日中経協ジャーナル。

最新3冊のダウンロードと印刷(会員限定)
パスワード
(随時変更)
全てから題名著者・所属要旨
熱点話題自動運転   国有企業   第三国市場   中国   第三国   有田
年次・巻号指定 分類指定
□ よくある質問と答え

最近1年 / 12冊124記事 を、新しい号から順に表示しています。

  2025年5月号(通巻376号) 2025年5月号(通巻376号)表紙

巻頭言・挨拶
日中人的・文化交流対話の再開と未来への期待1
赤坂祐二  日中経済協会理事、日本航空株式会社取締役会長
当社は、1972年日中国交正常化の2年後(1974年)に、中国国際航空とともに、初の日中定期便路線を開設しました。国交の正常化と直行便の開設は、相互の人的交流を促し経済活動進展の基礎ともなったと理解しています。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
中国自動運転体験記2
佐々木伸彦  日中経済協会理事長
2024年12月の「中国自動運転考察ミッション」については、既にジャーナル3月号に松下聡当協会副会長(三菱電機株式会社グローバルチーフアドバイザー)から貴重な体験記を寄稿いただいている。中国の各都市で自動運転車が実社会に溶け込んでいる様子を体験してきて、「これはマズイな」と感じ、日本企業は中国に学ぼうとする謙虚な姿勢を持ち、新しい日中の協力関係を模索すべきではないか、という提言をされている。上海、蘇州、武漢で同じ体験をし、その体験を語り合いながらの5日間の旅であったが、自動運転ミッションは当協会の目玉事業とすべく、7月には広州、深圳を予定して来る。本稿では中国自動運転車の体験を、もう少し詳しく紹介していきたい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   自動化の未来―日中連携の可能性を探る
自動運転コミュニティバスを地域に活かすには─日米中の社会意識比較調査から5
遠藤薫  学習院大学名誉教授
現在、日本のみならず中国、米国でも、地域の人口減少や経済の衰退、労働力不足などが深刻化している。その結果として、公共交通の維持が困難になり、地域住民の生活の質の低下や、社会的孤立の原因ともなっている。この問題の解決策の一つとして期待されているのが、自動運転技術である。しかし、自動運転技術の社会実装には、技術的課題だけでなく、法整備や住民受容など様々な課題が残されている。日米中の社会意識比較調査を踏まえつつ、自動運転コミュニティバスの今後を考える。 /// 続きは本誌ご参照
制約の中でシステムを磨く中国の自動運転企業の今9
新添麻衣  SOMPOインスティチュート・プラス株式会社研究部シティ・モビリティ領域上級研究員
本稿では、自動車の自動運転の動向を取り上げる。ロボットタクシーに代表される無人サービスの社会実装では米中が最先端をゆき、中国企業の海外IPOや自動運転システムの輸出も活況になってきている。一方、中国国内では規制面の制約があり、開発企業は思うように運行できない苦しさもある。レベル4の開発の裏で、マイカー向けのレベル2+を並行して開発し、システムの高度化を進めている中国勢の動きも見逃せない。 /// 続きは本誌ご参照
少子高齢化に伴う労働力不足問題に対する内航海運の取り組みー自動運航船・無人運航船の社会実装に向けた挑戦13
桑原悟  日本郵船株式会社船長、(出向)株式会社日本海洋科学執行役員運航技術グループ長
日本は島国であることは日本国民の誰もが知っているであろう。しかし、日本の物流を支えているのが海運であることを知る日本人が果たしてどのくらいいるのであろうか。日本の輸出入における外航船の輸送割合は約9・9割を占めている。また、国内貨物輸送の約4割、産業基礎物資輸送の約8割の輸送量を内航船が担っている。海運は、貿易や国内輸送の両方で重要な役割を担っており、島国日本の国民生活や経済活動を支える基幹的な輸送インフラなのである。しかし、そんな基幹的な輸送インフラの一端を担う内航海運も、日本が抱える社会問題である少子高齢化に伴う船員不足に苦しみ危機に陥っており、国内物流の健全性を損ない国民生活に影響を与えようとしている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の「低空経済」の現状と課題17
町田穂高  株式会社パナソニック総研主席研究員
中国は低空域を利用して行われるビジネスを「低空経済」と位置付け、中央政府と地方政府がこぞって優遇政策を打ち出し、関連法整備を進めるなどして、「低空経済」の発展を推進している。その背景には、中国経済の景気回復の狙いに加え、最先端分野の産業を先取りして国際社会で主導的な立場を取ろうとする意図もあると考えられ、日本としても動向を良く注視し、必要な対応を取っていく必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
自動運転の未来―日本の鉄道と交通システムの革新21
渡邉洋輔/麻生勇人/長谷川稜  一般財団法人運輸総合研究所研究員
自動運転技術の進展は、交通システムの革新を促進し、私たちの移動のあり方を根本から変えようとしている。本インタビューでは、鉄道やバスなどの公共交通機関における自動運転の実用化が進む中、日本の鉄道は世界の中でどのような立ち位置にあるのかも含めて、今後何を目指すのか、一般財団法人運輸総合研究所の専門家に伺った。 /// 続きは本誌ご参照
CHINA TREND CHECK
日中経済協会上海事務所・成都事務所4年間を振り返り26
笹原信  日中経済協会上海事務所・成都事務所前所長
筆者は2021年4月から25年3月まで4年間、当協会上海事務所長、同時に成都事務所長も兼務した。ここでは、筆者サラリーマン人生最後の4年間の任期で目の当たりにしてきた中国を振り返っていきたい。4年間で、筆者が大事にしてきた「人とのつながり」をテーマに、溢れるほどの思い出から読者の皆さまに現場での話をお伝えしていく。読者の皆さまにもぜひお付き合いいただき、コロナ以降まだ中国へ渡航していない皆さまに現地の様子をお届けする。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
無固定期間労働契約の最新司法動向および企業対策30
朱立/曾立圻  ダン・リーグ法律事務所日系企業法律サービスセンター代表エクイティ・パートナー弁護士/同センターエクイティ・パートナー弁護士
中国は2008年1月1日に実施し始めた「労働契約法」では、それまでと比較し、非常に重要な規定の一つとして、「無固定期間労働契約」の締結要求を強化したことです。上海地域では、司法体系における判決傾向が異なることから、長い間、使用者に無固定期間労働契約の締結を求める圧力が他の地域に比べかなり小さかったが、25年に入り、上海の司法体系は判決傾向の調整を開始しています。長期的に見れば、上海地域を含め中国では、無固定期間契約の締結を常態化すると考えられます。そこで、中国における日系企業がどのように対応すべきかについて、注目度がかなり高い問題と結び付けて解説します。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2025年3月32
日中経済協会
「日中青年交流訪日団」の来会/「中国(深圳・光明区)-日本(東京)経済貿易交流会」を後援/「『春の中国:世界と共有中国のチャンス』グローバル対話会」に参加/2024年度第7回賛助会員セミナー「生成AIの世界最新状況」の開催/「『春の約束・桜観賞』経済貿易商談会」に参加/中国国際貿易促進委員会長春市分会一行の来会/青島市外事弁公室一行の来会/2024年度関西地区会員懇談会を開催/招遠市一行の来会/「成都市錦江区投資誘致推進会」に参加 /// 続きは本誌ご参照

