部教授
全国人民代表大会(全人代)が3月14日に閉幕した。今回の政府活動報告では、中小企業振興が本格化した90年代末以降、初めて「中小企業」という言葉が一度も出てこなかったが、「中小企業」に代わって「小型微型企業」という言葉が登場することとなった。 /// 続きは本誌ご参照
省エネ型発展への転換は実現できるか――2012年政府活動報告の産業政策を読む12
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
今年3月に開かれた中国の全国人民代表大会で行われた政府活動報告のなかで、2012年の経済成長率の目標値を8年ぶりに8%を割る7・5%に定めたことが注目された。成長率目標の引き下げは厳しい環境に対応してやむなく行われたという側面があるが、成長率を適度に下げることは、中国にとって今や成長率よりも重要な目標であるはずの環境保護に関する目標を達成する上で有利だという見方もある。 /// 続きは本誌ご参照
農村の経済振興政策・社会整備政策の現状と課題16
大島一二  桃山学院大学経済学部教授
今世紀に入って、農村・農業部門の停滞は、「三農問題」と称され、中国社会における大きな課題として顕在化してきた。こうしたなかで、農業と他産業とのバランスのとれた成長による社会の安定を確保するため、中国政府は2000年代中頃から農業・農村部門への投入を徐々に拡大させてきた。 /// 続きは本誌ご参照
第11期全国人民代表大会第5回会議温家宝総理政府活動報告の要点(2012年3月5日)20
日中経済協会
2011年の活動回顧、2012年の経済社会発展主要目標、2012年の主要任務等 /// 続きは本誌ご参照

  2012年4月号(通巻219号)

スペシャルレポート   中国の小規模排水処理市場―日本企業参入の条件
転換期を迎える中国の水処理市場―小規模分散型排水処理市場の可能性8
澤津直也  日中経済協会業務部主任
都市部を中心に展開されてきた中国の水ビジネス市場の重点は、大きなポテンシャルを有する農村部に移りつつある。農村部の変化は加速しており、将来を見据えた提案が必要となっている。 /// 続きは本誌ご参照
中国における浄化槽ビジネス展開の可能性10
楊新泌  財団法人日本環境整備教育センター企画情報グループ情報担当チームリーダー
近年、世界の水資源への関心が高まり、特に水ビジネスに関する動きが活発になっている。国内では官民が連携して2025年に約86兆5000億円と見込まれる世界の水ビジネス市場への参入を急いでいる。また、25年までの中国水事業の市場が12兆6000億円と予想されており、先行する欧米勢に遅れをとっている日本企業が、近年中国の水ビジネス市場に積極的に参入する動きを見せている。一方、し尿の衛生的処理から出発した浄化槽は、これまでに途上国のし尿の衛生処理に試験的に導入された事例があるものの、現地での普及までには至っていない。本文は、中国で浄化槽ビジネスを展開する際の課題を整理し、浄化槽ビジネス展開の可能性について述べる。 /// 続きは本誌ご参照
バイオマス利用・農業集落排水処理における中国との連携14
岡庭良安  社団法人地域環境資源センターバイオマスチームリーダー
今次の訪中で視察した鶏ふんのメタン発酵施設(北京)、農村部の排水処理施設(上海)などの状況を報告し、日本のバイオマス利用・農業集落排水処理の課題などを踏まえ、中国との連携を探る。 /// 続きは本誌ご参照
下水汚泥と生ごみの混合メタン発酵と中国市場への普及の条件17
野池達也  日本大学大学院総合科学研究科教授
日中両国では常時、巨大な量の廃棄物バイオマスが排出されており、これらからは石油資源代替エネルギーを供給することが確実に可能であり、バイオマスエネルギーの生産はメタン発酵によることが最も有望である。本稿では下水汚泥と生ごみの混合メタン発酵を行う意義を紹介し、このシステムの中国における普及の条件を考察する。 /// 続きは本誌ご参照
メタン発酵普及のネック―液肥利用の可能性22
大土井克明  京都大学大学院農学研究科助教
メタン発酵により生成されるバイオガスは再生可能エネルギーであり、地球温暖化対策、また化石燃料の代替エネルギーとして期待されている。メタン発酵技術の普及に際してポイントとなるのが副生成物である消化液の処理である。本稿では国内でのメタン発酵消化液の液肥利用の取り組み、課題を紹介するとともに、中国での事例を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の循環型まちづくりへの提案―福岡県大木町の挑戦26
野口英幸  大木町役場環境課主査
中国で関心が高まっている循環型のまちづくり。本稿では、住民の協力と処理から資源化という発想の転換から資源循環システムを創り出した福岡県大木町の事例を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年3月号(通巻218号)