  2025年4月号(通巻375号) 2025年4月号(通巻375号)表紙

巻頭言・挨拶
人民元の国際化、あるいは世界の中国化1
林信光  日中経済協会理事/株式会社国際協力銀行代表取締役総裁
人民元の国際化などあり得ない。米ドルを唯一無二の準備通貨としている、米国の軍事・政治・経済から文化にわたる存在は圧倒的で、その金融市場に変わるものはない。中国と人民元にその資格があるか。人民元決済はBRICS諸国間では拡大するだろうし、準備通貨の武器化を警戒する動きも観察される。しかし、中国には資本市場を自由化して人民元を国際的に流通する通貨にする意図はない。あったとしても中国共産党が差配する世界に組み込まれることを、どれほど多くの国が望むのか。中国が目指すのは人民元の国際化ではなく、国際社会における中国の影響圏の拡大ではないか――。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   知の創造と進化で新たな地平を拓く―互恵互利と相互信頼で築く日中新時代:2024年度日中経済協会合同訪中代表団抄録
不確実性が高まる国際情勢下の日中相互理解と協力の探求2
加藤康二  日中経済協会調査部
1975年の第1回派遣から50年目を迎えた第47回日中経済協会合同訪中代表団は、北京市(2月16~19日)と湖南省長沙市(2月19~21日)を訪問した。日本の経済界を代表する本代表団は、国家指導者会見をはじめ、経済所管官庁との会議や湖南省政府・企業等との交流の機会を活用して、活発な議論を展開した。 /// 続きは本誌ご参照
何立峰国務院副総理との会見―一衣帯水の隣国同士が築く調和と成長への道4
佐々木悠子  日中経済協会調査部
第47回日中経済協会合同訪中代表団は、何立峰国務院副総理と会見した。訪中代表団の十倉最高顧問、進藤団長、小林最高顧問は、中国ビジネスにおける日本企業や在留邦人の安全の確保、中国側の輸出管理緩和などについて要望を述べた。何副総理は、中国経済の成長とビジネス環境改善への意欲を示した。 /// 続きは本誌ご参照
国家発展・改革委員会との全体会議―持続可能な社会と日中協力の可能性8
平槇早彌佳  日中経済協会調査部
進藤孝生団長(日中経済協会会長):過去最大規模に次ぐ約230名が参加する今回の訪中団は、日本経済界の中国との経済交流に対する期待の高さを示している。世界各地の紛争や保護主義的な関税賦課などのリスクがある中でも、中国経済の持続的な安定成長は世界の安定に大きく貢献するものであると考える。 /// 続きは本誌ご参照
商務部との全体会議―貿易・投資の新たな発展に向けて12
蝦名康平  日中経済協会調査部
進藤孝生団長(日中経済協会会長):本訪中団は約230名が参加、これは日本経済界の中国との経済交流に対する期待の高さを示すものである。本日は「貿易・投資の新たな発展に向けて」をテーマに意見交換し、日中経済協力の深化と世界経済への貢献に向けた議論を期待する。「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)2024年版」により、製造業の参入規制が撤廃されたことなどを歓迎する。一方で、安全保障上の懸念を理由とする輸出管理や過当競争への適切な対処、公平・公正な競争環境の確保を求める。また、法制度の整備や適切な運用、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく自由なデータ移転などの実現も期待。具体的な提言・提案は「中国ビジネス環境改善への提言」をご覧いただきたい。 /// 続きは本誌ご参照
工業・信息化部との全体会議―日中産業協力の新たな可能性16
髙橋紗樹  日中経済協会調査部
熊継軍工業・信息化部副部長:中国の工業経済は安定成長と革新が進んでいる。2024年には国内総生産が134兆9000億元、規模以上工業の付加価値額が40兆5000億元に達し、ハイテク製造業における付加価値額も前年比で8・9%増加した。中日の産業協力は互恵関係にあり、両国は重要な経済パートナーであると考えており、中国は特に製造業や情報通信分野での開放政策において日本企業にとって有益なビジネス環境を提供している。今後は中日がともに強い競争力を持っているデジタル経済、AI、新エネルギーなどの分野でさらなる協力を期待したい。 /// 続きは本誌ご参照
21世紀日中関係展望委員会(第19回)提言書要旨―知の創造と進化で新たな地平を拓く:互恵互利と相互信頼で築く日中新時代20
日中経済協会
1.国際秩序の維持と平和の実現、2.健全な日中関係に向けた交流の促進、3.中国ビジネス環境のさらなる改善、4.世界に貢献するアジアの価値観の創出。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネス環境改善要望アンケート結果報告21
蝦名康平/髙橋紗樹  日中経済協会調査部
2024年、中国の外資実際利用額は8,262億5,000万元(前年比27.1%減、商務部発表)と外商投資の縮小が続いた。また、社会消費品小売総額は前年比3.5%増であるものの、伸び率は前年比3.7ポイント下落と、景況の閉塞感が否めない。加えて米中対立に起因するデカップリング、米国の対中輸入関税増など、日本企業は中国における事業展開への対応を迫られている。ここでは、当会賛助会員企業を中心に実施した、中国事業に関するアンケートの結果と、本訪中団で商務部へ手交した「ビジネス環境改善の提言」作成にあたって寄せられた、事業環境上の問題認識についてまとめた。(アンケート実施期間24年9~11月) /// 続きは本誌ご参照
湖南省訪問団報告―進化する内陸都市と日中ビジネスの新機軸24
佐々木悠子  日中経済協会調査部
古来より豊かな天然資源に恵まれた湖南省には、近年他省からの人口流入が続いており、省都の長沙市では製造業やハイテク産業など多彩なセクターが成長している。また、長沙市は、「網紅都市」と呼ばれ、若者に非常に人気のある都市である。「網紅」は中国のインフルエンサーを指し、彼らの発信を見た若者など多くの旅行者が訪れた結果、2023年の観光客数はのべ1億9500万人にものぼったという。長沙市は、内陸地域の代表的な都市として成長が著しい。今後の日本企業と湖南省企業の連携など新たな日中経済協力の可能性を模索するため、日中経済協会合同訪中代表団(以下、本訪中団)の5年ぶりの地方訪問先として湖南省長沙市を訪れた。 /// 続きは本誌ご参照
CHINA TREND CHECK
中国駐在員の安心・安全な生活を支える現地における意識と取り組みの現状26
宮奥俊介  日中経済協会北京事務所副所長
改正「反スパイ法」の施行など国家安全に関連した法制度が強化される中、2024年に中国で相次いで発生した事件。これに伴って中国への赴任、まして家族を帯同しての渡航をためらう駐在員の声も聞かれるようになった。政府・企業にとって駐在員とその家族らの安心・安全な生活へのサポート体制の構築がこれまで以上の課題となり、取り組みが進んでいる。また景気停滞が中長期化の様相を呈し始めるとともに、ビジネスモデルの転換を迫られた企業が製造拠点としての中国を見直す動きもこれに拍車をかけている。本稿では駐在員データや関連企業へのヒアリング結果などから紐解きつつ、25年1月より北京に赴任した筆者自身の経験も交え、その実情を明らかにしたい。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国事業再編における労務リスク対策30
能瀬徹  上海華鐘投資コンサルティング有限会社董事・総経理
弊社は広東省広州市と天津市に各100%出資の生産型現地法人を保有(いずれも土地を購入し自社工場を建設)しており、前者をA社、後者をB社とします。A社は会社設立以来業績不振状態にあり、A社の清算、またはB社を存続会社としてA社を吸収合併することを検討しております。これら再編に関わる労務リスク対策について教えて下さい。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2025年2月32
日中経済協会
日中経済協会合同訪中代表団を派遣/中国国際人材交流協会日本国駐在事務所・新年交流レセプションに参加/「中国天津濱海新区-日本貿易協力懇談会」に参加/中国若手行政官等長期育成支援事業(JDS中国)の研修プログラムへの協力 /// 続きは本誌ご参照

  2025年3月号(通巻374号) 2025年3月号(通巻374号)表紙

巻頭言・挨拶
持続可能な日中関係を築くために1
平野信行  日中経済協会副会長、株式会社三菱UFJ銀行特別顧問
最近の日中関係は、2024年11月にペルーで行われた石破首相と習近平国家主席による首脳会談や、12月に岩屋外務大臣が訪中して行われた日中外相会談など、重要な動きがありました。地方レベルでも、24年春以降、行政府にとどまらず党幹部の訪日が相次いでいます。そうした中で、懸案だった短期渡航ビザ免除や日本産水産物の輸入再開への方向性で合意するなど、政治・外交面においては一定の関係改善がみられます。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
中国イノベーション最新事情―中国自動運転考察ミッションに参加して見えたこと2
松下聡  日中経済協会副会長、三菱電機株式会社グローバルチーフアドバイザー
中国のイノベーションは自動運転に限らず「国家を挙げての実証体制」により圧倒的スピードで進みつつある。これは過去の高速鉄道網の構築振りを見ても自明のことである。日本はこの事実を直視し、虚心坦懐に教えを乞うマインドセットをまず持ち、胸を借りつつも日本の強みを日中互恵によりさらに生かす手立てを考える時が来た。さもなければ「失われた30年」が40年、50年となりかねない。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   「超学歴社会」の雇用・就業動向と人材確保
デジタル時代の中国の大卒就職戦線6
箱﨑大  独立行政法人日本貿易振興機構調査部主任調査研究員
大学生の就職難は過去にもあったが都市部登録失業率の時代はそれが統計上明るみに出ることはなかった。しかし今は、若者層の調査失業率の突出した高さが話題である。ホワイトカラー志向の強い中国で政府は「中考分流」を実施し、受験勉強を抑制し、技能系人材の地位向上を図っている。大学では学部・学科のリストラが始まった。大卒者も不人気業種への就職が増えつつある。しかし、若年層人口は増加が続き、大学生の増加も急には止まらない。極度のホワイトカラー余剰という現実に、多くの大学卒業生が逡巡する状況は、当面避けられないだろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国の科学技術人材育成政策の動向と成果、課題12
松田侑奈  国立研究開発法人科学技術振興機構アジア・太平洋総合研究センターフェロー
米中貿易戦争が激化するにつれ、中国政府は、先端技術分野のボトルネックを解決できるハイレベルの人材誘致に注力しており、他国がまねできない破格の支援に加え、優秀な人材であれば国籍にとらわれずに積極的に国内に誘致できるよう、人材事業やファンディングプロジェクトの改革に取り組んでいる。そのおかげで圧倒的な人材プールを確保できているが、若手の就職難や人材流失も深刻である。 /// 続きは本誌ご参照
中国における若年層の雇用促進政策―背景、動向と成果18
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
2010年以降の中国では、労働市場における需給関係は全体として売り手市場となっている一方、若年層の失業率の上昇が続いている。この不足と過剰という矛盾の背景には、高等教育の過剰化がある。若年層の雇用促進を図るべく、政府は様々な制度改革を進め、具体的な施策を次々と打ち出しているが、その効果は限定的であると考えられる。現在の格差社会が続く限り、学歴競争が解消されることはなく、労働市場における需給のミスマッチも改善されないからだ。 /// 続きは本誌ご参照
中国高度人材市場の動向と人材確保のポイント22
畑伴子  可馳企業管理諮詢(上海)有限公司総経理
中国日本商会の調査では、中国の事業環境の最も優位な点は「人材の集積」という結果が出ている(5期連続、優位性のトップ)。最大の事業課題は「人件費の上昇」(5期連続、課題のトップ)である。人事・人材戦略は中国事業の成否の最重要事項とさえ言える。本稿では中国の高度人材を日系企業の事業活動に取り込み、業績貢献を引き出すための取り組みを考察する。併せて、少子高齢化、労働力不足という課題を抱える日本での活用についても考察したい。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
蜀に息づく消費の現在地―成都の最新消費ダイナミズム26
蝦名康平/髙橋紗樹  日中経済協会調査部
四川省の省都である成都市は、2024年時点で中国第4位の規模となる2000万人を超える常住人口を抱える大都市である。成都市統計局の発表によると、域内総生産(GRP)は2兆3511.3億元(前年比5.7%増)となった。特に、社会消費品小売総額は1兆327.1億元(同3.3%増)と、景気低迷が続く国内の経済状況にあっても消費分野で成長を続けており、重慶市とともに西部の二大消費都市となっている。ここでは、成都現地での日系小売関連企業・店舗のヒアリングや、地場の消費地の観察で得た知見を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国からの事業撤退時の注意点について30
趙雪巍  北京金誠同達法律事務所シニアパートナー・中国弁護士
当社は日系の自動車部品メーカーです。昨今の大きな環境の影響を受けて受注量は大幅に減少し、経営が苦境に陥っています。このため、工場の閉鎖を考えざるを得なくなりました。中国からの撤退に際して注意すべき点としては、どのようなことが挙げられるのでしょうか。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2025年1月32
日中経済協会
2025新年賀詞交歓会を開催/「悠久の時空写真展」開幕式で挨拶/劉兵・河南省貿促会副会長一行と面談/第6回賛助会員セミナー開催 /// 続きは本誌ご参照