スペシャルレポート   日中自治体交流
道産品の販路拡大と観光客誘致に向けて―北海道の取り組み6
田邊弘一  日中経済協会上海事務所北海道経済交流室長
2011年12月、日中経済協会上海事務所の中に北海道経済交流室が設置され、北海道と中国との経済交流の促進に関する業務をスタートした。本稿では、北海道と中国との間におけるこれまでの交流について経済面を中心にレビューするとともに、今後、北海道経済交流室を中心にどのように交流拡大を図っていこうと考えているかを述べたい。 /// 続きは本誌ご参照
日中交流における自治体交流の意義―札幌市~交流の成果と今後の展望10
角田貴美  日中経済協会北京事務所札幌経済交流室室長
札幌経済交流室は2003年11月の開設以来、8年余にわたって、以下の3分野を中心に業務を行って来た。1)北海道内の企業への中国ビジネス支援、2)北海道への中国人観光客の誘客、3)国際交流の推進である。札幌経済交流室という名前のとおり、当室は札幌の企業への中国ビジネス支援および札幌への中国人観光客の誘客を基本業務としている。「北海道経済を牽引する道都」という札幌市の政策理念に基づいて、道内他地域の企業への中国ビジネス支援、北海道全体への中国人観光客の誘客にも取り組んでいる。 /// 続きは本誌ご参照
四川省・重慶市との経済交流拡大を目指して―中国との交流拡大に向けた広島県の取り組み14
広島県商工労働局海外ビジネス課
これまで沿海部を中心に中国との経済交流を進めてきた広島県は、広島県経済の活性化を図るため、将来的に有望な内陸地域の四川省・重慶市に目を向け始めた。県知事をはじめとしたトップセールスにも取り組む広島県の対中経済交流について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国・瀋陽市との互恵関係の構築―川崎市の取り組み18
川崎市総務局国際施策調整室
昨年、瀋陽市との友好都市提携30周年を迎えた川崎市。これまでも節目の年には数々のイベントを催してきたほか、最近では環境保護をはじめとして経済分野での実質的な交流が始まっている。今後は、環境関連での交流を引き続き深めるとともに、ビジネスベースでの交流に力を入れていく。 /// 続きは本誌ご参照
大連市との協力をアジアへ―北九州市の取り組み22
北九州市産業経済局地域産業振興部貿易振興課
30年以上にわたって大連市と友好関係を続けてきた北九州市では、自らの公害克服や大連市との協力事業の経験を活かして、中国の他の都市やアジア諸国に貢献できる道を探っている。 /// 続きは本誌ご参照

  2012年2月号(通巻217号)

スペシャルレポート   第6回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
日中省エネ・環境協力は新たな段階へ4
高見澤学  日中経済協会企画調査部課長
2011年11月26日、北京にて第6回日中省エネルギー・環境総合フォーラムが開催された。日中双方から約1000人が参加、議論の内容も個別の技術的アプローチからより総合的なシステム的アプローチへと進化し、新しい分野でのプロジェクト創生の広がりをみせている。その実施過程では、新たな課題に対応する必要も有り得る。日中省エネ・環境協力は新たな段階へと進むことになる。 /// 続きは本誌ご参照
全体会議7
澤津直也  日中経済協会業務部主任
李克強国務院副総理開会挨拶/枝野幸男経済産業大臣講演/張平国家発展改革委員会主任講演/張富士夫日中経済協会会長講演/李栄燦商務部部長助理講演/髙原一郎経済産業省資源エネルギー庁長官講演 /// 続きは本誌ご参照
トップランナー制度分科会10
十川美香  日中経済協会企画調査部長
本分科会は、2009年の第4回フォーラムから2回目の開催となる。中国の第12次五カ年計画(12・5計画)におけるトップランナー制度の導入が実現することとなった今回は、特に中国側参加者から日本側への具体的な質問が相次いだ。 /// 続きは本誌ご参照
グリーン建築物分科会12
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
グリーン建築物分科会は、中国でのグリーン建築に対する需要の高まりを受け、今回初めて開催された。 /// 続きは本誌ご参照
水処理・汚泥処理分科会14
山本祐子  日中経済協会事業開発部次長
水処理・汚泥処理分科会は、日本側90人、中国側50人計140人が参加、7分科会中最大規模となった。4回目の今回は、政策・技術に加え事業化に焦点をあて、冒頭で国家発展改革委員会資源節約環境保護司循環保護処馮良処長が、「中国の都市化は急速で解決すべき問題も多い。日本は工業化・都市化が成熟し、経験と先進的な技術があり、交流を強化して協力していきたい」と挨拶した。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済分科会15
加藤康二  日中経済協会企画調査部課長
循環経済分科会では、中国政府・関係機関から、都市鉱産政策および自動車リサイクル制度等の動向を紹介した。商務部では、廃車リサイクル解体業の発展促進政策構想として、1)政策法規標準システム整備の加速、2)廃車リサイクル解体ネットワークの完備、3)リサイクル解体業における仕組みの最適化を推進、4)リサイクル解体業の技術水準を向上、5)リサイクル解体業の秩序規範化をあげた。 /// 続きは本誌ご参照
新エネルギー自動車分科会17
中島俊輔  日中経済協会事業開発部長
自動車分科会は今年から新エネルギー自動車分科会と名を改め、昨年来のテーマである次世代自動車による交通・社会システムの構築を中心に据え、中国の国家プロジェクト、「十城千輌」事業と、日本政府が自治体と進めるEV・PHVタウン事業をとりあげ、中国地方政府と日本の自治体間交流を念頭におきながら、政策面と企業戦略面から交流した。 /// 続きは本誌ご参照
石炭・火力発電分科会19
太田圭  日中経済協会事業開発部主任
石炭・火力発電分科会は、09年、10年に続き、今回も分科会の一つとして開催された。 /// 続きは本誌ご参照
LT分科会(日中長期貿易協議委員会第6回定期交流)22
横山達也  日中経済協会
日中長期貿易協議委員会(LT)・省エネ等技術交流促進部会(部会長 前田泰生電源開発株式会社代表取締役副社長)と、中日長期貿易協議委員会・省エネ環境保護技術合作分会(分会長 張驥商務部機電科技産業司司長)が、省エネ・環境に関するビジネスを推進する場として毎年開催している定期交流は、6回目を迎え、今回も分科会の一つとして開催された。 /// 続きは本誌ご参照
省エネ・環境分野における日中間の協力合意案件(51件)24
日中経済協会
「日本国経済産業省と中華人民共和国国家発展改革委員会との省エネルギーおよび再生可能エネルギーの利用協力のさらなる展開に関する覚書」ほか51合意案件 /// 続きは本誌ご参照
パネル展示概要26
日中経済協会
株式会社東芝ほか、17社のパネル展示リスト /// 続きは本誌ご参照

  2012年1月号(通巻216号)

スペシャルレポート   2012年中国の政治経済
2012年の経済「内需を基調とした新調和モデル」への転換4
高橋満  東京大学名誉教授
2012年は中国にとって10年ごとに訪れる新しい政治体制に交代する政治上の刷新の年である。一方、経済上はこれまでの「産業投資と輸出」を動力とした「中国発展モデル」から「内需を基調とした新調和モデル」への転換に、本格的に取り組む最初の年になる。 /// 続きは本誌ご参照
「政治の年」を迎えた中国―「ポスト胡錦濤」への移行は順調にいくか8
朱建榮  東洋学園大学人文学部教授
2012年は10年に1度の指導者交代の年となる。新しい指導者には誰が選ばれ、新たな指導部はどのような新しい方針・政策を打ち出し、中国をどのように導くのだろうか。中国政治の現状と行方を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
EUとの経済関係と債務危機の影響12
蘭煒班  国務院発展研究中心国際合作局副局長、中国欧盟協会副会長
1975年の外交関係樹立以来、良好な経済関係を築いてきた中国とEU。中国とEUのGDP総額は約22兆ドル(2010年)で世界の3分の1を占める。現在、相互に最大の貿易パートナーとなるなど経済関係は深まりをみせているが、さらなる発展のための課題も有している。現在広がりを見せる欧州債務危機による影響も踏まえ、中国-EU経済関係の発展を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
経済政策の展望―通商政策と連動した中長期的課題への取り組み18
田村暁彦  日中経済協会北京事務所長、東京大学政策ビジョン研究センターシニアリサーチャー、経済産業研究所コンサルティングフェロー
2012年以降の中国経済政策の最大の課題は、「中所得国の罠」をいかに乗り越えるかである。第12次五カ年計画でもその処方箋の多くが示されているが、問題はいかに実行に移すかだ。そうした国内改革の推進と通商政策は連動している。本稿では、12年の中国経済政策を、通商政策の観点から展望する。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年12月号(通巻215号)

スペシャルレポート   六中全会分析
六中全会の決定からみる中国と日中関係の展望4
高原明生  東京大学大学院法学政治学研究科教授
2011年10月15~18日に第17期中国共産党中央委員会第6回全体会議(六中全会)が開催され、「文化体制改革の深化および社会主義文化の大発展と大繁栄推進における若干の重大問題に関する中国共産党中央の決定」が発表された。六中全会および本決定からみる中国、日中国交回復40周年を目前にした日中関係の展望について、新日中友好21世紀委員会メンバーである高原明生・東京大学教授に聞いた。 /// 続きは本誌ご参照
2つの課題―「ソフトパワー強化」と「文化建設」10
加茂具樹  慶応義塾大学総合政策学部准教授
今年10月に開催された中国共産党中央委員会会議は、文化体制改革と社会主義文化の発展に関する問題を議題として取り上げた。そこには「胡錦濤同志を総書記とする中国共産党中央」が抱える問題意識が投影されている。政権は、めざましい経済発展によって生じた社会構造と価値観の変化がもたらした問題、新興大国としての中国の国際的なイメージをいかに構築してゆくのか、という二つの課題に直面している。この課題は新しい政権にも継承される。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年11月号(通巻214号)