  2025年2月号(通巻373号) 2025年2月号(通巻373号)表紙

巻頭言・挨拶
共にチャレンジしていく関係に1
明田篤弥  日中経済協会常任理事、株式会社日立製作所執行役常務 中国総代表
2023年4月より日立製作所の中国総代表の役割を拝命し、北京をベースに仕事をするようになりました。日常生活や業務で多くの中国の方々と関係を深めるにつれて、遅まきながら気づいたことがあります。それは中国の皆さんが、新しいモノやコトに対してオープンなマインドであること、そしてあらゆるところから学びを得て、生活や社会をより良くしたいという思いが強いことです。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
日中経済関係―二面性の理解にむけて2
金杉憲治  駐中華人民共和国特命全権大使
日中両国は「戦略的互恵関係」の推進という方向性を共有している。我々は、リアルな中国を直視し、巧みに付き合っていく必要がある。日本人は「漢字がわかる」というアドバンテージを持つが、中国は、マクロ経済、消費動向、技術開発、規制制度など、様々な点で「二面性」や複雑さを持っており、見落とさないよう気をつけたい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国消費の新時代
中国の個人消費の行方を読み解く6
三浦有史  株式会社日本総合研究所主席研究員
個人消費を成長のけん引役に据え、経済の安定性や健全性を高めるべきだ。中国内外でこうした個人消費の重要性を説く声が高まっている。しかし、消費者信頼感指数はコロナ禍での上海市のロックダウンを契機に低下し、一向に回復の兆しが見えない。その背景になにがあるのか。個人消費は経済成長のけん引役となりうるのか。そのために、どのような政策が期待されるのか。中国の個人消費の現状を分析し、今後を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
生き残りをかけた中国の外食産業の選択10
員要鋒  帝京大学経済学部准教授
経済が減速する中国において外食産業、とりわけ外食チェーン店の事業展開は稀有な成長分野といえる。不動産不況や就職難などで節約志向が強まる消費者は、低価格な食事を求めている。高価格帯の店舗が経営困難に陥る一方、コストパフォーマンスの良い店舗は流行っている。中国の外食産業の発展は、海外進出、FC、デジタル化がキーワードとなる。 /// 続きは本誌ご参照
これからの消費のけん引役―Z世代の消費動向14
王艶  独立行政法人日本貿易振興機構上海事務所経済連携促進アドバイザー
中国では、1995~2009年生まれの「Z世代」の人口が、2023年時点で約2億3000万人を超えている注1。インターネットやSNSなどのIT環境に囲まれて成長したZ世代は、前の世代とは大きく異なる価値観や消費観を持つとされ、自身の個性や趣味を大切にし、自己満足を得るための消費を惜しまない傾向が見られる。Z世代が就労を通じて一定の消費力を持ち始めている中で、新たな消費市場のけん引役として、多くの企業から注目されている。本稿では、新世代の消費者であるZ世代のプロフィールを解明し、日系企業(ブランド)が、Z世代をターゲットとした新規市場の開拓や販路拡大を図るうえでの参考情報を提供したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国のグリーン消費を考える―トータルバランスからのアプローチ18
髙見澤学  一般財団法人日中経済協会理事
グリーン消費は現代社会の大きな流れの一つである。中国では自動車の電動化(EV化)を中心に、グリーン消費が急速に進んでいるように見える。一方で、世界的には脱EV化の動きも見え始めている。中国でのEV化の流れを事例として、真のグリーン消費について考察したい。 /// 続きは本誌ご参照
中国物流革命の新展開22
高口康太  ジャーナリスト、千葉大学客員教授
中国物流のレベルアップが著しい。ECインフラとして宅配便取扱量が激増しているほか、コールドチェーンの発展により多種多様で新鮮な食品が食卓に並ぶようになった。注文後すぐに届く即時配送も成長している。さらにドローンや自動運転車、人型ロボットを使った、未来の物流を目指す動きも活発化している。物流革命の追求は中国の消費をどう変えたのか、この先に何が起きようとしているのかを見ていこう。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー・座談会・講演録   インタビュー「この人に聞く」
湖が結んだ日中の架け橋―平和堂:長沙で紡ぐ小売革新の25年26
山本喜敬  平和堂(中国)有限公司総経理
滋賀県と湖南省の「湖」を縁とした友好関係をきっかけに、1998年、平和堂は湖南省長沙市に平和堂中国1号店を出店した。創業者の夏原平次郎氏は、当時の中国の小売業の現状に「もっと楽しく買い物ができるお店が必要」と商人魂を燃やし、出店を決断した。日本式サービスの導入や人材育成に注力し、「歓迎光臨」は長沙の小売業界に新風を巻き起こした。時代とともに変化する消費者ニーズに応え続け、四半世紀にわたり長沙の人々に愛され続けている平和堂。平和堂(中国)有限公司の山本喜敬総経理に、長沙への出店の経緯から現在の事業展開、そして中国消費市場の変化についてお話を伺った。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
データ越境流通の促進および規範化に関する規定について30
張翠萍/志賀正帥  西村あさひ法律事務所・外国法共同事業弁護士(中国法)/弁護士
「データ越境流通の促進および規範化に関する規定」(以下「緩和規定」)が2024年3月22日から施行され、これにより、中国国内から個人情報を越境移転させるための手続きが大幅に緩和されました。本稿では、緩和規定の概要、企業への影響などについて、Q&A形式で解説します。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年12月32
日中経済協会
南通市経済技術開発区・保徳林書記一行が来会/「中国自動運転考察ミッション」を派遣/清華大学・胡鞍鋼教授一行が来会/新建元控股集団有限公司・葉暁敏董事長が来会/「山東一日本経済貿易合作交流会」に参加 /// 続きは本誌ご参照

  2025年1月号(通巻372号) 2025年1月号(通巻372号)表紙

巻頭言・挨拶
日中協力の新たな地平を見据えて1
進藤孝生  日中経済協会会長/日本製鉄株式会社相談役
あけましておめでとうございます。当協会賛助会員をはじめ、皆さまには平素より当協会の活動にご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。2024年を振り返りますと、日中関係の改善に向けていくつかの兆しが見え始めた一年であったのではないかと思います。9月には中国が全面停止している日本産水産物の輸入再開に向けた着実な進展が確認され、11月にはリマでのAPEC開催に際して石破茂首相と習近平国家主席による首脳会談が実現しました。また、邦人向け中国短期滞在ビザ免除措置が再開されました。これは、当協会をはじめ、ビジネス界など日本側の各レベルから中国側へ繰り返し訴えてきた課題でした。まさに「戦略的互恵関係の推進」という合意の下、両国があらゆるレベルで、緊密な意思疎通を重ねてきた成果を示す一年となったのではないでしょうか。こうした動きは、今後の日中関係改善へとつながる一歩として、引き続き期待を込めて注目していきたいところであります。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
米大統領選挙を終えた中国経済の行く末―日本企業は中国市場とどのように向き合うべきか2
瀬口清之  一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
次期トランプ政権の対中政策は予測困難である。選挙公約通りに対中強硬政策を実施すれば米国経済が受けるダメージも大きい。中国経済は2022年以降停滞が続いており、今後2~4年はこの状態が続く可能性が高い。しかし、日米欧などの競争力の高いグローバル企業は引き続き中国市場を重視し、積極的な投資姿勢を維持している。日本では反中感情が根強いこともあって、中国経済に対するネガティブなバイアスのかかった見方が支持されやすい。そうした中で日本企業が中国ビジネスのチャンスとリスクを的確に把握するには、経営陣自身が年に数回でも中国現地に足を運び、自らの目で中国市場を理解することが不可欠である。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   第17回日中省エネルギー・環境総合フォーラム
全体会議6
上原健幸  日中経済協会業務部
2024年11月9日、日中経済協会は、経済産業省、中国国家発展・改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で、「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。対面による開催は19年以来、5年ぶりとなった。全体会議には、日本側から武藤容治経済産業大臣、浅尾慶一郎環境大臣、進藤孝生日中経済協会会長、村瀬佳史資源エネルギー庁長官、中国側から趙辰昕国家発展・改革委員会副主任、李飛商務部副部長、呉江浩中国駐日本国特命全権大使をはじめ、両国政府・企業・団体・専門家など、官民合わせて約650人が参加した。 /// 続きは本誌ご参照
調印プロジェクトフォローアップ調査結果11
山田平  日中経済協会業務部主任
「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」では第1回から第16回までに累計430件のプロジェクトが披露されており、日中経済協会ではこれらの現状把握やさらなるプロジェクト発掘を目的にフォローアップ調査を毎年実施している。以下では今夏から実施した調査結果を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
省エネルギー分科会―資源節約と環境保全を目指して日中の省エネルギー協力を深化12
横井邦弘  日中経済協会総務部主任
省エネルギー分科会では、国際的に議論が深まっているカーボンニュートラルの実現に向けて、日中両国の省エネルギー政策の現状と今後の展望、企業の省エネに向けた取り組み事例を共有し、協力の可能性を探った。 /// 続きは本誌ご参照
自動車の電動化・スマート化分科会―持続可能な未来へ向けた日中自動車産業の現状と連携14
平槇早彌佳  日中経済協会調査部
自動車産業は、技術のイノベーションと環境保護の両軸において、世界的に変化を遂げている。特に分科会の名称にもある「電動化・スマート化」は産業の主要なトレンドとして、日中両政府や企業が積極的に取り組みを進めている。電気自動車(EV)の普及は、日本は2050年、中国は60年までの実現を目標とするカーボンニュートラルの一環としても推進されている。また、スマート化に係る自動運転技術も日々進展しており、輸送手段のみでなく、インフラや都市計画への波及も期待されるところだ。自動車産業の多様化が進み、競争が激化する中、今次分科会は、日中の官民による最先端の動向を把握する貴重な機会となった。 /// 続きは本誌ご参照
水素・アンモニア分科会―日本と中国が共に歩む水素社会への道16
蝦名康平  日中経済協会調査部
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて注目を集める水素。24年7月に中国で発表された「中国水素エネルギー発展報告」によると、中国の年間水素製造量は3500万トン、世界最大規模の水素生産国となっている。一方、水素関連技術の開発を進めてきた日本は、利活用分野をはじめ世界トップレベルの特許保有率を誇っている。また、日本での「水素基本戦略」は23年に技術の確立から商用段階を見据えた方針へと転換、24年には「水素社会推進法」を制定し、低炭素水素等の導入拡大に向けた規制・支援の一体的制度を打ち立てていくこととした。このように、供給・利用双方でそれぞれの強みを活かした取組が進んでおり、本分野での日中協力が必要なのは自明である。また、アンモニアはMCH(メチルシクロヘキサン)に代わる手頃な水素キャリアとしての用途のほか、火力発電混焼用の燃料など幅広い用途から注目を集めている。この流れに伴い、24年からは従来の「水素分科会」から「水素・アンモニ分科会」へと名称を変更。加えて5年ぶりに地方視察を伴う対面形式での開催が叶い、水素・アンモニア分野における日中それぞれの現在地の再認識と、今後の協力展開に向けた新たな走り出しとなった。 /// 続きは本誌ご参照
日中長期貿易(グリーン貿易・投資)分科会―時代のニーズに合った事業内容へ、分科会初のテーマ「グリーン貿易・投資」18
藏田大輔  日中長期貿易協議委員会事務局
本分科会では、日中双方の「長期貿易協議委員会」の省エネ等部会・分会が第1回フォーラムから様々なテーマのもとで定期交流を行ってきた。今回は、初めての「グリーン貿易・投資」をテーマとし、政府・民間の取り組みをはじめ、今後の日中協力の可能性についても広く議論した。また、5年ぶりの完全対面形式の開催となったため、地方視察(大阪・東京)を実施し、地域の取り組みについても理解を深めた。 /// 続きは本誌ご参照
住宅・建築物グリーン化分科会―住宅・建築物分野における省エネ化・脱炭素化を目指して20
金子美帆  日中経済協会業務部
分科会での発表と議論に先立ち、今回は省エネフォーラムとしては5年ぶり、本分科会としては初となる地方視察(北九州市、つくばみらい市)を実施した。実際の施設見学を通じて、日本企業・自治体の先進的省エネ・環境技術を視察し、理解を深め、今後建築分野における日中協力の可能性と方向性をともに検討した。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
中国経済の現状と2025年の展望―低迷からの打開は叶うか23
蝦名康平  日中経済協会調査部
「この一年の業界の景況感の落ち込みが特にひどい」(不動産業・長沙市)、「うちの会社が倒産しそう、失業したくない。次の勤め先も見つけられる気がしない」(ソフトウェア業・成都市)…。最近、中国の友人から筆者が聞いた悲痛な言葉である。そして、こうした市井の声を裏付けるように国家統計局などが発表するマクロ統計指標を見ると、コロナ禍前までの期間とアフターコロナの現在までを比較しても成長率は鈍化していることは明白だ。足元の景況感含め、25年の中国経済はまだ長く暗いトンネルが続くことになりそうだ。 /// 続きは本誌ご参照
時々刻々
中国におけるスマート港湾と次世代自動車技術の最新状況―天津港北疆見学、2024世界ICV大会参加報告26
佐々木悠子/平槇早彌佳  日中経済協会調査部主任/同調査部
日中両国間の協力事業でさらなる進展を期待できる分野に関する情報収集と、中国に進出している日系企業のビジネス環境に関する意見交換などを目的に、北京と天津を訪れる機会を得た。今回、スマート化の進展が著しい天津港北疆の見学と北京で開催された2024世界智能網聯汽車(ICV)大会への参加を通じて、現在、世界の最先端を走る中国の港湾システムやICV機能搭載車両などに触れることができた。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国の『広告法』における「絶対的用語」の使用規制について30
宋成哲  中倫外国法事務弁護士事務所パートナー弁護士
外資系企業が投資やその他の事業活動のために中国を訪れる際、自社の商品やサービスを宣伝することが多々あります。事業活動の一環として、広告宣伝を行う際は現地の法規制を遵守しなければなりません。中国では、広告宣伝の主管当局は市場監督管理総局です。そして、『広告法』の重点課題として、広告主や実務者は、実務上どのような「絶対的用語」が使用可能かという問題にしばしば直面します。「絶対的用語」について詳しく教えてください。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年11月32
日中経済協会
「日中技術ビジネスフォーラム」を後援/「第17回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」開催/北京能源国際控股有限公司一行の来会/遼寧省商務庁・林洪副庁長一行が来会/「第22回環黄海経済・技術交流会議(大分会合)」に参加/華源・上海市人民政府副市長の来日および交流会開催/内モンゴル自治区人民政府・鄭東波秘書長一行が来会/「2024深圳市グローバル投資促進プロモーション大会日本分大会」に参加/「2024年関西財界訪中代表団」に参加/第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会に参加 /// 続きは本誌ご参照