スペシャルレポート   2011年度(第37回)日中経済協会訪中代表団レポート
日中相互補完関係のなかで実務性深まる4
十川美香  日中経済協会企画調査部長
日中経済協会は、1975年に稲山嘉寛日中経済協会会長が団長として訪中し(参加者49人)、「日中経済協会の幹部は、特別の用事の有無に関わらず、年に一度は中国を訪ねるようにしたい」との決意を述べられて以来、毎年、日本の経済界を代表する「日中経済協会訪中代表団」を派遣してきた。37回目となった今回は、9月4日から10日まで、182人にのぼる参加者の訪中団となった。2年連続して、過去最大の参加規模を更新している。これは、日中両国経済の相互補完関係が実体として益々深まる中で、日本企業の対中ビジネスへの期待がより高まっている現れともいえよう。 /// 続きは本誌ご参照
李克強国務院副総理との会見8
日中経済協会
日中経済協会は、中日経済貿易協力の重要な促進組織であり、長期にわたって、中日経済貿易関係の積極的な発展と中国経済の健全な発展に努め、情熱を傾けてこられました。日中経済協会の貢献を私は高く賞賛したいと思います。 /// 続きは本誌ご参照
ビジネス環境改善に向けた新たな日中協力―商務部との全体会議12
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
商務部との全体会議では、「日中韓協力の推進」、「東日本大震災後の日中経済交流」のテーマをはじめ、中国のビジネス環境改善に向けた具体的な意見交換が行われた。 /// 続きは本誌ご参照
当面のマクロ経済政策と12・5 計画―国家発展改革委員会との全体会議15
澤津直也  日中経済協会業務部主任
国家発展改革委員会との全体会議では、両国の新たな協力のあり方について議論が交わされた。 /// 続きは本誌ご参照
戦略的新興産業と産業の高度化―工業信息化部との全体会議17
金子涼恵  日中経済協会業務部
両国の新たな協力のあり方を議論するため、中国の個別産業政策を所管する重要官庁である工業信息化部との間で会議を行った。 /// 続きは本誌ご参照
ASEANとの経済連携が急速な発展を促す―広西壮族自治区地方視察19
太田圭  日中経済協会事業開発部主任
北京での日程を終えた日中経済協会訪中代表団は、9月7日夜に広西壮族自治区桂林市へ移動した。住友商事の宮原賢次名誉顧問(日中経済協会副会長)が地方視察団の団長を務め、総勢77人が参加、広西壮族自治区を訪れた。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネス環境改善に関する要望事項を提出24
日中経済協会企画調査部
日中経済協会は、今次訪中代表団の派遣にあわせ、賛助会員と代表団参加団員を対象に中国ビジネス環境改善に関するアンケートを実施した。アンケートの回答結果は「要望事項」として取りまとめ、商務部との全体会議で日本側の議題として取り上げたほか、中国語に翻訳した要望文書は傅自應商務部副部長をはじめ、会議に出席した商務部の関係者全員に提出した。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年10月号(通巻213号)

スペシャルレポート   辛亥革命100周年の中国
辛亥革命100周年から見る現代の中国と日本4
川島真  東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻
100周年記念を迎え様々な記念行事が行われている辛亥革命について、現代中国ではどのような歴史的な位置付けが与えられているのだろうか。また、当時の時代風潮に反して辛亥革命を支援した日本人の動機と問題意識は、今の日中関係への示唆に富んでいる。 /// 続きは本誌ご参照
革命ドラマから大河ドラマへ―辛亥革命100年をどう描くか8
刈間文俊  東京大学大学院総合文化研究科教授
2011年は中国近現代史にとっていくつもの節目の年にあたり、これらを記念する映画やテレビドラマの世界では、革命ドラマの大河ドラマ化が進む。革命を描く窮屈さをどう考えればよいのだろう。 /// 続きは本誌ご参照
「孫文・梅屋庄吉と長崎」プロジェクト12
藤泉  長崎県参与
孫文と梅屋庄吉の友情は、辛亥革命から100年後の私たちに中国・アジアとの交流に通じる大きな遺産を残してくれた。両者はいずれも長崎とゆかりがあることから、長崎県では「孫文・梅屋庄吉と長崎」プロジェクトを立ち上げ、日中交流の拡大に取り組んでいる。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年9月号(通巻212号)

スペシャルレポート   産業高度化と戦略的新興産業2
流通産業発展のアンバランスの解消による産業高度化4
黄磷  神戸大学大学院経営学研究科教授
五カ年計画という政策手法は、中国の「社会主義市場経済」に指令性経済の特徴が色濃く残っていることを示すと同時に、その五年間における中国の地方政府、企業や国民のエネルギーが向けられる方向性もそこから読み取れる。第12次五カ年計画(要綱)は、経済発展方式の転換を加速することを主線とし、内需拡大、とりわけ消費需要拡大の長期有効なメカニズムの構築を持続的発展のための重大任務としており、また、サービス産業振興を経済成長の柱の一つとしてこれまで以上に強調している。本稿では「内需拡大」と「サービス産業振興」の二つの視点から、中国流通発展の現状と方向性を論じる。様々なアンバランスを抱える中国経済の発展においては、政策の方向性によって流通分野でも中国特有の様相になることを示したい。 /// 続きは本誌ご参照
産業の高度化と鉱物資源―レアアースおよびレアメタル資源の動向を中心に8
廣川満哉  独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構金属資源開発本部金属企画調査部特命調査役
中国の資源政策や需給動向が、レアアース、レアメタルをはじめ、ベースメタルなどの金属資源の世界需給や市況に大きな影響を与えている。第12次五カ年計画に掲げられた戦略的新興産業はハイテク製品分野が中心である。今後も中国での需要増大が見込まれ、その動向を世界中が注目している。 /// 続きは本誌ご参照
新材料産業発展で目指す産業高度化12
寒川雅彦  株式会社東レ経営研究所繊維調査部長
従来の労働集約型の組み立て産業を中心とする経済成長が困難になりつつある中、中国政府は産業高度化の方向を目指している。従来型産業の高度化を促進し、国際的競争力を持たせるために、新材料産業の発展には重要な意義がある。 /// 続きは本誌ご参照
「製造大国」から「製造強国」へ―ハイエンド機械設備製造業発展の展望16
近藤信一  一般財団法人機械振興協会経済研究所研究副主幹
戦略的新興産業の「支柱産業」の一つである「ハイエンド機械設備製造業」。主要工業品の生産量では世界一だが、技術力が低い「製造大国」から、ハイエンド機械設備製造業の発展により「製造強国」を目指すことで、国内の産業競争力の底上げを狙っている。 /// 続きは本誌ご参照
中国バイオ産業の現状と今後20
十川美香  日中経済協会企画調査部長
世界では新たなリーディング産業になりつつあるバイオ産業。12・5計画で「戦略的新興産業」の一つに指定されたが、11・5計画期からその準備が行われてきた。政府の政策的支援を受けて発展が見込まれる中国バイオ産業の現状と今後について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   広西チワン族自治区レポート
両区一帯・4つの戦略で発展を目指す24
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
2000年以降、西部大開発およびアセアン諸国との関係強化を追い風に、著しい成長が続いている広西チワン族自治区。「北部湾経済区」、「豊富な資源」、「広東省との連携」、「観光」の4つの戦略を柱に、今後の発展の加速を狙っている。 /// 続きは本誌ご参照
アセアン貿易の拠点―地理的優位性を活かす28
高見澤学  日中経済協会企画調査部課長
広西は637キロに渉るベトナムとの国境線を有しているほか、北部湾に面する約1500キロの海岸線を通じて、アセアンとの直接的な交易ルートを確保しやすく、特に北海、欽州、防城港の港湾は、いずれも東南アジアへの重要な貿易拠点となっている。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年8月号(通巻211号)

スペシャルレポート   産業高度化と戦略的新興産業1
「戦略的新興産業」の狙いと産業高度化の可能性4
後藤康浩  日本経済新聞社編集委員
第12次五カ年計画では戦略的新興産業が前面に打ち出され、産業政策は次世代産業育成型、国際競争力強化型へと変わりつつある。戦略的新興産業7分野をさらに3つのグループに分けて、産業の高度化の可能性を探る。 /// 続きは本誌ご参照
エネルギー分野での戦略的新興産業育成と原子力産業8
李志東  長岡技術科学大学教授
第12次五カ年計画では経済成長率の目標を低めに設定する一方、省エネ、新エネ開発に加えCO2排出原単位の削減を拘束性目標として規定している。中国は新エネ、省エネ産業を戦略的に国際競争力のある産業に育成しようとしている。 /// 続きは本誌ご参照
情報化・通信産業(新世代情報技術)―中国発グローバルスタンダードは実現可能か12
苑志佳  立正大学経済学部教授
第12次五カ年計画期における新世代情報技術産業では、新世代移動体通信、次世代インターネット、「三網融合」、モノのインターネット、クラウド、集積回路、新型ディスプレイ、ハイエンドソフト、ハイエンドサーバーおよび情報サービスを重点的に発展させるとしている。 /// 続きは本誌ご参照
循環経済に向けた中国の取組み16
染野憲治  東京財団研究員兼政策プロデューサー
中国における「循環経済」は、ドイツや日本を手本としながら、中国の国情に沿った概念として定着しつつある。日本における「循環型社会」の形成が大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会により生じる廃棄物、温暖化問題など環境政策上の要求からスタートしたのに対し、中国の「循環経済」は環境問題のみならず資源問題、貿易問題といった経済政策上の理由を含んでおり、日中間で概念はやや異なる。中国の「循環経済」は、日本の「循環型社会」の核心部分である、いわゆる廃棄物の循環利用(3R:Reduce・Reuse・Recycle)のみならず、エネルギー・鉱物資源の節約や高効率利用、節水、大気や水の汚染物質の抑制なども含まれており、「持続可能な社会」という概念に近い。 /// 続きは本誌ご参照
中国のスマートシティ建設における日立の取り組み20
齊藤裕  株式会社日立製作所執行役常務情報制御システム社社長兼スマートシティ事業統括本部副統括本部長
中国で現在具体化しつつあるスマートシティは、今後の世界のスマートシティ建設のモデルになるといわれている。この中国スマートシティ建設において、日立は「天津エコシティ」、「広州ナレッジシティ」プロジェクトに参画し、低炭素社会の実現に向け貢献している。 /// 続きは本誌ご参照
新エネルギー車―電気自動車の普及を目指す中国24
渡部陽  日中自動車交流協会理事長
20世紀は石油の時代であり、21世紀は電気あるいは水素の時代だといわれる。2010年は電気自動車元年ともいわれている。中国は、2009年に自動車の生産販売で世界第1位になったと同時に、世界最大のエネルギー消費国となり、新エネルギー車への早期転換が望まれている。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年7月号(通巻210号)