  2024年12月号(通巻371号) 2024年12月号(通巻371号)表紙

巻頭言・挨拶
大連とともに歩んだ20年1
川内雄次  日中経済協会常任理事、SOMPOホールディングス株式会社執行役員常務
SOMPOホールディングス株式会社は、2003年に大連で保険事業を開始してから早くも20年が経過しました。この間に、私たちは2つの保険会社を運営し、中国全土で7つの支店を展開するまでに成長しました。また、大連にはシステム開発を担当する子会社を設立し、業務の効率化と高度化を推進しています。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
変化し続ける中国と、どう向き合うか2
宮本雄二  宮本アジア研究所代表
2022年の党大会において習近平政権は思想、体制、人事体制を完成させ、自らの「路線」の構築を終えて、それを実行する段階に移行した。ゼロ・コロナ政策の突然の放棄と経済の失敗は、政権に対する党および社会の求心力を低下させている。この求心力の低下こそが、現時点における政権の最大の課題である。対米関係や経済の修復に苦戦する中、政権は「路線」の軌道修正を求められている。中国の変化に対応して、日本は明確な対中戦略の下に、関係強化を図るべきであり、安全保障と経済両面を包括した、バランスのとれた日中関係を構築できるかが鍵となる。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   内憂外患の中国経済
構造改革と景気対策の両立を模索する中国財政の動向―地方債務リスクの解消に向けた取り組み6
関根栄一  株式会社野村資本市場研究所北京首席代表
中国財政は、不動産市場に対する規制強化や景気減速の影響により、一般公共予算での付加価値税・所得税収入の減少や、地方政府の国有土地使用権譲渡収入の減少に直面している。2024年からは超長期特別国債が発行され、当面の収入減対応や景気対策に使われる一方、財政面の構造改革では、隠れ債務を含む地方債務リスクの解消を着実に進めていけるか否かが鍵となっている。 /// 続きは本誌ご参照
長期化する中国の不動産不況―政策対応の経緯を踏まえた当面の見通し10
三浦祐介  株式会社ニッセイ基礎研究所経済研究部主任研究員
中国の不動産不況は長期化し、経済への影響も広がっている。不動産市場の悪化に対して、中国政府は徐々に対策を強化しており、その効果は次第に現れ始めているとみられる。ただ、対策はいずれも小出しであり、一段の悪化は回避されているものの、改善に向かう兆しは依然みられない。打開策として期待が高まっている中央政府による関与についても、中国政府は否定的な態度を示しており、不動産市場の正常化に向けた足取りは、今後も緩慢かつ不安定なものとなるだろう。 /// 続きは本誌ご参照
明暗を分けた中国の消費市場と市民の消費行動の変化14
趙瑋琳  株式会社伊藤忠総研産業調査センター主任研究員
2024年の中国の消費市場を一言で表すとすれば、「明暗」という言葉が最も適切だろう。消費の回復が力強さに欠け、中国全体の社会消費財小売総額(小売総額)が伸び悩んでいるが、鈍化している大都市とは対照的に地方都市は増加している。同時に、中国人の消費行動が大きく変化しており、「中産」のアイデンティティを認識させる商品・サービスが好調である一方で、経済の先行き不安で消費意欲が減退し、節約志向が高まっている。中国では消費の二極化が進み、25年もこの動きが続くと考えられる。 /// 続きは本誌ご参照
失速する外資導入と対応策の評価18
大西康雄  国立研究開発法人科学技術振興機構特任フェロー、ダン・リーグ法律事務所顧問、独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所名誉研究員
中国の外資導入に異変が生じている。2022年以降2年連続で大幅な減少を記録し、24年も趨勢に変化が見られない。外資導入に変動はつきものとはいえ、今回の減少を、外的要因だけで説明することは難しい。本稿では、最新の各種調査などを踏まえ、外資企業の対中認識の変化と、外資減少を食い止めようとする中国政府の諸措置を検証し、今回の異変が示している含意を明らかにする。 /// 続きは本誌ご参照
バリューチェーン再構築に向けた課題―2024年の「米中覇権争い」の中で22
朽木昭文  一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員
日本企業には、モノづくりだけでなく、IoT(モノにつながるインターネット)による付加価値(バリュー)の最大化を目指す顧客志向の全体地域での最適の実現が必要である。その際の全体最適化の地域とは、中国に加えて特に次の2つが挙げられる。(1)「インド」のバリューチェーンの全体最適化への組込み、(2)「日本列島半導体・デジタルクラスター」の構築との関係の強化である。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
「等身大」の中国を知るためにー「JENESYS2024」日本青年研究者訪中団参加報告26
宮奥俊介/平槇早彌佳  日中経済協会調査部主査/同調査部
外務省が推進する「JENESYS」の一環として、公益財団法人日中友好会館が2024年9月8~14日の日程で日本青年研究者訪中団を派遣した。本訪中団は中国社会科学院の招待により、日本の大学・研究機関に所属する青年研究者を派遣するもので19年度、23年度に続き今回で3度目の実施となった。中国の研究機関・政府関係部門などへの訪問、河南省の視察を通じ、今回のテーマ「地域活性化」の下、それぞれの視点から同世代の青年研究者らと議論し、交流を深めた団員たち。本稿では本団の一員として参加した筆者らが感じた本プログラムの意義と、これからの日中青年研究者交流の深化に向けた協力のあり方を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国における幹部・従業員による不正行為のリスクと対応30
劉新宇  金杜法律事務所中国弁護士、中国政法大学大学院特任教授
近年、外国企業が中国国内に設立した会社においては、本国と中国との経営環境の差異、経費削減のため本国駐在員を減員したことによる管理の希薄化、利益を優先し社内の不正防止を重視しない管理体制といったいくつかの要因により、中国現地会社における幹部・従業員の不正行為が多発しており、日本企業もその例外ではありません。中国の法令は、会社法や刑法などの改正を経て、これらの行為をより厳しく規制するようになり、場合によっては、その自然人たる行為者のみならず、これらの者が所属する会社も処罰の対象とされます。このような状況の下、会社においては幹部・従業員による不正行為の防止について、どのような対応策を講ずるべきでしょうか。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年10月32
日中経済協会
「中国国際友好大会・中国人民対外友好協会設立70周年記念大会」に参加/浙江省発展改革委員会一行の来会/「2024対日開放合作推介活動・日本企業成都ツアー2024対日開放協力プロモーション」に参加/中国国際貿易促進委員会一行の来会/「日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会(JC-BASE)連絡会」の開催 /// 続きは本誌ご参照