スペシャルレポート   中国社会保障制度改革
加速する中国社会保障制度 改革と課題―「国民皆保険、皆年金」を目指して5
北原基彦  公益社団法人日本経済研究センター中国研究室長兼主任研究員
「調和の取れた社会」建設の柱と位置づけられる社会保障。都市・農村での制度分断や急速に進行する高齢化など、その実現への課題は多いものの、2020年の「国民皆保険、皆年金」の実現を目指して、制度整備の足取りを速めている。 /// 続きは本誌ご参照
「高齢化の地球的進行」と日中協力の可能性10
広井良典  千葉大学法経学部総合政策学科教授
地球的規模の高齢化が進む中、中国は高齢者の「絶対数」において今後世界をリードするポジションにある。「高齢化」において先駆してきた日本がその経験を踏まえ、両国が双方向的な協力を進めていくことは、不可避であるとともに世界全体にとっても意義ある課題である。 /// 続きは本誌ご参照
拡大する医療格差と医療保険の課題14
澤田ゆかり  東京外国語大学外国語学部地域・国際講座東アジア課程教授
中国の富裕層の間で日本の医療サービスへのニーズが高まっているが、その裏側には自国の医療への不満が存在する。今年1月に訪問した上海、北京の病院で目の当たりにしたのは、市場化で勢いを増す医療の産業化と医療格差の拡大であった。 /// 続きは本誌ご参照
企業法務の視点からの社会保険制度改革18
熊琳/章啓龍  大地法律事務所
2011年7月1日から『中華人民共和国社会保険法』が施行される。これは社会保険制度改革の大きな一歩として評価できる一方で、課題も数多く残されている。これらについて企業法務の観点から分析し、今後の制度整備と改革の方向性を示す。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年6月号(通巻209号)

スペシャルレポート   再燃したインフレの背景と対策
インフレの背景と財政面からの対策5
田中修  日中産学官交流機構特別研究員
3月の全人代での温家宝総理政府活動報告では、「物価総水準の基本的安定の維持」を最重要課題とするなど、再び中国でのインフレ懸念が高まっている。今次インフレの背景と中国政府の対策について、財政面を中心に分析する。 /// 続きは本誌ご参照
総力戦で臨むインフレ対策―金融面から見た中国のインフレ8
村瀬哲司  龍谷大学経済学部教授
今年のマクロ経済の最大の課題といわれるインフレ抑制。この課題克服のため、様々な政策が総動員されているが、金融政策の効果には大きな制約と限界がある。今回のインフレを2008年時と比較し、主に金融面から政府の対策と今後の動向について展望する。 /// 続きは本誌ご参照
インフレの影響とその対策がもたらす副作用14
遊川和郎  北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授
今次のインフレを見る場合、経済における不動産への依存と中国経済と世界経済との一体化の進展という大きな背景を無視することはできない。こうした視点を踏まえつつ、今次のインフレとその対応策が中国の経済成長に与える影響を分析する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の住宅バブルの行方―バブル抑制と経済成長維持のジレンマの中で18
柯隆  株式会社富士通総研経済研究所主席研究員
順調に経済成長を続けている中国経済であるが、その足元では住宅バブル深刻化の懸念が高まっており、バブル抑制と成長維持のジレンマに陥っている。なぜ住宅バブルが起きているのか。その原因と政府の対応策、今後の展望を探る。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年5月号(通巻208号)

スペシャルレポート   第12次五カ年計画期の中国
社会矛盾の解決の方針と可能性―三農問題と環境問題を中心に4
小島麗逸  大東文化大学名誉教授
高度成長による社会矛盾の解決を目指した第11次五カ年計画は、超高度成長を成し遂げたものの、社会矛盾を緩和させることはできなかった。こうした社会矛盾は、過激行動の増加を招いている。第12次五カ年計画では、こうした問題をどのように解決させようとしているのだろうか。 /// 続きは本誌ご参照
7%に抑えられた新五カ年計画の成長目標―その意味と評価8
関志雄  野村資本市場研究所シニアフェロー
第12次五カ年計画で提示された今後5年間の経済成長の目標は7%と、第11次五カ年計画期の実績(11.2%)と比較すると、控え目の水準に設定された。本稿では、こうした目標設定にいたった背景と、今後の成長のカギとなる発展パターンの転換について分析する。 /// 続きは本誌ご参照
低炭素経済のリーダーを目指す中国―第12次五カ年計画の産業政策12
丸川知雄  東京大学社会科学研究所教授
第12次五カ年計画は内政に関わる「守り」の課題が多い中、産業政策については「攻め」の姿勢が目立っている。注目されるのは、11-5計画までは存在しなかった「戦略的新興産業」である。 /// 続きは本誌ご参照
第11期全国人民代表大会第4回会議温家宝総理政府活動報告の要点(2011年3月5日)16
岡本謙三  日中経済協会企画調査部
「第11次五カ年計画」期の回顧、「第12次五カ年計画」期の主要目標と任務、今年度の経済社会発展目標、2011年の活動 /// 続きは本誌ご参照
第12次五カ年計画を読む―中華人民共和国国民経済・社会発展第12次五カ年計画要綱(要約)22
日中経済協会企画調査部
今年3月の全人代で採択された第12次五カ年計画。今年から2015年までの5年間の発展の方向性や目標が掲げられている。本号では当該計画の要約と経済関係の重点コラムを掲載する。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年4月号(通巻207号)