  2024年11月号(通巻370号) 2024年11月号(通巻370号)表紙

巻頭言・挨拶
グローバルシナジーにより更なる成長へ1
原典之  日中経済協会副会長、三井住友海上火災保険株式会社取締役会長
世界の損害保険市場において、中国は米国に次いで第2位の規模であり、日本の約3倍の市場であるものの、人口1人当たりの損害保険料では、日本の約4分の1しかなく、今後の成長が十分に期待できるマーケットであります。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
知の進化により日中関係に新たな地平を拓こう―新時代の日中協力2
福川伸次  一般財団法人地球産業文化研究所顧問
日中両国は日中関係における知の進化を通して世界の政治、経済、軍事に変革を起こしていくべきである。そのために、産業革命から現在までの技術的進化を振り返り、サプライチェーン構築、文化と産業の融合、都市と農村の一体化、SDGsの達成、AI技術の適正利用など、日中間協力の可能性と課題を考察し、知の進化を通じて、日中関係の進化とアジア太平洋地域の共栄を目指すことを提案したい。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   迫り来る高齢化の波ー日中協力の可能性
中国でもくろむ巨大な中国版ウェルネス産業の全貌と産業構造6
尹昌来  CHINAWAY商務協力機構代表取締役社長
人口14億967万人(2023年末時点)の中国の健康産業といえば、日本でそのキーワードと挙げられるのは「高齢化産業」、「人口動態の変化」、「生活水準の向上」、「生活習慣病の増加」等だ。しかし実は中国では今、健康意識の高まりなどを背景に、「ウェルネス健康ブーム」が訪れている。元来、養生、漢方等で健康に気を配る伝統があったことに加え、近年の経済発展によって健康に投資する人々が一段と増えているのが現状だ。 16年、中国政府は、健康分野における初の中長期的な国家計画である『健康中国2030規画綱要』を打ち出した。さらに19年には、目標達成のための必要な取り組みを具体化した「健康中国実施行動意見」を発表した。本稿では中国の広義な健康産業、中国版ウェルネス産業に焦点を当て、市場の概要を紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
ITが支える高齢者向け産業の成長機会10
森田守/鹿志村香  株式会社日立製作所エクゼクティブアドバイザー/同社研究開発グループ技師長
日本は、2023年時点の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が29.1%に達し注1、世界で最も高齢化が進んでいる。これに対し、中国の高齢化率は15.4%(23年)と低い注2が、図1に示す通り、50年頃に現在の日本と同等になると予測されており、現在の日本が抱えている超高齢化社会の課題が将来的に中国でも顕在化する可能性がある。現在の日本の高齢化に伴う大きな課題が3点ある。(1)労働力の不足、(2)社会保障費(介護費)の増大、(3)高齢者向けサービス需要の増大である。本稿では、これらの課題を概観し、その中で、社会保障費(介護費)削減と民間保険サービスについてITを活用した事例を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
高齢社会に向けた金融支援14
片山ゆき  株式会社ニッセイ基礎研究所保険研究部主任研究員
中国は少子高齢化が急速に進み、長くなる老後の生活に備える長寿リスクが大きな課題となっている。今後、社会や社会サービスを支える若年層は急速に減少し、その一方で受給する高齢者は急速に増加する。そして、すなわち老後保障の重要な柱である公的年金制度をどう持続可能な制度に改革していくか、が財政上でも大きな課題となっている。政府は2024年9月、積年の課題であった定年退職年齢を25年から引き上げるとし、制度の改革を前に進めようとしている。 /// 続きは本誌ご参照
「健康経営」の取組みと日中協力18
藤田桂子  東京海上ホールディングス株式会社常務取締役
2023年の国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、日本は37年に人口の3人に1人が65才以上の高齢者になると見込まれている。健康で長生きしたいというのは誰もが願うことであるが、平均寿命は延び続ける一方、50年頃には介護を必要とする高齢者が人口の1割程度を占める見通しである。超高齢社会に向けては、年金・医療・介護保険制度の維持はもちろん、人々の健康への関心や投資を高め、健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間である「健康寿命」を伸ばすことも重要な対策となる。近年、企業が従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営®」注1が企業の持続的成長に欠かせない要素として注目を集めているが、健康経営は、国民の健康寿命の延伸につながるものとしても期待されている。東京海上グループは、サステナビリティ戦略の一環として以前から健康経営に積極的に取り組んできた。本稿では、筆者自身が24年3月まで中国現地法人である東京海上日動火災保険(中国)有限公司(以下、東京海上日動中国)の総経理を務めていた経験も踏まえ、当社グループの健康経営の取組みと、日本以上のスピードで少子高齢化が進む中国における取組みや今後の展望について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
介護人材育成に向けた中日協力の可能性22
馬磊  一般社団法人国際健康産業振興協会副会長、株式会社orichica代表取締役
中国は既に「少子高齢化」社会に突入し、莫大な高齢者人口を抱え、世界でも前例のない介護問題に直面している。急速に拡大する高齢者介護のニーズに対応するため、政府主導で様々な対策が進められている。しかし、対人サービスの代表格である介護分野において、専門知識を持つ従事者の育成が急務となっている。その一方で、介護人材不足を背景に、新たなビジネスチャンスが生まれつつある。中日協力を通じて、介護人材の育成分野で双方にとって有益なモデルを構築することは、今後の高齢化社会に向けた持続可能なアプローチとなり得る。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
中国新型電力システム構築の最新動向と日本企業の留意点26
王婷  株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャー
脱炭素はエネルギーの転換でもある。脱炭素関連技術の観点から見ると、日本でいうところの脱炭素技術も、中国や米国でいうところのそれも、いずれも根本は同じであり、脱炭素社会実現のための道筋も同じである。各国の政策を総合すると共通点が見えてくる。(1)再生エネルギーを大量に導入すること、(2)電化による化石燃料の削減、(3)電化できないものは技術革新である。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国の増値税の会計処理30
築田武尋  有限責任監査法人トーマツ監査グローバルサポートデスク(中国担当)シニアマネジャー
現在、「中華人民共和国増値税暫定条例」および「中華人民共和国増値税暫定条例実施細則」が増値税に関する暫定的な規定として運用されていますが、増値税の法制化に向けた動きが加速しています。2022年12月に「中華人民共和国増値税法(草案)」が初審議され、23年8月に第二稿草案の第二次審議が行われました。また、全国人民代表大会(全人代)常務委員会の24年立法作業計画によると、同年12月に第三次審議が行われる予定です。これまでの立法手続を踏まえ、24年12月の審議通過後、増値税法は25年以降に正式に施行されると想定されます。全体としては現行の税制を踏襲する方針で法制化が進められていると聞いていますが、あらためて増値税の会計処理について教えてください。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年9月32
日中経済協会
淄博市外事弁公室一行の来会/「煙台総合保税区産業合作マッチング交流会」を共催/「塩城建湖投資誘致説明会」に参加/「北京市投資環境説明会」で挨拶/「塩城市経貿合作交流会」で挨拶/「中国(濰坊)・日本経済貿易協力交流会」で挨拶/当協会主催「中国自動運転考察ミッション(12月3〜7日・上海、蘇州、武漢)事前オンラインセミナー」を開催/「中国(河北省)―日本重点産業協力プロモーション会及びロボット産業集中商談会」に出席/賛助会員特別セミナー開催/「中国(深圳・宝安区)―日本(東京)経済貿易交流会」を後援/「中日(成都)開放協力プロモーションイベント」2件で挨拶/「日中グリーン技術交流会」を開催 /// 続きは本誌ご参照

  2024年10月号(通巻369号) 2024年10月号(通巻369号)表紙

巻頭言・挨拶
民間交流の大事さ1
中村公一  日中経済協会常任理事、山九株式会社代表取締役会長
この巻頭言が掲載される2024年10月、中国は建国75周年を迎え、中国の建国宣言の前日に生まれた私も同い年となります。日中両国の発展と紆余曲折を経て現在にいたる国交回復以来50有余年にわたる歴史、当社山九株式会社が中国とお付き合いを始めてからもほぼその歴史と同様の年月を経たことになります。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国の農業―農業大国の実情と未来
中国農業の現状と食糧安全保障2
柴田明夫  株式会社資源・食糧問題研究所代表
中国ではここ数年、「食糧安全保障」(注:食糧は基礎食料である穀物、食料は穀物、野菜、果物、食肉、水産物など食料品全般)を意識した農業構造転換が加速している。背景には、習近平国家主席の口癖である「100年に一度しかない大変局」があるようだ。中国にとっての食糧安全保障問題とは何か。世界の食糧市場における中国のプレゼンスの高まり、中国共産党・政府の『1号文書』の変遷から探ってみたい。 /// 続きは本誌ご参照
世界の食料バランスにみる中国の位置付け―OECD-FAO農業見通し2024-2033より6
小泉達治  農林水産政策研究所国際領域上席主任研究官
中国は過去10年間における世界食料需要量の成長のうち3割弱に寄与し、世界の食料需給を牽引する役割を果たしてきた。ただし、OECD-FAOの世界食料需給見通しでは、中国は2033年に世界食料需要量の成長の1割程度までその寄与率が低下することが予測されている。このため、この見通しでは、33年には世界の食料需要量における中国の役割が低下する一方、これに代わってインドと東南アジア諸国の影響力が拡大することが強調された。 /// 続きは本誌ご参照
中国の農業・農村・農民問題への取り組み、実績と評価10
厳善平  同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授
中国では、三農問題がクローズアップされて四半世紀が経つ。新中国建国後の半世紀にわたって続いた、(1)食糧など農産物の低価格買付による農業搾取、(2)農村公共サービスへの財政投入の抑制に見られる農村軽視、(3)戸籍制度などで農民の職業選択や移住の自由を厳しく制限する農民差別は、農業の不安定化、農村の疲弊、農民の絶対的貧困という構造的問題を招いた。中西部地域を中心に深刻化したこうした問題を解決すべく、共産党政府はこの20数年、農業の増産、農村の振興、農民の増収を目指す一連の政策を打ち出し、一定の成果を収めた。しかし一方で、食糧自給率が大きく低下し、農村の凋落が止まらず、農民の相対的貧困が依然深刻な状況にあるという新たな三農問題も浮上している。強い農業、美しい農村、豊かな農民という目標の実現は当面、共産党政府の政策課題であり続ける。 /// 続きは本誌ご参照
中国の食料消費の影響と今後の見通し―食糧安全保障法をどう見るか14
山田智子  日中経済協会北京事務所農林水産・食品室長
10億以上の人口を抱える隣国・中国。日本と中国の食文化は共通点が多く、人々の食の好みも似る傾向にある。その中国は、日本国内で消費される野菜の安定的な供給大国であり、今や、日本が輸入する牛肉、豚肉、大豆、トウモロコシなどについて同じく世界ランキング上位に位置する輸入のライバル国ともなっている。そのような中国の食料消費は現在どうなっており、今後どうなっていくのか。2024年6月に施行された食糧安全保障法をどう見るか、という視点を織り交ぜながら俯瞰する。 /// 続きは本誌ご参照
丘陵山地農業から見た中国農業の現状と今後18
福島豊文  本田技研工業株式会社二輪・パワープロダクツ事業本部パワープロダクツ事業統括部営業部OEM販売課課長
中国の国土は69%が丘陵山地に区分され、総人口の55・7%が居住している注1。丘陵山地では、その地形と気候を生かした茶畑や果樹園、高地野菜、牧畜等の特徴的な農業は多いが、農地が狭小なため大規模な機械化と大量生産は難しく、道路や灌漑等の農業インフラ整備には物理的な難易度が高い。これらの困難を克服し、農業を主体とした「郷村振興戦略」を推進したことが、中国政府の「脱貧困の全面勝利、共同富裕の実現」の具体的成果と言える。インフラ整備、農業機械に合わせた農地造成、狭小地に適した農機開発、農産物の高付加価値化、IoTを駆使した効率化等、その取り組みは長期的かつ多方面にわたる。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
インドー持続的な成長と雇用創出の難題22
辻田祐子  日本貿易振興機構アジア経済研究所主任研究員
近年、インド経済にあらためて注目が集まっている。インドは最も成長著しい国のひとつであるが、経済成長が人口構成上厚みのある若年層への雇用創出に十分に結び付いていない。1991年の経済自由化以降、歴代政権では自由化路線が継続されてきたが、近年では国内産業の保護策が次々と打ち出されている。さらに2020年の国境紛争以降、対中経済関係が政治問題化し、中国のヒト、カネ、モノを締め出している。これまでインド政府は製造業の振興に取り組んできたが、現在までのところその目に見える成果は乏しい。今後、質の良い十分な雇用創出を伴う経済にシフトできるかが注目される。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー・座談会・講演録   インタビュー「この人に聞く」
人を育て、組織をつくる―開拓から発展まで駆け抜けた中国ビジネス26
三枝富博  株式会社イトーヨーカ堂顧問
中国内陸部の四川省・成都市で、現地の人々の知る外資企業として真っ先に名前が挙がるのは「伊藤洋華堂」だ。日本の小売業大手で長い歴史を持つ株式会社イトーヨーカ堂は、1996年に中国に進出した。97年の成都市1号店を皮切りに、地元に愛されながら事業の拡大を続け、今では日系企業の中国市場で最も成功した事例の一つに挙げられる。進出当初から中国に赴任し、中国総代表、代表取締役社長、会長を歴任した三枝富博さんに、中国市場に賭けた思いや成功のカギ、海外ビジネスに挑む人たちへのアドバイスを伺った。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
日本の不動産投資に向かうチャイナマネーの背景事情と法的問題30
村尾龍雄  弁護士法人キャストグローバル弁護士・税理士・香港ソリシター
チャイナマネーが東京、大阪を中心に多数の不動産に流れ込んでいると聞きますが、その背景事情と法的問題について解説してください。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年8月32
日中経済協会
中国国際貿易促進委員会・張少剛副会長が来日/塩城市人民政府一行が来会/「煙台市莱山区日本経済貿易交流会」に参加/広西チワン族自治区外事弁公室一行が来会/「啓東(東京)経貿合作交流会」に参加/雲南省外事弁公室一行の来会/蘇州市相城区「スマートモビリティの未来と日中のコラボチャンス」セミナーに協力/「第5回多国籍企業リーダー青島サミット」に参加 /// 続きは本誌ご参照

  2024年9月号(通巻368号) 2024年9月号(通巻368号)表紙

巻頭言・挨拶
厳しさを増す世界情勢の中でも1
金花芳則  日中経済協会常任理事、川崎重工業株式会社取締役会長
川崎重工グループの中国での拠点展開は1979年の北京事務所開設に始まり、以降、様々な分野で事業や拠点を拡大してまいりました。船の分野では、海運大手の中国遠洋海運集団と合弁会社2社を設立し、95年より船舶建造と販売を行っています。また、エネルギー分野では、2000年代初頭よりセメント大手の安徽海螺集団との合弁会社を複数設立し、排熱回収発電やごみ焼却発電などの省エネルギー・環境製品を製造しています。このほか、ガスタービン、油圧機器、ロボット、鉄道車両、モーターサイクルなどに関する計22社が中国で事業を行っております。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
中露関係の最近の展開―ウクライナ侵攻勃発後の両国関係2
廣瀬陽子  慶應義塾大学総合政策学部教授
2014年のロシアによるクリミア併合とウクライナ東部の危機、そして、22年からのロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアは欧米から深刻な制裁を課せられ、国際的にも孤立する一方、中露関係はより深まってきた。中国はウクライナ侵攻に賛同はしないものの、反対もせず、また武器の輸出はしないものの、デュアルユース品を輸出し、ロシアのエネルギーを購入することで、実質的にロシアを支援してきた。ウクライナ和平を巡っても、ウクライナの立場に賛同せず、実質的にロシアを支援しているが、この協力関係が安定的に継続するかは定かではない。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   庶民の生活から見える中国
大都市よりも県へ―戸籍制度改革と分散型都市化の課題6
岡本信広  大東文化大学国際関係学部長、教授
中国の都市化は、都市と農村の二元構造を前提として自然発生的に進んだ。2014年から始まった国家新型都市化計画は、農民工の市民化を目指したが、計画通りの成果は得られなかった。現在では、県城を中心とする分散型都市化政策へと移行している。戸籍人口の都市化を進めるには、大都市を開放するか、魅力ある県城に人を惹きつけるか、である。政府の意図は県レベルの都市化だが、人々の志向は大都市の開放だろう。 /// 続きは本誌ご参照
中国の若者の雇用環境と就労意識の変化10
王艶  独立行政法人日本貿易振興機構上海事務所経済連携促進アドバイザー
中国では、若者の失業率が高い水準で推移しており、若者の就職難が顕在化している。教育部は2024年の大学・大学院の卒業者数注1(以下、大学・大学院新卒者)が過去最多の1,179万人に達すると予測している。本稿では、昨今の若者の失業率の上昇の要因を分析するとともに、若者を取り巻く就職市場の状況を整理し、若者の就職意識の変化について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
拡大する庶民の教育格差―政府の政策で縮まっていくのか14
中島恵  ジャーナリスト
都市部と農村部の間に歴然と存在する教育格差。従来からある社会問題のひとつであり、深刻な少子化にも大きな影を落としているが、2021年に施行された「共同富裕」や「双減」政策によって、それは縮小される方向にあるのだろうか。教育格差の背後には、中国特有の戸籍制度なども絡み合っており、一筋縄では解決しそうもないが、新しい動きもある。 /// 続きは本誌ご参照
中国生活ごみ分別の現状と課題18
馬建  龍谷大学社会科学研究所嘱託研究員
中国は2019年に生活ごみの強制分別を強力に進めたが、国民の分別習慣が定着するまでに至らなかった。21年からは、コロナ対策とごみ焼却処理能力の向上により、ごみ分別推進の足が止まっている。都市部におけるコミュニティでのごみ分別実施率は国の政策目標通りに増加しているが、市民によるごみ分別のレベルが低下し、都市間の差も大きい。県と農村地域でのごみ無害化処理とごみ分別の推進も今後の課題となる。 /// 続きは本誌ご参照
コロナ後の中国大・中都市生活者の健康意識および行動の変化22
薛倩  株式会社電通グローバル・ビジネス・センターシニアストラジスト
新型コロナウイルスの流行が、世界中の人々の健康に対する意識を大きく変えた。3年強におよぶコロナ流行を経験した中国の人々も、より一層自身の免疫力強化および健康維持を重視するようになった。一方でこれまで高い経済成長を続けてきた中国は、コロナ後に経済成長率が減速し、先行きの不透明感から人々の消費行動にも変化が見られるようになった。こうした背景の中で、大・中都市部の生活者の健康意識および行動にどのような変化があったかを、データを基に考察する。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
LiDARを巡る米中関係26
平槇早彌佳  日中経済協会調査部
LiDARは昨今の自動運転実現において欠かせない重要な車載技術である。このLiDARをめぐっても、米中間の話題は尽きない。過去、米国VelodyneのLiDARが世界的なシェアを独占していたが、最近ではHesai(禾賽科技)などの中国LiDAR企業が技術力やコストの面で競争力を増し、自動運転分野でのLiDARの世界シェアを握るようになった。LiDARの市場規模は年々拡大しており、中国企業が台頭する一方、米国企業は再編が進んでいる。特許に関しては米中企業が2019年の特許紛争から一転、20年に和解へ至った例もあった。中国政府は技術イノベーションと知的財産の保護を強化すべく関連の政策を打ち出して中国企業をサポートしているが、経済安全保障の今後の動向によっては、市場構造が変わる可能性もある。本稿では、次世代の注目産業である自動運転のコア技術であるLiDARに着目し、米中間の動きに絞って整理する。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国の輸出規制の最近の動向30
石本茂彦  森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士
中国政府が、中国からの輸出に対する規制を強化するというニュースを目にすることがありますが、どのような規制の強化が進められているのでしょうか。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年7月32
日中経済協会
「第8回グローバルシンクタンクサミット」で発言/「中国雲南一日本重点産業協力プロモーション会」に参加/「2024 中国(深圳)ー日本(東京)経済貿易交流座談会」を後援/四川省政治協商会議・田向利主席一行との交流/遼寧省人民政府・崔長征副秘書長一行の来会/「日中デジタル技術による社会変革推進とデータ要素 市場化にかかる研究」第4 回検討会で発言/山東省泰安市一行の来会/日中長期貿易協議委員会オンラインセミナーの開催/「天津市西青区投資環境説明会及び日本事務所開所式」を後援/「中国(福建)ー日本経済貿易協力交流会」を後援/「対話山東ー日本・山東産業協力交流会」を後援 /// 続きは本誌ご参照