スペシャルレポート   東アジア・太平洋地域経済連携の可能性
21世紀型地域主義を世界に示す―東アジアにおける広域FTA構想4
木村福成  慶應義塾大学経済学部教授、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト
世界金融危機からいち早く成長軌道に戻り、国際政治の場面でも発言力を増しつつある東アジア。これまで経済関係を優先させてきた東アジアだが、新興国の台頭による地政学的構造の変化で政経分離が難しくなりつつあり、東アジアとアジア太平洋の役割分担に見直しが迫られている。 /// 続きは本誌ご参照
アジア太平洋地域協力の新たな動向と中国のFTA戦略8
趙晋平  中国国務院発展研究センター対外経済研究部副部長・博士
現在、世界経済はすでに国際金融危機の影響から脱し、グローバル経済の枠組みに変化が生じている。こうした背景の下、新たな環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の動向に注目が集まっている。 /// 続きは本誌ご参照
急速に拡大する韓国のFTAネットワーク12
百本和弘  日本貿易振興機構ソウル・センター次長
スタートこそ遅かった韓国のFTA戦略だが、一気に加速し、米国、EUとのFTAもすでに発効間近だ。現在「締結交渉中」、「交渉準備または共同研究中」のFTAが発効すると、韓国の貿易総額の84%がFTA対象国との貿易で占められることになる。今後は日本、中国とのFTA交渉の行方が注目される。 /// 続きは本誌ご参照
アジア太平洋地域の経済連携を通じビジネス機会を拡大せよ16
美甘哲秀  丸紅経済研究所長
昨年6月、政府は元気な日本の復活を狙った新成長戦略を発表した。このなかで7つの成長分野が盛り込まれ、とりわけ注目されるのが「アジアの活力」をいかに取り込むかという視点である。これを実現するための施策として、アジア太平洋地域における経済連携協定(EPA)は重要な役割を担うとみられる。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年3月号(通巻206号)

スペシャルレポート   世界最大の市場に挑む!関西企業の中国ビジネス戦略
グローバル市場の縮図中国で夢を実現―今後、中国は世界にどのような影響を与えるか4
田谷野憲  ダイキン工業株式会社専務執行役員
中国市場は世界で最も注目される市場として成長を続けている。これまでは日本市場、海外市場と区別される時代であったが、今や中国が「世界最大の市場」を足元にもつ「世界最大の生産国」となり、世界市場に大きく影響を与えている。欧米、韓国メーカーがすでに中国を軸とした世界戦略、グローバル展開を始めている中、日本企業が中国市場をどのようにとらえ、視野に入れていくかが問われている。 /// 続きは本誌ご参照
小さく産んで大きく育てる―東罐マテリアル・テクノロジーの中国事業展開10
片岡浩司  東罐マテリアル・テクノロジー株式会社常務取締役社長室長
2001年に上海に初めての中国子会社を設立、翌年に福建省厦門に2つ目の現地法人を設立して化学品の製造販売を行っている東罐マテリアル・テクノロジー。中国進出の背景とこれまでの歩みを紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
「お客様第一主義」で平和堂ブランド構築14
古川幸一  株式会社平和堂常務取締役管理本部長兼社長室長兼中国室長
早くから内陸部の湖南省に進出し、現在3店舗を構え、地域に根ざした成長を続けている平和堂。この成長の背景には、中国でも「お客様第一主義」を徹底したことがある。本稿では、中国でのビジネスの難しさも含め、進出からこれまでの成長の過程を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
輸出依存体制を脱却、中国国内市場への浸透を20
頭金孝仁  タテホ化学工業株式会社取締役総務部長
原材料供給と輸出の利便性の面から遼寧省大連市に進出した酸化マグネシウム専業メーカーのタテホ化学工業。昨年の賃上げサボタージュを経験するなど、これまで多くの困難を乗り越えてきた。輸出依存体制では今後の経営が困難となることが予測され、中国国内市場への販売強化が課題となっている。 /// 続きは本誌ご参照
「食料」「水」「環境」分野での課題解決で世界に貢献24
木村雄二郎  株式会社クボタ執行役員戦略企画室長
水道・ガス整備事業へのバルブ等の納入を足掛かりに、農業機械販売で大きなシェアを獲得したクボタ。さらに、建設機械、水処理の分野にも進出し、中国ひいては世界の「食料」、「水」、「環境」分野での課題解決に向けて、事業を展開している。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年2月号(通巻205号)

スペシャルレポート   中国水ビジネスの可能性
中国水処理市場の動向5
傅濤  清華大学環境系水業政策研究センター主任・博士
市場化改革が進んでいる中国水処理市場。政策誘導型であるため、政府の産業政策が、この市場の発展の方向を大きく左右する。今後の当該産業に対する政策の方向性とともに、市場動向を解説する。 /// 続きは本誌ご参照
産業チェーンサービス方式で急成長―金州集団の中国発展戦略10
景星  金州環境集団総裁特別助理
急速に拡大する中国水ビジネス市場の中で、苦戦が続いた日本勢とは対照的に、大きく成長を続けてきた金州集団。これまでどのような成長を遂げ、今後はどのような発展戦略を描いているのか。また、水市場をどのように見ているのか。こうしたことは、同市場への進出を狙う日本企業にとって多くの示唆を与えてくれる。 /// 続きは本誌ご参照
戦略転換で差別化を図る―欧米企業の中国水市場へのアプローチ14
内藤康行  チャイナウォーターリサーチ(CWR)代表
拡大を続ける中国水ビジネス市場で、欧米企業は一線都市を中心に、資金力と運営力、技術力を駆使して覇権を争っている。今後は二、三線級都市へとターゲットを移し、国内外企業との競争に打ち勝つための戦略転換が行われる。 /// 続きは本誌ご参照
現地企業との戦略的提携を通じてビジネスチャンスをつかむ―丸紅の中国における水事業展開20
井上聡一  丸紅株式会社環境インフラプロジェクト部環境インフラ第二チームチーム長
1999年に成都市での中国初の民間100%によるBOT案件への参画で中国水市場における取り組みをスタートさせた丸紅。しかし、その後は思うように新たな事業への参入を果たせずにいた。09年、安徽国禎環保への出資参画を実現、同社を戦略的コア会社として、中国での水事業展開を担う。 /// 続きは本誌ご参照
日本型水インフラビジネスモデルの構築を―中国水インフラビジネスの課題と克服のカギ24
本郷尚  株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行環境ビジネス支援室長
中国水インフラビジネス市場の規模は今後世界最大級になると見込まれている。日本企業がこの巨大な中国市場に進出するための課題と、その克服のカギを解説する。 /// 続きは本誌ご参照