  2024年8月号(通巻367号) 2024年8月号(通巻367号)表紙

巻頭言・挨拶
アジアのパートナーとの熱い絆1
島村琢哉  日中経済協会副会長、AGC株式会社取締役兼会長
コロナ禍が明けて海外との往来が叶うようになり、かつて共に難題に取り組んだパートナーや、いま真剣にビジネスを拡大しようとするお客さまなど、多くの知己の皆さんと自由に再会できるようになったことは大変喜ばしいことだと思います。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
初の日米比首脳会談から見る今後の米中関係2
中澤克二  日本経済新聞編集委員兼論説委員
太平洋に臨む日本、米国、フィリピンという3カ国の連携が強まっている。第二次世界大戦、太平洋戦争の終結から80年を前に、3カ国による新たな首脳会談、安全保障の枠組みが動き始めたのは注目すべきである。その主要なターゲットが中国であることは間違いない。中国は今、南シナ海、台湾周辺から西太平洋への進出を視野に入れている。この軍事的台頭にどう対処するのか。日米比3カ国の枠組みは、米中両国の「新冷戦」の行方を占う上でも極めて重要だ。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   中国の情報通信戦略
中国の5G政策と普及の現状および6Gに向けての展望6
真家陽一  名古屋外国語大学教授、日立総合計画研究所リサーチフェロー
よく指摘されていることだが、米中対立の背景の一つが「次世代のハイテク産業をめぐる覇権争い」だ。従って、当面の焦点はハイテク製品に関わる技術開発競争の行方にある。その代表事例が「第5世代移動通信システム(5G)」である。中国は3G・4Gの技術開発では出遅れており、3Gから4Gの時代に移行したのは、工業情報化部が通信大手3社に対し、次世代通信規格「TD-LTE」の商用免許を交付した2013年12月とされる。こうした反省に基づき、中国は早くから5Gの研究開発に着手しており、今や先行者を追う立場ではなく、情報通信技術を主導する立場にある。世界最大の情報通信大国として、中国は規模の優位性を背景に、情報通信分野におけるプレゼンスを急速に高めている。 /// 続きは本誌ご参照
中国通信事業者が展開する5G関連産業とサービス10
康佳慧  株式会社KDDI総合研究所コアリサーチャー
中国政府は5G商用化の初期段階から5Gユースケースの研究開発と社会実装に注力しており、政府から出資を受けている通信事業者は5Gサービスの社会実装の主役となっている。その結果、76%以上の国民経済分野に5Gが普及し、特に工業、製造、鉱業、医療、スマートシティ、自動運転などの分野で活発に利用されている。今後は、5.5Gの商用化に伴い、裸眼3D、クラウドスマホ、5GVoNRなどのコンシューマー向けサービスやAI機能の搭載が期待されている。 /// 続きは本誌ご参照
中国の情報通信ビジネス環境課題とスマート化政策動向14
日中経済協会関西本部
2024年の中国では、各地の外資誘致ニーズが一段と高まるなか、23年に国務院から発表されていたビジネス環境改善への政策的意見(11号文書)を踏襲し、これを具体化するためのアクションプラン(24項目)が示されるなど積極的な動きがみられる。しかし、特に市場参入規制やサイバー・データセキュリティ、個人情報保護関連規制等と密接不可分な情報通信分野に関しては、それら課題への懸念はなおも存続している。本稿では、中国の本分野のビジネス環境課題についての内外の視点をレビューするとともに、一部は規制に先んじ、あるいは並行して果敢に試行されてきたスマート交通、スマートシティ開発等の政策動向を整理し、中国でのビジネスアプローチへの参考に供したい。 /// 続きは本誌ご参照
米国と中国のデータ戦略・セキュリティの取組み18
岡野寿彦  株式会社NTTデータ経営研究所シニアスペシャリスト
中国政府「『データ要素×』3カ年行動計画」および米国「懸念国による米国人の機微な個人データおよび米国政府関連データへのアクセス防止に関する大統領令」(いずれも2024年)に象徴されるように、中国および米国のデータ戦略・セキュリティの取組みと両国間の攻防が本格化している。バージニア大学のアン・コカス教授著『トラフィッキング・データ:デジタル主権をめぐる米中の攻防』(岡野寿彦翻訳)のエッセンスを紹介したうえで、中国のデータ政策、米国の対抗の取組みを解説し、今後の展望と日本の取り組みについて私見を述べる。 /// 続きは本誌ご参照
「Intelligence of Things」時代の通信22
張云澤  華為技術日本株式会社広報部長
この1年間、複雑化した不安定な世界情勢により、経済再生は課題に満ちていた。歴史を振り返れば、蒸気機関技術がもたらした第1次産業革命にせよ、電力を中心とした第2次産業革命にせよ、あるいは情報技術による第3次産業革命にせよ、科学技術の進歩は世界を危機から救い、新たな活力を生み出す鍵となってきた。そして今、AIを中心とした第4次産業革命が世界的に注目されている。現在、ビジネス分析や意思決定の過程における課題の多くは、AI技術によって解決し得るものである。将来、AIの活用は世界経済の隅々にまで広がり、社会のあらゆる側面に影響を与えるだろう。AIは大量のデータを吸収・消費する必要があり、一方で膨大なデジタルコンテンツやサービスを生成し配信する。AI時代の通信技術は、これらのデータのユビキタス空間での高速通信を保証するだけでなく、クラウドとエッジコンピューティングを通じてソフトウェアとハードウェアの分散トレーニングと推論を実行し、インテリジェントなモノの相互接続-「Intelligence of Things」を実現する必要がある。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
直近1年間の中国のマクロ経済動向および今後の展望26
佐々木悠子  日中経済協会調査部主任
中国の2024年第1四半期のGDP成長率は、前年同期比5・3%増と大方の予想を上回る結果となり、李強国務院総理は6月25日の夏季ダボス会議の開幕式で「中国経済は24年に入って回復傾向を維持している」と述べるなど、引き続き強気の姿勢を崩していない。一方、個別に見ると底が見えない不動産不況など楽観できない状況も並存している。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国国内販売に伴う販売先の与信管理について30
MUFGバンク(中国)有限公司企業戦略部
中国国内での販路拡大を検討しています。内販拡大に伴う販売先の与信管理について、留意すべきことがあればその詳細について教えてください。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年6月32
日中経済協会
「日中省エネルギー・環境技術データバンクマッチング交流会【第3回・深圳編】」を開催/「蘇州呉中(日本)投資状況説明会」に参加/信長星江蘇省書記が来日、交流会を開催/「2024蘇州(東京)ヘルスケア産業イノベーション協力マッチング交流会」に参加/「棲霞市―日本重点産業交流会」に参加青島市商務局一行が来会/「青島・膠州市五大新城経済貿易交流協力会」に参加/山東省外事弁公室一行の来会 /// 続きは本誌ご参照

  2024年7月号(通巻366号) 2024年7月号(通巻366号)表紙

巻頭言・挨拶
直接対話を通じた社会課題への対応1
加留部淳  日中経済協会副会長、豊田通商株式会社シニアエグゼクティブアドバイザー
前回の寄稿は2020年6月、世の中はコロナ禍で混沌としていました。巻頭言の結びとして「日中を含めた各国が透明かつ迅速な形でそれぞれが持つ情報・知見を共有し、人類共通の敵と戦う姿勢が必要だ」と述べました。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
減少する中国の対内直接投資と今後の展望2
福本智之  大阪経済大学経済学部教授
中国の対内直接投資が減少している。国際収支統計上の対内直接投資が、2023年第3四半期に1998年の統計公表以降、初めてのマイナスとなり注目を集めた。中国政府は、コロナ禍からの経済の回復が弱い中で、経済を回復軌道に乗せるために外資誘致に躍起になっている。本稿では、中国の対内直接投資の減少とその背景にある外資企業のビジネススタンスの変化を考察する。特に日本企業の直接投資動向や資本の本国への一部引き揚げの動きについても分析する。これに対する中国政府の外資誘致政策の強化を踏まえ、今後の外資企業の対内直接投資の行方を左右する要因を論じる。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   在中外資企業の最新動向ー米大統領選後の中国ビジネスの展望
中国市場の成長を楽観しながら米中関係の緊張を懸念―在中米国企業の現況6
石川幸一  亜細亜大学アジア研究所特別研究員
中国は米国企業の主要な投資先である。直接投資残高では世界で12位だが、進出企業数は1956社であり、世界で4位、アジアで1位である。米国企業の現地販売額は米国の対中輸出額の3倍を超えており、米国企業の世界戦略で中国は極めて重要だ。在中国米国企業は中国市場の成長などビジネス環境を楽観視している。最大の懸念は米中関係の緊張の高まりだが、77%の企業は中国での事業の中国国外移転を考えていない。 /// 続きは本誌ご参照
EU・中国の関係変化と欧州企業の意識10
伊藤さゆり  株式会社ニッセイ基礎研究所経済研究部常務理事
2023年5月の主要7カ国(G7)広島サミットで、中国に関する共通の方針として打ち出したデリスキング(リスク軽減)の文言は、EUが主導したとされる。デリスキングは、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員会委員長が、訪中を控えた23年3月30日、中国研究を専門とするドイツ・ベルリンのシンクタンク(MERICS)での講演で用いたキーワードである。本稿では、EUがデリスキングを打ち出すに至るまでのEU・中国関係の変遷とEUが近年整備した中国を念頭においた政策の枠組みを確認し、中国でビジネスを展開する欧州企業の環境変化に対する認識と対応について紹介する。 /// 続きは本誌ご参照
欧州委員会の中国製EVに対する補助金調査の現状14
泉博隆  株式会社双日総合研究所調査グループシニアアナリスト
2023年10月、欧州委員会は中国から欧州に輸出される中国製EVが、中国政府から不当な補助金を受けているか否かに関する調査を開始した。不正な補助金が認定されれば、中国製EVはEU域内への輸入時に相殺関税を課される。一方、同調査について、ドイツとフランスの業界団体の考えは対照的である。この背景には、中国における両国自動車メーカーのEV輸出戦略の違いがある。今後、貿易摩擦を回避すべく中国自動車メーカーは海外直接投資を加速する可能性がある。 /// 続きは本誌ご参照
貿易で揺さぶる中国、揺るがぬ豪州18
髙佐知宏  株式会社日本経済新聞社堺支局長(元シドニー支局長)
オーストラリア(豪州)にとって中国は輸出額、輸入額ともに3割を占める最大の貿易相手だ。ところが2020年4月にモリソン豪首相が新型コロナウイルス禍の原因調査を求めると、中国は豪州産品に対する輸入制限を拡大した。豪州でのアルバジーニー政権発足後、中国の高姿勢は和らぎつつあるようだが、豪州への揺さぶりは効果があったのだろうか。むしろ鉄鉱石など豪州産資源に対する中国の依存度の大きさが浮き彫りになったともいえそうだ。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
中国の国産AIモデルの生き残り戦略と今後の展望22
李智慧  株式会社野村総合研究所未来創発センター戦略企画室エキスパート
2022年末ChatGPTが生成AIブームを引き起こして約1年半、高性能なAI基盤モデルの開発に必要不可欠な先端半導体が米国の規制により入手できなくなった中国において、その国産AIモデルの発展現状はどのようになっているのか。中国現地の最新情報をもとに、「チャイナ・イノベーションは死なない」の著者がその生き残り戦略と今後を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
時々刻々
知の進化がもたらす、これからの日中協力―第41回日中経済知識交流会開催報告26
宮奥俊介/文違史恵  日中経済協会調査部主査/同調査部
2023年10月、北京で4年ぶりとなる対面形式での開催が実現した日中経済知識交流会。41回目となる24年の年次会は場所を東京に移し、日程も従来の1日半に戻しての開催となった。「世界・日中両国のマクロ経済情勢」、「日中グリーン発展協力」、「高齢化対応」の3つのセッションテーマの下、23年の会議で中国側代表の国務院発展研究センター陸昊主任が繰り返し訴えた「本音での議論」が24年の年次会でも実現した。本稿では会議の開催報告とともに、会議後に行われた中国側代表一行の視察の様子をレポートする。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
中国新「会社法」における重要事項対応方法30
熊琳  北京市大地律師事務所パートナー弁護士
「大幅に改正された中国の会社法」と題する本誌5月号の記事では、改正された中国最新「会社法」の改正の背景や経緯、および外商投資法との関係や主な改正内容などを総合的に紹介した。そこで今回はQ&A形式で、これまで日本企業から度々提起され、一般的にも懸念されている問題について解説する。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年5月32
日中経済協会
上海金橋経済技術開発区管理委員会・厳俊傑副主任一行来会/貴州省人民政府・蔡朝林副省長一行来会/「中国・平湖投資環境懇談会・説明会」に参加/煙台市福山区委・林陽書記一行来会/上海市金山区人民政府・何冬賓副区長一行来会/「日中地方経済協力セミナー及び第2回東京太倉日」に参加/中国共産党中央対外連絡部・劉建超部長による講演会に参加/「協力とウィン・ウィンを目指し天津投資へ:プロモーション・インジャパン」を後援 /// 続きは本誌ご参照

  2024年6月号(通巻365号) 2024年6月号(通巻365号)表紙

巻頭言・挨拶
北京の空1
村山均  日中経済協会常任理事、電源開発株式会社特別顧問
24年1月末に、4年ぶりに派遣された日中経済協会合同訪中代表団の一員として中国北京を訪れました。私にとって5年ぶりの訪中です。夜に入国し翌朝に外出すると青い空、「北京の空も随分綺麗になったなあ…」と、また緑色系のナンバープレートを付けた電気自動車(バイク)の多さにびっくりしました。前回の訪中時には澄んだ青空が見えず、大気汚染による煙った空しか見ることができなかったと記憶しています。北京で見た青空は、近年の電気自動車の急速な普及、工業施設・家庭等での燃料転換を含む環境対策の進展が目覚ましいものであることを改めて感じる出来事でした。また今回、代表団日程の外で、北京日中イノベーション協力モデル区水素交流センターを視察する機会を得ましたが、ここでは再生可能エネルギーを利用した水電解による水素製造の技術開発・普及促進を図っており、CO2を含む大気環境に対する中国の力の入れようを肌で感じた次第です。 /// 続きは本誌ご参照
FOCUS
海南自由貿易港と中日産業協力2
李明星  中国企業聯合会副会長、海南世界貿易中心集団会長
中国は半世紀に及ぶ改革開放の歴史の延長線上に、2025年末から海南自由貿易港(以下FTPと略す)の実現に向けて万端の準備を進めている。海南FTPは世界レベルの経済特区を目指すもので、新時代における中国最高水準の改革開放の最前線として、今後中国の開放型経済発展の牽引役が期待されるだけでなく、グローバル企業に良好な国際ビジネスの舞台を提供し、中日産業協力に重要な戦略的チャンスと新たな選択肢をもたらすだろう。 /// 続きは本誌ご参照
スペシャルレポート   地方発の日中協力
日中自治体間交流の現状について6
近松茂弘  一般財団法人自治体国際化協会北京事務所長
中国におけるゼロコロナ政策の変更後、2023年度に入り、日中自治体間の往来が再開している。地方自治体は、従来から友好都市との交流をはじめとする様々な機会を通じて、中国各地との交流を深めてきた。変化の速い中国社会において、そのトレンドを踏まえるべく、各種の活動を行っているところである。本稿では、日中自治体間交流の現状を紹介したい。 /// 続きは本誌ご参照
静岡県と浙江省の人材交流:現状と展望10
横井香織  静岡県立大学グローバル地域センター特任准教授
静岡県は2022年、浙江省との友好提携40周年を迎えたものの、コロナ禍により対面の交流事業は実施できなかった。しかし、「40周年記念書道交流展」を作品展示だけではなくITを活用した仮想空間による展示の試みも行い、文化交流の新たな領域を開拓した。本稿では、中国との交流の窓口として発足した静岡県日中友好協議会の事業を中心に、静岡県と浙江省の人材交流を振り返り、今後を展望する。 /// 続きは本誌ご参照
中国の産業集積の転換―先端産業の内需シフトと労働集約型の越境ECシフト14
後藤康浩  亜細亜大学都市創造学部教授
1990年半ば以降、中国経済の成長を牽引して来た経済特区、開発区など中央、地方の多様な産業集積が今、転換期を迎えている。中国の産業集積の多くが外資の輸出型生産拠点の進出を起爆剤として雇用拡大、地元企業の進化を実現して来たが、米中の対立激化による外資の中国拠点の見直し、米欧の中国製品排除の動きを受け、成長戦略の転換を迫られているからだ。半導体やスマートフォンなど先端技術製品は輸出から国内市場に軸足を移し、衣料品、家具、日用雑貨は急成長する越境型ECサイトを通じたグローバル輸出にシフトしつつある。並行して、EVを主体とする自動車、バッテリーなどが新たな輸出の柱として台頭、関連分野を含めた産業集積高度化の動きが中国各地にみえる。 /// 続きは本誌ご参照
インタビュー―営業なき営業で年商100倍超へ:地方老舗・松井味噌の中国ビジネス 松井健一 松井グループCEO18
蝦名康平(聞き手)  日中経済協会調査部
兵庫県明石市にある、大正時代から続く味噌店「松井味噌」を筆頭に、中国など6カ国で調味料を生産している松井グループ。同グループの現CEOで“和食の伝道師”と称される松井健一氏は、自身が社長を継いだ当時、日本の醸造業の経営や後継者問題などの厳しい状況を目の当たりにした。そこから松井味噌は1990年の中国進出をきっかけに日本を除く海外での味噌の製造と販売シェアは世界1位となるほどまでに成長した。この成功の裏にはどんなストーリーがあったのか。日系企業が中国で戦っていく上で大事なことはなにか。松井氏ご本人に話を伺った。 /// 続きは本誌ご参照
TOPICS
中国の民族文化とその「観光文化化」―ウイグル族・チベット族集住地域における「日常」と「非日常」のせめぎあい22
山田勅之  北海商科大学商学部教授
中国では政府主導で観光開発が推進されている。民族文化は観光資源として価値が高いと以前から政府によって評価され、開発対象とされてきたが、その「観光文化化」は政府の民族政策の延長線上にあることが多い。ウイグル族やチベット族集住地域といった先鋭的な民族問題が発生する地域においても同様であるが、漢族文化との差異が大きいこれらの地域では、民族文化をめぐる「日常」と「非日常」のせめぎ合いが見られる。 /// 続きは本誌ご参照
時々刻々
「ポストコロナ時代」の北京で感じた変化26
西川廉平  一般社団法人共同通信社経済部次長
2月下旬から約1カ月半、全国人民代表大会(全人代)の取材応援のため北京に滞在する機会があった。「百聞は一見に如かず」という言葉通り、5年ぶりに訪れた北京では日本からニュースやネット上の情報を見ているだけでは感じられない変化を随所に感じられた。コロナ禍を経て、すっかり「近くて遠い」存在になってしまった中国だが、外交関係が複雑な局面に差しかかっている今だからこそ、相互理解を深め不要な摩擦を避けるためにも、現地へ足を運ぶ必要性をあらためて実感した。 /// 続きは本誌ご参照
中国ビジネスQ&A
長期の赴任者は中国個人所得税の「6年ルール」にご注意を30
服部功  デロイト中国シニアマネジャー
弊社の出向者には2014年1月から中国に赴任しており、今年で10年目を迎える者がおります。「6年ルール」というものがあり、赴任期間が6年を超えると25年から中国で課される個人所得税が増えると聞きました。弊社の駐在員は、23年以前から赴任期間は6年を超えていましたが、25年からの影響はありますか。 /// 続きは本誌ご参照
情報クリップ
2024年4月32
日中経済協会
「中国・恵州-日本投資説明会」に協力/「中日ハイレベル人文交流フォーラム」に参加/楊万明・中国人民対外友好協会会長との懇談/叢陽・中国国際貿易促進委員会大連市分会副会長一行の来会/「中国深圳(前海)-日本東京経済貿易協力交流会」に協力/張立・中国電子信息産業発展研究院院長一行の訪日を招聘/「青島自貿片区-日本経済貿易協力交流会」に協力/「遼寧-日本経済貿易合作説明会」を共催/彭福偉・国家発展改革委員会社会発展司副司長一行の訪日を招聘/「中日都市建設・現代サービス業協力モデル区投資説明会」に参加/「2024年中関村論壇開幕式」に参加 /// 続きは本誌ご参照

Copyright © 1972-2022 Japan-China Economic Association All Rights Reserved.