  2011年1月号(通巻204号)

スペシャルレポート   2011年の中国経済
成長と構造改革のジレンマ4
柯隆  富士通総研主席研究員
ここ2、3年の中国経済は五輪や万博によって牽引され、イベントエコノミーといっても過言ではない。成長こそ持続しているが、種々の構造問題を抱えているのも事実である。2011年の中国経済の運営は構造上の均衡を図る「リバランス」が中心になると予想される。 /// 続きは本誌ご参照
中国の市場特性とアプローチ―内陸3、4級都市を視野に8
安江真理子  電通総研研究主幹
中国は北京オリンピック以後、沿海部が経済を牽引する構造の飽和感、輸出から内需主導型への転換、貧富の格差解消政策、都市化政策など多くの要因によって、成長の波が沿海から内陸へ及び始めている。こうした地方における中規模以下の都市を視野に入れたマーケティングアプローチについて考えてみたい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   第5回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
本格的環境インフラ市場時代の到来12
谷崎秀樹  日中経済協会業務部次長
「第5回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」は2010年10月24日東京において開催された。日本側は当協会と経済産業省、中国側は国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館がそれぞれ主催者となり、協賛9機関、後援18機関の協力を得て、日本側約700人、中国側約400人、合計1100人以上が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
分科会18
日中経済協会
LED照明・省エネビルディング分科会循環経済分科会/水処理・汚泥処理・ごみ焼却発電分科会/自動車分科会/低炭素(CCS-EOR)分科会/石炭・火力発電分科会/中小企業の省エネ・ESCO分科会/日中長期貿易協議委員会(LT分科会) /// 続きは本誌ご参照
省エネ・環境分野における日中間の協力案件および過去の調印案件の優良事例の選定について29
日中経済協会
平成22年10月24日、東京で開催した「第5回日中省エネ・環境総合フォーラム」で、過去最多の44件の省エネ・環境分野における協力案件が日中間で合意された。 /// 続きは本誌ご参照

  2010年12月号(通巻203号)

スペシャルレポート   17期五中全会分析
ポスト胡錦濤政権は利益調整型に4
加茂具樹  慶應義塾大学総合政策学部准教授
胡錦濤政権の任期は残すところ2年余りとなり、ポスト胡錦濤政権の行方に注目が集まっている。こうした中で開かれた中国共産党17期5中全会(17期五中全会)では、習近平が中国共産党中央軍事委員会副主席(党中央軍事委副主席)に選出された。 /// 続きは本誌ご参照
12・5計画の方向性を読む8
石里宏  三菱総合研究所海外事業研究センター国際戦略研究グループシニアコンサルタント
五中全会で発表された「国民経済と社会発展第12次五カ年計画(12・5計画)制定に関する中共中央の提言」において、12・5計画の方向性が示された。2011年からの中国経済はどのようになるのか。12・5計画期の中国経済を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   日中企業による国際プロジェクトの協力展開
日中企業間の協力は新展開へ―日中両国企業の第三国協力に対する国際協力銀行の取組み12
宮部大輔  株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行アジア大洋州ファイナンス部第1班課長
日本企業と中国企業が第三国において協力して事業を行う新しいケースが出てきた。JBICは、中国輸出入銀行と日中両国企業の第三国協力にかかる覚書を締結するなど、新たな状況に対応しつつ、積極的に日本企業の支援を行っている。こうした支援について、事例を挙げつつ紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
相互補完関係構築で第三国プロジェクトを受注―丸紅と中国東方電気集団の事例16
室家健  丸紅株式会社海外電力プロジェクト第一部海外電力プロジェクト第五チームチーム長
2005年、日本・丸紅株式会社と中国・東方電気集団公司コンソーシアムが、各社それぞれの強みを活かし、相互補完関係を築くことによって、ベトナムのハイフォン石炭火力発電所建設工事を受注した。 /// 続きは本誌ご参照

  2010年11月号(通巻202号)

スペシャルレポート   2010年度(第36回)日中経済協会訪中代表団レポート
日中経済関係、回復・安定化の先を見据えて4
高見澤学  日中経済協会企画調査部課長
金融危機の影響が依然として色濃く残る世界経済だが、中国はいち早く景気回復を実現し、不確定要素を抱えながらも経済は次第に安定化の様相を呈している(第1図)。こうした状況の中、日中経済協会は、今年で36 回目となる訪中代表団を9月5日から9月11日まで、北京と河南省に派遣した。